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2026年7月 9日 (木)

「蛇蝎のごとくと言うが。大量のヘビが逃げた。ヘビは魔物か。神通力は」

◇私はヘビが大嫌いなので、ヘビと聞くだけでぞっとする。「蛇蝎(だかつ)」の如くという言葉がある。人がもっとも嫌うもののことだ。蠍(さそり)はそれ程怖いと思わないが、ヘビは生理的に駄目である。歴史上ヘビは恐怖と畏怖の象徴として扱われてきた。私は、子どもの頃赤城の山奥で暮らしていたが、当時ヘビは至る所にいた。下の部落にお使いに行くとき、よく母が言った。「ヘビに出合ったら真っすぐ走って、急に曲がって逃げるんだよ」。漫画のような話であるがヘビを単純に恐れていたことが窺える。

 身近で大きいのはアオダイショウである。2メートルくらいになると言われているが、3メートルに達するものもあるらしい。

 古代人はヘビに神秘性を感じていたに違いない。ヘビを殺すと祟られるとよく言われてきた。農家では屋敷神として大切にしている所も少なくなかった。古事記では怪物ヤマタノオロチとして登場する。この怪物はスサノオのミコトによって退治される。

 ところで衝撃的なヘビのニュースが伝えられている。台風10号による記録的豪雨で、大量のヘビが養殖場から逃げ出し、噛まれて死亡した女性がいるというのだ。中国では何でも話が桁違いに大きくなる。中国南部は温暖、高湿度でヘビの生息に適しているので一大養殖地となっている。その飼育数は2千万匹近くにのぼるという。国営テレビは、川べりや草むらには近づかぬようにと呼びかけている。ヘビ養殖の目的は薬用である。日本でもマムシは焼酎につけて薬にする習慣がある。生きたまま焼酎の瓶につける。ヘビは魔物と言われ、強い生命力があると思われる。ヘビ焼酎は傷口につけたり、精力剤として飲む習慣は昔から定着している。私はよく山の谷に入るが、最近ヘビを見る機会はほとんどなくなった。ヘビは嫌いだが、彼らとの共存は大切なことである。

 ヘビの肉は美味しいらしい。ニューギニアで戦時中飢えと戦って生死の境をさまよった知人からよく話をきいた。南のジャングルには大きなヘビがいて、見つけると争ってブツ切りにして食べたという。巨大なアナコンダの話を聞いたことがある。目の前で現地人が呑まれたという。身体を洗っていたら音もなく近づいてあっという間に犠牲になった。引き上げて腹を裂いたら、既に溶け始めていたという。恐るべき力である。ジャングルも近代化で開発が進む。ヘビ達は生き延びられるか。(読者に感謝)

 

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