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2026年6月 9日 (火)

「私の著書を破った若者の衝撃。人間を信じられない寂しさを」

◇数年前、中国の学者たちを私が学んだ東大西洋史の研究室を案内したことがあった。彼らは東大を権力の象徴のように受け止めていたらしく、私の話と現実い接し認識を改めていたようであった。東大も私がいた頃と比べ大きく変化したようだ。かつて立て看板が林立していた光景は今は昔のように変わった。アジ演説もすっかり陰をひそめた。しかしふと不安に思ったことがある。それは、立て看板やアジ演説の底にあった学生たちの燃えるようなエネルギーがどこかへ行ってしまった恐れである。最近、駒場と本郷のキャンパスを訪れて静かな雰囲気の底に本来あるべき活気がどこへ行ったのかと淋しく感じた。学生運動のエネルギーは学問への情熱とどこか通じているものがあるに違いない。

◇著書を真っ二つに破られた。怒りがこみ上げそして悲しくなった。6月7日午後3時、私の屋敷内のことであった。目の前の鳥取駐在所へ走った。事実だけは警察に伝えねば腹が治まらぬ思いであったのだ。日曜日なので電話で、話がつながらない。それにしても不思議なことである。

 破られたのは2種の本で、その一冊は「生まれいき、そして未来へ」、約6千冊を発行した。上毛新聞の「ひろば」の欄で取り上げられたものに、それぞれ私のコメントを添えたものである。全体は117ページであるが、50ページと51ページの中央の所で二つに破られていた。もう一冊は楫取素彦(吉田松陰が夢を託した男)である。これは全体が207ページのもので、122ページと123ページの中央で破られた。ひろば欄に関する方は、破った若者の顔と名前を覚えている。そして楫取素彦の方は前の桑畑に破り捨てられていたものを近所の方が発見してくれた。それにしても不思議でならないのだ。破ったと見られる少年は芳賀中、そして前橋高校出身だと言っていた。教育上も社会的にもこのまま済まされるものではない。数人のグループによる行動らしい。そのうちの一人は真面目らしい表情で「すみません」と頭を下げていた。この少年が破ったのでないことは明らかである。今日、破られた現物をもって、芳賀中及び前橋高校へ行くつもりである。できれば少年と対面し、破った理由を訊いてみたい。社会が大きく変化している。そしておかしな方向に動いていると思える。そういう流れの中の出来事なのだ。それゆえに放置してはならない問題なのだ。

(読者に感謝)

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