« 2025年12月 | トップページ | 2026年2月 »

2026年1月31日 (土)

死の川を越えて 第196回

※土日祝日は、中村紀雄著「死の川を越えて」を連載しています。

 

 安田大臣の一行は湯の川地区に入った。大臣にはハンセン病の人たちが暮らす集落の実態を見たいという決意があった。安田の胸には故郷熊本の本妙寺のハンセン病の集落の姿があった。

「こんなに多くの家々があるのですか。商店も旅館もある。あれは郵便局ではないか。これら一帯がみなハンセン病の人々の町なのか。整然として、無法地帯ではない」

 これを聞いて待っていたとばかりに木檜は説明する。

「はい大臣。選挙で区長を選びます。税金も納めているのです。かなりの識者が集まっていまして意識も高いのです。世界広しと言えど、このような所はありません。日本の文化の堅さ、文明の高さを示す象徴です。さらに大臣が驚かれるようなことがございます」

「ほほー。それは何か」

「すぐに分かります」

 しばらく進んで内務大臣は一点に目を止めた。

「何じゃ、これは。湯川生生塾とある」

 直ちに木檜は言った。

「驚かれることとはこれです。現代の松下村塾でございます。子どもを教え、志ある大人たちに先生が難しい政治や歴史を易しく説いて教えているのです」

「驚きであるな。立ち寄っても構わんであろうか」

「現職の大臣がここに立ち寄ったとなれば、末代までの語り草となります。ところで、周りの役人の皆さんが心配の目つきですがそれは無用です。この塾に集まる人は、今、病気は出ておりません」

「は、は。見損なうでない。これでも私は済々黌で学んだ肥後もっこすだ。怖いものなどあるものか」

「いや恐れ入りました。正助君、それでは」

 木檜は後方にいた正助を招いて何やら囁いた。正助は走り込んで行ったがすぐに現れて大臣を招き入れた。

つづく

|

2026年1月30日 (金)

「善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや。衝撃的な親鸞の哲学に驚く。800年前の思想は今も生きる」

◇今日は1月30日、間もなく今月が終わる。いろいろな企画で追い立てられるような日々が続く。このブログもその一つである。手を抜くことがないように戒めている。明後日、2月早々に浄土真宗の清光寺で楫取素彦夫妻についての講演を行う。昨夜は床についてから構想を練った。現代社会は乱れに乱れている。浄土真宗の根本を甦らせねばならない。楫取素彦は初代群馬県令として教育と物づくりで群馬の基礎をつくった人である。清光寺の入口の案内板には幕末の志士吉田松陰の妹寿の事績が書かれている。寿は妙好人と言われた。信宗門徒の中でも、特に篤信の人をそう称えた。寿は楫取素彦の妻として群馬県が荒れた県で、人心が軽く乱れていることに心を傷めた。それは正しい仏教が根付いていないことに一因があると考え、西本願寺の門主に頼んで浄土真宗の拠点をつくろうと思い立ったのである。かくして浄土真宗の説教所としてスタートしたのが清光寺である。寺の境内には開祖親鸞の像が立つ。宗教の目的は人の心を救うことにある。平安から鎌倉にかけての時代、社会は戦乱と災害に明け暮れ宗教は力を失っていた。この時、社会の求めに応じて庶民を救うための仏教が次々に生まれ、浄土真宗もその一つであった。親鸞の教えは衝撃的で、それを信じて戦った一向宗の力は戦国の世にあって戦国大名をも震え上がらせるものであった。浄土真宗の教えの根本には人間平等、人間尊重の思想があった。親鸞が説いた教え「善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや」は衝撃的で、誤解をも生んだ。「善人ですら救われるのだから、悪人はなおさら救われる」とは。「逆ではないか」と思うのは無理もない。この革命的な哲学思想は世界が注目するところとなったのは当然である。浄土真宗は、阿弥陀仏の願いは自分ではどうしようもない「悪人」を救うことにあると説いた。「悪人」とは殺人や悪事を働く人に限らず煩悩を抱え自分の力では正しい行いが出来ず、往生が出来ないと自覚している人のことである。この教えは善行を否定するものではなく、善行に自己満足し他力を頼まない姿勢こそが誤りであると説くもので、深い信心への教えなのだ。善人は当然救われるが、それでは仏の力は小さい。もっと広く悪人が救われてこそ阿弥陀仏なのだ。今から800年以上も前にこのような深遠な人間の本質に迫る哲学を手にした日本民族を誇りに思う。明後日の清光寺は謙虚な心で頑張らねばならない。(読者に感謝)

 

|

2026年1月29日 (木)

「日中新春パーティの意義。衆院選序盤の状況。東大病院は世間知らずの象牙の塔」

◇1月28日(水)、群馬県日中友好協会の新春パーティが行われた。世界の状況が直ちに浮かび高揚と緊張が走った。市内のホテルには50数人が集まっていた。元県議の関根氏が開会の挨拶をし、私がマイクを握った。

「対立と分断、混乱と絶望、大変な国際状況が展開しています。日本と中国の対立は厳しさを増し、日中友好協会の役割と使命は増しています。皆さんと力を合わせ、この試練に立ち向かい、役割と使命を果たしてまいりたいと思います。この新春パーティを、この歴史的役割を確認し、決意を新たにする舞台に致したいと存じます」

◇早くも序盤情勢の予報が飛び交っている。県内5選挙区の動向が気に掛かる。報道によれば1・2・4・5区は自民が先行という。3区の笹川博義、長谷川嘉一の各氏は私の県議時代の同僚で拮抗しているらしい。

 全国の情勢はどうか。自民党は日本維新の会と力を合わせて定数465の過半数をうかがう勢いである。中道改革連合は伸び悩み、参政党は大幅増と分析されている。一部報道によれば参政党は7倍に躍進とか。共産党は伸び悩み、公示前の8議席から減らす可能性があり、れいわ新選組、日本保守党、社民党は皆苦しい戦いらしい。身を切る寒風を切り裂くように候補者の声が走る。物価高、移民政策、少子化対策などが風に舞って飛んで行くようである。

◇東大では医学部や付属病院の教員による汚職事件が相次いでいる。学長は「社会の信頼を著しく損ね、深く心よりお詫びする」と述べた。付属病院佐藤皮膚科長の逮捕疑惑は信じ難いものだ。共同研究で便宜を図った見返りに高級クラブや性風俗などで高額の接待を受けたという。藤井東大学長は次のように説明した。「教職員の倫理意識の希薄さやチェック機能の不備、医学部や付属病院の閉塞的な組織風土が要因」と。東大は全教職員への調査で、大学の倫理規定違反が22件あり、うち3件が高額接待だと明らかにした。東大は再発防止に向け、教職員倫理の徹底や、医学部付属病院を大学付属とする組織の見直しなど組織統治改革等をまとめ、公表する方針である。かつて大学病院は象牙の塔と言われたことがある。とかく学者は高尚な環境に閉じこもり世間知らずで孤高、そして現実の課題に疎い面がある。そういう所はとかく外部が批判しにくい。そのような構造的な問題を改革することが今求められている。東大病院の偉容に圧倒されたことを思い出す。(読者に感謝)

 

|

2026年1月28日 (水)

「衆院選と移民政策の行方。首相は即刻退陣を明言した。世界の異常気象の衝撃。アメリカのホームレスの憐れさ」

◇1月28日、世の中一気に騒然と動き出した感がある。昨日衆院選が公示され全国で1,285人が立候補、2月8日の投開票に向けた選挙戦が始まったのだ。寒風の中、天下分け目の決選である。様々の党と候補者が公約を掲げている。物価高対策が喫緊の課題であるが、外国人対策わけても移民政策は日本の運命に大いに関わることである。移民に関する主張でヤバいと思われるのは参政党と日本保守党である。参政党は「移民の受け入れに猛反対」し、「移民を受け入れない方が国は安定し経済が回る」と主張。日本保守党は「移民はいったんストップ」を掲げ、「移民で社会が変容したら元に戻らない。抜本的に見直す」と過激である。これらの政党が大勢を占める可能性は少ないと思われるが、その動静は日本社会の今後に少なからぬ影響を及ぼすに違いないから目が離せない。

 高市首相は都内の第一声で叫んだ。「日本の国力、外交力も防衛力も経済力も情報力も人材力も強くする。重要政策と政権の枠組みが変わったのだから国民の皆様に信任を頂きたい。自民、維新で何としても過半数を取らせて下さい」と。また、与党過半数を実現できなければ「即刻退陣する」と明言した。見ものである。興味をもって見守ろうと思う。

◇このところ異常気象が常態化し、夏の異常降雨と洪水はこの世も末かと思わせたが、現在その冬版が世界各地で展開している。アメリカ東部では「歴史的な大寒波」に襲われ米メディアは少なくとも45人が死亡したと報じた。そして10以上の州が非常事態宣言を出した。この歴史的寒波はホームレスや低所得者、高齢者といった社会的弱者に深刻な影響を与えている。報道によればこの極寒の中、NYではホームレスの数が過去最多となっており、氷点下45度の体感気温になる中、路上や地下鉄での死者が相次いでいると言われる。そして凍死寸前で救助されるケースが続出しており、ホームレス支援団体は「これまでになく短期間に多くの死者が出ている」と訴えている。暖房施設が不十分な建物に住む貧困層や公共資源へのアクセスが制限されているコミュニティ(特にブロンクスなど)が寒波の直撃を受けている。特に独居高齢者や持病を持つ人々が危険な寒さに晒されている。そして、この大寒波は、ニューヨークの深刻な貧富の格差を浮き彫りにすることになった。この異常事態に対し、ニューヨークなどでは州兵が出動する騒ぎというから正にこの世の地獄である。(読者に感謝)

|

2026年1月27日 (火)

「冒頭解散に大義はあるか。外国人政策は民主主義の試練」

◇衆院が23日、通常国会冒頭で解散された。事実上の選挙戦が始まった。開会冒頭の解散は何を意味するのか。予算審議が出来ないわけであるから予算の成立が遅れることになる。物価高が人々の生活を脅かしている。従って国会で審議すべき課題は山積しているのだ。この寒さの中、食べ物がなく、また家がなく苦しんでいる人は多い。このような時における解散の大義はなにか。当然強い批判が出る。「自分勝手の暴走解散」、「国民のための政治をしていない」等の声が噴出している。高市総理の強気を支えているのは異常ともいえる高い支持率である。この支持の声に真に応えるのが一国の指導者の使命である。

 内憂外患、天下大乱の大波が渦巻いている。この大波を乗り切る指導者を選ばねばならない。27日公示、2月8日投開票である。通常国会冒頭の解散は60年ぶりで、1月の解散も異例である。異例といえばかつてない程の大雪が列島を襲っている。選挙の掲示板を立てるのに苦労している各地の情報が伝えられている。このような状況で多くの人が投票所へ行くのに困難を感じてしまうだろう。身体の弱い人や高齢者にとってはなおさらである。

 県内の5小選挙区では24日現在、17人が立候補を予定している。解散から投開票日まで2週間あまりの超短期決戦となる。その上、立憲民主及び公明の両党が「中道改革連合」を結成するなどの新たな構図が出来つつある。

 2区の井野俊郎・原和隆、3区の笹川博義・長谷川嘉一の各氏は元県議で私の県議時代と重なっていたこともある。その他の候補者も全てこの天下大乱の折、大変な決意で選挙戦に臨んでいるに違いない。

 今回の選挙で外国人政策は一つの関心の的である。少子化の加速は避けられず、外国人との共生共存は有権者にとって他人事ではない。外国人に対する厳しい声は時の流れでもあるが、排外主義に陥ることは戒めねばならない。日本の伝統と文化を堅持しつつ外国人との共生共存を測らねばならない。選挙は民主主義の根幹を成す。今回の選挙は民主主義にとって従来にない大きな試練となっている。私たち有権者にとって民主主義を深く学ぶ試練の場なのだ。

 日本人ファーストが一つの流行になりつつあるが安易に時流に流されるのは自らの首を絞めることになる。現在民主主義の危機が叫ばれている。民主主義は理想であるが現実との乖離は悩みの種である。私たちは付和雷同、衆愚政治を戒め、自分の見識を磨かねばならない。(読者に感謝)

|

2026年1月26日 (月)

「ベネズエラに見る『資源の呪い』の衝撃。資源の呪いは他山の石。東大教授の収賄に思う」

◇24日は今年最初の「ふるさと塾」で、力が入った。ベネズエラの現実を中心テーマとして話した。キーポイントの用語は「資源の呪い」である。一見ドキッとさせるこの表現は塾生の注目を引いたようだ。1月2日深夜、トランプ大統領はベネズエラを攻撃しベネズエラ大統領夫妻を拘束した。ベネズエラという国の存在すら知らない人が多いのが現実であった。世界中で「なぜ」と驚愕し非難の声が巻き起こった。

 ベネズエラは南米大陸の北東、カリブ海に面した国であり、コロンブスが最初に到着したところである。よく知られているようにコロンブスは大西洋を西へ横断してアメリカに達した。

 マルコポーロにより伝えられた黄金の国日本(ジパング)を求め最初に到達したのはサンサルバドル島であった。そしてベネズエラに至るのであるが、ベネズエラとは小さなヴェニスが語源と言われる。水と共に暮らす先住民の情景が「小さなヴェニス」を思わせたと言われる。ベネズエラは小さなヴェニスを意味するのだ。トランプが攻撃した目的は石油である。ベネズエラは世界最大の埋蔵量を誇る国である。トランプの表向きの理由は麻薬の流入を抑えることであったが、真の狙いは石油の利権に違いない。

◇資源の呪いを改めて書かねばならない。資源に頼って正しい政策を立てられなかった為、ベネズエラは滅茶苦茶な国になってしまった。石油収入があふれる程あるために税制を正しくたてることを怠った。税制は民主主義を支える重要な柱。国民は税を負担することで国民としての自覚を持ち国に権利を主張する。ベネズエラはこの柱がきちんとしないため汚職がはびこり独裁権力が支配することになり、国民の人権は無視され、あるいは踏みにじられた。私たちは資源を正しく役立てる行政の重要性を学ばねばならない。民主主義が誤った方向に進まないように、私たちは「資源の呪い」」を他山の石としなければならない。

◇佐藤東大教授が収賄容疑で逮捕されたことに唖然とするばかりである。性風俗店や高級クラブで約30回にわたり接待を受けたと言われる。知の砦と言われる東大の研究者である。世の中全体が精神的に地盤沈下していることの現れと見るべきかも知れない。指定難病「全身性強皮症」を専門としていた。共同研究者に「早く金を持ってこい」と暴言を吐き金銭を要求したことがあったと言われる。医学の世界でも賄賂が広がっていることが垣間見れた気がする。日本全体が底なし沼に沈んでいくようである。(読者に感謝)

|

2026年1月25日 (日)

死の川を越えて 第195回

※土日祝日は、中村紀雄著「死の川を越えて」を連載しています。

 

 木檜は開口一番に言った。

「近く草津に安田謙岳内務大臣が来る。この湯の川にも入る予定です。目的は、この湯の川の移転の適地を見ることです。下村正助君は森山議員を案内して歩いてくれたそうですね」

 それに森山が応じた。

「いや、大変良い所を見せてもらいましたぞ。水原窪、滝窪原、沼神原、芳花窪とか言ったな。安田大臣には私も同道することになるようだが、自分ではあそこへ行けぬ。正助君に案内してもらいたい」

 木檜代議士はすかさず言った。

「森山さんから、そのことは詳しく聞きました。私も、そこを大臣に見せたい。下村君、私からも案内を頼みます。役場には君のことを話しておく」

 昭和5年8月9日、安田内相一行は、草津にやって来た。木檜代議士、堀川群馬県知事、森山県議、警察部長、県衛生課長等が同道していた。

 一行は吾妻渓谷を通り草津に向かった。安田は、天を覆う奇観に圧倒され、故郷不磨元の隣県を走る耶馬渓と重ねて胸を躍らせた。温泉街は大歓迎だった。温泉業者は、その発展のため湯の川地区の移転を強く望んでいたからである。驚くべきことは湯の川の患者たちの多くが沿道に出て土下座までして喜んだことだ。土下座の姿は、無知な民衆の実態を語っているといえるが、それはやむを得ないことであった。

 この人たちの中からこんな声が聞こえた。

「俺たちのために大臣様がお出でになった。選挙の神様だと聞いたが、それどころか救世主の神様だ」

 この人物は、大隈内閣の総選挙で、参政官として辣腕を振るい選挙の神様のニックネームを得ていた。それが湯の川まで響いていたと見える。

 人々は偉い大臣が虐げられた自分たちのためにわざわざ来てくれたということが、それだけでうれしいのであった。また、湯の川地区の生活が貧しくあえいでいる人たちの中には、この地区の運命が厳しい方向に動くらしいことを肌で感じつつも、新しい所で生活が保障されることをむしろ期待している向きもあったのだ。

つづく

|

2026年1月24日 (土)

死の川を越えて 第194回

※土日祝日は、中村紀雄著「死の川を越えて」を連載しています。

 

 二、安田内相の来県

 

 昭和4(1929)年の幕が開けた時、万場老人は深刻な表情で言った。

「わしの予感では、今年は大変な年になりそうじゃ」

 万場老人の予感は的中した。

 昭和4年という年は、内外共に大変な年であった。それは新たな怒濤の時代の幕開けとも言えた。昭和4(1929)年の世界の大事件としては、ニューヨークにおける株式の大暴落に端を発した世界大恐慌の始まりがある。この未曾有の大不況の大波は世界に押し寄せ、日本もそれに容赦なくのみ込まれていく。

 会社は次々に倒産し、失業者が巷にあふれるようになった。国内の政治の変化としては、この年の7月、田中義一内閣が瓦解した。前年の満州における張作霖爆殺事件の責任に絡む政変である。万場軍兵衛はこのことについて語気を強めて語った。

「恐れ多くも天皇陛下は田中首相を強く非難されたという。それは事件の責任者を厳しく処分すると天皇に約束しながら守らなかったかららしい。それで田中内閣は倒れたと聞く」

 内外の出来事は影響し合って大きな社会不安を生み、国を旧知に追い込んでいく。社会の窮状は社会的弱者を第一に打ちのめす。ハンセン病の人々に黒い影が忍び寄っていた。

 明けて、昭和5年7月のある日、木檜泰山代議士の秘書が万場老人を訪ねた。湯の川の重要な問題に関わることで代議士が訪ねたいと言っている。同志の森山抱月県議も一緒になるだろう。下村正助さんも同席することを望んでいる、というものであった。万場老人は、深く頷いた。要件は予想できた。そして期するところがあったのだ。

 予定していた日がやって来た。木檜代議士は森山県議と同道した。万場老人は正助と共に待ち受けていた。接待役としてこずえも茶を用意して待った。

つづく

|

2026年1月23日 (金)

「山上被告の銃撃事件の衝撃度の凄さ。被告の母の地獄。旧統一教会は悪魔だ。日本列島に横穴を伸ばす中国の卑劣さ」

◇21日、山上被告に下された奈良地裁の判決を見て、改めてその衝撃度に驚きその影響の大きさに圧倒された。事件は参院選の応援演説中に起きた。手製銃の製造は事件の約1年半前である。これは計画性が極めて高いことを物語る。また、安倍元首相が被弾直後に重篤な状態に至ったことは手製銃の威力が大きかったことを示す。そして銃撃の時、安倍氏の周囲には約300人の聴衆が居たことから、銃撃行為が多くの人々の生命、身体を危険に晒したことは否定できない。これらの状況は無期懲役もやむを得ないことを示すといえる。

 判決は、安倍氏に何等落ち度はなく、被告は十分な反省に至っているとは認められないことも指摘し、無期懲役が相当と結論づけた。また、一部報道は自己の思想を貫くために手段を選ばず政治上の重要人物の命を奪う行為はテロに他ならないと厳しく指弾

する。

 判決は被告の悲惨な境遇を切り離して結論を出したが、その悲惨さは被告の妹が語ることらも地獄であったらしい。被告の兄は母親に激しい暴行を加え、「助けて」という母親の声が毎日聞こえたという。教団の魔の手にからめとられた母親の姿も悲しい。献金することで教団ではちやほやされ有頂天になっていた。母親は法廷で「私が加害者だと思う」と答えた。この母親は法廷ですっかり目が醒めたに違いない。法廷を去る時、突然被告に呼びかけた。「てっちゃん、ごめんね」と。大変なドラマが展開されている。事実は小説より奇なりである。旧統一教会の悪魔性を改めて痛感する。被告は法廷で「旧統一教会に対し一矢報いる、打撃を与えるのが自分の人生の意味だ、家族の被害に対する報復だ」と事件の目的について述べた。

 この事件は、安倍元首相殺害、そして宗教が核心に絡む点に於いて、日本の犯罪史上に特記されるに違いない。

◇東シナ海での中国の一方的なガス田開発を許してはならない。中国は日中中間線付近でガス田開発の構造物建設を進めている。中国側から海底に延ばした構造物が地下で日本側と繋がり日本の資源が吸い取られている可能性が指摘されている。まるで子どもの悪さのようではないか。こういう事態を許すと日本のような細長い島国であり離島も多い国は至る所から穴をあけられ手を伸ばされ、資源を取られることになり兼ねない。日本の安全保障の上からも毅然とした態度で臨まねばならない。(読者に感謝)

|

2026年1月22日 (木)

「山上に懲役20年は重い。日本人の宗教的基盤は。解散迫る。主権者の自覚と覚悟は」

◇大きな判決が下った。注目していた判決に驚く。安倍元首相殺害の山上被告に、奈良地裁は無期懲役を言い渡した。無期懲役は死刑の次に重い刑である。私は悲惨な生い立ちが判決にどう影響するのか注目していた。その生い立ちは想像を絶するもの。母親の1億円を超える献金で、家族は崩壊し兄は自殺した。母親の献金の動機は「不幸が次々起こるのは先祖が堕落していたから」と告げられたことだという。裁判官は不遇な生い立ちに一定の理解を示しながらも、殺人の実行に至ったことには大きな飛躍があったと判断。この点はその通りだと思う。問題は「無期」という量刑である。弁護側は社会復帰の可能性を考えて「懲役20年までにとどめるべきだ」と主張していた。弁護側が「宗教が関わった虐待の被害者だ」と主張している点が重要である。人間の心理に及ぼす宗教の力は測り知れない。日本人には信仰心がないという人がいる。

宗教にきちんと向き合う精神的基盤が欠けていると思われる。これは教育の問題でもある。戦後社会が大きく変化し日本人の価値観が変化した。余りにも物質中心になったといえる。これは人間の危機、日本の危機に他ならない。山上被告の事件はこれらの危機に対する大きな警鐘と受け止めるべきである。

◇この事件で裁判官は被告が宗教二世であることを重視しなかった。しかし、それでこの事件の実態を正しく受け止めたといえるのか私は疑問を感じる。宗教を背景にもつ深刻な社会問題の被害者に対して過酷な判決と思われる。被告の生い立ちとその置かれた状況を考えると被告は社会から居場所を奪われた人と捉えることができる。このような社会から居場所を奪われた人には社会が居場所を与えることが社会的責任であると思う。定規で引いたような形式的な冷たい社会であってはならない。深刻な社会問題の被害者がなぜこのような重大事件を起こしたか、私たちは真剣に考えるべきである。

◇国会の解散が明日に迫った。衆院選は27日公示、2月8日投開票である。日本が置かれた状況は内憂外患で誠に深刻、正に天下大乱である。高市内閣は「日本列島を強く豊かに」と公約を掲げた。多くの日本人が現在の深刻な閉塞状態に不満と不安を抱えている。その一つが外国人問題である。外国人の不動産取得や所有者の把握について国民の懸念を払拭しなくてはならない。美しい国、そして伝統と文化を守るための戦いが今回の選挙である。(読者に感謝)

|

2026年1月21日 (水)

「騒然とする解散風の中、政治の信頼を取り戻す時。票目当ての政治家の発言は空手形のようだ。主権者の覚悟と自覚を」

◇1月21日(水)が始まった。外はかなりの寒気でマイナス0.4度。静かだ。ほっとするのは昨日の強風が恐ろしかったからだ。赤城颪はごめんである。強風の前で人の心は木の葉のようだ。闇夜の静寂は心をほっとさせると同時に毅然とさせる。世の中、衆院解散の風でにわかに騒然としてきた。国会で真剣に議論すべき国民的課題は山積しているのに、解散によりそれが出来なくなる。国会は民意を形成する場である。高い支持率を背景に国会を閉じ解散を急ぐのは民意を軽んじることではないか。「解散権の乱用だ」という声が起こるのは当然である。日本維新の会との連立合意で、一週間足らずで衆院の定数一割削減を盛り込んだ。国会議員は主権者たる国民が選挙で実現させるもの。定数削減を軽々に扱うことは民主主義を軽んずることに他ならない。

 現在、日本でも国際政治でも民主主義の危機が叫ばれている。大国のエゴが政治を動かそうとしているからだ。大国により深まる分断と対立に日本は毅然と対峙しなければならない。

 街角には衆院選用のポスター掲示板が立ち始めた。私たちは今回の選挙の重要性を考えねばならない。風に煽られるように選挙のムードに流されることを戒める時だ。付和雷同が選挙にはつきものであるが、それは衆愚政治に繋がる。候補者の主張をしっかり見詰めるところから始めよう。フェイクな情報が氾濫し、世はあげて騙し合いの時代となっている。その渦に政治が巻き込まれることを許してはならない。今回の衆院選は開闢以来の女性総理の号令の下で行われるもの。従ってそれだけの意義ある成果を生み出さねばならない。民主主義を支えるものは政治に対する国民の信頼である。政治不信の大きな原因の一つは、選挙の時、政治家が票目当ての発言をすることである。公約として発信したことが守られない。政治家の発言、約束は空手形のように受け取られている。今回の衆院選は議会制民主主義の本来の姿を取り戻すものにしなければならない。時代の大きな転換点である。価値観が混乱し、日本丸という船は羅針盤を失って漂流しているかのようだ。羅針盤をしっかり据えることが議会制民主主義の最大の課題である。それが目前の衆院選にかかっている。選挙は主権者たる国民が主権者の力を発揮する最大の舞台である。多くの血と犠牲をはらって手に入れた主権者の地位がぐらぐらしていることを感じる。選挙を民主主義の原則に立ち返って考える時がきた。その覚悟と自覚で一票を投じたい。(読者に感謝)

|

2026年1月20日 (火)

「国際政治は弱肉強食と言われるが。大国による力の論理は。外国籍消防団員の増加」

◇「国際政治は弱肉強食の世界である」と言われる。これは否定できない現実であり歴史が教えることでもある。しかし、それをそのまま認めてしなうことは許されない。そして法の支配、民主主義の理念を掲げ行動を起こさねばならない。世界は現在大きな危機にあり岐路にある。それを示す一例がトランプ大統領によるベネズエラ攻撃とマドゥロ大統領の拘束である。これは明らかに国際法違反である。国連憲章は武力の行使を原則として禁じているのだ。このような手法がまかり通れば、台湾を威圧する中国やウクライナ侵略を続けるロシアの横暴を認めることになる。

 大国による力の論理がまかり通れば、列強が大手を振る帝国主義の時代へと逆戻りすることになる。世界はトランプのやり方を強く非難しているが日本は沈黙している。日本政府は国際法を順守する立場をきちんと訴えるべきである。日本は広島・長崎を経験し、それを踏まえて新憲法を手にした。戦後80年余を経て世界は再び核戦争の危機が叫ばれるようになった。核は世界に広がり、北朝鮮、中国、ロシアなど民主的コントロールが利かない国々に核のボタンが握られている。しかもこれらは日本の隣国なのだ。今こそ、日本は人類唯一の被爆国として存在感を示さねばならない。

◇大国による力の論理は加速していると言わねばならない。トランプはベネズエラへの攻撃に止まらずグリーンランドの領有を強く主張している。トランプ大統領は、この領有に応じないことへの措置としてNATO同盟国のデンマークや仏独英など欧州8カ国に10%の追加関税を課すと発表した。トランプ大統領の行動は信じ難い程の暴挙というべきだ。

 国家主権の中核である領土の割譲を迫るために関税を武器とする。これは前代未聞であり、国際秩序に公然と背く行動である。これは、NATOの分断を望むロシアや中国を最大限に利する行為に違いない。

◇外国籍の消防団員が増えているという。外国住民は確実に増加するが、災害時外国人は言葉の壁などで災害弱者になりやすい。外国籍消防団員は、外国人と行政側の架け橋の役割を果たすことが出来るに違いない。災害時に消防団員がその使命と役割を果たす上で言葉の壁は最大の課題である。安中市消防団には中国、ペルー、ベトナム、フィリピン国籍者が入団した。画期的なことだと思う。災害時に外国人の困り事や実情を知る上で、外国籍消防団員の役割は測り知れない。外国人との共存が進むうえで、この傾向が進むことを期待する。(読者に感謝)

|

2026年1月19日 (月)

「 衆院解散に大義はあるか。元始女性は太陽だった。女性総理の気概は 」

◇高市首相は今日衆院解散を表明する。27日公示、2月8日投開票となる。衆院の解散は日本国の運命にかかわるといっても決して過言ではない。従って首相の専権といわれるが軽々に行われるべきものではない。「大義」が求められるのだ。その大義とは何か。首相は「経済政策や外交、安全保障政権を推進できる安定した政権基盤を築くために国民の信任を得ること」だとしている。内憂外患という言葉がある。日本を取り巻く状況は沸き立っている。正に国難の時である。安定した政権の力なくして乗り切ることは出来ない。高市政権の支持率は異常といえる程高い。この戦いで与党が目指す与党で過半数(233議席)の獲得は可能なのか。この選挙は自民党と新党「中道改革連合」の対決となる。自民は約30年ぶりに公明党の協力を受けない自力での戦いとなる。一方で、立憲民主・公明両党は新党結成への期待感を追い風としている。

 自民の鈴木幹事長は中道改革連合を「順番が逆だ」と批判した。「政党はまず理念があり、基本的な政策が整って作られるが、選挙目的のために作られた政党ではないか」というものである。立民の安住幹事長も次のように鋭く批判する。「政治空白を作り、国民生活を犠牲にした大義なき衆院解散と言わざるを得ない」。

 自民の衆院議員は196人、中道改革は、立民・公明が合流すれば172となるから、与野党2大勢力の激突となる。天下分け目の関ケ原の感がある。高市首相は春に訪米して日米同盟の強固さを示したい考えである。トランプ大統領は「ドンロー主義」を露骨に表明している。これによりアメリカのインド太平洋に対する関与が薄くなることを日本は警戒している。高市首相の訪米は、このような状況下で、トランプ氏をいかにインド太平洋に関与させるかに力を注ぐと見られる。外務省幹部は「米国主導の国際秩序の維持につながることを強く望んでいる」と述べた。

◇アメリカは11月の中間選挙で大変である。トランプはここで共和党が敗北なら自身は「弾劾される」と危機感をあらわにしている。トランプに振り回されてきた日本はどうなるのか。トランプがどうなっても日本は毅然とした姿勢を堅持しなければならない。女性総理高市氏にはその覚悟が求められる。かつてない高支持率は国民が内外の問題に対して首相と共に戦う決意を示したものと捉えられるべきである。平塚らいてうは言った。「元始女性は太陽だった」。高市首相にその気概を期待する。(読者に感謝)

|

2026年1月18日 (日)

死の川を越えて 第193回

※土日祝日は、中村紀雄著「死の川を越えて」を連載しています。

 

  森山は遠くを見て続けた。

「万場さん、国の力をもってすれば何でもないことです。県にも力を出させますからな」

「その通りじゃが、厳しい時勢です。国も金がないなどと言うであろう。その時は、木檜代議士に動いてもらわねばならぬ」

 この時、正助は大きな櫟の下に立ち止まって言った。

「森山先生、湯の川が動くとか、無くなるなんてことは、俺には考えられない事ですが、もしそういう事になれば、あの請願を出した牛川知事の責任は重大ではありませんか。つい先日、生生塾で万場先生がこの請願について詳しく説明してくださいました。それは、国費をもって、草津温泉を利用できる所に理想的集落を建設すべしというのです。理想の集落といっても国に金がないとなれば請願は実現できませんね」

「その通りです。あの請願を出すについて牛川知事はわれわれ議会の幹部に相談した経緯がある。ですから私も大いに責任を感じておる。それにな正助君、あの請願書には、君の熱意がうつされているのですぞ。だから君にも責任があると言わねばならぬ。は、は、は」

「え、そんなことが言えるのですか」

「君が県議会に来て、私と一緒に牛川知事に会った時のことを覚えているであろう。あの時、君は知事に、確か湯の川を守ってください、湯の川は私たちの宝ですと言った。そしたら、知事は群馬の誇りですなと言った。大切な点なので、私はよくこの胸に刻んでおる。あの請願には、理想的集落をつくってくれと書いてあるが、この理想的という文句には、君に動かされた知事の思いが込められているに違いない。県民の代表たる知事がこの湯の川のことを群馬の誇りと言った意味を噛み締めねばなりません。それは理想的集落と結び付けて考えねばならぬことです」

「そういうことだったのか。正助よ、お前はわれわれの運命に関わる大きな流れの中にいるのだ。もちろん、森山さんもわしも同じ流れの中にいる。頑張らねばならぬな」

「時には、君と対決するかも知れん。しかし、基本的には同じ目的を目指していると信じています。人間の尊重ということです。頑張りましょう」 

三人は、櫟の下で手を握り合っていた。 

つづく

|

2026年1月17日 (土)

死の川を越えて 第192回

※土日祝日は、中村紀雄著「死の川を越えて」を連載しています。

 

 ある日、万場老人の元に一通の封書が届いた。書の主は、県会議員の森山抱月である。内容は湯の川地区問題が本格的に動き出す気配であること、基本は牛川知事の請願書で、それは草津温泉が利用できる所に理想の集落をつくることである。ついては、正助君が歩いた辺りを実際に自分で歩きたいので正助君に頼んでもらいたいこと、その時は万場さんもどうか同道願いたい、というものであった。

「とうとう来たか」

 老人は呟くと、正助を呼んで森山議員の頼みを知らせた。

「先生、湯の川の将来は不安ですが、森山先生にこの一帯を知ってもらうことは非常に重要だと思うので、僕、喜んで案内します」

「その通りじゃ。わしも同行するので、よろしく頼むぞ」

 かくして、日程が決まった。その日、森山は運転手に命じた。

「細い道らしいから、気を付けてきれたまえ。車が無理なところは歩くからな」

 森山議員と万場老人は後ろの席に座り、正助は前の席で、あちらこちらと指をさしながら進む。

「この辺りが滝窪原、そしてあの辺りが水原窪といいます」

 正助は、木々で覆われた広い一帯を案内する。

「あの音が湯川ですか」

 木々の間から響く音に耳を傾けて森山抱月は言った。そこで正助は車を止めさせて、外に出た。

「細い道になるので歩きますが、大丈夫でしょうか」

 正助は万場老人を気遣って目をやる。

「は、は、老体じゃがこの位は何でもない」

 正助は先に立ってゆっくりと森の道に入って行く。細い道の前方はなめらかに谷に落ち込んでいた。

「足元に気を付けて下さい。この辺りが沼神原、この先が芳花窪です」

「大変な広さですな。ここに草津の温泉を引くのですね」

つづく

|

2026年1月16日 (金)

「冒頭解散は党利党略か。78.1%の支持率を利用する首相の心理は。イランのデモの衝撃」

◇高市首相は23日召集の通常国会で衆院を解散する考えを固めた。国会冒頭の解散となると、26年度予算は3月末までの成立が難しくなり政治空白が生じるのは避けられない。この状況を野党は、自民党の「自己都合解散」だと批判している。予算を早く成立させて国民生活を優先させるよりも自民党の議席数増加を優先させていることを攻撃しているのだ。

 首相としては勝てる時に勝って安定した政権をつくり、国民のための政策を遂行することが重要だと考えているに違いない。高市内閣の支持率は驚異的で78.1%である。この高支持率のうちに選挙をと考えるのは選挙を目指す政治家としては当然である。理由はどうにでもつくのだ。野党が自己都合解散とわめいても「国民の信を得て国民のための政策を行う」と簡単にけりをつけることが可能なのだ。解散の大義もこの理屈で押し通すことができる。選挙のムードが高まった時の常といえる現象が既に動き出し、止めることは出来ない。組織固めに始まり、ポスターの準備などやらねばならぬことはきりがない。選挙を支配する政権側はそこに付け込んで積極的に利用するのだ。高市首相の「急襲」に対し野党は「不意打ち」を食らった状態である。「女性総理は想像以上に手強い」という声が聞こえる。野党は「党利党略」を優先させると一斉に批判を強めている。野党の叫びは悲鳴に近く聞こえる。次は「立憲」の訴えである。「支持率が高いだけで一任を寄こせと言わんばかりの態度は容認できない」と。維新の吉村代表は次のように強調した。「不安定なままの政権より、本当強い経済をつくっていくためにも、国民の信を得たほうがいい」と。しかし公明の斉藤代表は連立与党離脱後の不安な選挙を迎えて訴える。「国民生活、経済にとって非常に大切な予算が年度内に成立しないと分かっていながら解散するとはまったく理解に苦しむ」と。

◇イランの反政府デモが激しさを増している。トランプ大統領はその動きを煽っているようにみえる。トランプ氏はイランの国民に向け「抗議を続け、公的機関を掌握せよ」と呼びかけている。「支援が間もなく届く」とも表明した。トランプ氏はイラン当局がデモ参加者を殺した場合、軍事介入を辞さない構えである。ニューヨークタイムズはデモの死者が約3千人になったと報じた。トランプ大統領はイランの民主化に関して次のように述べた。「理想的には望ましいが、まずは人々が殺されず、少しでも自由を得ることを望む」と。(読者に感謝)

|

2026年1月15日 (木)

「伝家の宝刀、衆院解散の衝撃度。グローバル化とイランの騒動。外国人との共存と中国人の蛮行」

◇世の中が一気に騒然としてきた。各種報道で「衆院解散」の文字が躍る。高市首相は23日召集の国会冒頭での解散の意向を固めた。開闢以来の女性総理の決断である。大上段に振りかぶった「宝刀」の一閃に緊張と衝撃が走る。総理が手にするのは全衆議院の首を切る最大かつ究極の権限である。正に「伝家の宝刀」である。伝家の宝刀だけに「大義」が必要であり濫用があってはならない。大義を支えるのは国民の信である。国民は憲法によって主権者の地位にある。正に国難の時に当たり主権者はその役割と使命を果たすことが出来るのかが問われている。

◇イランの騒乱から目が離せない。ニューヨークタイムズは死者が3千人になったと報じている。世界の指導者たちはこの事態にどう対応するのか。どさくさに付け込んで勢力を広げようとする大国のエゴも感じられる。外務省の情報によればイランには約380人の日本人が存在すると言われる。

 トランプ大統領は自身のSNSで「イランの愛国者たちよ、抗議を続けろ」とデモを後押しする姿勢を鮮明にしている。グローバル化が加速する世界情勢の下、どこの国であれ大衆の騒乱状況は他人事ではないのだ。トランプ大統領はデモ参加者に対し「助けが向かっている」と表明しているがその意味するところは不明である。

◇高市政権は外国人政策に関し厳格化の方針を進めようとしている。そこで懸念されるのが在日中国人との「共存」の問題である。その数は100万人に迫る勢いとされる。その中でも特に注目されるのが東京・新小岩である。私は学生時代、この地域に深く関わった経験がある。外国人が急増する中で文化の衝突状況が起きている。例えばゴミ出しのルールを守らない。具体的には収集日や分別の決まりを守らない外国人問題である。中でもひんしゅくを買っているのは、ベランダからゴミを投げ捨てる中国人だという。棟のまわりは彼らが捨てたタバコの吸い殻が40~50は見つかるという。信じ難いことであるが人糞の問題まで生じている。階段の共用部で時々発見されるという。人口減の日本で外国人との共存は避けられないが、一方で外国人に対する厳しい声が上がるのは理解できることだ。日本の文化が危機に晒されている。毅然とした姿勢で対応することが外国人を支えることに繋がることを知らねばならない。今こそ美しい日本の文化と伝統を守る覚悟が求められている。(読者に感謝)

|

2026年1月14日 (水)

「まさかの衝撃小川氏の当選。イランのデモの惨状。政教分離は人権の柱」

◇まさかの結末に言葉も出ない。それは意外に早い時間であった。「小川晶当選確実」の文字が午後7時には流れたのだ。「前橋市民はどうしたのか」、「あの方の名前で書類が来る。納得できません」等々、スマホに次々とショートメールが入る。やがて小川氏の挨拶があった。期待とは逆であるが、前橋市の歴史に大きく刻まれる瞬間である。「逆境を逆手に取り、情に訴えた戦い」。これが、私が第一に抱いた感想である。民主主義の危機、衆愚政治、享楽の巷、前橋市民の自覚の程度等、様々の想念が胸に渦巻きかきめぐる。今なすべきことは何か。自らに問う。「この現実を忘れないように胸に刻むことだ。今朝、全部の新聞を買おう」。こう決意した。

 開票結果は、62,893票(小川)、52,706票(丸山)、8,150票(店橋)、2,100票(高橋)、495票(海老根)であった。当選を果たしたものの小川氏を囲む状況は誠に厳しい。投票した市民の5割ほどが小川氏にノーを突き付けているからだ。この5割の中に前橋市民の良識と見識が存在することを思い、救いを感じた。激流と泥流が渦巻いている。汚物が漂い異臭を放っている。その中であっぷあっぷで必死に泳ぐ市民が哀れに見える。

◇イランのデモ騒動は広がる一方で死者が増加している。報道によればデモの死者は500人を超えているとされる。イランには邦人が約300人いるからデモの拡大は他人事ではないのだ。イラン当局はデモへの弾圧を強めている。英BBCは当局がデモに対し実弾を使っている、通りは血で染まり遺体がトラックで運ばれていると報じている。トランプ大統領はイランに於ける平和の実現に懸命で、イラン当局が市民を殺害したら軍事作戦に踏み切ると主張している。デモ参加者の死者は増え続けており、トランプ氏は現状が一線を超えつつあると見ている。亡命中の元皇太子はデモの拡大を呼びかけ、最高指導者ハメネイ師はデモを激しく批判している。イランは政教一致の国である。日本では政治と宗教の分離は憲法上の原則である。人権の尊重のためには政教分離が不可欠の柱であることは歴史の示すところである。アメリカは憲法で政教分離を掲げるが不徹底である。大統領の就任式で聖書に手を置いて宣誓することはそれを物語るものだ。宗教は人間の本性と結びついている。各人の宗教を尊重しつつ、権力が全ての人への平等を実現することは至難のことである。日本はそれを比較的巧みに実現している。誇るべきことで堅持しなければならない。(読者に感謝)

 

|

2026年1月13日 (火)

「息を呑む市長選の行方。選挙イヤーを意義あるものに。市長選と民主主義の危機」

◇遂にその時が来た。全国が注目する前橋市長選の審判が下る。身を切るような烈風が叫んでいる。「恥を知れ、恥を」と。今回の市長選は前橋市だけの問題ではない。首長に関する政治の信が問われているからだ。小川氏が嘘をついていることは明らかである。ほとんどの人がそう思っている。政治に求められる品位を破壊する問題である。一方で小川氏を支持する声がかなりの程度感じられる。それを支えるのは享楽の世相に違いない。「政治はきれいごとではない」、「みな同じようなことをやっている」。こんな声が聞こえてくるようである。

 しかし、私たちはこの問題が民主主義の危機を招いていることを自覚すべきである。そしてこのことは私たちの首を絞めることに繋がることに気づかねばならない。

 運命の大勢は今日(12日)午後10時頃判明するらしい。前橋市の歴史に特記される事態が刻々と迫っている。

◇今年は「選挙イヤー」になりそうである。報じられる情報によれば衆院の解散が実現しそうである。高市首相は23日招集の国会冒頭での解散を検討していると言われる。首相は記者会見では解散には触れず「強い経済」、「責任ある積極財政」を強調したがこれらの政策を実現するには強い政権であることが必要である。そして、強い政権であるためには選挙によって安定した政治基盤を作らねばならない。現在の与党は衆院で一人欠ければ定数465の過半数233を割り込むという不安定な状態である。高市総理は選挙で勝てると踏んで解散を決意したに違いない。高市政権の支持率は政権発足以来、報道各社の世論調査では軒並み高い数字を示している。選挙を目指す立場からすれば絶好のチャンスである。

 今夜結果が示される前橋市長選もこのような社会的背景の影響を受けるのではなかろうか。12日の成人の日を前に11日、県内各地で「二十歳の集い」が開かれた。きらきら輝く若者たちの政治に臨む姿が気にかかる。次代を担う彼らの動向は、そしてその投票率は如何に。良い結果を生じるためには行政と市民の良い絆が前提となる。選挙イヤーの名に恥じないような選挙の良い成果が生まれることを祈るばかりである。前橋市の市長選はそれほど重要である。民主主義の危機を市長選によって乗り越えねばならない。付和雷同の衆愚政治を打ち破る時が来た。浅間山は富士山を思わせる。上州の富士山である。(読者に感謝)

|

2026年1月12日 (月)

死の川を越えて 第191回

死の川を越えて 第191回

 

※土日祝日は、中村紀雄著「死の川を越えて」を連載しています。

 

 戦いには大義が要る。正義がなければ国民に犠牲を強いることはできないからだ。聖なる戦いのために国民は身も心も正して、一致団結しなければならない。ハンセン病は聖戦を汚す国辱と言われた。

 こういう世の風潮には、国民を戦争に向かわせるための国策が大きな影響を与えていた。そして、この国策を完成させるためには、ハンセン病患者を隔離収容することが必要であった。国がこの目的に向かって大きく動き出していることは明らかであった。この事態は、ハンセンの光を目指して、自由と自治の歴史を積み重ねてきた湯の川地区の前に立ちはだかる大きな障壁であった。

 万場軍兵衛は、湯川生生塾でこの問題を取り上げる。

 ある日の生生塾には、十数人の人々が参加した。万場老人はいつになく緊張の様子である。

「戦争の足音が近付いてきたのじゃ。戦争になれば、この湯の川も巻き込まれる。勉強して心の準備をしなければならぬ。前に、山田屋に集まって、森山先生も出席して、牛川知事の請願を問題にしたことがあった。皆さん覚えているかな。

 正助をはじめとして頷く顔があった。

「あの時、森山さんは、牛川知事の国への請願はこの湯の川地区移転に関することだと説明した。わしは、この問題が近く現実になってわれわれに迫ると感じるのじゃ。そこで、今日はこの請願文をしっかり勉強するのが目的じゃ」

 そう言って、老人は傍らのこずえに合図した。こずえは、黒々と大書した大きな紙を広げた。それには次のようにあった。

〈草津温泉を慕いて全国より集まる若者は多い。しかし地域は狭隘。すみやかに国費をもって草津温泉を利用しうる地域に患者を収容すべき理想的集落を建設せられたし〉

「ここにあることは、われわれの運命に関わる。参議院は、この趣旨を採択すべきものと議決したのじゃ。問題はその地域がどこかであるぞ。温泉が引ける広い地域といえば、自ら決まってくる。その上でさらに重要なことは、そこへの集落の移転に我々が同意するかどうかじゃ。先日のように半鐘を鳴らして反対するのか。それとも時代の大きな流れを睨みながら考えるか。われわれは、腰を据えて取り組まねばならん」

 万場老人の声に人々は頷いた。

つづく

|

2026年1月11日 (日)

死の川を越えて 第190回

※土日祝日は、中村紀雄著「死の川を越えて」を連載しています。

 

第九章 湯の川の運命

一、戦争の足音

 ある日、正助は新聞に目を通しながら万場軍兵衛に言った。

「先生、大陸から戦争の足音が聞こえてくるような気がします」

 大正から昭和にかけて、日本を包む世界情勢は緊迫の度を高めていた。正助が懸念したように、それはまさに戦争の足音といえた。

「これはハンセン病患者にどのような影響を及ぼすのですか」

「うむ。お前は大陸を経験しているから緊張感がひとしおなのじゃな。わしも中国との関係が心配じゃ」

 万場老人はこう言って、資料に目を走らせながら語り始めた。

「中国は今、内乱の中にある。日本政府はこれを利用して満州の支配を一層固めようとしたため、中国民衆の反日運動はますます激化してな、こうした中で関東軍は、張作霖爆殺事件を起こしたのじゃ」

「なんですか、それは」

「張作霖は満州を支配する軍閥の頭でな、日本は張作霖を除いて満州を武力占領し、そして日本の傀儡。政権をつくろうとしたのじゃ。昭和3年のことじゃ」

 万場老人が語ったように、日本はこれを機に軍分の独走による戦争への道を盲進する。そのたどる道を見れば、昭和6年満州事変、翌7年満州建国、続いて同8年国際連盟脱退、そして同12年日中戦争開始となる。

 万場老人は机を叩いて言った。

「よいか。このままでは戦争の足音は現実になるぞ。その戦争とは、アメリカとの戦争じゃ」

 時代の渦は日米対決に向けて大きく動いていく。

 戦争に向かうこのような激しい動きは、ハンセン病の政策を決定する要因の一つとなった。中国への進出は聖戦と謳われた。それは、中国の動きは日本の正当な権利を不当に奪おうとしているものと解釈するからだ。「天に代わりて不義を討つ」と軍歌まで作って国民をあおった。

つづく

|

2026年1月10日 (土)

死の川を越えて 第189回

※土日祝日は、中村紀雄著「死の川を越えて」を連載しています。

 

「実は、普通の学校に入ったモデルケースとして、県も注目しているのです。私の上司が、こんなことを言っています。これから警察は、時にはハンセン病の人たちに厳しい態度をとらねばならないこともある。そんな時、警察が情け知らずと思われては困る。そのためにも湯の川のことは重視しなければならぬと言うのです」

「はあー、そういうことなんですか」

「一部のお母さんに動揺があるというのも無理からぬこと。それを抑えるのも本官の務めです。私もできることは協力したい。娘を隣に座らせたことは正解です。気の強いやんちゃな子ですが、正太郎君に協力するように私からも話します」

 何とうれしいことか。萩野は幸せな気持ちに包まれていた。純子がクラスの男の子の悪ふざけを注意したことを知った時、純子の行動は父の気持ちが伝わったからに違いないと思った。

 ある時、萩野花子は、生徒に求められて古里を語った。

「私の古里は土佐の高知よ。太平洋の黒潮がすごい勢いで流れているの。時々大きなしけがあって遭難する人もいるの」

「しけって」

 誰かが聞いた。

「台風で海が荒れることよ。家よりも高い、山のような波が逆巻くの」

「わー、こえー」

 誰かが大声を上げた。

「私の兄が漁に出てしけにあって、海に放り出されて無人島に漂着したの」

「へえー、それで助かったの」

「約一ヶ月、アホウドリをつかまえて食べ、カツオ節をかじって耐えて助かったの。カツオ節はね、お母さんが心をこめて作ったもので、万一の時はこれで命をつなぐようにと兄に持たせたのよ」

 萩野花子は、命の大切さとどんな時も希望を捨てないで頑張ることの大切さを子どもたちに教えたのであった。正太郎たちは優しい萩野先生に意外な物語が結びついていることを知って感動したのであった。

つづく

|

2026年1月 9日 (金)

「福井県杉本前知事のセクハラに衝撃。県庁という存在の巨大さ。ベネズエラの石油とアメリカの真の狙い」

◇福井県の杉本前知事によるセクハラ報告に衝撃を受けた。華麗な経歴と家庭を犠牲にして、なぜ行動に移したか。資料によれば「四人プラス一匹の家庭」とある。息子と娘、二人の子どもは成人して独立しているという。首長によるハラスメントが続出している。

 福井県の特別調査委員会は報告書を公表した。それによればセクハラを裏付ける杉本氏のメッセージは約1千通に上り、身体的接触を伴う被害も認定されたという。知事という地位は、県職員にとって圧倒的優位な存在である。その地位にあることが理性によるコントロールを失わせたというのか。それにしても酷い。身体的被害に関しては「飲食店で太ももを触られる」、「スカートの中に手を入れられる」という被害が三件あったと認定した。

 杉本氏によるセクハラは総務省から出向してから20年近くにわたって続けられたというから信じ難い。セクハラ行為は職務に関する面会の時に行われ、愛人のような関係を求めるメッセージを繰り返し送っていたとされる。報告書は、被害者が拒否の意思を示しても執拗に飲食に誘ったり、暗に性的関係を繰り返し求めたと指摘した。長年にわたる被害をなぜ防げなかったのか。福井県庁という組織自体に問題があったに違いない。報告書は通報しても上司が真剣に受け止めなかった状況だったことを窺わせている。また報告書は、相談を受けた管理職の姿勢にセクハラへの問題意識の希薄さや対応の不適切さが窺えると指摘している。県庁という巨大組織、そして巨大な権力構造の中にあって被害に合う個人は極めて小さな、そして弱い存在である。また県庁といえば県全体をリードする存在である。その下には無数の教育機関もある。教育への悪影響は深刻に違いない。

◇ベネズエラの石油埋蔵量は世界最大といわれる。アメリカはこの石油権益への野心を露骨に示している。南米をアメリカの裏庭と捉えるアメリカはここへ中国とロシアの影響力が広がることを強く嫌っている。ライト米エネルギー長官は7日、ベネズエラ産原油の販売をアメリカが「無期限」に管理する意向を示した。トランプ政権はベネズエラに対する軍事作戦の口実を表向きは麻薬対策としてきたが、真の目的は中露の影響力排除であることが鮮明になりつつある。ルビオ米国務長官は強調した。「われわれが許せないのはベネズエラの石油産業が敵対勢に支配されることだ」と。国際関係は弱肉強食の舞台である。日本が平和ぼけに安住することは許されない。(読者に感謝)

|

2026年1月 8日 (木)

「マドウロベネズエラ大統領の姿に衝撃。アメリカの暴挙は許せない。市長選で勝てば官軍を許すな」

◇ベネズエラの混乱と惨状から目が離せない。世界有数の埋蔵量を誇る石油、そして美しい自然の国でありながら何が狂ったのか、最も貧しい部類の国に陥り多くの国民は国外へ逃れている。

 この国の大統領マドウロ氏のみじめな姿に全世界の注目が集まっている。大統領は5日、ニューヨークの連邦地裁に初出廷した。拘束され移送される大統領は何と足かせをされていたという。マドウロ氏は自身がベネズエラの大統領だと強調し、「私は米国によって拉致されて捕虜となった」と訴えた。

 問われている罪は4つ。麻薬テロ共謀、コカイン輸入共謀、機関銃や破壊装置の所持、その所持の共謀である。裁判官の前に立つ巨体の姿は独裁的指導者として最高権力を握っていた従来の状況を想像させる。地裁前では二つのグループの国民が対立している。米国の軍事作戦に反対するグループと歓迎するグループだ。それぞれの主張する姿は、この国の政情の縮図に違いない。アメリカの攻撃は戦争犯罪であり国際法違反だ、石油などの資源を奪うためだという非難の声が上がる一方で、「トランプ大統領、ありがとう」というメッセージが聞こえる。ベネズエラから米国に逃れた青年は訴える。「マドウロが排除されたことが心の底からうれしい。批判する人たちはベネズエラの実態を知らない。食べ物もなく飢えに苦しんだ私たちの状況を知らないのだ」と。

 民主主義が定着し、政治が安定し豊かさを当たり前のことと享受する日本の幸せをかみしめながらベネズエラの行く末を見詰めようと思う。学ぶべきことは多いのだ。南米大陸はアメリカの裏庭とされるがアメリカの横暴を許してはならない。世界情勢が一体化する中で南米の状況は私たちの生活にも大きく関わっているからだ。

◇前橋市長選は複雑で予断を許さない状況らしい。全国に恥を晒した前市長の不倫問題に対する審判は前橋市だけの問題ではない。民主主義の根幹に関わる重大事である。いよいよ中盤戦に入るが世論調査では投票先未定が4割を占める。審判の結果によって、勝てば官軍で不倫問題やウソもうやむやになってしまう恐れすらある。私のブログを読む人に訴えたい。享楽に流される中で私たちに求められることは意識の改革である。「政治はきれいごとではない」という声が聞こえてくるが現在の流れの先にある大きな危険は社会を破滅に導く現実なのだ。前橋市民には心の芯があるのか、見識があるのかという声が聞こえてくる。(読者に感謝)

|

2026年1月 7日 (水)

「前橋市長選の大義とは。老いた恩師の丸山支援に感動。アメリカのベネズエラ攻撃の衝撃」

◇5日、前橋市長選が告示された。前橋市は、まさかの出来事によって日本中の注目を集めることになった。市長選の意義は測り難い程大きい。百歳を超える恩師と毎日のようにメールのやりとりをしているが、このところもっぱら市長選のことである。恩師大館光子先生には少年の頃大いに助けられた。先生は絶望の淵から見上げる光明であった。「光明」は現在の救いがたい世相を嘆いておられる。この老いた教育者は熱い丸山支持である。告示前のメールは次のようであった。「私も出入りの方、ヘルパーさんたちなどにチラシを見てもらい支援の輪を広げていただけるように頼んでいます」と。そして告示後には次のようなメールが。「投票済ませました。家族に面倒をかけて。でもほっとしました」と。頭が下がる。私は次にいように返した。「ありがとうございます。勝利に一歩近づきました」。今日、7日の上毛新聞は序盤情報として「小川氏、丸山氏競る」、投票先未定4割と報じている。古来、戦いには大義が要る。今回、未曾有の戦いの大義は民主主義を救うことである。政治の基本は「信」である。ウソをつく候補者に大義を掲げる資格はない。昨夜6時過ぎ、いつものコースを走ると闇の中、「丸山を」と訴える声が響いていた。丸山氏は、私の「ふるさと塾」で地に落ちた前橋市の信頼を回復すると訴えた。告示と共に多くのふるさと塾のメンバーから「頑張っています」の声が届いている。昨夜、東京の大学時代の仲間から励ましの声があった。「上州の真のかかあ天下の意地を示せ」と。真のかかあ天下は見境なく男に身を任せるようなことはしない」。

◇新年早々、国際状況は大きな波乱で荒れている。アメリカがベネズエラに大規模な攻撃を加えマドウロ大統領とその妻は捕らえられ国外へ移送された。マドウロ氏については麻薬に関係した大変な疑惑が指摘されているが、一国の元首を拘束したことに国際法上の正当性が激しく問われている。マドウロ大統領は、ニューヨークの法廷に立った。一国の大統領が連れ去られた末に他国の法廷に立つという極めて異例の裁判である。非情に憐れな姿であったという。マドウロ氏は足かせをされていた。そして「私は米国によって拉致されて捕虜になった」と訴えた。安保理は米国のベネズエラ攻撃を受け緊急会合を開いた。中国やロシアが米国を強く非難しグテーレス事務総長は「国際法が尊重されないことを深く懸念する」と話した。(読者に感謝)

|

2026年1月 6日 (火)

「トランプ大統領のベネズエラ大統領拘束の衝撃。フェンタニルの深刻さ。高市総理がトランプを容認すれば」

◇正月早々天下大乱、世界騒乱の炎が燃える。トランプ大統領は「ベネズエラへの大規模な攻撃を成功裏に実施」と発言。反米のマドウロ大統領とその妻の拘束を発表した。非難の声が世界から上がっている。トランプ大統領は西半球の支配強化を強く目指しているようだ。マドウロ大統領は反米左派で知られる。トランプ大統領がベネズエラを攻撃する理由は同国の麻薬対策である。トランプ政権は昨年9月以降、ベネズエラ近海のカリブ海や東太平洋で「麻薬船」とみなす船舶への攻撃を繰り返してきた。コカインの原料であるコカの生産はコロンビア、ペルー、ボリビアといったアンデス山脈地域に集中。また、アメリカ政権はベネズエラが麻薬密売組織に深く関与しているとして訴追している。現在、日本で深刻な社会問題となっているのはフェンタニルである。フェンタニルは合成麻薬でありその不正使用が深刻な事態を引き起こしているのだ。フェンタニルの効用としてよく知られるのは、ガンの激痛を抑えることである。その効果は衝撃的とされる。麻薬としての効果が大きいため麻薬として違法に使用され、アメリカやカナダでは違法に製造されたフェンタニルの過剰摂取により多くの若者が命を落としている。アメリカでは18歳から49歳までの層における死因のトップが麻薬の過剰摂取であり、その多くにフェンタニルが関与しているとされる。

 ベネズエラを通してもたらされる違法薬物から国民の命と健康を守ることは焦眉の急である。トランプ大統領は麻薬から国民を守ることを理由として大統領夫妻を拘束したがそれに対する日本の対応に関心が集まっている。

◇高市首相とすれば、日米の特別な関係からトランプ支持を表明したいところであろうが、問題は単純ではない。トランプ政権のベネズエラ軍事攻撃を認めればウクライナ侵攻を続けるロシアや東シナ海・南シナ海で海洋侵出を強める中国に「国際法を無視しても構わない」との誤ったメッセージを送ることになりかねないからだ。外務省はこれまで日本は法の支配に基づく立場を主張してきたとして、国際法と日米関係双方の観点から日本の立場をどう表明するかを考えるとする。新年が始まった。様々な難しい状況が交差する年になるだろう。足元をしっかり見詰め自分を見失わない歩みを続ける決意である。想像を超える開闢以来の事態発生を覚悟しよう。(読者に感謝)

|

2026年1月 5日 (月)

「ニューイヤー駅伝に思う情報伝達の歴史。青学大の優勝に見る若者の根性」

◇2026年1月1日がスタートした。天気は晴天である。私たちの新年の心意気と歩調を合わせるように、ニューイヤー駅伝がスタートした。今日の駅伝は1917年、京都から東京まで約500キロを23区間に分け走ったことが始まりである。名前はかつての駅制に由来する。京都三条大橋から上野不忍池までを走った。

 駅伝という言葉の由来は日本書記にもさかのぼることができる。律令時代に唐の「駅馬」や「伝馬」の制にならった情報伝達の仕組みがそれである。古来情報の伝達は一国の運命を左右する重大事であった。それ故に戦国の武将たちは様々な工夫を凝らし心血を注いだのである。「狼煙(のろし)」を用いたのはその例である。狼(おおかみ)の文字が使われるのは、古代中国で狼の翼を燃やすと煙がまっすぐに立ち上ると信じられたことに由来するとされる。戦国時代狼煙を巧みに使った武将は武田信玄であった。それは信玄が広大な領地を支配したからである。広い領地を支配し、敵に備えるには速く情報を的確に伝えることが要であったのだ。情報の速さが勝敗を左右したのである。信玄は迅速な情報伝達のため軍事的ネットワークとして戦略的に利用した。それは馬による伝令よりも遥かに速く情報を伝えることが出来る画期的なシステムであった。昔からよく歌う武田節を思い出す。「ときこと風の如く、侵略すること火の如く、動かざること山の如し」。信玄は領国の主要なポイントに、つまり山城や主要なルートにいくつもの狼煙台を設置した。その伝達の速さは驚異的であった。現代の再現実験によると時速80kmから150kmに達すると言われる。

◇身を刺す寒気の中、現代の若者が死力を尽くす姿に期待した。結果は青山学院大が3年連続9度目の総合優勝を果たした。見ごたえのある戦いぶりであった。絶望的に思えた状況を青学大の黒田朝日選手は異次元の走りでひっくり返した。ガッツポーズでゴールする黒田の表情が輝いていた。従来の区間記録を約2分更新した若者は叫んだ。「もう声を大にして言いたい。僕が真の山の神です」。「山の神」は山の登りの道で真価を発揮した。私も日頃マラソンを意識した生活をしている。「ぐんまマラソン10キロコース」が私の舞台である。昨年はわずか数メートルの差で完走を逸した。しかし全力を出し切った達成感は感無量であった。今年は86歳を迎える。私の胸には新規蒔き直し、そして捲土重来の炎が燃える。1月1日から私なりに走った。102歳まで走ることを宣言した私である。この一歩、この一歩と心で叫びながら大地を踏む。静寂の中の足音は「頑張れ、頑張れ」という大地の励ましの声だ。(読者に感謝)

|

2026年1月 4日 (日)

死の川を越えて 第188回

※土日祝日は、中村紀雄著「死の川を越えて」を連載しています。

 

 さやが驚いて言った。

「学校で何かうれしいことがあったの」

「うん、あったよ。武君がまた、うつるーをやったんだ。そしたらね、隣の市川純子さんが、正太郎君の嫌がることは止めてよって強く言ったんだ。そしたら止めたんだ。女の子なのに市川さんは凄いよ。お母さん、まだあるんだよ」

 正太郎は宝物を出し惜しみするように言った。

「早く聞かせてよ」

「武君が僕の所へ来てね、ごめんなと言って手を伸ばすんだ。握手したんだよ。僕泣いちゃった。僕の顔を見て武君も泣いたんだ。僕たちもう親友だよ」

「よかったねえ、お前」

 さやも涙を拭っている。母の涙を見て、正太郎も込み上げるものを抑えられぬ様子で言った。

「もっと話してやる。このことを知って、萩野先生が、市川さんと武君を皆の前で褒めたんだ。そしたら大きな拍手が起きたよ」

「そうなの。お前、よかったねえ。お前が辛抱したからだよ。お母さん、本当にうれしい」

 母子は抱き合って泣いた。

 この出来事の背景には萩野花子の並々ならぬ努力があった。萩野は校長に相談して動いた。校長は萩野の純粋な決意に感動して任せることにしたのだ。

 萩野は市川巡査を訪ねた。他県のうわさでは巡査がハンセン病の患者を激しく取り締まっているということだ。湯の川と草津は特別の所と聞いているが警察のことは分からない。娘の純子を正太郎の隣に座らせたのは、純子を買ってのことだが軽率だったかもしれない。萩野はいろいろな思いを巡らせながら、警察に出頭する容疑者のような思いで派出署の扉を開いた。

「純子さんの担任の萩野と申します」

「ああ先生ですか、娘がいつもお世話になっています。今日はいったい何の御用ですか」

 市川巡査は笑顔で迎えた。想像していた厳めしい警察官の雰囲気はない。

萩野はひとまず安心して言った。

「下村正太郎君のことで相談に伺いました。湯の川地区から編入した児童です。一部のお母さん方の間に動揺があるようなのです。それに純子さんが大変立派なお子さんなので、正太郎君を隣の席にしました。お父様のご意見も聞かず私の独断で決めました。申し訳なかったと思っております」

「おお、下村正太郎君のことは、よく承知しております。県からも役場からも報告を受けております。大変賢い子で、病気のことも心配ないそうです。それに、湯の川には立派な歴史があることも勉強しております。それを無視してはならないことを肝に銘じています。うちの純子を隣にしたことは純子にとって良い勉強になります。先生の立派なご判断です。全くご心配なさらないでください」

 この言葉を聞いて萩野はすっかり肩の荷が下りた気分になった。さきほどの表情は一変して美しい萩野花子に戻っていた。

 

つづく

 

|

2026年1月 3日 (土)

死の川を越えて 第187回

※土日祝日は、中村紀雄著「死の川を越えて」を連載しています。

 

 自分たちは長いこと世間の冷たい目と差別にさらされてきた。我が子が初めてその社会の現実に直面したのだ。正助は事の重大さを直感してさやに言った。

「子どもの世界のことだと言って、放っておくわけにはいかないよ」

 正太郎は努めて平静を装って言った。

「皆、ただふざけているだけだから、気にしないことだ。強くなるんだよ。この湯の川の人間には、神様の試練が待ち受けているんだ」

「試練て何」

「お前が強く成長するための神様の宿題だよ。お前は以前、県議会へ行って偉い先生の前で立派に答えて褒められたではないか。あれも試練、神様の宿題だったんだ」

 正太郎は黙って考え込んでいるようだ。

 正助は万場老人に相談した。万場老人はしばらく考えていたが、きっぱりと言った。

「正太郎が社会に踏み出した姿じゃな。先生と話し合うがよい。事を荒立てるとかえってまずい。よいか。正太郎が立派な態度を貫くことが一番の説得になることを忘れるでない」

 正助とさやは、萩野花子先生と会った。実は、萩野千志も頭を抱えていたのだ。新住民の一部のお母さんが伝染の不安を訴えたため動揺が広がっているというのだ。正助は言った。

「この問題が起きて、正太郎を改めて聖ルカ病院の医師に診てもらいましたが病気は出ていません。私たち夫婦も同様です。このことをぜひ知ってほしいと思います。正太郎には笑顔で頑張るようにと話しました。本人もその気になってくれました。私たち夫婦は、正太郎と共に耐える覚悟です。私たちはできることなら嵐が大きくならないで通過してくれることを願っています」

 萩野先生はじっと耳を傾けていたが、正助を正視してきっぱりと言った。

「分かりましたわ。正太郎君を守ります。私にとっても教師として最大の試練です。未熟な人生経験の私にとって責任が重すぎますが全力を尽くします。

 そう言ってほほ笑む女性教師の口元に静かな決意が表れていた。それから幾日か過ぎたある日、正太郎が息せき切って駆け込んできた。

つづく

|

2026年1月 2日 (金)

「昨年目にした火の塊は吉兆か凶兆か。近づく浅間の大噴火に備える時。小泉八雲のリビング・ゴッド」

◇2026年、令和8年がスタートした。元旦から穏やかな日が続く。うららかな日差しは平穏な一年に続くのか、それとも突然変化して激動の世相と結び付くのか。昨年12月28日未明に遭遇した不思議な出来事が甦る。生涯忘れ得ぬ珍事として記憶に残ることだろう。午前4時頃だった。頭上に突然大きな炎の塊が現れた。子どもの頃から人だまのことはよく聞かされていたが、それとはまったく異質な現象で太く長い物体であった。思わず「あっ」と大声をあげていた。専門家は科学的な説明を提供することだろう。しかし、私の心に棲む好奇心はそれを望まない。何か私個人と天を結び付ける物語をつくり上げようとしている。吉兆にするか凶兆にするか、持ち前の天の邪鬼も動き出している。ブログに書き、上毛新聞の「ひろば」が取り上げたこともあってかなりの反響があった。

 一年のはじめである。心を覆うもやもやした想念を払いのけ冷静に今年の行く手を考えねばならない。

◇このブログで繰り返してきたことであるが、天変地異が迫っているし、人間界の魑魅魍魎が跋扈している。早朝の浅間山を見た。雪をいただいた冷厳な姿は外国人の目には富士山とも映るに違いない。浅間の惨状はよく日本のポンペイと言われる。ポンペイは西暦79年のベスビオ火山の大噴火により一夜にして廃墟と化した。この時極度の高温で脳は沸騰し頭骨は爆発したという。私は少年の頃、映画「ポンペイ最後の日」を観て火山の恐ろしさに戦慄し、改めて浅間の惨状を見つめなおした記憶がある。新年になり、心の備えとすべき筆頭は浅間の大噴火であろう。鎌原観音堂の惨劇が改めて甦る。「天明の生死を分けた十五段」の標柱は雄弁に当時のドラマを物語る。「主なき人の主になり、妻まき人の妻となり」と、今でも続けられている老人たちの「和讃」の声は時の流れを超えて当時の恐怖を雄弁に語り続けている。

◇昨年は強い地震が多発した年だった。地下で大きな変化が続いているに違いない。巨大地震と不可分の恐怖は津波である。東日本大震災の津波の光景は、この世のものとは思えない凄まじさであった。小泉八雲の「ア・リビング・ゴッド(生ける神)」が甦る。安政元年(1854)、自分の田の稲に火をつけ村民を高台に誘導した濱口梧陵の物語である。新年に当たり、リビング・ゴッドを私たちの胸に甦らせる時である。一人一人がリビング・ゴッドの自覚を持つべきである。(読者に感謝)

|

2026年1月 1日 (木)

死の川を越えて 第186回

※土日祝日は、中村紀雄著「死の川を越えて」を連載しています。

 

 家では、正助とさやが心配していた。

「先生はね、萩野花子先生といって、こずえお姉さんのようにきれいな人だよ。隣の席は市川純子さんで、お父さんは警察官だって。でもね、優しい、いい警察官だってさ」

 正助とさやは正太郎の話を聞きながら教室の風景を想像し、顔を見合わせて頷いた。両親の安心した表情を見て正太郎は得意げに続ける。

「ぼく、指されて答えられたよ」

「へえ、何を聞かれたの」

「うちゅうって字を書ける人と言うんで、ぼく手を挙げたんだ。宇宙のこと、リー先生に教えられて、僕わくわくして聞いたことが役に立ったよ」

「まあ、勇気があったのね」

「ぼくしかいなかったみたいで、指されちゃった。前に出て黒板に書いたら皆が拍手したよ」

「は、は、は。それはよかった。正太郎、よくやったな。早速、万場先生に話さねばならない。実は先生も心配していたのだよ」

 こして、草津小学校の正太郎の生活が始まった。

 しかし、正太郎には思いもよらぬ知れんが待ち受けていた。ある日のこと、学校から帰った正太郎の様子が変である。さやは敏感に察知して尋ねた。

「学校で何かあったの」

 正太郎は答えない。なおも聞くと

「クラスのある子が、こうやってうつるって言って追いかけるんだ。そしたら他の子もまねをして追いかけるんだ。みんな笑ってふざけているんだけど。ぼくは笑えない。悲しくなっちゃった」

 正太郎の説明によると、ある男の子が両手を前に出して、指を曲げ幽霊のように「らいだー」と言いながら追いかけたら、みんながどっと笑い、まねをしてクラスを走り回る者が出たという。

「みんな楽しげだけど、ぼくは泣きたかった。もう学校行くのやだよ」

 正太郎の思い詰めた表情を見て、正助とさやはついに恐れていたことが起きたと思った。

つづく

|

« 2025年12月 | トップページ | 2026年2月 »