「書道界の危機は日本の危機、会員の減少に思うこと。印パの争いと核戦争の危機、そして日本の役割」
◇5月10日は大変な一日であった。群馬県書道協会の通常総会と顕彰祝賀会が行われた。私は協会顧問として大きな関わりを持っている。通常の総会と異なり大きな課題があった。通常総会の議案審議に緊張して耳を傾けた。
最大の課題は会員数の減少。県書道協会は終戦直後に発足し、以後営々と着実な歩みを続け、教育書道展は受賞の子ども達でベイシア文化会館の広い会場があふれる程であった。会を支えているのは無数に存在する書塾である。書塾の指導者は多くが高齢者となり閉鎖の所も出ている。しかし会員数減少の根本は別にあった。文字離れである。世の中至る所スマホだらけである。電車の乗客はほぼ全てスマホとにらめっこである。最近はAIが登場しそれは日々進化し犯罪と結び付き社会と人間は便利な器械に支配されている。
書は伝統の精神文化であり心を支える芸術である。書道界の変化は人間の危機・文明の危機に結び付くと言っても過言ではない。総会資料が語る現実を深刻な思いで受け止めた。丸橋鳴峰会長に代わって齋藤黄庭氏が就任した。私は中曽根弘文先生と共に顧問として留任。総会の満堂を埋める人々の表情はいずれも書道界を支える品格を現していた。
顕彰者祝賀会では来賓を代表して挨拶した。挨拶の中でロボットの異常な進化に触れた。AIと結び付いたロボットに人間が負ける懸念を語ると共に、このロボットも人間の心の奥を表現する書道芸術に代わることは出来ないと強調したかったのである。
◇核戦争の恐怖が迫ったことを痛感した瞬間であった。国境を接するインドとパキスタンは核保有国である。健全な民主主義は核を使用させないための一つの有力な仕組みである。いわゆるシビリアンコントロールが期待できるからだ。インドは選挙で指導者が選ばれ、三権分立が行われる民主主義国である。しかしパキスタンは形は立憲民主主義であるが実質は軍の影響力が強く、本物の民主主義とは遠い。このような国が核を持ち本格戦争に入るところだった。印パの停戦合意の報にほっとした。核を持つ国が追い詰められれば苦境を脱するために使用する恐れは高くなる。現在、トランプ政権の実現もあって核使用を抑える国際環境は悪くなっている。
広島・長崎を乗り越え平和憲法に立脚する日本の役割と使命が格段に大きくなっている。発展途上の国々も日本を信頼していると言われる。今こそ日本の出番である。(読者に感謝)
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