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2025年3月24日 (月)

「あしながおじさんが甦る。ジャーヴィ坊ちゃまとあしながおじさんは同一人物か。捨て子の運命」

◇「今、凄いところを読んでいるよ。怖くて進めない。本当。感動の場面なんだ。俺の心は何歳なんだろう」。深夜、娘に送ったショートメール。誰かに語りかけずにいられない気持ちだった。幾日か前からウェブスター著「あしながおじさん」を読んでいる。遠い昔、英文で読んだことがあった。それは大学の受験勉強の一環だったので魂は入っていなかった。それに人生の多くの経験を重ねたことが主人公を見る視点を変化させていた。孤児院に拾われた捨て子のジュディアボットは16歳の多感な少女になっていた。毎月の第一水曜日は彼女にとって「おそるべき日」。評議委員会の日である。ある評議委員が彼女の文章力に注目し大学へ行かせることになった。条件は月に一度勉強の進行状態や日常生活について報告すること。この人の名前は明かさない。謎の人物である。ジュディは去って行くその人物の影法師をちらと見た。長い足であった。そこで彼女は「あしながおじさん」と呼ぶことにした。恵まれない出身ということに惹かれた。国語が特に優れている点も私の心を揺すった。私の人生の暗黒の日々に一つの光明となったのは国語の女性教師であったことが甦る。

 ジュディは女子大学に進む。全寮制の生活は目も眩む別世界であった。ここでも私は自分の大学時代の寮生活と重ねてしまう。ジュディは豊豪の青年「ジャーヴィ坊ちゃま」と恋に落ちる。ジュディは自分は捨て子であることは言えず、悩みの胸中をあしながおじさんに書き送る。ジャーヴィ坊ちゃまが重病になる。同じ頃あしながおじさんも重病であった。単なる偶然なのか。ある時あしながおじさんから突然の連絡があった。病院で会うというのだ。30分という制限された時間であった。影法師の存在であるあしながおじさんに会えるとはジュディにとって信じ難い人生の大事。ジュディは次のように書き送った。「はい、私は必ず伺います。おじさまに会いに行くことが信じられない気持ちです。(中略)ただ頭だけで考えていましたから、あなたが血のかよった人間でいらっしゃるなんて思えないほどです」

 ジュディの次の手紙は驚くべきものであった。病床の30分に何があったか、それは書かれていない。ジュディの次の手紙が明らかにする筈。ドキドキして待った。息を呑むその手紙。「最愛のジャーヴィ坊ちゃまこと、あしながおじさまこと、スミス氏こと、ペンドルトン様、ゆうべはお休みになれましたか。私はとても眠れませんでした。興奮、そして幸福でした」

(読者に感謝)

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