人生意気に感ず「袴田再審、控訴は断念すべきだ。意外な総裁選の結果」
◇静岡地裁の再審公判につき改めて記す。大方の予想通り無罪判決だった。死刑の再審無罪は戦後5例。今回警察による酷い拷問が認定された。睡眠時間も十分に与えられず衰弱すると医師が注射を打ったり薬を与えたりした。戦前の特高を思わせる拷問が、新憲法下、拷問は絶対に禁ずるという制度下で行われた。検察の控訴に注目が集まる。その期限は10月10日。88歳の袴田さんは逮捕から58年、認識能力も極度に落ち、姉のひで子さんが言うように余命はいくばくもない。検察は意地とか面子で控訴すべきでないことは明らかである。司法の筋を通すために控訴することは有り得るがそれは今回の判決の中味による。検事側は控訴につき判決内容を精査し、適切に対処すると述べた。主人弁護人は検察に控訴を諦めさせるのに十分な判決と評価。
証拠について捏造を明確に認めた点に私はこの弁護人と同じ思いを抱く。検察は裁判開始後に血痕が付いた衣類を提出した。
再審請求の時、弁護側は血痕に残る赤みに着目した。弁護側は再審の実験をした。その結果を踏まえて1年以上味噌に漬ければ赤みは消える。袴田さんのものではないと主張。今回裁判所は前の裁判より明確な形で捏造と断定した。これでも控訴するかと突きつける形である。
袴田さんは47年7ヶ月拘束された。国の誤りが明らかになれば責任を取るのは当然。刑事補償法は無罪が確定した場合の補償を定める。弁護側によれば2億円超になる見通しという。更に弁護側は警察や検察の責任を追及する国家賠償請求控訴も起こす方針とされる。
◇自民総裁選は意外な展開となった。当初憲政史上最年少の小泉氏が最有力と思われていた。その後高市氏が頭角を現し初の女性首相の誕生かと注目されだした。石破氏は党員の間では人気第一ながら議員の支持者は少なく無理と思われていた。高市氏のアキレス腱は靖国神社参拝を主張する点にあった。中国、韓国とうまく行かないだろうという懸念である。派閥が麻生派を除き無くなって総裁選の雰囲気が一変していた。第一回での過半数獲得は無理で上位2人の決戦となることは確実であった。小泉、高市、石破各氏の中で2人である。押し詰まった段階で麻生派が動いた。決戦では一致して高市氏を押すというのだ。60人近くがまとまれば結果は明らかである。私は高市氏に不安を抱いていた。勝敗は意外であった。最後の挑戦と訴えていた石破茂氏が第102代の総裁、つまり事実上の首相である。顔が悪いと人は言うが首相の舞台が顔をつくるに違いない。(読者に感謝)
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