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2024年4月21日 (日)

シベリア強制抑留 望郷の叫び 一六五

 

※土日祝日は中村紀雄著「シベリア強制抑留 望郷の叫び」を連載しています。

 

「現在の私たちは、もはや過去の私たちではない。私たちは民主主義と社会主義の陣営の一部であり、平和の軍隊の戦士である。この神聖な任務のため、日本共産党の指導のもとに最後の血の一滴まで捧げて闘う用意がある」と。

 そして、いよいよ究極の佳境に至る。日本人のプライドも何もない、自虐ということも通り越して、作文の世界に入って言葉に酔っているともとれるのだ。

「私たち日本人捕虜の帰国も最終段階に入ったが、私たちは断じて祖国なつかしとのみ帰るのではない。私たちの人生における最大の感銘に満ちた四年間を、わが再生の宝とし、その懐かしい思い出を変えることなく抱き続け、私たちの聖なる誓いを固く守り、わが人民解放の闘いに必要とあらばわが生命を捧げようとする確固たる決意に燃えて進撃するために帰国するのだ。私たちは戦争の間はかりしれぬ罪悪をソビエト市民にかけた。このことについては限りない自己嫌悪の念に耐えない」と。

 そしてしめくくりの宣言となるが、その文は、そのままここに掲げることにする。

「私たちは、今こそわが日本に帰国したその時は、日本海の波濤遠く、レーニン、スターリンの国を仰ぎみつつ、ソビエトの国の偉大な模範に無限の勇気をくみとりつつ、日本人民の利益のために、全世界勤労者に自由と幸福のために、果敢に、献身的に、闘うでありましょう。社会主義ソビエトの国に過ごした四カ年の思い出は、終生私たちの心を、大なる喜びと感謝をもって充たすでありましょう。そして偉大なる人民、建設者たる人民、真のヒューマニストたる人民についての思い出は、永久に日本勤労者の心のうちに生きるでありましょう」

つづく

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