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2024年4月30日 (火)

人生意気に感ず「国破れて群雄割処。湛山、吉田、鳩山、池田を語る。自民の大敗よ」

◇27日のふるさと塾は前例がないほど盛会であった。疲れを忘れて声に力が入った。声の力は参加者の人数だけではない。テーマの登場人物が私の胸を熱く押したのだ。石橋湛山、吉田茂、鳩山一郎、岸信介、池田勇人などの面々は「千万人といえども吾往かん」の気概をもっていた。会場の人々は益々小粒になって埋没していく政治屋たちの存在に怒りを募らせた。湛山は国民の機嫌とりはしないと叫んだ。吉田の「バカヤロー」の暴言も国民はどこかで許していた。鳩山は日ソ国交回復の一事をもって歴史に一頁を刻むことになった。岸の怪物ぶりは人々を唸らせた。控え目に語ったが一つ一つの行動が戦乱の時代の姿を甦らせた。安保闘争の狂乱の中で東大駒場寮では「岸は敵ながらあっぱれ」という声が多くあった。これは安田講堂占拠に象徴される東大闘争にあって非妥協を貫いた林健太郎に与えられた学生の「林健太郎に敬意」の落書きを思わせる。血風の中を過ぎる涼風の感があった。池田勇人は傍若無人ぶりで知られた。貧乏人は麦を食え、中小企業の一部が犠牲になってもやむを得ないなどと平然と言ってのけた。

 この日、一つのサプライズがあった。吉田松陰の研究で知られる松陰大学の元教授が突然姿を現したのだ。私のブログを読んで日時を知ったというこの人は埼玉県から駆けつけた。この人は私の紹介を受けて私の話をサポートしてくれた。タイムリーで花を添えてくれた。

 長いことウクライナの戦乱を語ってきたが今回思い切って視点を変えた。社会が人をつくる面は否定できないがその社会状況の中で人が歴史をつくっていくことはより重要である。しばらくはこの路線を辿りたいと思う。

◇ふるさと塾の余韻の中で次のテーマの候補が浮かぶ。それはかねて温めていた「井上成美」。山本五十六と共に三国同盟を結ぶことに強く反対した。当時ナチスの快進撃に押されて乗り遅れるなという空気が強かった。敗戦後は亡国の運命を救えなかった反省から徹底した清貧を貫き横須賀のあばら屋で英語を教えて過ごした。この頃、彼のもっていた下着は古いゆかたを裂いて作った数本のフンドシとつぎのあたったパンツ2枚だけだった。ヒトラーやムッソリーニにも触れたいと思う。

◇衆院選はやはり自民が全敗。島根一区までもが。有権者の怒りの爆発だった。島根は接戦かと思ったら意外な大差。政治不信に対する国民の怒りがいかに大きいかを改めて知った。(読者に感謝)

 

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2024年4月29日 (月)

シベリア強制抑留 望郷の叫び 一六八

※土日祝日は中村紀雄著「シベリア強制抑留 望郷の叫び」を連載しています。

 

  • 吊し上げられた人たちの復讐・家族を振り切って共産党の大会へ

 

日本人同士の血で血を洗うような陰湿な争いが「民主運動」の実態であった。密告され大衆の前で吊し上げられ土下座して謝罪させられ、その他さまざまな痛めつけを受けた日本人の、この運動を指導した活動家・アクチーヴに対する恨みは大変なものであった。それをただ祖国へ帰りたい一心で耐えた。

ある帰還船が、ソ連を離れ日本海を一路南下していた。今やソ連へ連れ戻される心配はなくなった。

その時、先ほどから鋭い目付きで一方を見詰めていた一人の男が隣の男に目配せをしながら言った。

「そろそろいいだろう」

「うむ」

 もう一人の男は黙ってうなづくと立ち上がった。二人は、隅の方で膝を抱えてうずくまっている男に近づいた。

「おい俺たちを覚えているだろうな」

「あっ」

 男は怯えたような表情で叫んだ。

「ここは日本海だ。ソ連の力も及ばない所だ。もう一度、そこに経って格好いい演説をやってみろ」

「そうだ、ここでやれないというのなら、貴様はソ連の手先だったことになる。さあ、やってみろ。そして、俺たちを吊し上げて土下座させて見ろ」

 二人の男の目は殺気立っていた。先ほどまで騒がしかった船内は静まり返り皆息をのんで見守っている。

つづく

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2024年4月28日 (日)

シベリア強制抑留 望郷の叫び 一六七

※土日祝日は中村紀雄著「シベリア強制抑留 望郷の叫び」を連載しています。

 

万国勤労者の師父、敬愛するイオシフ・ヴィッサリオーノヴィッチ・スターリン万歳!

 この感謝状の中で重要な点は、最後の宣誓の部分である。この分は日本人が自主的に作った形をとっているが、ソ連の指導の下に、また、ソ連の意をくんで作られたことは間違いない。ナホトカで帰還船に乗るとき、署名しなければ乗せないと、ソ連軍将校に言われたという証言の存在はその間の事情を物語るといえよう。

 ソ連とすれば、日本人が帰国後に感謝状で宣誓した通り共産党を支持する行動をとるかどうかが一番気がかりなことである。だから多くの日本人に秘密の誓約書を書かせた。その内容は、帰国後、ソ連情報機関の指令の下で働くこと、このことは口外しないこと、約束を破った場合はいかなる処罰を受けても異存はない、というものであった。ソ連の恐怖が身にしみている日本人は、約束を破れば、殺されるか、ソ連に送り返されると本当に心配したらしい。

 とにかく、「民主運動」は、洗脳の効果、痛めつけられた者の恨み、「約束」の重圧など、さまざまな負担をソ連の港を離れた後も長く日本人に課すことになった。そして、このことは、帰還船上のトラブル、舞鶴港上陸後の大きな混乱へとつながるのである。

 この文章が書かれたのは昭和二十四年五月である。このころ、日本人収容所のうち短期抑留組の本格的な帰国が行われていた。そして、この帰国は翌昭和二十五年の春で一応完了するが、長期抑留者はこの後も長くシベリアに留まる。「限りなき長寿を」と感謝状で書かれたスターリンは、昭和二十八年三月に死んだ。スターリンの死は、限られた情報しか入らないシベリア中の収容所に瞬く間に広がり、収容されていた人々は、「ヒゲが死んだ」と言って喜んだ。厳しい収容所の環境に変化が起こることを誰もが期待したのである。

 

つづく

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2024年4月27日 (土)

シベリア強制抑留 望郷の叫び 一六六

※土日祝日は中村紀雄著「シベリア強制抑留 望郷の叫び」を連載しています。

 

 この感謝状は、最後に改めて大元師に対して宣誓する。

「敬愛するイオシフ・ヴィッサリオーノヴィッチ!

私たちは、全世界勤労者の愛する天才的教師たるあなたの前に、そして偉大なる社会主義ソビエト同盟の人民の前に、いまここに厳粛なる決意にもえて宣誓せんとするものであります」として、次の四つを誓っている。

  • ソビエト人民と日本人民とのゆるぎなき友誼のために献身的に闘う。そして、私たちがこの目で見かつ学んだソビエトの国の真実を日本のすみずみまで、全日本にひびきわたらせる。
  • アメリカ帝国主義、日本軍国主義のやからどもが、私たちを再び犯罪的奴隷兵士と化することを断じて許さない。そして、解放軍たるソビエト軍に対し、たとえ大地がはりさけるとも二度と武器をとらない。もし再び、帝国主義どもが、日本をソビエトに対する戦争の舞台にしようとするなら、私たちは死をも恐れず決起し帝国主義と闘う。
  • 私たちは、社会主義の事実と平和の事業に、あくまで忠誠をもって守りぬく。
  • 私たちは、この聖なる誓いを我が瞳のごとく、我が魂のごとく守り抜き、断固としてそれを果たしぬく。

そして、スターリン大元師に対して、「全世界勤労者の命であるあなたが、ますます健康に、限りなき長寿を保たれんことを」という言葉を捧げ、最後に次のような万歳と賛美で結ぶのである。

日本共産党万歳!

ソビエト同盟に栄光あれ!

ソビエト軍に栄光あれ!

 

つづく

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2024年4月26日 (金)

人生意気に感ず「麻生とトランプは三流のお笑いコンピ。バカヤロー解散。貧乏人は麦を食え。機嫌取りはしないと湛山」

◇麻生副総裁の訪米に二股外交になるとの懸念が広がっている。国賓待遇で招かれ上下両院合同の議会で見栄を切った直後ではないか。トランプ前大統領はトランプタワーの入口で出迎えた。政府は一議員として行われたと表明するが世間はそうとらないだろう。いやしくも自民党の副総裁であるからだ。「もしトラ」に備えて手を打とうとしたことは明らかである。もしトランプ氏が再選したらと備える気持ちは分かる。しかし、バイデン氏とすれば高い理想を語り合ったことは演出だったのかと肩すかしをくらったと思うだろう。麻生氏の貧相がより軽薄に見える。トランプ氏と並んだ姿は三流のお笑いコンビである。外交には国と国民の運命がかかわっている。目先のソロバン勘定は日本の外交に泥を塗ものだ。なぜ麻生氏を止められなかったか不思議に思う。

◇明日(土)はふるさと塾。石橋湛山の一筋の豪快にしてロマンの感じられる人生を話すがこの人が政界で出会った人物も切り取って花を添えようと思う。吉田茂、鳩山一郎、岸信介、池田勇人などだ。湛山は第一次吉田内閣で大蔵大臣に就いた。国会議員でないにもかかわらず。吉田の“バカヤロー解散”にも触れる。アメリカ一辺倒の答弁をする吉田に「日本の首相として答弁を」と言われ激高したのだ。孫の麻生太郎とは人間の品格が違った。鳩山一郎は日ソ国交回復達成の一事で歴史に名を刻んだ。最期のシベリア抑留者たちが帰国できたのだ。岸はA級戦犯から解放されあっと言う間に政権の頂点に近づいた。妖怪と言われた男は安保条約の改正を成し遂げた。国会を囲むデモは凄まじいの一語だった。駒場寮は運動の拠点であった。多くの学生は「岸は敵ながらあっぱれ」と言っていたと言われる。池田勇人は私の目には不思議に面白く魅力がある。「貧乏人は麦を食えばいい」と言った。京大から大蔵省に入った。東大出が主流の中で出世の表舞台から外れ地方の税務署長などに甘んじた。税を厳しく納めることは国家のためという信念だった。「池田勇人、鬼より怖い、ニッコリ笑って税をとる」と言われた。予算関係で細かい数字を暗記するのは特技と言われた。湛山は池田を蔵相として重用した。池田は東京オリンピックの時の首相であるがガンに侵されていて祭典の終幕と合せるように65歳で世を去った。湛山は首相になって「私は機嫌取りはしない」の信条を貫いた。票のために大衆と妥協しなかったのだ。病に倒れ政権は65日で終わったが、その幕引きは実に潔かった。(読者に感謝)

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2024年4月25日 (木)

人生意気に感ず「高齢一人暮らし迫る大災害。情報こそ命。日本の人口は3千万人に。消えゆく自治体。大谷の快進撃」

◇民生委員の知人が悲鳴をあげている。一人暮らしの高齢者が急増しているのだ。特に夫に先立たれた女性高齢者が多い。救急車の音は止むことがない。厚労省は高齢単身世帯が20%を超えたと発表。このような社会状況に追い打ちをかけるように自然災害が迫っている。高齢者を地域社会がどのように守るかは最大の課題である。

 南海トラフかと思わせる震度の大地震が頻発している。日本列島は地震の巣と言われる。この表現は聞き飽きた感があるがそれにしても最近の状況は異常である。高齢化がかつてなく加速していることを正しく受け止めなくてはならない。

◇情報こそ命。混沌とした不安な社会で高齢者を守るためにも適切な情報が求められ、それをいかに活かすかは焦眉の急である。

 異常気象が常態化している中自然を判断することが難しくなっている。泣いている自然を科学的に冷静に分析しなければならない。各地で頻発する土砂災害に備えるために都道府県に警戒区域が定められているが多くの土砂災害はこの区域外で起きていると言われる。余りの異常に自然が読みづらくなっている。地域住民は逃げられない高齢者を前提に自衛の策を考えねばならない。警戒区域内でいざという時の安全場所を考えておくことが必要である。地域のことは地域の住民が一番良く知っている。昭和22年、私の小学校1年の時のキャサリン台風を思い出す。土砂災害で大きな被害が生じた。災害は忘れた時に来る。しかも必ず。あのキャサリンが未曾有の高齢社会で起きたらと思うとぞっとする。

◇京都大学の森教授は100年後の日本では人口が5千万人から3千万人ぐらいまで減り多くの都市が消滅すると推計し、行政も国民も危機感がないと警鐘を鳴らす。人口戦略会議は24日、消滅可能性がある市町村の一覧を公表した。合せて本県市町村の変化の状況も発表された。県内で減少率が最も低かったのは吉岡町。県内唯一の自立維持可能性ある自治体である。日本が限りなく縮んでいく。

◇暗いニュースの中、大谷の雄姿に救われる。2試合連続のホームランとなる6号を放った。メディアは衝撃の打球と報じた。映像解析が導入されて以降最速の191キロというから驚きである。チーム内も「まるで巡航ミサイルのような弾道」、あるいは「電撃の一打」と賛辞を贈った。口を開けて驚く観客の顔を見て嬉しくなった。大谷は6月が調子がいいというからエンジンがかかり始めたのであろう。(読者に感謝)

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2024年4月24日 (水)

人生意気に感ず「大谷の快進撃は続く。浅川煕信さんの妻の訃報。湛山は機嫌取りをしない」

◇雄姿という表現がこれ程あてはまる男を知らない。大谷翔平旋風が勢いを増している。待望の一発が出て今期5号、メジャー通算176号となった。長身の姿は絵になる。天文学的な契約金で移籍した時、大丈夫なのかと不安に思った。人生、そんなに幸せが続かないのが世の習いだからだ。元通訳の途方もない賭博問題も乗り越えて快進撃は続く。私は大谷と同郷の人と毎日のように会うがこの人は郷土の英雄を誇りにしている。何気なく語る一言から性格のよさが伝わってくる。大谷を悪く言う人はいないと思われる。最高の日米親善大使の役割を期せずして果たしている。未知の領域に達して語る。「素直に嬉しい。もっともっとたくさん打つつもりでいる」と。赤ちゃんの誕生、ハワイに計画中の別荘と世界の話題をさらって進撃は快調に進む。安心して雄姿に声援を送りたい。時に見せる、引き締まった鋭い表情にかつての日本のサムライの姿を重ねる。

◇昨日(23日)、浅川煕信さんの電話に耳を疑った。奥さんが亡くなられたという。何年か前の寒中の水行が甦る。11月28日、落下する滝に打たれた。ふんどしに着替える私を奥さんは細々と手伝ってくれた。あの奥さんがなぜ。人の命はかくもはかないものか。浅川さんが続けておられた講演、「生と死のフォーラム」をサポートする姿が思い出される。あの滝行は私の人生の一大事であった。脳細胞の深くに衝撃が届くことを感じた。以来毎朝洗面器7杯の水行を続けている。苦行僧のような浅川さんは脳の刺激で表情が生き生きすると示唆した。奥さんが「クラシックパンツ」といってふんどしの装着を手伝ってくれた姿が思い出される。ご冥福を祈る。

◇ふるさと塾が迫った。今度の土曜日である。石橋湛山を中心に、吉田茂・岸信介・池田勇人・鳩山一郎など骨太な政治家も登場させる。一つの切り口は「私は国民の機嫌とりはしない」という彼の信条。大衆に迎合する政治姿勢が衆愚政治を生み民主主義を危機に陥れ国を誤らせると考えていた。反骨と闘争の人生だった。小日本を主張し軍部の拡張主義、中国大陸侵出に反対した。太平洋戦争の敗戦は初めから予測したことだった。8月15日の玉音放送を開いて「日本の前途は実に洋々たり」と確信した。吉田首相の下で大蔵大臣に就く。吉田のバカヤロー解散にも触れる。アメリカ一辺倒の答弁を皮肉って「日本の首相として答弁を」と迫られ激高しバカヤローとなった。A級戦犯からあっという間に首相を目指すに至った妖怪岸との関係も話す。(読者に感謝)

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2024年4月23日 (火)

人生意気に感ず「人口減の底無し沼。日本の人口は3千万人に。選挙は大衆迎合に。退職の再雇用」

◇人口減が止まらない。ズブズブと底なし沼に沈んでいくような不気味さ。誰も危機感を抱かないのは茹で蛙を思わせる。未婚・晩婚が進む。子育て環境を工夫するのは政治と行政の役割である。人口が増えている自治体もあることは全国の自治体にその可能性があることを物語る。

 厚労省は都道府県、市区町村別の合計特殊出生率を発表した。本県の出生率は1.38で過去最低。全国で最も高いのは鹿児島県徳之島町。調査結果を分析して活かさねばならない。

◇100年後の日本の人口は江戸時代と同じくらいの3千万人台に減るという衝撃的なシミュレーションがある。京都大学研究所教授の研究結果である。森教授は語る。「人口減少の勢いは凄いが日本はどこか他人事のようなところがある。行政も国民も危機感が足りません」

 100年後、私は遥か昔にこの世を去っている。どんな社会になっているだろうか。南海トラフも、首都直下も、富士山大爆発も通り過ぎているだろう。核戦争で世界の平和は崩れ去っているかも知れない。

◇人口最大の国インドで選挙が始まった。インドが終わると11月5日にいよいよアメリカ大統領選である。選挙は民主主義を支える根幹。その民主主義はかなり怪しい面を持つ。民主主義の危機というべきだ。それは民主主義を標榜するほとんど全ての国で大衆迎合的な経済政策が行われる点に現れている。経済の専門家は選挙にあわせたように財政赤字が拡大されることに警鐘を鳴らす。大衆迎合ととられる例としてトランプ前大統領の選挙向け公約があげられよう。共和党候補者氏名が確定したトランプ氏は企業向け減税を掲げた。バイデン大統領も2025年度の歳出総額を24年度比で4.7%増やす案を打ち出している。いずれも違法か適法かという類の問題ではない。選挙に有利な政策を打ち出すことは政策決定者の裁量の範囲内として政治倫理の問題でもあるが、その当否は有権者の選挙という審判に委ねられる。

◇雇用の形態は大きく変わった。就職して間もないのに退職を決意し、その手続きを請け負う業務が盛んだというから信じ難い。これと違って新しい形として定着しそうなのが退職者再雇用である。かつては裏切り者と見られる感があったが、元職場は新しい経験と視野を身に付けた人材を即戦力として活かせる。再雇用を促すのは人手不足。これも企業が生き残るための知恵だ。退職者が正当に評価される職場は企業を強くし働く人を幸せにすることに繋がるだろう。(読者に感謝)

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2024年4月22日 (月)

人生意気に感ず「岸田首相の米議会演説について語る。国民への説明責任を。首相宇宙を語る」

◇急にミライズクラブで講演することになった。テーマは「岸田総理の米議会演説の真実」。国賓待遇で招かれた首相は11日米議会で演説した。上下両院合同会議での演説は議会演説として最高の位置づけである。全文英語でのスピーチはかなりのインパクトがあったと思われる。何度かスタンディングオベーションが起きたのはそれを物語る。首相は子どもの頃家族で数年間、アメリカで暮らし小学校の3年間はニューヨークの公立小学校で過ごしたと語った。首相はいくつもの課題につき提案し訴えた。

 現在の日本はグローバルパートナーであることを強調した。かつての日本は地域的パートナーだったのだ。グローバルなパートナーとなれば相応の責任が伴う。背景は申告な国際情勢である。中国、ロシア、北朝鮮の動きは日本にとって重大である。アメリカは激しく迫る中国を強く意識している。ここで両国の思惑が一致する。首相はアメリカが世界のリーダーであることを強く求める。そこには内向きとなるアメリカへの懸念がある。トランプ前大統領の姿勢はアメリカナンバーワンを求めるもので、後ろ向きである。バイデン大統領は教書演説で示したように未来の夢を示す。グローバルパートナーにはこの意味が込められている。首相はアメリカのリーダーシップの必要性を強く訴えた。「もしも米国の支援がなかったらウクライナ及びインド太平洋地域はずっと前に厳しい状況になっていただろう」と。一方でアメリカと行動を共にすることには懸念の声も上がっている。米軍と自衛隊が指揮統制の連携強化を実現しようとしている点である。情報も装備も圧倒的に優勢な米軍に巻き込まれ自衛隊が独自性を発揮できなくなることは容易に想像できる。首相は「従来と変わらない」と繰り返すが国民に対する十分な説明が求められる。

◇揚々と帰国した首相を迎える国内の反応は、支持率はやや上がったが冷ややかである。

 アメリカ議会でこんなに歓迎を受けたことはないと語ったことに対し、野党は厳しいコメントを出した。

「それは裏金問題に対してきちんと対応していないからだ」と。米議会での首相発言では宇宙での協力についても語られた。ミライズでアポロ計画に於いても人類が月面に一歩を印したことを振り返った。両国が宇宙への夢を追求することにホッとしたものを感じる。首相は自分のことを理想主義者と語った。バイデン氏も同様である。宇宙の扉を開くことは理想主義者の仕事にふさわしい。宇宙が平和のうちに発展することを祈る。(読者に感謝)

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2024年4月21日 (日)

シベリア強制抑留 望郷の叫び 一六五

 

※土日祝日は中村紀雄著「シベリア強制抑留 望郷の叫び」を連載しています。

 

「現在の私たちは、もはや過去の私たちではない。私たちは民主主義と社会主義の陣営の一部であり、平和の軍隊の戦士である。この神聖な任務のため、日本共産党の指導のもとに最後の血の一滴まで捧げて闘う用意がある」と。

 そして、いよいよ究極の佳境に至る。日本人のプライドも何もない、自虐ということも通り越して、作文の世界に入って言葉に酔っているともとれるのだ。

「私たち日本人捕虜の帰国も最終段階に入ったが、私たちは断じて祖国なつかしとのみ帰るのではない。私たちの人生における最大の感銘に満ちた四年間を、わが再生の宝とし、その懐かしい思い出を変えることなく抱き続け、私たちの聖なる誓いを固く守り、わが人民解放の闘いに必要とあらばわが生命を捧げようとする確固たる決意に燃えて進撃するために帰国するのだ。私たちは戦争の間はかりしれぬ罪悪をソビエト市民にかけた。このことについては限りない自己嫌悪の念に耐えない」と。

 そしてしめくくりの宣言となるが、その文は、そのままここに掲げることにする。

「私たちは、今こそわが日本に帰国したその時は、日本海の波濤遠く、レーニン、スターリンの国を仰ぎみつつ、ソビエトの国の偉大な模範に無限の勇気をくみとりつつ、日本人民の利益のために、全世界勤労者に自由と幸福のために、果敢に、献身的に、闘うでありましょう。社会主義ソビエトの国に過ごした四カ年の思い出は、終生私たちの心を、大なる喜びと感謝をもって充たすでありましょう。そして偉大なる人民、建設者たる人民、真のヒューマニストたる人民についての思い出は、永久に日本勤労者の心のうちに生きるでありましょう」

つづく

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2024年4月20日 (土)

シベリア強制抑留 望郷の叫び 一六四

※土日祝日は中村紀雄著「シベリア強制抑留 望郷の叫び」を連載しています。

 

 毎日体中シラミだらけになるほどの不衛生、死に行く友の手から落ちる一片のパンを奪い合うほどのひもじさ、ノルマに追い立てられ、精も根も尽き果てるほどの過酷な労働等々、現実の収容所生活は生き地獄であった。なぜ、事実と全くかけ離れたこのようなことを感謝文の中に書くのか、その真意が測りかねるが、多くの日本人捕虜が、祖国へ書く手紙に、検閲を意識して、収容所では夢のような生活を送っていると書いたと述べていることからすれば、これがソ連当局の意にかなう方法だと真剣に考え、また、これが帰国を実現させる手段だと信じて書いたのであろう。

 そして、在ソ四年間を次のように総括して振り返るのだ。

「私たちは四年間の自分たちを振り返るとき、みずからの巨大な変化に打たれる。私たちは、日本では到底学び得なかった巨大なものを学びとり、身につけた。だから、社会主義の国で過ごした四カ年は幸運であり、誇りである。日本軍兵士の時は奴隷であったが、ソビエトで解放され、はじめて自由を得た」と。

また、アメリカを厳しく非難し、ソビエトこそ真の友だと叫ぶ。「アメリカ帝国主義は再び戦争をくわだてソビエトに襲いかかろうとしている。日本を戦略基地にして、日本国民を彼らの肉弾とし、彼らの泥靴の下に植民地奴隷にしようとしている。しかし、歴史の歯車を逆転させることはできない。私たち勤労者は命をかけて立ち上がり、彼らの頭蓋骨を一撃のもとに紛砕せんとの決意に燃えている。強力なソビエトこそ民主主義と社会主義の勝利の保証である。あらゆる大国のうち、ソビエトのみが、日本の民主化と非軍国化、日本の勤労者の利益と幸福を守って徹底的に闘っている。ソビエトこそ日本人民の真に頼むべき友なのだ」と。

 このような、アメリカを非難し、ソビエトをたたえつつ。いよいよ、自分たちの決意と誓いの部分に入ってゆく。

つづく

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2024年4月18日 (木)

人生意気に感ず「ヒトラーの最期を観る。独裁者の末路は。震度6弱、すわ南海トラフか」

◇独裁者プーチン大統領の巨大な影がウクライナを押し潰そうとしている。自由主義の陣営はここで中途半端な妥協をすれば明日は我が身という結果を招くだろう。歴史は繰り返すのだ。

 独映画「ヒトラー最期の12日間」を観た。ソ連の猛攻が迫っていた。ベルリンは既に廃墟と化していた。ヒトラーは平静を失い狂乱状態だった。重臣たちが必死に脱出をすすめるがヒトラーは頑なに拒絶。地下要塞の奥も轟音が響き激震が走っていた。愛犬の口を開き毒を飲ませるシーンがあった。それをみながらヒトラーは愛人エバと結婚式をあげる。神父らしき人が「あなたはアーリア系ですか」、「あなたはこの女性を妻と認めますか」と儀式が行われる。ヒトラーはすがる目で腹心の部下に命令した。「私たちの死体を絶対に敵に渡すな」。部下は200リットルのガソリンの調達を図る。自暴自棄になり半狂乱の人々。狭い空間は地獄であった。最後まで忠誠を誓い死を共にしたゲッペル夫妻。夫人は子どもたちに偽って毒を飲ませる。長女は見抜いていて拒絶しようとする。夫人は強く言った。「どうにもならないのよ」。イタリアの独裁者ムッソリーニは既に民衆によって悲惨な最期を遂げていた。それを知ってヒトラーは自分の最期を決めたとも言われる。三国同盟の一角を担った日本にも同様な運命が迫っていた。東条首相は自殺を図ったが果たせず軍事裁判で絞首刑となった。国民を裏切った独裁者の末路は哀れである。ヒトラーの死は1945年4月30日。この年8月、広島と長崎に原爆投下がなされた。日本とドイツは戦後不死鳥のように奇跡の復興を遂げたが共に現在平和国家として試練に直面している。

◇映画を観て改めて思った。ドイツのように優れた文化と歴史をもつ国も一人の狂人によって国民全体がマインドコントロールを受けたような、あるいは催眠術にかかったような状態に陥ってしまうことの不思議さである。ヒトラーの空虚な目にユダヤ人に対するホロコーストはどのように映っていたのか。

◇この原稿を書いている深夜、大地震のニュースを知った。愛媛と高知に震度6弱という。連日の地震のニュースに慣れっこになっているが6弱はただ事ではない。いよいよ来たかの感を強めた。南海トラフかと思わせる地域である。最近の自然界の異常がひと塊になって不安をかき立てるようだ。政府は官邸対策室を設置した。国民が一番求めるものは正確な情報だ。(読者に感謝)

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2024年4月17日 (水)

人生意気に感ず「二大妖怪プーチンとトランプ。陪審員評決の行方。島根一区の行方。金の茶碗事件」

◇今の世界に巨大な妖怪が二人いる。プーチン氏とトランプ氏である。プーチン大統領は政治体制が異なる世界の人物だから別世界の存在の感もある。ところがトランプ氏は日本と最も関係が深い国の前大統領であり、しかも目前の選挙で再選される可能性が高い。熱狂的な支持者と共に奇怪な現象が渦巻いている。

 妖怪性を象徴するのは4つの刑事事件の被告人であることだ。その一つの初公判が始まった。米国史上大統領経験者が法廷で罪に問われるのは前代未聞。元ポルノ女優への口止め料事件である。大統領選で不利になる情報を隠そうとした組織犯罪で民主主義の根幹に関わるものとして重大視されている。有罪無罪は12人の陪審員が決める。映画「怒れる12人の男」を思い出す。ヘンリー・フォンダ主演の12人の陪審員たちの物語である。有罪には全員一致が求められる。11月の大統領選に重大な影響を与えることは必至だけに全世界が固唾を呑む瞬間である。

◇岸田首相が国賓待遇の舞台から帰国した。予想通り、早速行われた世論調査では支持率がわずかに上昇した。前回3月より3.7ポイント上回ったとはいえ依然として20%台の危険水域にある。その中で3つの国政選挙が行われる。国民の怒りの声が爆発するのは必至。裏金事件で国民の怒りと政治不信は限界の状態である。3つの衆院補選で唯一自民が戦うのは島根一区。首相は党役員会で「諸課題への答えを出す実行力を訴える。そのために全力で戦う」と強調。補選の結果は裏金問題と政治不信への審判だ。

◇島根一区に改めて注目する。この補選は細田前衆院議長の死去によるもの。自民党王国と呼ばれてきた。自民党が立てるのは元財務官僚。小渕優子選対委員長も駆けつけている。野党は候補者を一本化し天王山と位置づけ、ここで勝てば岸田政権に大打撃を与えることが出来ると意気込んでいる。相手は女性候補。大きな追い風が吹いている。前橋市長選で小川氏が大勝した光景が思い出される。自民はここで負ければ全敗となる。28日の投開票に全国の目が集まる。

◇世界戦争の危機を背景に金価格が急騰している時である。純金茶碗の窃盗が世間を騒がせている。怪盗ルパンはあっけなくお縄になった。奇怪なのは高島屋の販売価格は1,040万円だったのに業者に180万円で買取られた事実だ。更に転売されていた。科学的追求力を駆使した警察力は凄い。天網恢々疎にして漏らさずという。天網は科学で補強されたのだ。(読者に感謝)

 

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2024年4月16日 (火)

人生意気に感ず「首相演説は続く。もしも米国の支援がなかったら。もしも米国の存在がなかったら」

◇首相演説の続きである。日米両首脳は政治的危機を背景にしている。首相の支持率は最低である。バイデン大統領は目前の選挙でトランプ氏によって足下を脅かされている。岸田首相を国賓待遇で迎える背景には強かな戦略思考も窺えるのだ。わが首相については間もなく世論調査があるだろう。どの程度支持率に変化があるが見物である。

 世間では「もしトラ」が流行っている。もしトランプが再選されたらどうなるかということだ。首相の米議会演説には、トランプとは直接関係ないか「もしも」が繰り返される場面があり面白い。それは米国のリーダーシップの必要性を訴える下りである。「もしも米国の支援がなかったら、モスクワからの猛襲を受けたウクライナの希望はどれほど前についえ去ってしまったことでしょう」、「もしも米国の存在がなかったら、インド太平洋地裁はどれほど前に、より厳しい現実にさいなまれていたことでしょう」と。

 首相が、日本と米国は自由と民主主義という名の宇宙船の仲間と述べたことを記したが実際の宇宙での協力は嬉しい朗報だ。アメリカで進む宇宙計画、アルテミス計画に関して語った。「本日は2名の宇宙飛行士が来ています。星出さん、タニさんご起立いただけますか」首相は二人の宇宙活動を紹介した。星出彰彦氏は国際宇宙ステーションの船長を五ヶ月間務められた。そしてダニエル・タニさんは船外活動を6回経験した日系米国人の元宇宙飛行士。お二人は宇宙に於ける日米協力の象徴的存在です」

 人類は本格的に宇宙時代に入った。人類の未来、人類の夢に日米両国が力を合わせることは人類をリードする日米協力の象徴的姿であるべきだ。首相の議会演説に対し議員のスタンディングオベーションが何度も起きた。

 もし裏金問題の政治不信がなかったら岸田首相の米議会演説を私たちもスタンディングオベーションの心で受け止められたに違いない。残念でならない。

◇アメリカでは大谷選手の元通訳問題に大きな関心が集まっている。米国民には日本が不思議な存在として映っているに違いない。水原元通訳は大谷選手の口座から24億超の金を盗んだとされる。賭博借金の穴埋めといわれる。天文学的な額である。元通訳は司法当局に拘束された。どのような罰を受けるのか。奪われた金は戻るのか。前代未聞の事件に全世界の注目が集まっている。本塁打の進撃を望む。(読者に感謝)

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2024年4月15日 (月)

人生意気に感ず「国賓待遇首相、上下両院で熱く語る。グローバルパートナーだ」

◇岸田首相は、日本時間12日未明、米議会で演説した。上下両院合同会議での演説は故安倍元首相以来二人目。長い演説を英語で行った。しっかりした英語のスピーチを支えた基礎には子どもの頃のニューヨーク生活がある。首相は小学校の最初の3年間、ニューヨークの公立小学校で過ごしたことを語った。演説の導入部でこれを語ったことは議員たちの心を引きつける効果があったに違いない。それは私としても同様で、先を読み進む気持ちを強め同時に首相に関する認識を深めた。

 首相は冒頭で同時に言った。「let me introduce my wife Yuko(私の妻を紹介します)」続いてずばり本題に切り込んだ。「民主主義の代表である皆様の前でこうしてお話できることを大変光栄に存じます」民主主義の意義とそれが抱える課題を語ることは首相が最も強調したい論点の一つであった。自由と民主主義について次のように訴える。「私たちは新たな挑戦に直面しています。それは私たちとは全くことなる価値観や原則を持つ主体からの挑戦です。自由と民主主義は現在世界中で脅威にさらされています」

 首相の発言は次いで自由と民主主義を守るために日米同盟が進化したことを強調する。「日本は米国の最も近い同盟国という枠を超えて視野を広げてきました。日本はかつて米国の地域パートナーでしたが、今やグローバルパートナーとなったのです」

 グローバルパートナー発言には首相の熱い思いいれが窺われるがそれは防衛力強化等と繋がるだけに後に国民に詳しく説明する必要を痛感する。一般論としてはその通りなのだ。首相は更に熱く訴える。「日本国民は米国の最も親しい友達として自由の存続を確かなものにするために米国と共にあります。人権が抑圧された社会、政治的な自己決定権が否定された社会、デジタル技術で毎日が監視下にある社会を私は我々の子どもたちに残したくありません」次の発言は注目すべきものである。「自由と民主主義という名の宇宙船で日本は米国と仲間の船員であることを誇りに思います」、そして「日本は変わりました。第二次世界大戦の荒廃から立ち直った控え目な同盟国から外の世界に目を向け、強くコミットした同盟国へと自らを変革してきました」首相の発言が日本国憲法に触れる点があったなら一層の説得力と格調を示せたと思う。自分が広島出身であること、核兵器のない世界を述べているだけに残念。(読者に感謝)

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2024年4月14日 (日)

シベリア強制抑留 望郷の叫び 一六三

※土日祝日は中村紀雄著「シベリア強制抑留 望郷の叫び」を連載しています。

 

 強盗的日本帝国主義、極東の憲兵、帝国主義野獣どもといった表現を使ったこの部分は、ソ連人になりきって日本を攻撃しているような印象を受ける。

 さらに進んで、次の文は、収容所生活を夢の楽園のように描いており、あきれ返るというよりはむしろこっけいに感じられる。

 即ち次のようなものである。

「私たちの行くシベリアは、荒涼たる氷雪以外何ものもなく恐るべき“酷使”と“死”が待つと言われていたが、実際は並々ならぬ寛大さと人道主義によって迎えられ、あらゆるサービスが完備し夢のようだった。厳正な八時間労働。十分なカロリー計算のもと一点の汚れのない調理場で日本料理風の料理がつくられ食膳をにぎわす。あたたかい寝具と被服、立派な宿舎が保証されあらゆる日用品と嗜好品が販売され、食事、菓子、飲料をも備えたレストランも開設され、下着もまた、毎週清潔なものと交換され、立派な施設をもった入浴場、選択場が設けられている。医療に至っては日本では夢にも見られないもので、幾多の高価な薬品や医療機械が備えられ完治するまでよく見てもらえる。その他、文化教養を高めるための施設や配慮が行き届き毎週ソビエト映画も楽しむことができる」等々、次々と素晴らしいことを並び立て、「このようなことがいかなる資本主義国の捕虜収容所でありえようか、自分たちの生活は、いかにしても捕虜生活と呼ぶことは出来ない、歓びにみち自由にあふれた生活なのだ」と。

 つづく

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2024年4月13日 (土)

シベリア強制抑留 望郷の叫び 一六二

※土日祝日は中村紀雄著「シベリア強制抑留 望郷の叫び」を連載しています。

 

 あなたの配慮のもとに、そしてあなたの教え子、あなたの愛兒であるソビエト軍将兵の指導のもとに、ソビエトの地におくった四カ年の生活こそ、私たちにとって偉大なる民主主義の学校となったのでありました。それは私たちにとって終生忘れえぬ感銘として残るでありましょう」

 ソビエトの地に送った四カ年は、事実は六万人以上が死に、それ以外でも死の瀬戸際まで追い詰められた日本人は無数に存在し、まさに生き地獄の「四カ年」であったが、この文を書いたような「民主運動」のリーダーにとっては、偉大な民主主義の学校であり終生忘れえぬ感銘を与えたのであろう。

 この初めのメッセージに続いて、文は、ソビエト軍こそ日本人を目覚めさせ、日本人を救ったと訴える。

 即ち、日本の勤労者は、「あまりにも長い間、真実と自由の光から二重、三重もの厚き壁によって閉ざされ、地主資本家どもの盲目の奴隷」となってきた。そして、「強盗的日本帝国主義者」は極悪非道の「極東の憲兵」として隣接諸民族を掠奪したが、偉大なるソビエト人民とソビエト軍が「日本の帝国主義野獣ども」を粉砕したので、日本人民の民主勢力も目ざめ、「わが愛する日本共和国」の指導のもとに、いまや、日本の民主化と非軍国化、日本民族の独立のために、米国反動に抗して、献身的闘争を続けているのであり、ソビエトこそ、わが人民を「強盗的戦争」の無益な犠牲と惨苦から救ったのだと。

つづく

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2024年4月12日 (金)

人生意気に感ず「岸田首相の米国国会演説の意味。上信電鉄女児事故の意味」

◇岸田首相は米国でその存在を示す最高の舞台に立っている。バイデン大統領と何を語り、いかなる合意に至るか。これは日本国民にとり最大の関心事。そして現在の国際関係にも大きな影響を与えることである。問題を複雑にしているのは米大統領選が迫っていること。“もしトラ”という言葉が踊っている。もしもトランプ氏が再選されたらという意。政府は懸命に、そして秘かに“もしトラ”に備えて手を打っている。先日麻生氏がトランプ氏との接触を図ったのもその一つ。共同声明にもそれが窺えて興味深い。

◇トランプ氏はアメリカ・ナンバーワンを掲げるがこれはアメリカの目前の利益優先を意味している。だからウクライナへの支援に反対し同盟国対応も個別に行おうとしている。NSATO脱退まで口にする。“もしトラ”になれば大変である。トランプ氏が目先の利益で、あるいは感情的に動くのを防ぐにはどうしたらよいか。一つの対応策は法の支配という普遍的価値に基づく制度を設けること。制度はある意味枠である。これを個人の感情や価値観で動かすのは難しいからだ。日米両首脳の発言にはこのことが窺われる。

◇岸田首相は米上下両院で英語でスピーチした。日本を発つ前、忙しい中練習したと言われるがその成果はあったようだ。立ち上がって拍手する議員たちの姿にほっとする。「日本はかつて米国の地域パートナーだったが今やグローバルなパートナーとなった」、「米国は独りではない。日本は米国と共にある」。そして日本が米国と一緒に自由と民主主義を基調とする国際秩序を守る決意を表明した。

 首相が法の支配の秩序や民主主義の理想を語ることに異議はない。しかしそれが現在の厳しい国際情勢の中で日本の防衛力強化と結びついていることが問題である。首相は米議会で大変な約束を宣言していることになる。帰国して国民に対して十分に説明することが求められる。

◇吉井町の遮断機のない上信電鉄の踏切で女子児童がはねられ死亡した事故は全国に波紋を広げている。国の調査も入った。全国に同様な無人踏切が多くあり、所によっては対策が功を奏している。吉井町の場合、最善を尽くしていたか問われるべきだ。遅きに失する感もあるが山本知事は対策を表明した。74カ所の第4種踏切につき廃止を基本に第1種踏切への転換を目指す。亡くなった女児は誠に気の毒であるがそれがきっかけとなり多くの無人踏切の改革に繋がれば浮かばれるに違いない。ご冥福を祈る。(読者に感謝)

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2024年4月11日 (木)

人生意気に感ず「長江の映画と中国の歴史。美姫は歌った。再び日本人が月面に。国賓待遇の首相」

◇10日、「再会長江」の上映会が終わった。参加者は140人を超えた。司会は日中友好協会の女性が担当。私の挨拶で始まった。「世界の秘境チベットは神秘と謎の存在です。中国の歴史は悠久の大河と共にあります。中国を知るためにこの大河を源流まで巡ることには大きな意義があります。現在世界情勢は大変な時で戦争の危機も迫っています。そこで日本の役割、日中友好の役割は極めて重要です」

 映画に登場するツームさんは女優のように美しい。赤い民族衣装の姿に好奇の視線が。会場から「ピャオリャン(美しい)」の声があがった。

 大河はチベットの一滴から6,300キロを流れて上海に至る。大河は三国志の舞台でもある。流域には古戦場赤壁がある。劉備と孫権の連合軍が曹操を破った所。下口の上海や南京は呉の孫権が支配した。

 映画の後の食事会が楽しかった。ここでのサプライズはツームさんが歌を披露したこと。内気と言われ挨拶も断った彼女である。美姫は声も美しい。歓迎の雰囲気が駆り立てたに違いない、中国奥地の変化は著しい。ツームさんは親が決めた男性と結婚した。最近までチベットでは婚姻の自由はなかったのだ。ツームさんの歌を聴きながら歴史を映して流れる大河を思った。竹内監督は語った。「マスコミは中国を悪く報じるが、ありのままの中国を撮りたかった」と。恐らく流れる大河に語らせるところに真意があったと思われる。ツームさんの美声が春の陽光の中、大河の上を流れていく。私の胸にはそれが日中友好を世界の平和をと響く。

◇岸田首相とバイデン大統領の深夜の記者会見を見た。「グローバルパートナーシップ」と位置づけた。これは台頭著しい中国を念頭に置いたものだ。

 朗報は日本人二人に月面着陸のチャンスが生まれたこと。宇宙時代の扉をアメリカと力を合わせて開くことが嬉しい。1969年のアポロ計画を思い出す。月に人類が足をつけることに日本中が沸きに沸いた。ちょうど娘が生まれた年で名をアポロにしようという声もあった。今回の計画はアルテミス計画。これは月だけに止まらず火星有人探査も視野にある。今回日本は月面を動く探査車の開発に貢献した。二人が月面に行けるのはその「見返り」だという。アメリカ政府のある高官は発言した。「もはやアメリカだけで月面を歩く時代ではない」。この感動を大いに活かさねばならない。(読者に感謝)

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2024年4月10日 (水)

人生意気に感ず「太陽のエネルギー核融合。国賓としての役割。USスチールの行方。長江上映で挨拶」

◇民主主義と非民主主義国家の競争はあらゆる分野で熾烈である。こうと決めたら反対を許さず国が一丸となってことを進めるからだ。夢のエネルギー核融合で中国は国家主導で猛烈な前進を続けている。核融合は超高温で原子核が融合する際途方もないエネルギーを出す。太陽のエネルギーはこれである。核分裂によるエネルギー利用は多くの問題を抱え先が見えない状態にある。正に人類にとって夢のエネルギーなのだ。

 核融合には摂氏1億度を維持させる技術が必要だが中国は既に達成している。膨大な予算と人を一点に集中させる超大国の姿に驚きと不安を禁じ得ない。技術立国にして唯一の原爆被爆国日本はこの夢のエネルギーにもっと必死で取り組まねばならないが国民の関心は薄い。教育の大きな課題でもある。

◇満身創痍の状態で岸田首相が8日アメリカに向った。米国は国賓待遇で迎える。日米同盟がかつてない程重要となっている。一敗地にまみれた日本がよくここまで来たという感を抱く。日本の存亡がかかる程の国際情勢下岸田首相の役割は大きい。議会演説に備えて英語のスピーチにも力を注いだと言われる。真の国賓待遇に応えられるか世界の目が注がれている。

◇日米首脳会談の課題の一つに日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収問題がある。かつて「鉄は国家」と言われ製鉄は日本の国策と共にあった。戦争には第一に鉄が必要だったからだ。平和国家となり日本製鉄の高い技術は今や車社会を支える存在である。米議会にはUSスチールの買収に関し日中の強い継りを理由に反対する声がある。それは当たらないことを岸田首相はきちんと示すべきだ。バイデン大統領が買収に反対を示すことには目前の選挙を意識する姿が窺える。大統領が民間企業の存在に大きく口を出すことは、中国の保護主義を批判することと整合性を欠く。

◇今日10日は群馬県日中友好協会にとり重要な1日に。市内のホテルでの「長江再会」の上映会だ。唯の上映会ではない。世界のインフルエンサーとして旋風を起こしている竹内監督及びチベット族女性が会場に現れる。私は冒頭の挨拶で次のように挨拶する予定。「世界の秘境チベットは神秘と謎の存在です。悠久の中国の歴史は長江と共にあります。源流の一滴を受け止めることは中国の原点の理解に通じます。この企画が真の日中友好を前進させるでしょう」。(読者に感謝)

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2024年4月 9日 (火)

人生意気に感ず「宇宙人と遭遇することの危険性。台湾の地震、植民地時代の橋がタイムスリップして」

◇7日日曜日、コーヒーを飲みながら親しい友人に宇宙人を語った。発端は書斎の小さな古い書物「生命の起源」であった。懐かしい思い出がある。大学に入った年、この書に関し読書会をやった。生物の教授が授業でロシアの科学者オパーリンが実験室で生命の起源となる物質を作ったと語ったことが衝撃を与えた。

 人間のような高度な知的生命が炭素、チッソ、酸素、水素の4元素から発展したことは奇跡であり信じ難いことであった。聖書にあるように人間は神がつくった存在、という考えが漠然とあった。「宇宙人はいるのか」と空想は広がった。宇宙人はSFの空想の存在だったのだ。現在、知的生命との遭遇が現実味を帯びて語られる。コーヒーを啜りながら言った。「生きているうちに突拍子もないことが起きるに違いないよ」。読書会の頃と隔世の感がある。宇宙には地球に似た惑星が某大に存在する。物理の法則に違いない以上地球外知的生命は必ず存在する筈。オパーリンの実験はそれを意味している。私は時の経つのを忘れて興奮気味に語った。話は最近のトランプの置き土産と呼ばれる米議会の出来事にも及んだ。議会の公聴会では元米空軍パイロットの驚くべき証言も飛び出している。「もし宇宙人と出会ったらどうなりますか」。友人は好奇心と期待が入り混じった目で訊ねた。「東大でも講演した車イスのホーキング博士は危険だから接触は避けるべきだと言いました」。物理の法則は普遍的でも心の中は全く異なることも有り得るのだ。人類の倫理観、道徳観が全く通じないことも。かつてコロンブスの新大陸発見により新世界で展開された地獄とは比較にならぬ事態が生じるだろう。新大陸のことは同じ人間という土俵があった。

 現在宇宙に関する知識は脅威的に広がっている。もし進んだ知的生命体がいれば発展途上の地球人に大きな興味を抱いているに違いない。米議会で証言した元米軍パイロットに限らず非常に多くの人々、特に民間のパイロットなどが不思議な物体に遭遇しているらしい。私は危険を承知で進行している事実を知りたい。

◇台湾地震で約300人の孤立が解消された。ドローンの経験豊富なトルコ隊が活躍。捜索現場は余震の落石が続きドローンが大きな役割を。日本植民地時代の頑丈な古い橋が健在で、にわかに利用されることになり話題になっているらしい。90年前の橋をタイムスリップで救済に提供したようだ。植民地支配の謝罪を兼ねているともいえよう。思わず快哉を叫んだ。(読者に感謝)

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2024年4月 8日 (月)

人生意気に感ず「死に神ネタニエフに対するバイデン氏の強硬姿勢。イスラエル大教授の指摘。台湾地震の行方」

◇イスラエルとハマスの戦闘が始まってから7日で半年となる。戦場では極限の惨状が続いている。ネタニエフ・イスラエル首相の顔が死に神に見えてきた。イスラエルに対する国際社会の強い批判が上がっている。ユダヤに対する最大の後ろ盾米国の擁護が困難になり、バイデン大統領は米国の政策変更の可能性を示した。バイデン氏は電話会談で「政策転換がなければイスラエルを支援できなくなる」と強調した。イスラエル側には米国のこの厳しい態度に驚きが広がったと言われる。

 イスラエルの無慈悲な攻撃に晒されるガザの人々は絶望の淵に墜とされ、人々は「これ以上イスラエルは何を望むのか」と悲鳴をあげている。先に攻撃を仕掛けたのはハマスでありイスラエルは自衛権を主張する。しかし自衛の範囲を超えているのは火を見るより明らかである。

◇ネタニヤフ首相はハマスの攻撃を「ホロコーストだ」として利用しようとしている。ホロコーストはナチスのユダヤ人大量殺戮のこと。その生き残りの人々は復讐をせず新しい世代に憎悪を残さないことを決意した。現在のネタニヤフ首相の戦いは憎悪と復讐に燃えている姿に見える。イスラエルのベングリオン大名誉教授ヤブロンカ氏は次のように指摘する。「復讐から始めた戦争は成功できない。イスラエルはホロコーストから逃れたユダヤ人が子どもを安心して育てられる安全地帯として建国された」と。古来、戦争には大義が必要であった。ましてはイスラエルの建国は歴史的に見て大変無理があった。二千年も昔に神が建国を約束したという思想は、そこに長く生きてきたパレスチナ人を追い出して国をつくる理由にはならない。第二次世界大戦後、イギリス、フランス等の国際的謀略もあった。これらのことを考えればヤブロンカ教授の指摘は最低限の大義名文というべきだ。ユダヤ人の身勝手な思想と行動は、それをアメリカが後押しすることと相まって国際秩序を混乱に陥れる元凶になり得るのだ。

◇台湾地震は6日朝72時間が経過した。不明者の生存率が限界に近づく。死者は13人に達し不明者が6名いる。花蓮県知事は「発生から72時間過ぎたが全力で捜索を進めている。連絡がつかない人がいるが我々は希望を捨てていない」と語った。この地震の報道は沖縄の離島の津波報道から始まった。台湾とは目と鼻の先の距離で、日本列島の地震ともいえる。我々の地震と考えて最大限の援助をなすべきである。東日本の時助けられた恩を返さねばならない。(読者に感謝)

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2024年4月 7日 (日)

シベリア強制抑留 望郷の叫び 一六一

※土日祝日は中村紀雄著「シベリア強制抑留 望郷の叫び」を連載しています。

 

 

 「民主運動」の目的は、すでに書いたように、ソ連の指導の下で、日本人の頭の中を親ソに洗脳し、資本主義と闘う闘志に変えることである。教育の効果が上がることで帰国が許されると信じた日本人は、そのために仲間を密告し吊し上げることまでやった。この運動は異常な高まりを見せ、それは正に狂態であった。その間に、帰国を果たせずに多くの仲間はバタバタと死んでいった。そして、やっと帰国が許される寸前まできた。今こそ、「民主運動」の成果を最大限アピールしなければならない。人々は、目前の帰国を確実に実現するためには、どんなことでもしなければならないと考えていた。このような状況で書かれたものが、この「感謝状」である。

つづく

 この感謝状は、一九四一年(昭和二四年)五月から八月にわたり、ハバロフスク、沿岸両地方の日本人捕虜大集会で審議採択されたもので、六万四千四百三十四人が署名したと添え書きされている。

 以下この文の主要部を紹介する。

 文の表題は「ソビエト諸民族の偉大なる指導者・全世界勤労者の師父にして日本人の裁量の友、スターリン大元師へ」となっており、書き出しは「敬愛するイオシフ・ヴィッサリオーノヴィッチ」で始まる。スターリンというのは、通称であり、鉄の男を意味する。イオシフ(またはヨシフ)・ヴィッサリオーノヴィッチ・ジュガシヴィリが「大元師」の正式な名前である。

 次は冒頭の全文である。

「旧日本軍捕虜である私たちは、人類の最大の天才、全世界勤労者の導きの星であるあなたに、そしてあなたを通じソヴィエト政府ならびにソヴィエト人民に、医大なるソヴィエトの國が私たちに与えられた光と喜びに対し、私たちの心からの感謝とあつき感激をこめてこの手紙をおくります。

つづく

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2024年4月 6日 (土)

シベリア強制抑留 望郷の叫び 一六〇

※土日祝日は中村紀雄著「シベリア強制抑留 望郷の叫び」を連載しています。

 

 今日、ボランティアの時代といわれるが、ようやく芽が出てきた社会貢献の流れを本物のより質の高いものに育てるために、私たちは、このような精神文化を自覚して守り育てることが大切である。このことが、国際化時代において、日本人のオリジナリティを確立する上で必要なことと思う。そして、「シベリアのサムライ」が見せた心意気を今日の私たちの心の糧として正しく受け止めることが、シベリアの強制収容所で苦しんだ日本人に報いる私たちの務めでもある。

 

 第6章 スターリン大元師への感謝状

 

一「ソビエト軍が日本人を奴隷から解放した」

 

 シベリアの収容所で展開された「民主運動」の象徴とも言えるものが「スターリン大元師への感謝状」である。私は、これをハバロフスクの国立古文書館で入手することができた。

 女性館長のエフドキーモヴァは、日本人に渡すのは初めてですと言って、三四ページからなるコピーを持ち出し許可証明書とともに私に手渡した。この感謝状は、岩槻康雄の『シベリア捕虜収容所』によれば、日本人として持ち帰ったものは誰もいないという。この点は、恐らくその通りであろう。なぜなら、この種の文書は帰国に際し持ち出すことが厳禁されたということの他に、このような内容のものを持ち出す気になる日本人は特別の意図を持つ者であろうし、それも大きな危険を冒してまでとなると更に考えにくくなるからだ。それほどに文章の内容は、一読して唖然とするものである。それは、ソ連を理想の国として最大限褒め上げ、日本軍のことを極悪非道の極東の憲兵と決めつけ、強盗とか野獣といった表現で非難する。まさに自虐的な文章が大半を占めるが、最後の日本共産党に入って闘い抜く等の誓いの部分に書かれていることは、絵空事ではなく、深刻な意味を持つといえる。

つづく

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2024年4月 5日 (金)

人生意気に感ず「大谷の快音に思う。自民党の処分は茶番劇か。モンスター選挙年とバイデンの一般教書演説につき公務員に語る」

◇本当に久しぶりの快音だった。大谷の1号である。バッターボックスに立つ表現に悲壮感が窺える。ドジャーズに移籍し公式戦が始まり、大谷だけにホームランが出ない。1人の野球選手の一発にこれ程執着する自分がおかしかった。信じ難い契約金のプレッシャーに耐えて世界中の期待に応えられるのかという興味があった。驚くべき様々な話題がタイミングよく重なった。第一は結婚である。いかにもお似合いの長身の美人は世にも稀な幸運児に天が与えたプレゼントに思えた。世の中は沸きに沸いた。そんな良いことばかり続かないぞと誰もが思う。その時起きたのが専属通訳の賭博にからむ疑惑である。一歩間違えば刑事事件の共犯にもなりかねない。人の良い純情無垢な大谷が巧妙な罠にはまることは有り得ると思えた。正にそんな時の快音であった。総立ちのスタンドに応えて走る姿は実に格好良い。その一打は真剣勝負で打ち下ろすサムライの一刀に思えた。スランプから抜け出した幸運児の進撃が続くことを祈るばかりだ。

◇自民党国会議員の処分が発表された。39人の対象者の顔が並ぶ。離党勧告、党員資格停止、党の役職停止から戒告までである。前代未聞のことだ。党内には不満などの不協和音が渦巻いているらしい。岸田首相及び二階氏が処分されないことに対する不満の声も聞こえてくる。野党からは「自民党内の党内抗争だ」、「処分の重さが恣意的でぐちゃぐちゃだ」といった声が聞こえる。

 一番の問題は国民の受け止め方である。今回の事件の核心は国民に対する政治不信である。国会は国権の最高機関である。それを支える国会議員に対する信頼が地に落ちた。天下大乱、内憂外患の時に国会が機能不全に陥っている。自民党は立ち上がれるのか。解党的再出発は出来るのか。それは主権者たる国民の審判を仰ぐより他にない。

◇昨日、ある公務員の来訪を受けた。定期的に私の話を聞きに来る。民間との繋がりを重視するもので意義あること。私はモンスター選挙年について熱く語った。世界は混乱と沸騰の中になる。プーチン、トランプの怪物ぶりに全世界が振り回されている感がある。私はバイデン大統領の一般教書演説の意義を語った。

 10日のイベント「長江再会」が迫った。人々はチベット奥地の長江の原点の一滴をどう受け止めるであろうか。激動中国の本物の姿は最奥地にある。中国の原点を見極めたいと思う。(読者に感謝)

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2024年4月 4日 (木)

人生意気に感ず「静岡県知事の不適切発言。弾劾裁判所が動いた。司法権は人権の砦。台湾巨大地震の怪」

◇川勝静岡県知事が「不適切発言」で突然辞意を表明。新規採用職員に対する訓示の箇所が問題とされた。「県庁はシンクタンク。野菜を売ったり牛の世話をしたり、物を売ったりということとは違って、皆様は頭脳・知性の高い方です」と語った。県には「農業や畜産に携わる人々の知性が低いと言うのか」という内容の抗議が430件寄せられたという。ものをはっきり言う知事らしい。これまでの度々発言の箇所が問題とされていた。

 静岡市長を「キミ」呼ばわりしたり、「県議会にはヤクザやゴロツキもいる」、「男の子はお母さんに育てられる」といった発言だ。4期目ということから多くの支持者がいる筈。今回の発言も自分の本意が別にあるなら掘り下げた議論を尽くすべきだったのでは。75歳というが言論の場でのエネルギーが尽きたのか。

◇裁判官が弾劾裁判で罷免されるという事態に驚いた。司法権の独立は憲法で強く保障されている。弾劾裁判はその例外で、弾劾裁判所は衆参両院の議員が裁判官となって構成される。裁判官訴追委員は衆参両議院の各10人から成り、今回の罷免理由は裁判官弾劾法が定める「裁判官としての威信を著しく失う非行」があったためとされる。岡口裁判官は被告の人権を傷付ける表現をツィッター等で行ったと言われる。憲法で保障される表現の自由を逸脱するというもの。裁判官側の弁護人が強く抗議する姿が印象的である。司法権の独立は国民の人権の砦。今回国会議員たちはその職責を全うできたのか知りたい。

◇沖縄の島々の強い地震は台湾大地震の一部であった。台湾東部花蓮県を中心とする大地震はマグニチュード7.7で死者は9人に達し、巨大な建造物が傾き山崩れの土煙が天を覆う。台湾が日本の西端と指呼の間にあることを考えればこの地震は日本列島の地震に他ならない。最近列島各地に起きている地震状況は異常である。私たちはいよいよその時が近づいたと覚悟を固めねばならない。首都直下、南海トラフ等が連動して動く可能性が指摘されている。阿鼻叫喚の地獄が迫っている。この時に至って船頭役の国政は機能不全だ。国民は地域行政と力を合わせて備えねばならない。地方自治の真価が問われる時なのだ。

◇10日の長江源流からのドラマを描いた「再会長江」の上映会が迫る。出演するチベット族女性ツムさんがロイヤルホテルに現れる。チベットは天空の秘境。本物の中国は奥地にある。源流の一滴は何を語るか。カトリック教会の神父も参加。チベットは宗教の地でもある。(読者に感謝)

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2024年4月 3日 (水)

人生意気に感ず「健大の勝利を県民のものに、その動きが。国会に人物はいないのか。愛子さまが女帝になれば」

◇上毛新聞のひろば欄の投稿で私は主張した。「健大の勝利を健大だけのものにしてはならない」と。ナインの凱旋に沸き立っているがこの感激を県民の財産にしなければならない。軽佻浮薄に流れる世論の中でずしりと存在感を示した若者たちの姿であった。早速県と高崎市の動きがあった。

 県は県民栄誉章授与の検討を始め、高崎市は市文化スポーツ特別賞の授与を決定した。県民栄誉賞は社会に明るい希望と活力を与えるのに顕著な功績があった個人や団体に与えられる。健大の快挙は正にこれに当たる。高崎市の賞もスポーツ分野で大きな成果を上げ、市の名声を高めた個人、団体に与えられる。苦難の道で若者たちを指導した監督が思いを語った。「23年前テニスコートで発足させ、練習を始めたことを思うと涙が出る」。

 お祭り騒ぎに巻き込まれないで欲しい。心を鬼にして夏に備えるべきだ。

◇軽佻浮薄な世相と言ったがそれを象徴するのが国会の現状だろう。「国権の最高機関」の規定が泣く。派閥の裏金事件を巡り39人を処分して幕引きを計ろうとしている。私の周りから処分の在り方につき強い批判の声が上がっている。それは岸田首相及び二階元幹事長の処分を見送った点に集中する。二階氏の老いて逃げる姿には哀れさと悲しさを感じる。党の総裁でもある岸田首相が処分の対象にならないのは筋が通らない。最低の支持率の回復及び政治不信からの脱却はとうてい望めないと思う。

 今の日本は内憂外患の国難の中にある。その深刻度は歴史を振り返っても珍しい程だ。この嵐を乗り切るには強いリーダーが求められる。ところがしっかりした政治哲学と強い決断力を備えた政治家が全く見当たらないのは惨めなことだ。絶望の波が覆っている。解決策はないのか。政治の主人公は国民である。国民が政治に対し憤りを持つことが原点だと思う。私たちは自分の利害に関わる小さなことには目の色を変えて怒りをぶつけるが大きなことには諦めて怒ることをしない。そのつけが今回ってきたことを知らなければならない。

◇両陛下の長女愛子さまは日赤に就職される。この方が国民の前で発言される様子を何度か見たが非常に聡明であることが伝わってくる。笑顔の美しさに長い皇室の歴史を感じる。この人が天皇になれば日本の社会は一変すると想像した。全国の女性は生き生きと力を発揮するだろう。皇室典範は皇位は男子が継承するとある。将来の日本を考えれば改正すべきだ。(読者に感謝)

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2024年4月 2日 (火)

人生意気に感ず「長江6,300キロのチベット女性ツムさんと竹内監督がロイヤルホテルに。中国の正体に迫る。健大の勝利に思う」

◇4月である。時の流れの速さは驚くばかり。多くの行事が続くが先ずは10日のチベットとの遭遇。ロイヤルホテルで午後4時半から上映会が行われる。竹内亮監督とチベット人女性ツムさんが会場に訪れる。

 最後の秘境と言われるチベットは謎に包まれ興味は尽きない。チベット高原の一滴から始まる6,300キロの大河長江である。ツムさんは日本に学んでチベットで民宿を営もうとしている。現在日本に来て目も眩む思いでいる。かつて東洋の神秘としてマルコポーロにより紹介された日本には神秘の面影はない。映画の題名は「再会長江」。

 竹内監督は2021年NEWS WEEKの「世界が尊敬する日本人100」に選出された。中国No.1のインフルエンサーと言われる。竹内氏は10年前NHKの番組で長江を撮った時、一つの後悔があった。それはチベット高原にある長江源流の最初の一滴を撮れなかったことだ。最初の一滴は私たちの胸にチベットの神秘を伝えるものになるに違いない。

 私たちが見る激動の中国は西欧化された表面的な中国である。本物の中国は奥地にある。私は数年前貴州省を訪れてその感を強めた。チベットこそ本物中国の極致に違いない。竹内さんは長江沿いの民の一人となり2年をかけて長江6,300キロを走破した。沿岸人々との出会い、悠久の大河と共に変化する現代の中国、そこには中国激動の驚異の正体がある。私の心は既に大河を遡ってチベット高原に迫っている。真の日中の平和を築くためには中国の正体を見なければならない。いつの日かツムさんが営むチベットの民宿に泊まりたいものだ。「再会長江」は第12回中国ドキュメンタリー・アカデミー賞にノミネートされ中国全土で旋風を巻き起こした。ナレーションは中国好きで知られるタレントの小島瑠璃子氏が担当する。当日鑑賞した人々と共に中国への絆と理解が深まることを期待している。

◇1日の地方紙は健大一色。それだけインパクトのある勝利だった。苦難の歴史を支えたのは団結力でその中心に和があったと聞いて胸を熱くした。部訓の「不如人和」を監督と選手が血・肉として戦った結果だった。学校側から10年で甲子園に行けなければ野球はやめると伝えられたという。その期限最後に甲子園出場を果たした。この部訓は為せば成るを示した。健大が達成した金字塔は健大に限らず郷土の人々に勇気と希望を与えた。夏の甲子園での健闘を期待したい。和はサムライの精神に通ずるもの。(読者に感謝)

 

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2024年4月 1日 (月)

人生意気に感ず「健大勝利の意味。キックバックに離党勧告。二階の妖怪ぶり。小林製薬は底なし沼」

◇高崎健大が強豪報徳を下して初優勝を遂げた。コロナのトンネルを抜けたことを象徴するようなスタンドの光景。いつものことであるがスタンドと選手、そして地元が一体となった状況は高校野球の特色である。一回報徳学園が2点を先取したが、その裏ですぐに2点を奪い返し更に1点を追加して逆転した。手に汗握る攻防が続く。両チームとも磨き抜かれた技と体力は拮抗して大差はない筈だ。勝敗を決する要素で大きいのは精神力であろう。野球はチームプレーの競技であるから故人の力の発揮と団体への協力の在り方がカギとなる。個人は最大限自己主張しなければならないが、我の衝突は避けねばチーム力は生み出せない。優勝を成し遂げるチームはこの調和に最大限苦しんだに違いない。健大の主将が精神的な問題でも苦労したことを語っていたが頷ける点である。

 高校野球は、止めどなく弱化していくように思える若者の世界で特異な存在なのか。私学故に実現できることは教育の世界にそしてスポーツの世界に課題を突きつけていると思える。

◇政界のドロドロは高校野球と対照的である。政治不信は極限に迫り国会は機能不全に陥っている。怒れる世論に押されて自民党は安倍派二階派の計40人を近く処分する。安倍派により重い責任を課す方針だ。処分は8段階で2番目に重い離党勧告が言われている。不思議なのは二階元幹事長の処分なしである。先だって行われた次期衆院選不出馬宣言が功を奏したようだ。最も妖怪ぶりを発揮していることを見れば世論が納得するとは思えない。

◇小林製薬が及ぼす健康被害は底なし沼のように不気味に広がっている。そこに引き込まれる人はジワリジワリと増えている。死者は遂に5人となり入院患者は144人に。関連施設に対する捜索が行われている。波紋は台湾にまで広がっている。商取引は国際化が進んでいるから更に発展するのではないか。災いは手を携えてやってくるというが次々に大波が押し寄せる。それに対応すべき存在は政治である筈。まともな政治家はいないのか。この状況で首都直下、富士山爆発、南海トラフ等が襲ったら日本社会は壊滅の渕に立たされるだろう。

◇昨日の暑さは異常だった。前橋は27.4度。正に夏である。冬から夏へとジェットコースターの状況だ。これも天変地異の一環に違いない。海に飛び込む人の姿があった。私は夜半ズボンで走った。体温調整ができない病人や高齢者にとって過酷な状況はどこまで続くのであろうか。(読者に感謝)

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