人生意気に感ず「アルゼンチンの大統領にミレイ氏が当選した。33歳でガン死した聖女エバ。アルゼンチンはイスラエル非難に転じた」
◇過激な主張を繰り返しトランプ大統領に例えられるミレイ氏がアルゼンチンの大統領に当選した。空前ともいえるインフレに苦しむ国民が劇的な変化を求めた結果に違いない。アルゼンチンといえば地球の反対側であるが日本とは関係が深い。2005年、県会議長として同国を訪ねた時のことが甦る。当時の永井特命全権大使は、伝説の聖女エバ・ペロンについて語り、私は鈴木貫太郎について前橋市とアルゼンチンの結び付きを話した。
大使は暗い過去を背負いつつも大統領夫人に登り詰めたエバの壮絶な人生を説明した。彼女は救貧活動や社会福祉に力を入れ上流階級からは悪魔と恐れられ、下層の人々からは天使と慕われた。1952年33歳でガン死した時、通夜は3日間続いた。エバの人生は戦後の苦しかった日本と重なる。食糧難の日本に大量の小麦粉などを援助してくれた。私たちの車が大統領宮廷の前を通る時ガイドは「あのバルコニーからエバはよく演説しました」と話した。私は大使の話を思い出し胸を熱くした。
私は県人会の人々とも会った。彼らは信じ難いインフレと物価高を語った。「この国の人は自国の通貨を全く信用しません。貯金をしてもインフレ政策で価値がなくなってしまいます」。この度当選したミレイ氏が通貨の米ドル化や中央銀行の廃止を主張していることを聞いたとき県人会の人の話を思い出した。
私は大使に日本を終戦に導いた鈴木貫太郎が前橋市の桃井小学校の出身であること、日露戦争に際しアルゼンチンから購入した戦艦を日本に導いたことを話した。当時アルゼンチンはチリと戦争の危機にあり、それに備えて最新の戦艦2隻をイタリアに発注した。戦争の危機が去ってこれを日本は購入し鈴木は日本に導いた。2隻は「日進」「春日」として日露戦争で貢献したのである。
◇移民を通じ中東とも深い関係をもつ南米がイスラエルに強く反発していることに注目する。そこで、南米最多のユダヤ系移民が暮らすアルゼンチンの動向が気になる。約40万人のユダヤ人が住み、その関係からイスラエルのガザ侵攻を直接に非難することを避けてきた。そのアルゼンチンが変化したのだ。「国際人道法違反、民間人保護違反はいかなる理由があっても正当化できない」とイスラエルを強く非難した。この姿勢はアメリカ非難に通じるものであり、アルゼンチンの新大統領ミレイ氏にも引き継がれていくに違いない。今度のふるさと塾で触れようと思う。(読者に感謝)
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