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2020年6月30日 (火)

人生意気に感ず「アメリカ南部の惨状・第二波が。像の破壊と差別。香港・民主主義の危機」

 

 

◇コロナ襲来の現実は引いては押し寄せる大波のようだ。感染者及び死者の数で主位の座を維持しているアメリカに於いて、第二波の巨大な大波が押し寄せている。南部の州の感染が凄い。早期の経済再建に踏み切ったことと深く関わっているに違いない。そしてこの勢いは西部諸州に及んでいる。

 

 テキサス州の25日の新規感染者は過去最多の約6,400人である。アリゾナ州、アラバマ州も過去最多となっている。これらの状況は何を物語るのか。経済再建との綱引きといえる。コロナの対策を有効に進めつつ経済再建に踏み切らないとこういうことになる。パンをくれと空腹を訴える子供に親は毅然とした対応を示さねばならない。テキサス州の知事は再建への踏み切りが早すぎたことを悔いて「過去に戻ることができればバーの再開を遅らせたい」と語った。

 

 テキサス州といえば数々の西部劇の舞台である。先日、映画アラモを観た。数年前はヒューストンを訪れた。躍動する広大な大地が今コロナ戦の舞台となっている。

 

 私は「ふるさと塾」で、人種差別はコロナ戦で大きなマイナス要素であることを訴えた。コロナ対策で最も重要なことは力を合わせ助け合うことだが人種差別はそれに逆行するからだ。しかし、このことと現在アメリカばかりでなく欧州でも行われている「像」の破壊は別である。アメリカでは先日もルーズベルト元大統領の記念像が倒された。トランプ大統領は「歴史を消し去る行為」、「偉大な国に対する不法行為に厳罰を」と訴えている。この点は、過去の歴史的事実を尊重する意味で共感を覚える。大衆は時に感情に動かされパニックに陥る。中国の文化革命で多くの記念碑が破壊されたことと重ねてしまう。大衆のパニック状況はコロナの思うつぼである。一時的な感情は差別と偏見の温床である。

 

◇香港の反体制活動に対する取り締まりが格段に厳しくなろうとしている。国家安全法制度導入が異常な急ピッチで進められている。香港の一国二制度、香港住民の高度な自治と自由が脅かされている。行政長官が本国から派遣される顧問のあやつり人形にされる。香港で公職に就く人は中国政府に忠誠を宣誓しなければならなくなる。中国に反抗する者を中国大陸に連行できるようになる。中国はコロナの渦の中で敢えて強行姿勢を貫こうとしている。(読者に感謝)

 

 

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2020年6月29日 (月)

人生意気に感ず「ふるさと塾は盛会だった。命の選別の問題、第二波に備えて。グローバリゼーションの課題」

 

 

◇27日(土)は久しぶりの「ふるさと塾」で、私も聴講者も熱が入った。テーマは「コロナウイルスと感染症の歴史」。コロナウイルスにいかに関心が高いかを示す光景であった。開会にあたり塾生代表の金井さんが「今日はタイムリーな話です」と語った。歴史を語ることを主目的とするこの塾とすれば、今回のテーマは正にこの塾が取り上げるにふさわしい。金井さんの挨拶はこのことを指している。私は1918年に世界を襲ったスペインかぜを引き合いに話を進めた。当時、第一次世界大戦の末期で、ウイルスは戦争という地球的な人の動きと共に広がった。今回のコロナウイルスはグローバリゼーションの流れの中で瞬時に地球を襲った。人・物・情報があっという間に、そしてウイルスも。

 

◇私の話は武漢市の女性医師が昨年末原因不明のウイルス情報を仲間に発信したことから始めた。同市の海鮮市場から多くの人が高熱を出しているという話が伝わっていた。この女性医師は病院幹部から「肺炎・ウイルスのことは話すな、自分の旦那にも」と厳しく譴責された。女性医師はあの時危機感をもって受け止め対応していたらこんなことにはと悔やんだ。その後、武漢市発のコロナウイルスはグローバリゼーションの波に乗ってあっという間に世界に及んだ。感染者総数1,000万人超の責任は中国にあると、中国は現在世界から非難されている。壮大な世界戦略「一帯一路」も中国は信用できないという状況で行き詰まっている。

 

◇私の話は「命の選別」・トリアージにも及んだ。医療崩壊が起きたスペインの惨状は地獄だった。感染者が爆発的に増え、対応する医療が限られていれば何が起きるか明らかだ。優先と後回しが生じる。助かる見込みの薄い人は後回しにされることが現実に多くあったらしい。世界中で「命の選別」のルールは出来ていない。私が小説「死の川を越えて」で訴えた「生きるに値しない命」という冷たい現実がコロナ戦の中で生じる恐れが出た。このことは日本も考えなければならない現実である。

 

 私が声を大きく訴えたのはコロナ対策で最重要なことは助け合いということである。隣人を愛せよである。これは自分のまわりの小さな社会でも、地球的規模に於いても当てはまる。米中の対立はまことに醜い。トランプの醜態は末期的である。私たちの身の回りでは差別と偏見が絶えない。第二波にどう備えるか。私の話は回復者400数十万人の抗体利用に及んだ。(読者に感謝)

 

 

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2020年6月28日 (日)

小説「死の川を越えて」第244回

 法学士水野は文面を食い入るように見つめ、読み終わると腕を組んで目を閉じた。本妙寺のハンセンの集落のこと、湯川に来て以来の様々な出来事、特に重監房の出来事に思いを馳せると、これらのことが熊本の訴訟の舞台に流れ込んでいく不思議さを感じるのであった。

 水野は副島の手紙のことを正助たちに話した。その中には木霊勇二もいた。正助が言った。

「とうとう始まったのですね。絶対隔離のところでは重監房のことも追及するのでしょうね。国は被告としてどんな言い訳をするのでしょう」

 水野が応えた。

「国を相手に裁判することはよくあることだが、私たちに直接関わることで国と対決するなんて凄いことです。身震いする思いです。国は強(したた)かです。簡単に落城させるわけにはいかんでしょう」

 これを聞いて木霊が憤然と顔を上げて言った。

「絶対に勝たねばならん。もし負けたら、長い間日本中で人間以下に扱われてきた数限りない人たち、患者に限らず関わりのある人々が浮かばれない。やはり、彼らは人間ではなかったということになるだろう。差別や偏見が息を吹き返し、勢いづくことになる。それからこの裁判の重大性から熊本地裁だけに任せるのはよくない。日本の首都東京で訴えを起こすことの意義は限りなく大きい。この研究と準備を始めねばならぬ」

「その通りですぞ。その上に更に大きな意味があるのです」

 水野は普段見せたことのない険しい表情で言った。そして、人々が驚くのを見ながら続ける。

「その上にです。聖戦と言って国民を戦争に駆り立てた、そして、私たちを聖戦を汚す国辱として収容した国の行為が正しかったことになる。更にだ、これは最も重大ですぞ。正に晴天の霹靂とも言うべき、新憲法のことです。基本的人権を高く掲げ、人間の平等を謳った憲法は絵に描いた餅だということになる。こんなことは絶対に許されませんぞ。新しい国家の存立の基礎を台無しにすることです。国を相手にしたこの裁判にはこのような大きな意味があることを私たちは噛み締めねばならぬ。しかも、私たちはその裁判の主人公だということを自覚しなければならぬ」

 水野の発する一語一語は、その場でこれを聞く者の胸を熱く揺り動かすのであった。

※土日祝日は中村紀雄著・小説「死の川を越えて」を連載しています。

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2020年6月27日 (土)

小説「死の川を越えて」第243回

 

 水野は早速副島に手紙を書いた。それは次のような内容だった。

「国を相手どって、国の隔離政策の違憲性を追及することが実際に始まったとは正に晴天の霹靂(へきれき)と驚いています。故万場先生は死の床で、人権闘争をやるべし、それは国を相手どった裁判のことだ、国は憲法違反を犯した、そして裁判は人間を回復するための闘いだと申しました。熊本の裁判は正に万場先生が言い遺したことだと思います。是非裁判の流れを知らせて下さい。この裁判は、きっと私たちも巻き込んだものになる予感が致します。私は湯川で貴重な体験をしました。それは、重ねて言いますが国の世話になっている、そして社会に迷惑をかけていることから国に言いたいことも言えない奴隷の心になっていたことです。そして、気付いたのは人権という人類の財産をハンセンの患者が形にして国家に示し、国の誤りを正す、それには人類の発展に貢献する偉大な意味があるということです。熊本地裁で始まろうとすることは正に人権を形にして国の誤りを正す事業に違いありません。こう思うと私はわくわくして草津の山奥にじっとしていられない思いです」

 しばらくして、副島から早くも返信があった。

「先生のお手紙から大きな勇気を頂きました。ハンセンの患者さんが国の誤りを正すことは社会への大きな貢献になるという点、誠に同感です。先ず、裁判の出発点とその目的をお知らせします。記録の閲覧制度を利用して熊本地裁から資料を取り寄せました。原告はハンセン病患者、又は元患者の人々で、被告は国です。事件名は「らい予防法違憲・国家賠償請求事件」です。「請求の趣旨」、つまりこの裁判で何を求めるかは次の通りです。「被告は各原告に対しそれぞれ金1億1500万円及びこれに対する本訴状送達の翌日から支払済みまで年5分の金員を支払え。訴訟費用は被告の負担とする」次いで「請求の原因」、つまりこの判決を求める理由と説明です。要約すれば、国は長い間、強制収容と終身隔離の政策を続け、その中で断種など甚だしい人権侵害を行った。それに対する国の責任を認め損害を賠償せよというもの。

これらについて、国とハンセンの患者は、口頭弁論でどのような攻防を展開するのか、僕は今からドキドキハラハラです。

 そちらへお邪魔した時の、皆さんが重監房にカツオブシを差し入れ、中の人はそれをかじって生き延びた話が頭にこびりついています。その人々が、この地の熊本の人々だったことも忘れられません。この裁判が熊本と草津という二つの地域と不思議に結びついていることにも改めて驚いております。いずれ、栗生園の方々も裁判に関わることになるのでしょうか。どうか、先生、昔の九州帝大の生徒を宜しく御指導願います」

 

※土日祝日は中村紀雄著・小説「死の川を越えて」を連載しています。

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2020年6月26日 (金)

人生意気に感ず「佐野市市長と会う。生命誕生の朗報。感染900万人、回復者450人、回復者の抗体を活かす」

 

 

◇昨日(25日)栃木県佐野市役所に岡部市長を訪ねた。佐野は田中正造が生まれ、そして生涯を閉じた地。現在、「田中正造」を毎日新聞に連載中だが、この不毛の時代に、そして政治不信と文明の破壊が末期的状況の下で、百年前の不思議な人物を甦らせねばならない。

 

 この目的を実現させるために既に連載した部分を小冊子にして無償配布することを始めた。この動きに田中の本家たる佐野市の市長に一翼を担ってもらうことが訪問の目的であった。主旨は手紙で伝えてあった。人の出会いというものは不思議である。肝胆相照らすものを感じ短時間で深い話ができた。私より若いと思わせる風貌だが、二つ年上と分かり驚いた。「辛酸佳境に入る」と大書した田中正造の書の前でツーショットの記念写真を撮った。市庁舎を出て佐野市郷土博物館を訪ねると早くも市長から話が届いていて温かい対応を受けた。ここには田中正造の直訴状が展示されている。27日(土)掲載の文には直訴状の写真が添えられる予定である。

 

◇この日帰宅するとポストに意外な葉書があるではないか。その文面に思わず快哉の声をあげた。「やったぁ」。「本日13時20分に2,906gの女の子が産まれました。大きな産声に驚かされました。心の糧ができました」とある。その声が私の耳に響き、K君の喜びの顔が浮かぶ。人類史的な危機の中の生命の神秘である。コロナの暗雲を吹き飛ばす一条の光明である。この女の子の未来には何が待ち受けるのか。産声は一家に限りない勇気と希望を生んだに違いない。今日、日本の最大の危機は少子化である。東日本大震災に始まった災害の時代はこれからが本番。コロナは勇気を失った人間の心をあざ笑うように猛威をふるっている。K君の家族に心からの祝福を送りたい。今、日本人に求められるものは真の勇気であり未知なるものに挑戦する心だ。三人の笑顔に会える日が待ち遠しい。K君、Sさんの創作たる女児はきっと美人に育つだろう。

 

◇コロナの世界の感染者は900万人を、その中の回復者は450万人を超えた。回復者の体内には抗体がある。この抗体を活用する研究が武田薬品などで行われている。抗体、つまり免疫力を患者に使うのである。第二の大波が近づいている。それに備える「高度免疫製剤」。薬やワクチンが確立するまでの対策である。人類の英知がコロナを倒す日は近い。(読者に感謝)

 

 

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2020年6月25日 (木)

人生意気に感ず「県女大で役員会とコロナ。佐野市役所へ。ふるさと未来塾は歴史的なものに」

 

 

◇昨日(24日)県立女子大で群馬県公立大学法人の理事会及び経営審議会が行われた。女子大と健康科学大学が一つの法人となった。一法人の下で二つの大学の運営が行われている(一法人二大学制)。私は経営審議会の委員である。今回の会議はコロナ禍の下での特別なもの。多くの審議事項の中でコロナへの対応に私は大きな関心を抱き発言した。教育とコロナに関しては盛んに報じられ私は強い関心を持っていたが、特に大学について今回の会議で初めてその実態を知った。今回、コロナ後の教育環境がどう変化していくかについても示唆を得たのである。

 

◇コロナ下で授業が休業になり対面授業が困難になったため遠隔授業が行われることになった。欧米の大学は豊富な経験があるので速やかにオンラインでの授業が可能となった。これに対して日本の大学ではデジタル化やICT化の遅れがあぶり出された。このことはコロナ後の授業にも影響を及ぼすだろう。デジタル化・ICT化が大きく進められるに違いないからだ。

 

 私は、コロナ対策の点で1918年のスペインかぜに学ぶべきことを発言した。今回のウイルスはそれと同様に長く続き第二波第三波が必至である。今後の教育は感染防止策のもとで組み立てていかねばならない。大学は教育界をリードする役割を担う。だから大学の職員や学生はコロナ禍の下で学んだこと、経験したことを活かさねばならないのだ。私はコロナで学んだことを今後必ず来る巨大地震などにも活かさねばならないと発言した。

 

◇今日(25日)は早朝出発し栃木県佐野市役所に行く。田中正造のことで岡部市長と会う予定である。過日、「田中正造を学ぶ会」ができ、山本前橋市長、須藤館林市長、奈良ザスパ社長が役員に就いたが、本家である佐野市の市長にも協力願おうということになったためである。毎日新聞の連載は快調に進んでいる。既に連載した分を小冊子にして無償配布しているがこれを是非続けたい。「学ぶ会」の目的の一つは浄財の寄付を呼びかけること。表紙の絵は上毛新聞社の岡田氏が担当している。

 

◇コロナ禍の下での「ふるさと未来塾」が今週の土曜に迫った。オーバーになるが私の胸では歴史的な授業。感染症の歴史と南米などの地獄的惨状、グローバリゼーションへの反省なども語り、ワクチン開発に関しビル・ゲイツも登場させる。感染対策も準備した。(読者に感謝)

 

 

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2020年6月24日 (水)

人生意気に感ず「グローバル化とコロナ。藤田三四郎さんのこと。北の大地の便り。北海道新聞で田中正造が」

 

 

◇「グローバル化」の世界の状況をコロナは痛い程あぶりだしている。この言葉は図らずもコロナによって現代社会を語る不可欠の手段となった。人も物も情報も、そして特にコロナも一瞬で世界の隅々に至る。人類とコロナとの戦いは混沌としている。その惨状はまだら模様に見える。世界との対比で見れば日本はひとまず落ち着いたといえる。ここで最も重要なことはこの数ヶ月を検証し第二波第三波に備えることだ。様々な課題が浮き上がった中で差別と人権の問題は特に重要である。

 

92歳でなく待った元ハンセン病患者藤田三四郎さんのことが各紙で大きく取り上げられている。楽泉園の藤田さんの部屋を何度も訪れた。92歳と元ハンセン病ということから人々は勝手にイメージを作り上げる。実際は昔と変わらない熱い血が流れていた。この人を中心に、この人と力を合わせ、人権の碑を完成させた。私は人権の碑建設委員長として藤田さんと会議を重ねた。碑文の中の「私たちは人間の空を取り戻しました。まさに太陽は輝いたのです」は藤田さんの叫びであり、遺言となった。コロナの直前にこの世を去ったこの人の訴えはコロナの惨状と重なり悲痛な響となって広がっている。「人間の空」、「太陽の輝き」は油断すれば直ぐに崩れてしまう。楽泉園では藤田さんの歌碑も出来た。「定位置にルーペとペンと春ごたつ」。歌碑と人権の碑は一つになって藤田さんの悲願を草津の山中から全世界に向けて訴えている。

 

◇私の毎日新聞連載「よみがえる田中正造・死の川に抗して」が静かな反響を生んでいるようだ。鉱毒との闘いは人間の空を取り戻す闘いであった。田中正造の訴えは今日でも生々しい。この人は予言者であった。藤田さんの存在も、長いハンセンの歴史を背景に予言者的である。

 

◇先日、北海道恵庭市のMさんという方から手紙を頂いた。私の田中正造を読んだことが契機だという。この地域は昔、渡良瀬川の鉱毒被害民、谷中村の人々が移り住んだ。今年5月北海道新聞が「公害の原点今も問う」・「平穏な村消滅の悲劇」と題して大きく取り上げた。Mさんはそのコピーを送ってくれた。92歳のこの人の声は若く力強いが最近胆管ガンの4期と宣告された。今まで病気をしたことがなかったという。今日、闘う材料として藤田さんの資料を投函する。北の大地で敢然と闘われることを祈っている。(読者に感謝)

 

 

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2020年6月23日 (火)

人生意気に感ず「スペインのトリアージは他人ごとではない。命の重みを考える時。夜間中学の動きに期待」

 

 

◇コロナ禍で世界の状況は言語に絶するようだ。私たちは人類史のその瞬間を生きている。西欧ではイタリア・スペインが酷い。私はスペインの現実を伝える記事をみて慄然とした。20日現在、その感染者及び死者はそれぞれ24万人、2万人を超えている。驚くべきことは救済の優先順位の問題「トリアージ」である。この国では医療崩壊が起きた。そこで限られた医療では救済しきれない感染者の現実がある。だから誰を優先的に救うかという問題は不可避である。そこには先が短い高齢者や治る見込みが薄い重傷者は後回しという考えも出るだろう。それに対して命の大切さに変わりはない、「生きるに値しない命」などはないという強い反発が当然にある。このコロナ禍の中、世界各地で秘かにあるいは公然と命の差別扱い(トリアージ)が行われているに違いない。

 

◇スペインは大変な状況で、銀行のATMスペースで寝泊まりするホームレス、仕事がなく麻薬売買で暮らす若者、夫が破綻し売春に走る妻等々。そして病院では人口呼吸器が足りずになくなる患者が続出といった現実。医師は「これほど多くの患者が死ぬ現場を見たことがない」、「生きることが可能な患者を多く犠牲にした。治療すれば治る患者なのに優先順位のため死なせてしまったこともある」。このようなルールなきトリアージがスペインだけでなく世界各地で現在も行われているに違いない。これは決して私たち日本人にとっても他人事ではない。

 

 日本のある医療の研究会は人口呼吸器の配布に関する提言を作成した。簡単にいえば人口呼吸器が必要な人が三人いるのに2台しかない場合を想定するのだ。救命の可能性が低い人のを外して可能性が高い人にまわすというもの。しかし、人の命はこんな簡単なルールで扱われるべきではない。こんなことが仮に認められれば一人歩きし安楽死を認めることや殺人罪に繋がることになる。このトリアージは極めて深く重大な問題に繋がっている。コロナの第二波第三波に備え、またコロナ以外でもこれから予想される巨大災害に関しても問題になることである。深く議論し法整備をしなければならない。このトリアージの問題もコロナが私たちに促した警告に違いない。

 

◇本県で夜間中学校設置の動きが高まった。教育は生きる力を養う。社会が高度になる程、夜間中学の存在は大。夜間高校の経験をもつ私はそれを痛感する。(読者に感謝)

 

 

 

 

 

 

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2020年6月22日 (月)

人生意気に感ず「奴隷解放の日の意味。風と共に去りぬを観た。ニューヨークの収束宣言。南米スラム街の地獄」

 

 

◇黒人差別に対する抗議が渦巻く中でアメリカは「奴隷解放の日」を迎えた。それは南北戦争で南軍が陥落した1865年のこと。テキサス州で最後の奴隷が解放された日である。155年前の南北戦争にタイムスリップした感がある。私たちは南北戦争といえば小学生の頃からリンカーンの名と共に教えられてきた。5年間に亘る凄絶な戦いで62万人もの死者を出した。この戦いの中でリンカーンによる奴隷解放宣言が出された。これによりアメリカは分裂を回避し再出発した。正に産みの苦しみを味わった戦いであった。コロンブスの新大陸発見に続いて始まった奴隷貿易は数百年に及び南北アメリカに定着し、当時の社会構造を成していた。解放宣言は正に人類史の上の金字塔であった。南部の都市は徹底的に破壊された。

 

 その様を描いた映画「風と共に去りぬ」を昨日観た。娘の夫が父の日のプレゼントとして持参した。何度か観た映画であるが時代の変化と私の中の変化を踏まえると新しい発見がいくつもあり胸を踊らせた。この映画が現在の黒人差別抗議の嵐の中で人種差別を描いた面があるとして配信が止められたという。そのことも頭の片隅においてみたが、歴史の事実を学ぶ材料でもあり配信停止の必要はないと思った。

 

 アメリカは今後現在も、コロナ感染者は世界最大である。感染者は211万人を超え、死者は12万人に近づいている。日本では「三密」を叫んで成果を上げたがアメリカの現状は三密に逆行している感がある。

 

◇アメリカの惨状は南北戦争に次ぐものだ。それでもピークは峠を越したと言われる。最も深刻なニューヨークのクオモ知事は19日第一波収束を宣言した。その記者会見で「私たちは不可能を可能にした。死のウイルスを撃退した」と述べた。また、その中で1700人を超えた死者が120人前後に減少したとも明らかにした。アメリカが今後どのようにして第二波に対応し、コロナ後どのような変化を見せるかに私は大きな関心を寄せる。最大のコロナ対策は世界が力を合わせること。人種差別はその最大の妨げの一つだ。それを乗り超え世界の指導者の地位を得ることが出来るであろうか。

 

WHOは「世界は危険な新段階にある」との認識を示した。中南米、アフリカなどの爆発的状況を捉えているのだ。ブラジル、ペルーの貧民街を私は訪れたが地獄の状況が目に浮かぶ。(読者に感謝)

 

 

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2020年6月21日 (日)

小説「死の川を越えて」第242回

 水野は正助と木霊を呼んで裁判のことを話すと、正助は意外なことを口にした。

「先生、前に先生の部屋で酒を酌み交わした時のことを思い出します。あの時、俺がもし本当に九州帝大の学生だとしたら、先生は一番大切なこととして何を話すか教えて下さいと訊きました」

「ああ、あの時は心地よく酔って久しぶりにゼミの気分に浸って大言壮語しました。実に懐かしい。私の耳にあのごうごうという湯の川が甦りますぞ」

 それを聞いて正助は続けた。

「あの時のことを俺はよく覚えています。先生は、ハンセンの患者は国に面倒を見てもらっている、そして社会に迷惑をかけていることで卑屈な奴隷の心になっていて、国に対して言いたいことも言えないと申されました。しかしそれは間違っている、国の誤りを正すことは世のためなのだと申されました」

「おお、よく覚えていますな。申しましたぞ。私は自分が間違っていることに気づき、君に初めてそれを打ち明けた。人権という人類の財産を私たち患者が形にして見せることで国の誤りを正すことは社会の進歩と人類の発展に貢献する偉大なことだと申しました。その後、新憲法が生まれ基本的人権が高く掲げられて、私は自分のこの考えに一層の確信を持ちました」

 じっと聞いていた木霊が口を開いた。

「素晴らしい話です。先生、その人権を形にして国の誤りを正すことが今熊本で始まろうとしている裁判だと思います」

「その通りですぞ木霊君、正助君。私はまだこの裁判の実態を知らないが、正助君が今言ったことは恐らく裁判を支える一つの柱となるに違いない。教え子の副島君にもこれは話さねばならぬ。万場先生の遺言が動き出したように思えますね」

 

※土日祝日は中村紀雄著・小説「死の川を越えて」を連載しています。

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2020年6月20日 (土)

小説「死の川を越えて」第241回

 水野は、手紙の写しを副島に送ることにした。副島は熊本県庁を退職し、OBとして県の福祉行政に携わっていた。

 副島は水野の手紙を見て感激し情報を求めて動いた。そこで弁護士会が水野の手紙を弁護士たちに知らせたことにより波紋が広がり始めたことを知った。副島達は弁護士界で目に見えぬ動きが生じつつあるのを感じた。

 

第十一章 人間回復の闘い

 

  1. 副島悟郎の手紙

 ある日、副島悟郎の手紙が届いた。副島の手紙に水野は何か感じるものがあった。そこには驚くべき文字が躍っていた。

「先生、天地を揺り動かすような出来事です。ハンセン病患者が国を相手に熊本地裁に訴えを起こしました。国の隔離政策が憲法に違反しているということを主張しています。先生の手紙が弁護士たちに影響を与えたことが大きいと私は信じます。私は熊本県庁入庁以来ハンセン病対策に関わってきたことから、訴訟の行方に注目するよう命じられました。弁護団の動きからも並々ならぬものを感じます。原告の動きがどう発展するのか私には分かりません。地元熊本県の菊地恵楓園の中には、国に面倒を見てもらっていながら国と争うのか、そっとしておいてもらいたいのに訴訟によって秘密があばかれることになるのは恐い、こんな空気も強く感じられます。これから時々裁判の状況をお知らせしますので、先生の御意見をお聞かせ下さい」

 法学士水野は、うーむと唸って目を閉じた。九州帝大で人権について講義していた情景が目に浮かぶ。あれから時代は劇的に変化した。その波に自分も翻弄された。ハンセンの患者となって草津の湯の沢に入り患者の人々と共に生きて人権の問題を肌で感じた。太平洋戦争に突入し敗戦し、天から与えられるように新憲法が制定された。新憲法は、全ての人に人権を保障すると高らかに謳っているのに、ハンセンの患者には大きな変化が生じないことに水野は失望感を抱いていた。副島の手紙を見て、先ず水野は万場軍兵衛の最期の言葉を思い出した。万場老人は人権闘争をせよ、それは国を相手どった裁判だ、国は憲法違反を犯した、これを正すことは人間を回復するための闘いだと言った。あの一語一語が水野の胸に今甦るのであった。万場軍兵衛の遺言を生かしたい一心で、熊本弁護士会に手紙を書いたが、あれが効果を生んだのであろうか。水野はこう思って胸をときめかせた。水野の胸にもう一つの光景が浮かんだ。草津駅の乗車拒否に対して半鐘の音の下で小学生のように隊列を組んで反対を叫んだことだ。副島が言う国を相手の裁判は、あの乗車拒否反対運動の発展した姿に思えるのだった。

 

※土日祝日は中村紀雄著・小説「死の川を越えて」を連載しています。

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2020年6月19日 (金)

人生意気に感ず「コロナ下の国会の役割。孫子の兵法。日本が誇りを取り戻す時。新薬シクレソニド」

 

 

◇コロナによる歴史的国難の中で17日通常国会は閉幕した。コロナは未だ終息しない。「国会は国権の最高機関」である(憲法41条)。この最重要な機関の役割は国民の生命、幸せを守ることだ。今、国民の生命、幸せがコロナにより危機に晒されている。通常国会はコロナ国会であった。コロナの猛威が続いているのだから閉幕したらその役割を果たせない。会期延長の要請の声があがるのは当然であったが否決された。第二波第三波が予想される中で国民は不安に駆られ迷っている。この不安に応えることこそ国の義務である。それは第一にコロナ後の社会はこうなるということを国民に分かりやすく語ることである。

 

◇敵を知りおのれを知らば百戦危うからず。これは孫子の兵法の有名な言葉であるが時を超えて通用する戦いの真理である。今、敵を知ることとはコロナの現状とその力を正しくつかむことだ。世界のコロナの感染者は800万人を超え、日本のそれは17千人を超えた。これが敵であるコロナの実態を知る手がかりである。世界の中で日本の現状は奇跡的と見られている。これを支えるものは日本人の国民性と日本の文化である。従ってコロナ後は日本の文化と日本人の国民性が評価され日本は存在感を増すに違いない。日本人が誇りを取り戻す時が来たと私は信じる。

 

◇アメリカが最悪の状態にあり、中国も正体が暴露されたと世界から非難されている。コロナの広がりを妨げたのに情報を隠したためである。日本は政治的にも安定しブレない姿が世界から評価されている。座標軸がしっかりしているからだ。それは人間尊重の日本国憲法であることを知るべきだ。

 

 日本の力は薬の開発でも発揮を始めた。これまで進めてきた産学官の連携が試練の時を迎えている。

 

 新型コロナウイルスの治療薬として「シクレソニド」に関する朗報が伝えられている。群馬パース大学は群大との共同研究の成果としてシクレソニドがウイルスの増殖を抑える仕組みを解明した。この薬はコロナの軽・中等症患者を中心に臨床現場で使用が始まっている。この薬は副作用が少ないと言われる。この薬の研究が更なる新薬開発に繋がることが期待される。コロナ後の世界に向けて静かで確かな胎動が始まっていることを感じる。

 

◇日本は東日本大震災を災害の時代の序幕として迎え、次の巨大災害の足音が近づく中でコロナの来襲を迎えた。歴史の大転換点の瞬間を生きている。(読者に感謝)

 

 

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2020年6月18日 (木)

人生意気に感ず「河井夫妻の選挙違反、ふるさと塾再開とコロナ。主治医による健康チェック」

 

 

◇金まみれの自民党の選挙が白日の下に晒されている。昨年7月の参院選にからむ買収容疑である。河井案里氏の初当選にからむ事件だ。約2000万円超の金が地元議員や首長らに提供され、これらの人の大半は現金の提供を認めている。検察当局は河井夫妻が案里氏の参院選での票のとりまとめで金を配ったと見て取り調べをしている。夫の克行氏と妻の案里氏が自ら現金を手渡したことが明らかになってきた。驚いたことがある。それは、河井夫妻が選挙で金を配ることに罪の意識を感じていないらしいことだ。昔の村の選挙ではなく国会議員の選挙で、民主主義の根幹が理解されていないことは不思議でもある。日本の選挙はアメリカの選挙と対照的である。公職選挙法は金で選挙を汚すことに厳格である。選挙の理想は違反の取り調べによって前進してきた。安部政権の威信がまた大きく傷つけられる。国難の時に当たり自民党のたがが大きく緩んでいることが露呈された。コロナ禍で国会の役割は極めて重大である。コロナに立ち向かう国会の力は民主主義の理想にかなうものでなければならない。

 

◇コロナの打撃に屈して中断していた「ふるさと未来塾」が再開となる。昨日、事務員が会場を管理する社会福祉協議会に出向きコロナ対策を打ち合わせた。席と席の間をあける「ソーシャルディスタンス」等を実施する。私の方としても検温器を用意したりして準備を進めている。私の塾を待っている人は多い。コロナ禍の下でコロナを語る歴史的な節目の塾となる。

 

 昨日(17日)、ある参加予定者から話の流れを訊かれてポイントを話した。話はコロナの惨状の現状から始める。日本の感染者が奇跡的に少ないのは日本人の国民性によるところが大である。強制しないで「要請」でうまくいっているのはこの国民性の故である。コロナに立ち向かう上で最大の武器は立場を超えた助け合いである。このことは身の回りから始まって世界の全体についてもいえる。ここから米中の対立を語らねばならない。トランプの「アメリカナンバーワン」、中国の情報隠しをコロナは高い所からあざ笑っているだろう。

 

◇昨日かかりつけ医で健康をチェックしてもらった。コロナ太りで体重が増えていた。体内に科学の光りをあてる。それが語る数字は正直でコロナと戦う第一歩だ。血糖値、中性脂肪値など。コロナに勝って80歳代に入ることの意味を考えた。私の中の田中正造が支えである。(読者に感謝)

 

 

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2020年6月17日 (水)

人生意気に感ず「コロナの重大局面。トランプの健康は。ワクチンに明るい望み。藤田さんの著書届く」

 

 

◇日本のコロナ危機は第二のステージを迎えつつあるようだ。国民の間ではホッとしたムードが広がりつつある。しかし、世界に目を転ずれば恐ろしい事態が各地で進行していることを感じる。相変わらず目が離せないのがアメリカである。全米50州のうち22州で新たな感染者が増加している。

 

 私はトランプ大統領のストレスは極限状態ではないかと想像する。異常な程強気の大統領も14日に74歳の誕生日を迎えた。1期目の大統領では過去最年長である。トランプの心身を揺さぶる要素は余りに多くかつ深刻である。コロナが治まらないことに加え、支持率の急落と中国の状況がこの高齢大統領を追い詰めている。

 

 報道では陸軍士官学校の卒業式で不安定な足取りを見せ、コップの水を飲むのに苦労した。メディアは健康不安を伝えている。

 

◇日本がコロナの重大局面を迎える中で暗中の灯のように期待されるのが薬の開発が進んでいることである。日本とアメリカでワクチンの開発が急速らしい。日本では大阪大学などが7月にも臨床試験を行うというし、アメリカでは14種類のワクチン候補が順調と言われる。ワクチンとは別に抗ウイルス薬に関しても大きな動きがある。「レムデシビル」は申請後わずか3日で特例承認がなされた。正に電光石火、平時では考えられない。「アビガン」についても承認の大幅前倒しが見込まれている。医学や科学の分野でノーベル賞を多く出している日本の力を示す時である。

 

 ワクチンに関して注目されるのは、あのマイクロソフトの創始者ビル・ゲイツの発言と存在感である。彼は「人類はコロナに勝つと信じるが、それは世界の人口の大半が予防接種を受けることが前提だ」と述べる。

 

◇昨日(16日)、藤田三四郎さんの詩文集「風のうた」が届けられた。20冊目の著書である。藤田さんは過酷な運命を生きてコロナの襲来を見詰めるように94歳の人生に幕を下ろした。この人の心を支えたものは文学であったに違いない。改めて文学の真の意味を思う。本書には昭和19年従軍直後にハンセン病と診断され、栗生楽泉園に護送されることになったことが「私の歩んだ道」として描かれている。藤田さんの車両には「らい病者輸送中」の紙がはられていた。人権などは全く考えなかった国家の体質の犠牲であった。歴史は繰り返す。藤田さんの著書はこう訴えているようだ。(読者に感謝)

 

 

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2020年6月16日 (火)

人生意気に感ず「コロナと人種差別と選挙の行方。手を結ぶのに必要なことは人間の平等」

 

 

◇アメリカ史を学んだ者として現在のアメリカの状況は特別に深刻であると感じる。アメリカの危機といえば第一に頭に浮かぶのが南北戦争である。国家分裂の危機の中でリンカーンによる奴隷解放宣言が行われた。現在のアメリカも国民の間で分裂が深刻化している。トランプ大統領の行動は人間の平等を掲げた建国の旗の下で墓穴を掘っているように見えてならない。アメリカ及びトランプが直面している危機はコロナウイルスと人種差別である。アメリカのコロナ感染者は200万人を大きく上回っている。人種差別の問題は白人の警察官が黒人を殺した抗議運動である。抗議の波が全米を超えてヨーロッパに及んでいる。これは人種の問題が普遍的なものであることを物語る。そして、これがコロナ禍の下で発生したことに私は天の配剤というか不思議なものを感じる。コロナの惨状の中で特に苦しんでいる人々は貧しい層である。コロナ対策で最も求められることは人種と立場を超えた助け合いなのに人種差別はそれを妨げている。トランプ氏の政策は、地球的規模で求められる助け合いに逆行するものである。このような動きが目前の大統領戦に向けて流れ込んでいくようだ。

 

◇トランプは平和的抗議運動が広がる中で連邦軍投入を示唆し、火に油を注ぐような批判を浴びた。これは選挙を前にした世論調査の結果に歴然と現れている。岩盤といわれたトランプの支持層率が大きく落ち込んでいる。例えば大学卒でない白人層では3月に66%あった支持率が現在は47%に。これを同様の岩盤と言われるカトリックの白人層では60%から37%に下落した。アメリカ国民は11月の大統領選に於いて建国の精神を胸に描いて健全な選択を示すのではないか。建国宣言は「人は皆神の下で平等」と謳った。この平等の価値観こそ立場を超えて手を握り助け合う前提である。「アメリカナンバーワン」は世界が一つになることの妨げとなっている。世界が一つになることによってワクチンの開発と普及も加速するだろう。

 

◇先日英国で奴隷商人の銅像が撤去されたが、今回は英国の植民地だったニュージーランドで英司令官の像が撤去された。先住民を倒した英雄の像であるが植民地侵略の象徴であった。私は、このような動きはコロナ後の世界を暗示するものだと思う。新たな地平線の出現が楽しみである。(読者に感謝)

 

 

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2020年6月15日 (月)

人生意気に感ず「歓楽街歌舞伎町で客の名簿作成を。中国でも第二波の動き。南米・アフリカの動き」

◇新型コロナウイルスの惨状が治まりつつある。幹線道路が自動車でにわかに賑やかになっている。最近の異常な暑さはコロナを叩く上で強力な援軍になっていると思われる。しかし、この得体の知れない怪物は一呼吸をしているだけかも知れない。体力の快復を待って暴れ出すことが懸念される。第二波第三波は必ず来る。私たちにとって今はそれに備えるために天が与えた貴重な時間に違いない。

◇コロナ被害の数字を見るのが私の日課になっている。アメリカは依然として凄い。日本時間で13日現在、感染者は205万人に迫り、そのうち死者は11万人を超えた。私のノートの記載では3月11日のアメリカの感染者は1,015人・死者31人である。正に爆発的拡大である。現在の番付表の上位にブラジル、ロシア、インドが台頭してきたことが注目される。アフリカ大陸で数字が挙げられているのは南アフリカとエジプトだけであるが、この大陸の文化衛生環境からすれば今後爆発的に増えることは明らかだと思う。それが私たちの世界に波及してくることも明らかである。最近日本アカデミーでアメリカ帰りの教師と話したが、アメリカの医療環境の悪さは空前のものらしい。この教師の話では救急車の世話になると往復で数百万円かかるという。医療状況の悪さがコロナの惨状の一因なのだろう。

◇人口15億人の中国はコロナを押え込んだと言われているが、今新たな動きが出ている。北京市最大の卸売市場で従業員6人の感染者が確認され、その他の市場関係者の46人の無症状感染者が確認されたという。中国の市場は何度も訪れたがその活力は凄まじい。中国人は4つの足のものは机以外何でも食べると言われるように、あらゆるものが売られている。ヘビや蛙までが中国人の胃袋に入っていくのを想像すると恐ろしくなる。

◇巨大都市東京都の感染状況は最も気になることだ。6月に入り二桁の感染者が続き14日には47人が確認された。都の中でも最大の課題を抱えるのが歌舞伎町である。この国最大級の歓楽街のホストクラブ、キャバクラなどが大きな感染者発生源になっている。これらの業種が第二波の発生源になることを防ぐため、客の名簿をつくることを要請することになる。感染経路をつかみ易くするためだ。こういう所へ訪れる客がどれ程協力するであろうか。個人の秘密と関わり、要請に強制力がないことを踏まえると実効性に疑問が湧く。(読者に感謝)

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2020年6月14日 (日)

小説「死の川を越えて」第241回

 水野は、木霊のこの言葉に強く動かされた。水野も同様のことを考えていたからである。

 ある日水野高明は九州弁護士連合会に手紙を書いた。

「私は群馬県の草津栗生園の水野高明と申します。かつて九州帝大の法学部で学生たちに人権を教えておりました。しかし、業病に罹り草津温泉から流れ出る死の川とも称される湯川の辺りのハンセン病の集落で暮らすことになりました。この集落は、患者たちが自治の組織をつくり、税金を納めて前向きに人生を生きる世界にも例のない地域でありました。世を捨てたつもりの私はここに来てかえってハンセンの世界が見えるようになったから世の中は不思議です。そこで私は人権の生きた大学を経験しました。それは得難い経験でした」

 水野の文は続く。

「しかしこの集落も解散を余儀なくされ草津栗生園という療養所に吸収されました。しかし戦争に向かって時代は激しく動き、昭和12年日中戦争となりハンセン病患者に対する抑圧は一層進み、国の隔離政策の厳しさは止まるところを知らず、遂に昭和13年には、この園に何と隔離絶滅政策の象徴・重監房が出来たのです。ここに入れられた熊本本妙寺の人たちを私たちは必死で助けたことがありました。本妙寺集落は私がかつて九州帝大にいたころ調査で度々入ったところです。さて、ハンセンの人たちの世界に生じた晴天の霹靂ともいうべき出来事は新憲法の成立です。国民主権と人間の尊重を掲げ平等の保障、幸福追及の権利、居住移転の自由、苦役と奴隷的拘束の禁止等々が定められました。これは私が昔大学で教えた理想の実現であります。日本国憲法はアメリカの独立革命、フランス革命の嫡流ともいうべきもので人類が長い闘いの中で築いた宝であります。さて、この人類の宝は果たして活かされているのでしょうか。私が筆を握った動機はここにあります。国の絶対隔離政策が新憲法の下で改められていないのは憲法違反ではありませんか。私自身のことを敢えて申し上げねばなりません。それは奴隷の心に犯されていたことです。国辱と言われ、社会に迷惑をかけている、国に面倒を見てもらっているという自虐の心は自らを奴隷にしていたのです」

 

※土日祝日は中村紀雄著・小説「死の川を越えて」を連載しています。

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2020年6月13日 (土)

小説「死の川を越えて」第239回

 水野は、木霊のこの言葉に強く動かされた。水野も同様のことを考えていたからである。

 ある日水野高明は九州弁護士連合会に手紙を書いた。

「私は群馬県の草津栗生園の水野高明と申します。かつて九州帝大の法学部で学生たちに人権を教えておりました。しかし、業病に罹り草津温泉から流れ出る死の川とも称される湯川の辺りのハンセン病の集落で暮らすことになりました。この集落は、患者たちが自治の組織をつくり、税金を納めて前向きに人生を生きる世界にも例のない地域でありました。世を捨てたつもりの私はここに来てかえってハンセンの世界が見えるようになったから世の中は不思議です。そこで私は人権の生きた大学を経験しました。それは得難い経験でした」

 水野の文は続く。

「しかしこの集落も解散を余儀なくされ草津栗生園という療養所に吸収されました。しかし戦争に向かって時代は激しく動き、昭和12年日中戦争となりハンセン病患者に対する抑圧は一層進み、国の隔離政策の厳しさは止まるところを知らず、遂に昭和13年には、この園に何と隔離絶滅政策の象徴・重監房が出来たのです。ここに入れられた熊本本妙寺の人たちを私たちは必死で助けたことがありました。本妙寺集落は私がかつて九州帝大にいたころ調査で度々入ったところです。さて、ハンセンの人たちの世界に生じた晴天の霹靂ともいうべき出来事は新憲法の成立です。国民主権と人間の尊重を掲げ平等の保障、幸福追及の権利、居住移転の自由、苦役と奴隷的拘束の禁止等々が定められました。これは私が昔大学で教えた理想の実現であります。日本国憲法はアメリカの独立革命、フランス革命の嫡流ともいうべきもので人類が長い闘いの中で築いた宝であります。さて、この人類の宝は果たして活かされているのでしょうか。私が筆を握った動機はここにあります。国の絶対隔離政策が新憲法の下で改められていないのは憲法違反ではありませんか。私自身のことを敢えて申し上げねばなりません。それは奴隷の心に犯されていたことです。国辱と言われ、社会に迷惑をかけている、国に面倒を見てもらっているという自虐の心は自らを奴隷にしていたのです」

 

※土日祝日は中村紀雄著・小説「死の川を越えて」を連載しています。

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2020年6月12日 (金)

人生意気に感ず「性犯罪とGPS装置。コロナと世界。アメリカの衰退と中国の行方。日本の可能性は大」

◇遂にここまでの感がある。GPS装置の義務化の検討が始まった。性犯罪は同じ人によって繰り返される。それは人間の深い所に原因が潜んでいるのかも知れない。小さな子が犠牲になる。GPS装置はアメリカで既に実現されている。人権侵害の大きな可能性がある。子供など弱者を守るためにきれい事を言っていられない。相反する要請のせめぎ合いである。

 法律は常に後追いである。性犯罪に関する社会的実態は私たちの想像を超えて凄まじい。少女の裸が動画で流れる。容易に撮らせることは不思議で、私の想像力を遥かに超えるがそれが現実だとすれば私たちはそれを踏まえて個人と社会を守らねばならない。

 対策強化のポイントは、性犯罪保釈中の人にGPS装置の義務化、わいせつ行為で教員免許失効した人の再取得の厳格化などだ。

◇国会でコロナに関し論戦が行われている。コロナの戦いは身近な問題として、また同時にグローバルな視点で論じなければならない。地球の上でダイナミックな動きが果てしなく展開され、それが私たちに波及して止まない。

 地球の舞台で勝ち組と負け組がはっきりしてきた。観客席からは様々な声が上がる。際だっているのは勝ち組の代表が中国で負け組のそれはアメリカというものだ。アメリカの悲惨な状況は享楽の世界が断末魔を迎えている感を与える。コロナ後の世界を想像する時、アメリカの衰退と中国の発展は避けられない。これが大方の見方だが、私はアメリカはやがて立ち直ると見る。アメリカが抱える矛盾は同時に強みでもある。これから、南米・インド・アフリカで爆発的に感染が広がるだろう。アメリカの底力は民主主義の歴史であるがもう一つワクチンの開発で世界に先駆けている点だ。

◇昨日(11日)、日本アカデミーで大連の女性とネットで会話した。私の顔も向こうにリアルに届いている。民間の技術がここまで進んでいることに驚く。この技術先進性を活かして福祉の遠隔授業を計画している。中国は高齢化が想像を超えて進み、福祉は追いついていない。日本は福祉先進国なのだ。中国は個人のことより全体も優先する全体主義であるが、福祉の面で個人を重視しないと国の体勢に跳ね返ってくる。昨日は県の高齢政策部門に行き私は説明した。コロナ後の世界で日本の役割は大きい。日本力発揮の源は日本人の心にある。私は楽観論で行きたい。(読者に感謝)

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2020年6月11日 (木)

人生意気に感ず「シングルマザーの受難。医療の危機。風評被害から守れ」

◇昔、私の塾に通っていたAちゃんという女性がシングルマザーになって私の前に現われた。「きゃっきゃっ」と明るく活発で可愛かった少女は社会というジャングルで闘う厳しい顔に変わっていた。二人の子供を抱え、仕事は非正規なので首を切られたら大変だとこぼした。誰ちゃんも誰ちゃんも、と名を挙げる。コロナは社会的弱者に深刻な打撃を与えていると言われるがその実態を知らされた思いだった。Aちゃんは怒った表情で言う。「先生、政府は馬鹿じゃない?だってさ、困ってない人にもみんな10万円ていうじゃない。私たちのような本当に困っている人に絞って20万円とか30万円とかくれればいいのに。マスクだってさ、今更もらったってありがたくないよ。中央で決める役人は困っている国民の本当の姿が分かってないんじゃない」私はAちゃんの話に深く頷くのであった。

◇ひとり親家庭は全国で400万世帯にのぼると言われる。コロナの影響は企業に深刻な打撃を与えている。これらの企業が真っ先に首を切るのが非正規の社員である。職を失った人の中にはシングルマザーが多く含まれているに違いない。Aちゃんは声をひそめるようにある同級生のことを話した。「内緒だけどね、友だちのKちゃんは東京の方で風俗のアルバイトをしてた人なんだけど、それもできなくなったんだって」

 母子家庭の年間就労収入は平均200万円だという。各地の労働相談所には、コロナ禍で非正規女性の相談が急増していると言われる。政府は第二次補正予算案にひとり親世帯に対する臨時給付金の支給を盛り込んでいる。このような支援の拡充は必要だが支給は8月以降で遅すぎる。しかも1回だけの給付というから焼け石に水だろう。

 私はひとり親家族の実態が教育の格差に繋がっていることが心配だ。コロナによって従来言われてきた教育環境の格差が更に広がるだろう。良い学校も金次第の感がある。

◇コロナの第二波はほぼ確実だろう。それへの備えとして切実なのは医療環境である。医療こそコロナから国民を守る砦である。各地の医療機関で深刻な経営悪化が生じている。一般患者の受診控えなどが原因である。地域医療を守るために収入減少の補填は喫緊の課題である。医療機関は感染の発生源となり易いから誤解による風評被害に晒されている。国民全体で医療を守らねばならない。(読者に感謝)

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2020年6月10日 (水)

人生意気に感ず「差別の象徴・黒人の死。抗議は燎原の火のように。奴隷商人の像が倒される。コロナ後の世界は」

 

 

◇アメリカは感染者・死者ともに最悪である。そのコロナの真っ只中で黒人殺しが起き、その波紋と衝撃が世界に広がっている。私たちはこの二つが決して無縁でないことを知るべきだ。トランプは軍隊出動という強行策を表明したがそれは火に油を注ぐことになりアメリカの分断を加速させている。この二つに大統領選が重なって今やアメリカは狂乱の世界に見える。離れたところから「冷静な目」で見れば解決に向けた道筋が見える。冷静な目とは歴史を踏まえて考えることだ。アメリカは奴隷を抱えながら人間の平等を掲げて国を建てた。アメリカの歴史はこの矛盾を乗り越える道程で、遂に黒人大統領オバマを誕生させるに至った。この流れは普遍の価値を踏まえる故にアメリカは世界の指導者に成り得た。トランプのアメリカ第一主義は偏狭なナショナリズムに繋がる故にアメリカは世界の指導者の地位を失いつつある。これは何を意味するか。アメリカを一つにし、世界が手をつないで助け合うことの破壊である。これが人類の滅亡への道であることをコロナが教えている。コロナの渦の中で白人警官による黒人殺しが起きた。これに対する抗議の動きが燎原の火のようにヨーロッパで広がっている。これらの国々は自分たちの国にも人種差別があると叫んで大規模なデモを行っている。フランス革命の人権宣言に象徴されるようにこれらの国々を支える価値観は人間の平等であるからだ。人種差別が人々の協力を妨げている。コロナの克服には手を繋ぎ助け合うことが最も必要なことである。皮肉なことにコロナウイルスがそのことを教えている。

 

 イギリスのブリストルでは、抗議運動の中で奴隷商人の銅像が引き倒され海に投げ込まれた。かつて人類の恥である奴隷貿易が数世紀に亘って行われた。その象徴でもある奴隷商人の銅像が街の中心に立っていること自体が私には不思議だった。白人の市民はこの像につき「像は人間性に反する」、「白人優越の強いメッセージ」などと捉えていた。私はこれらの動きを見てコロナ後の世界は「人間の平等」が進むと思う。その力強い一歩が民主党のバイデンの大統領当選に違いない。

 

◇日本語学校で28日に行った私の講義を学生は静かに熱心に聴いた。テーマが「コロナウイルスの現状と行方」ということもあった。一度も大声で怒鳴らないですんだ。彼らのマスクからのぞく瞳は光っていた。(読者に感謝)

 

 

 

 

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2020年6月 9日 (火)

人生意気に感ず「ある女性との出会い。町内草取りの意味。岩宿遺跡を訪ねる。歴史は過去との対話」

 

 

◇最近、ある女性との出会いがあった。人生は面白いとつくづく思う。月1で町内の公園で草取りを行うが、その時ある奥さんが「私の母は先生と同級生なの」と言った。驚いた顔を向けると「生年月日は昭和15年10月30日よ」と愉快そう。「えっ、では私と同じ誕生日だ」

 

 こんなことで楽しい付き合いが始まった。この女性Kさんは、私とは旧宮城村小学校の同級生。私の記憶には全くなかったが同級生とは不思議なものだ。話すうちに時を超えて昔のことが甦る。戦後の混乱期の子供時代は懐かしい。すし詰めの教室、私が先生に殴られたこと、誰ちゃんがぼけた、誰ちゃんは亡くなった等の話は尽きない。家は朝の走るコースであり、時々の愛犬サンタとの散歩の通り道でもある。

 

 公園の草取りはしばらくコロナのため中断していたが7月から再開する。私はほとんど欠かさず参加してきた。地域の人を交流する良い機会なのだ。今年はこの草取りの会の会長に選ばれた。コロナ禍にあって思うことは地域社会の連帯の大切さである。今日は社会の連帯が崩れつつあり、草取りでもなかったら、共に汗を流す機会は少ない。「群馬は安全」という神話は、今回のコロナで崩れた。東日本大震災から9年が過ぎたがあの緊迫感が薄れつつある。災害の時代の幕開けであり序曲だと私はこのブログで警鐘を鳴らしてきた。その矢先にコロナの大襲来となり、更に最近は震度4が連発している。何かが起きる。そんな予感がしてならない。コロナも第二波、第三波の到来は避けられそうもない。正に社会の連帯が問われる時だ。公園の草取りが益々重要になっていく。

 

◇私はコロナ後の社会は一変すると思う。その意味で今は歴史的転換点である。砂上の楼閣のような豊かさの中で、今日の日本人の精神も砂上の楼閣のような危うきにある。Kさんと話すように、戦後のハングリーな状態に学ぶ時が来た。

 

◇先日、私は岩宿遺跡を訪ねた。歴史は現代と過去との対話である。行商中の相沢さんは関東ローム層の中から石器を発見した。相沢さんの問いかけに一万年以上前の過去が答えたのだ。それはこの時代に人々の文化が存在したことを明らかにした。相沢さんは、発見した黒光りする石片は「すすきの葉を切ったように両側がカミソリの刃のように鋭かった」と語った。この石器で動物たちに立ち向かう古代人の姿を想像した。(読者に感謝)

 

 

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2020年6月 8日 (月)

人生意気に感ず「バイデンの勝利宣言。米、建国の理念とは。日本アカデミー、ミライズ、ふるさと塾再開す」

 

 

◇バイデン氏が5日、勝利宣言を行った。民主党の大統領選指名争いのことである。アメリカの大統領選は世界にとって、また私たちにとって極めて重大なこと。それはコロナウイルスで全世界が狂乱の状態にある時だけに尚更である。バイデン氏が民主党大統領候補者になることが確実になった。これは今年11月の米大統領選がトランプとバイデンの対決となることを意味する。米大統領選の意義を繰り返し書いてきたが、バイデン勝利宣言を機に改めて私は強調する。

 

◇コロナ禍で最も重要なのは、立場を超えて協力し合い助け合うこと。アメリカは建国以来2度の危機にある。それは南北戦争と今回のコロナ戦を指す。二つともアメリカは分断の危機にある。6日現在、アメリカの感染者は189万人に迫り死者は11万人に達する。トランプが掲げる「アメリカ・ナンバーワン」は米国人の結束を妨げ、アメリカ人の誇りを傷つけ、アメリカの世界に於ける役割を萎縮させている。

 

 1776年の独立宣言は「全ての人は平等に造られている」と叫んだ。この建国の理念は肌の色を超えあらゆる立場を超えた協力を訴えている。先ずアメリカが第一に重要だとする偏狭な考えはこの理念に真っ向から対立する。現在アメリカで吹き荒れる黒人差別の騒乱はこの点で極めて意味が深いのだ。

 

◇バイデンは指名争いの中で「この国には癒やしの政治が必要だ」と強調し、国家分断の克服を訴えた。また、現在の事態(コロナと黒人殺害)に対し「我々は米国史上に残る困難に直面している」と指摘した。そして、更に「この事態は怒りにまかせたトランプ氏の敵対的な政策では解決できない。この国は、国民を結束させられる指導者を必要としている」と叫んだ。私は今回の大統領選に今までになく注目している。アメリカが新大統領の下で力を合わせ、世界の指導者の地位を取り戻すことがコロナ戦の勝利を導く。

 

◇今日(8日)から、日本語学校・日本アカデミーの私の授業が始まる。「三密」を防ぐ手立てを尽くして行う。授業はコロナウイルスの現状と課題について話すつもりだ。諸国の若者は日本文化の意味をこの危機の中で学んでいるに違いない。20日は「ミライズ」、そして27日は「ふるさと塾」が始まる。この塾にテーマも新型コロナウイルスである。歴史塾なので感染症の歴史も話そうと思う。(読者に感謝)

 

 

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2020年6月 7日 (日)

小説「死の川を越えて」第238回

 昭和21年の新憲法公布、そしてその中の基本的人権の保障は、彼の怒りに大義を与えるものであった。しかし新憲法が公布されても、差別の実態は変わらなかった、むしろ、社会秩序の混乱の中で、ハンセン病への抑圧はむしろ以前より高まったといえる。

 木霊は水野に訊ねた。

「先生、このままではせっかくの憲法も絵に描いた餅、宝の持ち腐れではありませんか。どうしたらよいのですか」

 水野は答えて言った。

「私も実はそのことで悩んでいます。あなたがここに入る何年か前、万場軍兵衛という湯の沢の指導者が亡くなりました。この人は、湯の沢地区はハンセン病の光が発する所だと言い続けた人で、新憲法ができてからは、この憲法の人権の定めこそ、ハンセンの光を実現するものだと申しました。そして、亡くなる前に、この光を現実のものにするためには、国家を相手に裁判をすべきだと申したのです。国家は誤りを犯している。それを正すのは裁判しかないと申しました。これは万場先生の遺言となりました」

 木霊は驚いた表情で言った。

「おお、素晴らしいことを聞きました。この地域にそのような方がおられたとは。僕はそれを聞いて目からウロコが落ちた気持ちです。先生、何とかその裁判を始めたいものですね」

「やりましょう。大変な意義のある戦いです。その方策について研究を始めましょう」

 水野は木霊と具体策を話し合った。木霊はしばらく考えていたがきっぱりと言った。

「いろいろな情報が入りますが、九州では今裁判を起こす機運が高まっているようです。それが今一歩進まないのは弁護士会が認識不足で立ち上がらないからだと言われます。先生が昔、九州帝大で人権を教えておられたことは長い年月の中で根を張って芽を出そうとしていると思います。熊本の副島さんたちの動きはその現われではありませんか。昔、熊本の本妙寺の人たちが、ここの重監房に入り酷い目に遭ったことは重要なポイントです。九州で裁判が始まれば、連動して東京でも裁判が起こせるようになるでしょう」

 

※土日祝日は中村紀雄著・小説「死の川を越えて」を連載しています。

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2020年6月 6日 (土)

小説「死の川を越えて」第237回

その晩のことである。水野と正助を訪ねる一人の若者がいた。木霊勇児(こだまゆうじ)と名乗る怪異な容貌の男は昼間の水野の話の基本的人権の部分に強く引かれたというのだ。

 木霊青年と話して水野が驚いたことは、短い会話からも窺われる並はずれた数奇な運命のことではない。なぜならハンセン病施設にいる者は、程度の差はあれ、異常な生を生きている人たちだからである。水野が衝撃を受けたのは、この不思議な若者に感じられる深い知性であった。「多くの書を読んだ」と呟いた言葉がそれを物語っていた。水野が語った基本的人権に関することに興味を示したことも、彼の内面を物語ることだと分かった。水野はこの若者ともっと語り合いたいという思いを抱きつつ、別れを告げた。

 水野と木霊青年との再会は以外な形で実現することとなった。木霊勇二は多摩全生園から信じ難い苦難を経て、草津栗生園に入園した。木霊は栗生園に入って、直ぐここには他の療養所とは違った空気が流れていることを感じた。持ち前の探求心で草津に関する書物を読むうちにこの療養所が湯の沢地域の不思議な歴史と結び付いていることを知った。そこで、かつて多摩全生園で基本的人権について語った水野を訪ね、人権について意見を交し、水野や正助たちと交流を深めることになった。木霊は人権の歴史を学んで、目の前が大きく開けるのを感じた。そして、ハンセンという病に侵され、ぐしゃぐしゃに踏みにじられた自分も人間として平等に生きる権利があることを確信した。と同時にあることを思い出して身内から激しい怒りが湧き上がるのを感じた。それは、駿河療養所へ移動する時のことだった。横浜駅で公安官に降ろされ駅の空き地の茣蓙(ござ)に座らされた。公安官は回りに円を描きここから出るなと命じた。一晩露天で過ごし、晒し者になった屈辱は耐え難いものであった。あの悔しさが人権の本質を知ることにより彼の胸の中で国家権力への怒りに変質していった。

 

※土日祝日は中村紀雄著・小説「死の川を越えて」を連載しています。

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2020年6月 5日 (金)

人生意気に感ず「アメリカの異常事態。人種差別に対する抗議の波。それに逆行するトランプ」

 

 

◇アメリカで大変なことが起きている。コロナの死者が10万人を超え、世界最多の状況はアメリカの緊急異常事態を示すものだがその上に人種差別に対する暴動が全米に広がっている。この暴動はアメリカの「根本的問題」と結びついているために極めて深刻なのだ。この対策にトランプの強硬策が「火に油」の結果を招いている。

 

 根本的問題とはアメリカの建国の精神である「自由と平等」である。この点はアメリカだけではない普遍的問題であるだけに世界に波及しつつある。

 

◇白人警官による黒人ジョージ・フロイド氏殺害に対する抗議の渦は凄まじい。ホワイトハウス前での平和的デモの強制排除で国民の怒りは高まっている。アメリカ社会の歴史は人種差別との戦いで彩られている。これまでも差別による黒人暴動は繰り返されてきた。今回はそれと事情が異なると思われる。欧州に波及していることはそれを物語る。

 

 トランプの個人的とも見られる姿勢が火に油を注ぐ。それはホワイトハウス近くの広場に隣接する教会での彼の行為である。トランプは教会の前で聖書を掲げ記念撮影し保守派支持層にアピールした。この教区の司教は次のように強く批判した。「彼は祈りも、フロイド氏の死の悼みもしなかった」、「キリストの教えに背くメッセージの手段として聖書と教会を利用した」

 

 平和的デモの強制排除は、トランプがこの記念撮影で教会に近づく道を確保するたに起きた。与党共和党の上院議員も「抗議行動は憲法上の権利であり記念撮影のために蹴散らすのは反対だ」と述べた。私はトランプの理性を欠いた軽薄な記念撮影は聖書への冒涜であり、神の前の人間の平等を訴えた建国の精神を汚すものだと思う。

 

◇デンプシー元統合参謀本部議長は「米国は戦場ではない。同胞市民は敵ではない」と表明した。この言葉はアメリカ社会を分断させることを恐れている。コロナ対策で最も求められることは国民の協力、助け合いである。リンカーンが最も求めたのは南北戦争によるアメリカの分断の回避であった。今トランプの出現によってアメリカ社会の分断が進む。コロナに意思があれば喜んでいるだろう。民主党のバイデンは「トランプは、この国を古くからの恨みと新しい恐怖で分断された戦場にしようとしている」と批判した。私は、アメリカの再生を信じる。そのきっかけは11月の大統領選をおいてない。健全なアメリカの出現は日本の民主主義の発展と結びつく。コロナとの戦いは長く続くだろう。その克服は世界が一つになって力を合わせることにかかる。そしてそれはアメリカが真の指導力を発揮することによって実現するだろう。(読者に感謝)

 

 

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2020年6月 4日 (木)

人生意気に感ず「コロナとの共存。東京アラート。改正道交法は厳しい。アジアで少ない謎」

 

 

◇新型コロナウイルスは不気味に列島でのたうっている。一箇の巨大な怪物のように。第二波が動き出した感がある。北海道で、北九州で、そして東京で。首相が「ほぼ収束」と言って緊急事態宣言を解除したばかりだ。この流れから言えるのは、コロナを完全に打ちのめしてから国民は活動するのではなく、コロナとの共存が不可避ということだ。国民が家に閉じこもるのも限界に来ていた。コロナと闘いながら活動を続けることがこれから長く続くことを覚悟しなくてはならない。

 

◇第二波で最大の関心事は首都東京である。2日、小池知事は「東京アラート」を発動した。第二波到来を告げる鐘であり、警戒宣言である。耳慣れない英語は注目度を高めるための奇策かも知れない。

 

 この第二波到来の決め手は都内の感染者34人という事態である。都知事は「夜の繁華街など三密のリスクが高い場所は十分注意して欲しい」と異例の表現を用いた。この繁華街の代表は日本最大の歓楽街、歌舞伎町である。欲望の渦巻く場所は「三密」の場所に他ならない。最近はホストクラブやガールズバーなどの従業員や客の感染が目立つと言われる。コロナ下の欲望は命懸けという奇妙な現象が起きている。

 

◇改正道交法が2日衆院本会議で成立した。今日の市民生活で切っても切れないのが自動車である。高速交通と高齢化が重なって私たち市民社会における緊急事態となっている。今回の改正法で特に重要なことは「あおり運転」に関すること。これについて明確な定義がなかったのを「妨害運転」と定めた。刑罰に関することで最も重要なのは用語の定義である。なぜなら違反に当たるか否か明確でなければ冤罪の恐れが生じるからだ。定義を定めると共に罰則が強化される。違反一回で即免許取り消しになる。違反行為と「明示」されたのは他の車の通行を「妨げる目的」の車間距離不保持、クラクション、幅寄せ、急ブレーキなどだ。車に乗ると人が変わる恐れがある。車は排他的な空間であり、その支配者という意識と状況が人を変化させるのだろう。罰則は「5年以下の懲役または50万円以上の罰金」である。

 

◇コロナウイルスの謎の一つはアジアで感染者が少ないこと。100万人当たりの感染死者は日本などは一桁なのに欧米は3桁。ミステリーの原因は。(読者に感謝)

 

 

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2020年6月 3日 (水)

人生意気に感ず「群馬マラソン中止と私。理想と矛盾が同居するアメリカ。警官への抗議は世界に」

◇ぐんまマラソンの中止が発表された。覚悟はしていたが誠に残念である。昨年のマラソンは手術後の厳しい体調ながら完走を果たした。覚悟の決行で前年より約9分も記録を縮め、私は前立腺手術の克服に快哉を叫んだ。そして、これは80代を完走する序曲と心に決めて翌日から一日も休まず朝の走りを続けてきた。この一年、毎日の運動項目に「水行」を加え、毎日7杯の水をかぶることを課した効果か体調もよかった。「水行」は昨年7月28日と9月28日に浅川熙信さんの勧めで岩櫃の不動の滝に挑戦したのがきっかけである。不思議な体験であった。落下する滝に頭が打たれることで脳細胞の奥にまで衝撃が伝わり心が若返るのを感じたのだ。数十億の脳細胞は人間の進化の歴史を秘めている。日常使われているのは脳細胞の表面だけであろう。フロイトは深層心理学を打ち立てたが、「南無不道明王」と叫んで無心になって受け止める衝撃は脳の深層に衝撃を与えるのかも知れない。

 コロナ奴という思いも心の隅にあるが、この歴史的災厄を謙虚に受け止めたいと思っている。今秘かに思うことは今年11月3日、私は一人で10キロのコースを走るつもりである。10月末から11月にかけて群馬県に第二波・第三波が押し寄せるかも知れない。あの大群衆が大河のようにひしめいて走る状況は正に「三密」である。実は、中国貴州省の人々が大勢してこのマラソンに参加する予定で話を進めていたので、この点からも残念である。

◇アメリカは理想と矛盾が共存する国である。理想は建国の基礎となった全ての人の自由と平等である。これからすれば肌の色、人種に拘わらず平等だから黒人の差別は許されない筈。ところが現実は差別の歴史が続いている。これが矛盾である。現在、アメリカで黒人が警察官に殺害されたことに対する抗議が沸き立っている。事件は中西部ミネソタ州のミネアポリスで起きた。連日の抗議行動は全米の都市に広がり、この動きはヨーロッパやニュージーランドにまで広がっている。これは人種による人権侵害でもある。平等の問題が国境を越えていかに普遍的であるかを物語る。アメリカはオバマからトランプになって差別の問題が顕著になった。これはアメリカが世界の指導者の地位から後退したことを意味する。これでは中国の人権問題を非難することは出来ない。コロナと人種差別は目前の大統領選に大きく影響するだろう。(読者に感謝)

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2020年6月 2日 (火)

人生意気に感ず「第二波を前に日本の良さを考える。アメリカの惨状とアメリカの理想。史上最大の作戦と誰がために鐘は鳴るを観た」

 

 

◇新型コロナウイルスの拡大の中で、差別や偏見が問題となっている。日本では医療従事者やその関係者に対するいわれのない非難や中傷が深刻となっている。それ以外でもこのような矛先は社会的弱者に向けられやすい。

 

 私はハンセン病に関して差別と偏見に苦しむ人々のことを学んできた。差別と偏見による人権の侵害は絶えず形を変えて現われる永遠の課題であることを今回のコロナウイルスに関して痛感する。

 

 我が国のようにほぼ単一民族から成る国でもこうであるからアメリカのように多くの民族が生活する社会では差別や偏見がひどくなるのは当然だ。その上に、アメリカでは格差がコロナ被害と重なっている。日本のような保健の制度がないから貧しい人々は感染しても医療を受けられない。アメリカの死者は現在10万人を超えたがその中で黒人などの割合が多いと言われる。アメリカと比べて日本の良さが分かる。日本の死者は現在890人。一人一人の死は重大であるが、コロナウイルスという大災害の関係で考えれば世界の国々と比べ極端に少ない。社会の違いで比較する時、アメリカとの関係は非常に重要である。第二波第三波に備え私たちは日本の良さを噛み締め、これを守らねばならない。

 

◇コロナ災害を機に私たちが学ぶべきことは余りに多いが、その中でも重要なのはアメリカの歴史である。アメリカは日本との関わりが最も深い国である。近代の歴史が凝縮されている。その理想と矛盾を知ることは日本を理解する上で非常に重要なのだ。アメリカ国民は今、アメリカ史の理想と矛盾の間で苦しんでいる。理想とは「人間は神の下で皆平等」という建国の理想で今も生き生きと存続しているアメリカの魂である。矛盾は現実のことで、格差が広がりアメリカの威信が崩れていることだ。その中で「アメリカ第一主義」が頭をもたげ世界に波及している。アメリカ国民は4年前誤った選択をしてトランプ政権を誕生させた。目前にチャンスがめぐってきた。11月の大統領選である。世界のため、日本のためにアメリカ国民の見識に期待したい。

 

◇コロナ襲来の下で私は多くの映画を観た。5月最後の昨日は「史上最大の作戦」、「誰がために鐘は鳴る」を観た。昔観た映画だが現在の世界状況の下で新たな意味づけをしながら観られるのが楽しい。1944年のノルマンジー上陸作戦は民主主義の運命をかけた戦いでパリ市民は狂喜して連合軍兵士を迎えた。「誰がため」は1937年のスペイン内乱が舞台。2年後に第二次世界大戦が始まる。理想のために闘う娘を演じるイングリットバーグマンが美しい。史上最大の作戦の舞台、ノルマンジー上陸は1944年だった。その翌年1945年5月ドイツは無条件降伏し、続いて8月15日日本も無条件降伏した。今、第二次世界大戦下のような状況が世界を覆っている。(読者に感謝)

 

 

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2020年6月 1日 (月)

人生意気に感ず「満州の地獄・性の接待を読む。第二波を前に検証すべきだ。藤和の苑をもっと検証すべきだ」

 

 

◇私がかつて顧問を務めた弓道連盟の幹部から、最近一冊の書物が贈られた。NHKEテレが特集した「告白―満蒙開拓団の女たち」をNHKのディレクター川恵実氏が本にしたもの。私は今でも中国東北部から帰国した人々を中心とした中国帰国者協会の顧問をしていることから満州の悲劇については研究してきた。拙著「炎の山河」では終戦直前に20歳の若さで満州に渡り数奇な運命を辿った松井かずさんのことを書いた。贈られた書物は悲劇の女性たちに別の視点からスポットを当てたもの。

 

 長野権から入植した開拓団は敗戦と同時に暴民と化した中国人に襲われ地獄のような状況に陥った。隣りの開拓団は全員が自決した。そのような状況でこの開拓団は駐屯するロシア兵に助けを求めたのであった。ロシア兵に「性の接待」をすることが条件となった。

 

◇コロナウイルスの第二波の懸念が高まっている。北九州で、東京都で。日本は世界のコロナの渦の中にある。だから世界の感染が静まらなければ安心できない。コロナ対策で最も重要なことは力を合わせることである。ここで今一番注目されるのは米中の対立、そして特にトランプの傍若無人ぶりだ。トランプは29日、WHO離脱を表明した。これはコロナの収束に向けた国際協調に逆行するものである。

 

 30日の米国の感染状況は感染者174万7087人、死者は10万2836人である。トランプのイライラが分からないでもないが超大国の度量を示す時である。11月の大統領選を睨んで中国に対する強硬姿勢をアピールしようとするのか。この点でも逆効果だと思う。

 

 今、アメリカに求められることは大局観。世界のため、人類のため、民主主義のためにアメリカが貢献することが結局はアメリカの利益に通ずるのである。11月の大統領選でアメリカ国民はこの観点から賢い選択をするに違いない。

 

◇新型コロナウイルスが大きな山場を迎えている。この山を乗り越えるために最も大切なことはこれまでの経過を検証することである。そのことによって今後の対策の教訓も引き出すことが出来る。この観点から本県に於けるクラスター発生として注目された「藤和の苑」の検証は重要である。30日、その経過が公表された。4月2日2人の感染確認、6日までに5人が発熱、6日に県に報告。入居者全員の入院は16日である。結局16人が死亡した。感染経路には触れていない。これでいいのかと驚くばかりである。(読者に感謝)

 

 

 

 

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