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2019年6月 3日 (月)

人生意気に感ず「天安門事件は問う。日本の役割。松井かずさんのこと」

人生意気に感ず「天安門事件は問う。日本の役割。松井かずさんのこと」

◇6月4日は天安門事件から30年目にあたる。私は著書「炎の山河」の中で、この事件から受けた衝撃を描いた。この書で書いた主な出来事の一つに松井かずさんの数奇な運命がある。この人は終戦直前に満州に渡り、地獄のような苦しみを経験した。生死の境をさまよう中で炭坑で働く中国人男性と結婚し5人の子どもを育てた。

 時代は変わり、日中間の関係改善と共に夢にまで見た日本に帰れる日がきた。彼女は既に文化大革命を経験していたが、一先ず帰国して家族を呼び寄せる準備をしている時に起きたのがこの天安門事件であった。文化大革命を初め中国の動乱を知っている彼女は家族がこの事件に巻き込まれることを恐れた。

◇昭和64年(1989)は日中両国にとって大変な年であった。1月昭和天皇は世を去り、この月平成の元号と共に新しい時代が始まった。そして6月、天安門事件である。民主化を求める学生は天安門広場にあふれ、日本の新聞はその数百万と報じた。6月4日未明、息を詰めて見守る私たちにテレビは衝撃の光景を伝えた。軍隊の戦車が突入したのである。パンパンと銃声が起り、光が走った。逃げ惑う群集と絶叫。戦車の列の前に立つ若者の姿。自由主義陣営が特に注目する点は国家権力が国民に銃を発砲したことである。不合理な封建社会を倒して自由と平等を建前とする社会主義の国を建てた中国である。1949年、毛沢東が天安門上で新しい国家を宣言したことは偽であったのか。

 天安門事件は中国が一党独裁の体制で経済大国となる道を決定した。あれから30年、中国の変貌は目を見張るばかりである。あれよあれよという間に経済に於いてもアメリカと覇権を競うまでになった。独裁国の動きは誠に速い。しかし、その速さの陰に大きな危険が潜むことは幾多の歴史的事実が示すところである。天安門事件に対して歴史はどのような裁断を下すであろうか。

◇日本は独裁主義が招いた失敗を乗り越えて今日を迎えている。中国を侵略して傀儡国家(かいらいこっか)満州国をつくり太平洋戦争突入という自滅の道を辿った。この失敗の過程を歴史の教訓として活かさねばならない。米中両国がきな臭くなっている。この間に立って世界を破局から救うことが日本の役割である。世界が日本を信用するよりどころが日本国憲法であることを私たちは自覚しなくてはならない。(読者に感謝)

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