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2019年5月 6日 (月)

人生意気に感ず「10連休に読む恩師。両文明と日本の役割」

◇10連休が終わる。振り返って、私は連休中一つの大切な作業を行った。それは私の人生で久しぶりに満足感を伴うものであった。恩師林健太郎の著4冊を読み返したのである。「世界の歩み」(上下・岩波新書)、「歴史の流れ」(新潮文庫)・そして「歴史からの警告」(中公文庫)である。簡潔に平易な文章で、しかも深い思索が感じられる。至る所にかつて引いた朱線がある。その箇所も新たな意味をもって私に迫る。年月が私に考える力を培ったのだ。世の中は天皇に関する退位と即位で沸き返っていた。この世紀の出来事も私の読書の心を刺激した。ある時は、私は草津の秘湯の宿で読書にふけった。それは恩師との久しぶりの対話であり、青春の思いに浸ったことは心をふくらませる収穫であった。10連休とは何だと疑問に思ったこともあったが、今では激しい流れに身を任せ考えるゆとりのない私たちに貴重な機会を与えたと思っている。

 林先生のこれらの著書は世界の文明論を歴史の史実を材料にしながら展開している点に一つの特色がある。この点に関し、私は今回思いを新たにしたことがある。それは中国の新たな変化に関して、この数年私が考えてきたことである。私はかねて日本には米中の間にあって担うべき独自でかつ重要な役割があると強調してきた。日本は中国との間で有史以来の関係を築き、それは今も変わらない。一方で明治以来方向を大きく変え、西洋文明のグループに入り今日に至り、特にアメリカとの絆を深めている。ところで両文明には長所と短所があり、その調整と連携が日本及び人類の発展にとって不可欠である。両文明に深く関わる日本の役割と使命はそこにある。

 このことに関し、林先生は次のように述べる。「日本はアメリカとの同盟を固くし、同時に今後更に向上するであろう東アジア経済圏との提携を図っていくことにのみその生きる途がある。そうすることによって東西両文明の媒介と相互補完という世界文明史上の課題を日本が果たしていくことができると私は信じている」と。この記述を私は忘れていたが、私の胸の底に定着していたことを今思う。

 私はこのことを令和天皇の即位のお言葉に重ねて考えた。「常に国民を思い、国民に寄添いながら憲法にのっとり、日本国および日本国民統合の象徴としての責務を果たすことを誓う」天皇の胸には世界文明史上の日本の役割があるに違いない。(読者に感謝)

 

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