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2019年2月18日 (月)

人生意気に感ず「非常事態宣言とは。アメリカの民主主義が問われる」

 

◇アメリカの民主主義が試されている。トランプ大統領が非常事態宣言を出す事態となったからだ。トランプの暴走なのか。下院を支配する野党(民主党)の怒りの声が聞こえる。

 

 改めて、メキシコ国境の壁問題、そして非常事態宣言の意味とその歴史を知る必要がある。

 

 メキシコ以南は貧しく政治社会も混乱している。アメリカとの格差は歴然としている。豊かさを求めて不法に国境を侵す人々の流れは水が低きに動くようだ。それは、かつて豊かさを求めて侵入する北方民族に苦しめられた中国と似ている。中国はこの事態に対して始皇帝以来、万里の長城を築き続けた。トランプが国境の壁問題を打ち上げた時、「長城を築く」と世界に衝撃を与えたが、それは一つには中国に於けるこの故事と対比されるからである。壁を超えて持ち込まれる膨大な麻薬類、犯罪を起こす人々の流入。これらはアメリカ社会が抱える深刻な課題である。だからこそ西部劇の保安官のように登場したトランプが単純な大衆をあっと言わせる公約として長城建築を打ち出したのだ。メキシコ国境の壁はトランプの象徴的な公約である。

 

◇非常事態宣言とは文字通り非常事態への対応策である。民主主義では手続きに従わねばならない。手続きとは反対意見との調整が中心になるから、容易にまとまらない。異常な緊急時の政治の使命である国民を守ることができない。それに備える超法規的措置である。アメリカでは、社会の存立に関わる異常時に議会の承認なしで大統領の権力が動く。トランプは本来議会の承認なくしてはできない予算措置をこの「宣言」で行おうとしている。国家的、社会存立の危機かについて議論が分かれる事態である。「濫用だ」との声が湧き上がっている。民主主義の砦である議会が無視されることになる恐れがある。独裁国家では不要の制度である。

 

◇すぐに思い出されるのは2001年9月のニューヨーク同時多発テロの時の宣言である。アメリカ国内は熱湯のように沸きかえった。これまでウィルソン、ルーズベルト、カーター、ブッシュが行った。最初は1917年、ウィルソンはナチスの潜水艦攻撃に対抗するために宣言を行い、この年ドイツに宣戦を布告した。やがて大統領の暴走を抑えるために「国家非常事態法」が制定された。宣言は180日後に失効する。壁建設には今後法廷闘争が待ち構えるだろう。(読者に感謝)

 

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