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2018年11月27日 (火)

人生意気に感ず「戸籍を賭けた闘いと訴訟救助。裁判所にも情が」

 

◇(26日月曜日の続き)映像では生存していた地元のリーダーが語っていた。私は訴訟の資料を読んでいたが百聞は一見にしかずであった。心を打ったことが2点あった。「戸籍を賭けた闘い」と「訴訟救助」である。

 

 長い物には巻かれろ、お上には逆らわない、こういう重い習慣が地域社会の掟のように支配しているところで裁判を起こすことは並大抵のことではない。相手は三井財閥であるから農民にとって昔の殿様以上の存在である。勝てっこないという空気が強かった。そして原告たちは負けたら地域にいられないと心底思い詰めていた。戸籍を賭ける闘いとはこのことを意味していたのであった。映像の中で、かつての実在の人物は「負ければここに居られないと思い真剣に頑張ったのです」と語った。

 

 二つ目は訴訟救助である。裁判には金がかかる。棺桶に足をかけているような老婆を救う最後の手段は金の掛かる裁判のみだという現実は地獄の沙汰も金次第という諺を思わせる。

 

 ここで地獄に仏ともいうべき制度が「訴訟上の救助」で、裁判所が訴訟費用を立て替える制度である。映像で原告の一人はこれが大きな山場だったと語る。要件が二つあった。勝つ見込みと訴訟費用を払えないという経済的事情である。勝つ見込みについては裁判の直前に厚生省がカドミウム説に立って原告に有利な見解を発表したことが心強い援軍となった。しかし経済的条件については厳しかったらしい。原告たちの地域は安定した農村で豊かな田と立派な家があったからだ。「通常ならダメだった」と映像は語る。そこで「三井の資力と農家を比較して欲しい」と訴えたのだ。片方は天下の財閥である。両者の財力を比べることが訴訟救助の制度を活かす道であった。裁判所はこの願いを容れて、原告全員に訴訟救助を認めた。映像に登場した元原告の人物の表情から裁判所に感謝する胸の内が伝わってくる。かくして戸籍を賭けた闘いは原告の勝利で終わった。

 

◇映像はその後を語っていた。それは毎年調査団が三井金属への立ち入り調査を行っていることである。これとは別に、偶然の縁でOという人物が私を案内してくれた「客土」の光景を重く受け止めた。汚染土壌を入れ替えた田は青々と広がっていた。その側を甦った川は神通川の名に恥じない美しい姿を見せていた。私は公害克服の原点を見た。あの患者が天国から見ているだろう。(読者に感謝)

 

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