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2018年10月 9日 (火)

人生意気に感ず「神田さち子の熱演、残留婦人・かえってきたおばあさん」

 

◇神田さち子さんの熱演「かえってきたおばあさん」で群馬会館は沸いた。大ホールは満席で、日中平和友好条約40周年を記念するにふさわしいイベントだった。

 

 私は群馬県日中友好協会会長として挨拶した。会場にはこの協会を知らない人も多い。挨拶の冒頭でこの会を紹介した。「平成25年、嵐の中で船出し民間交流の大切さを経験しました」。嵐の中とは、尖閣諸島をめぐって日中は戦後最悪といわれる程の状況であったことを指す。私は続けた。「世界情勢が激変する中、日中の関係は増々重要になりました。先日、中国大使館の中庭に石碑を建て『友情の絆を』を刻みました」日中の真の友情は歴史の真実を踏まえて育まれねばならない。

 

 神田さち子さんの一人芝居は、動乱を必死で生きる日本人女性の姿を通してこの歴史の真実を訴えていた。主人公の春代は我が子を殺し、夫に見捨てられ中国残留婦人となった。殺した筈の娘は実は生きていた。自分を見捨てたかつての夫カツゾウへの思いは複雑である。そんな思いを抱いて、春代は故郷鹿児島に一時帰国する。テレビで報じられてもカツゾウは姿を現さない。失望して中国へ帰ろうとする時、カツゾウから一通の手紙が届いた。春代はそれを読んだ。驚くべきことが綴られている。カツゾウは、満州の荒野で春代と別れた後、朝鮮まで歩いたが38度線あたりでソ連に逮捕されシベリアの強制収容所に送られたという。今は鹿児島で家庭をもっている。現在の妻も春代さんに会いたいと言っているから家に来てくれとある。手紙を読む春代の姿は感動的だ。春代は結局カツゾウに会わないで中国へ帰る。中国には可愛い子どもと夫が待っている。春代は叫んだ。「カツゾウさんと私を引き裂いたものは戦争です。あんな戦争は二度と決して起こしてはなりません」。背後の大きなスクリーンに、満州を象徴する真赤な太陽、それに重なる杖をついた「かえってきたおばあさん」のシルエットが。会場から大きな拍手が起きた。

 

 表に現われない多くの残留婦人たちの現実は深刻に違いない。その現実を知らなければ戦争の悲惨さも分からない。スクリーンには大きな満州の地図が掲げられた。「五族協和、東西の新秩序、満州は生命線と国は喧伝し人々はそれを信じました。しかし、他人の国に武力で踏み込んで勝手に満州は生命線もないものです」。春代さんは叫んだ。(読者に感謝)

 

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