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2018年8月 5日 (日)

小説「死の川を越えて」 第104話

 

「そうだ」

 

「そうだ」

 

 あちこちで声が上がり、同時に拍手が起きた。その時、後ろの席にいたリー女史がそっと立ち上がる姿が見えた。女史は微笑を浮かべながら前に進み出て言った。

 

「私にもう一言お話させて下さい」

 

 意外な展開に人々は驚いた。普段遠くから時々見る異国の女性が、今こんなに身近かにいて共通の問題で心を通わせていることが不思議であった。人々には白いドレスをまとったリー女史が神々しく見えた。

 

「皆様、私、今日はとても感動です。大変に感謝しています。今、皆さまが話されたことは神様の御意思にかなったことです。神様のことを出さずに神様の御意思が語られました。水が流れるように神に治ったお話がされたことにとても感動しております。繰り返しますが、人間、一人一人が同じように大切というのが神の御意思です。国は、そのような人々を守るためにあります。国のために一人一人の人間があるのではありません。生きるために神様から与えられた命なのに、生きるに値しないなんておかしいではありませんか」

 

 リー女史の話し振りは、顔に表れている強い信念と比べあくまで謙虚であった。静かな拍手が起きた。

 

 この時、正助が遠慮がちにそっと尋ねた。

 

「俺たちは国のために1人1人の人間があると教えられ、当然のことと思ってきました。だからお国のために戦わねばならないと考えてきました:お国のために1人1人があるというのは間違っているのですか」

 

「おー」

 

と言ってカールが進み出た。

 

「それ、極めて重要なことね。そして極めて難しいけど理解して下さい。私、一生懸命説明します。聞いてくれますか」

 

 

 

※土・日・祝日は、私の小説「死の川を越えて」を掲載しています。

 

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