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2018年3月16日 (金)

人生意気に感ず「オウムの死刑囚、執行に向けて。母子の情。幸徳秋水のこと」

 

◇死刑執行の準備の動きが伝わってくる。死刑囚7人が執行可能な各地の拘置所へ移されている。移送の動きに各死刑囚は極限の緊張に怯えているに違いない。事件から23年、オウム真理教の事件の異常さを改めて思う。若い、学問を積んだ人々が容易に洗脳され、人の生命を奪う罪を犯していく。人間とはかくも弱い存在なのか。教育はかくも無力なのか。そして、宗教とは何なのか。更に、このような犯罪を生み出した現代社会とは何か。

 

 死刑囚たちの過去はそれぞれ極く正常な人生だったであろう。それだけに、憑き物が落ちた心理で迎える死刑の恐怖は格別に違いない。大阪拘置所に移送された井上死刑囚を母親が面会した。この母は「動揺していた」と息子を語っている。この母子の報道から全員の死刑囚の動揺の様子が想像できる。

 

 死刑の宣告を受けた人に面会する親族は普通母親であるらしい。極悪人として社会から非難されても母の情は変わらない。「お母さん」「母ちゃん」「お前」と呼び合う裸の人間関係が展開されているに違いない。

 

◇私の手許に幸徳秋水が面会に来た母を書いた文がある。「最後の別れの折に、モウお目にかからぬかも知れませんと僕が言うと、私もそう思ってきたのだよ、と答えた。ドウカおからだを大切に、と言うと、お前もシッカリしておいでと言い捨てて立ち去られた音容が、今もアリアリと目に浮かんでくる。考えていると涙がとまらぬ」大逆事件の秋水が堺利彦に宛てた手紙である。70歳の母はその住家の土佐に帰り一ケ月の間にみるみる衰弱して死んだ。死刑を宣告された秋水は間もなく、ある日独房に置かれた朝食の膳に特別の塩焼きの小鯛がのっていたので、その日が来たことをすぐに悟ったという。幸徳秋水40歳であった。

 

 死刑囚は毎日、コツコツという靴音が自分の扉の前に止まるか、全神経を集中させるという。

 

 地下鉄サリン事件等で、日本中を震撼させたオウム事件が終幕を迎える。死刑制度の是非、教育や宗教の意義、生と死の問題を考える重要な材料にしなければならない。

 

◇24日のふるさと塾で田中正造を語るが、田中は足尾の鉱毒に関し天皇に直訴した。この直訴状を執筆した人物が幸徳秋水であった。オウムの死刑囚とは雲泥の違いがあったのである。(読者に感謝)

 

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