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2018年3月19日 (月)

人生意気に感ず「高山村長選は語る。民主主義の危機。いぶきの湯」

 

◇身を切るような寒気の中、必勝のハチマキをした人々は身を寄せ合うようにして立っていた。17日、高山村長選の決起大会である。無投票が続き12年ぶりの選挙なので、陣営には不安と緊張感があった。現職後藤氏の応援に駆け付けた私は訴えた。「この美しい村を活性化させるための重要な選挙です。選挙は心に訴え、心をいただくもの。残された一日ちょっと、一票を獲得するために頑張って下さい。民主主義がかかった大変重要な選挙なのです」

 

 私が関わる日本アカデミーの外国人留学生がこの村のキャンバスで徐々に増えている。留学生たちは美しい自然と伝統文化が息づく村で村民と交わりながら学ぶ計画なのだ。周囲には雪を頂く山々が連なり、夜空に向かって天文台も立つ。各地では人口減少の中で自治体消滅の危機が叫ばれている。小さな村の選挙には民主主義という大きな意義が結びついている。

 

 18日(日)を迎え、私は朝から選挙の行方を気にかけていた。長いこと激しい選挙を闘った経験が甦る。選挙には人間のドラマがある。何が起こるか分からない。

 

 夜8時過ぎ、緊張の中で情報を得た。1,401票対1,061票で後藤陣営の勝利であった。電話に出た後藤氏の声が弾んでいる。周囲の興奮も感じられた。

 

◇高山村には「いぶきの湯」という温泉がある。私は「死の川を越えて」の取材で草津へ通う途中この湯によく入った。多くの村人たちが楽しんでいる姿は日本の伝統を物語る。年輪を刻んだ人々の表情には、日本の社会から失われつつあり、守らねばならぬ重要なものが感じられる。国際化と人口減少の波が押し寄せる中で、日本の社会が音を立てて崩れていく恐怖を感じる。

 

 17日の決起集会の日、私はこの「いぶきの湯」に浸りながら人々の表情を見ていた。投票率が9割を超えると予想される村である。選挙のことは何も語らない人々の胸にはしっかりした何かがあるのだろうと思った。選挙の結果が分かった今、いぶきの湯の人々の一つ一つの顔が思い出される。

 

 表面的には選挙を感じさせない静かな村の光景であった。それは私の胸にある街の激しい選挙ではない。しかし高投票率のことを考えると静かな激しさが進んでいたに違いない。危機が叫ばれる今日の民主主義を考えた。(読者に感謝)

 

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