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2018年2月 3日 (土)

小説「死の川を越えて」 第46話

 

「ところでな、人の縁というものは実に不思議じゃ。湯の沢集落に韓国から来た李という男がおる。昔、ある事件に巻き込まれた時、わしが助けたことがあった。正助が韓国、京城にいることは、別のさる筋から知った。わしは気がかりでな、どうしたものかと悩んでいた時、この李のことを思い出した。正助が京城の部隊にいるが心配じゃと話したら、そういうことなら任せてくれ、恩返しがしたいと。ハンセンの仲間と組織があるから、まさかの時には力になると言う。実はな、聞いてみるとそのハンセンの統領は、わしと繋がりがある者じゃ。そして、驚いたことに、暫くして、李の弟が正助とひそかに連絡をとることが出来たと申しておる。今後の正助のことは、この筋から連絡があるはず。動静を見守るつもりじゃ」

 

さやは、万場老人の話を手に汗してじっと聞き入っていた。

 

「ところで、正助は正太郎のことを知らんわけじゃな。悪いことを予想するわけではないが、今こそ知らせる時ではなかろうか。大いなる生きる力が生まれるはずじゃ」

 

「わたしも、そのことをずっと考えていました。でも、どうしたら知らせることが出来るでしょうか」

 

さやは、身を乗り出し、瞳を輝かして言った。

 

「それは大丈夫。正助のことを知らせてくれる、軍の人脈がある。さやさん、先ず手紙を書いてごらん」

 

万場老人の表情が、手紙の先の光明を暗示するように弛んだ。

 

 

 

※毎週火・木は、上毛新聞連載中の私の小説「死の川を越えて」を掲載しています。

 

 

 

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