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2018年2月 4日 (日)

小説「死の川を越えて」 第47話

 

三、便り

 

 

 

 日本は、ロシア革命の影響を恐れた。日本の北隣りに社会主義の国が出現したのだ。その思想は、天皇制を否定し、日本の国家秩序の根本を突き崩す恐れがある。その思想が強大な国家の形となって現れたのだ。日本は、明治維新によって四民平等を実現し近代国家を創ったが、現実の社会は矛盾に満ち多くの国民は貧富の差に苦しんでいる。社会主義の思想は、資本主義の矛盾を指摘し、全ての人の平等な社会を目指すことをうたい文句にしている。人類の美しい理想が目前に姿を現したかに見えた。為政者は多くの国民が影響を受けて国内でも反政府の運動が起きることを恐れた。これは、イギリス、フランス、アメリカなどでも同様である。そのために、ロシアに広がる社会主義を抑えようとした。

 

 日本には、さらに別の目的があった。それは、この機会に東シベリアに日本の支配を確立することであった。だから人道主義を掲げるアメリカは日本の野心に疑いを抱いた。そして、アメリカとの協調は日本にとって死活問題であった。

 

 京城にいる正助にも、深刻な事態がひしひしと伝わり、シベリアに行くらしいということが次第に明らかになってきた。

 

 そんなある日のこと、正助の下に1通の手紙が届けられた。それがさやからのものであることを知った時の驚きとときめきは大変なものであった。

 

「正助様、お元気ですか。お国のために御苦労様でございます。今日は、とっても、とっても大切なことをお知らせするために筆をとりました。さやは、正さんがどのように受け止めてくれるか心配でございます」

 

 

 

※毎週火・木は、上毛新聞連載中の私の小説「死の川を越えて」を掲載しています。

 

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