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2017年9月30日 (土)

今、みる地獄の戦場 -ニューギニア慰霊巡拝の旅― 第76回

 

 彼は、その遺言から分かるようい、かねてから、軍司令官としての任務が終わり次第自決する覚悟を固めていた。短刀と毒薬を秘かに隠し持っていたが短刀は発見され、毒薬は効き目がなくなっていた。それでも彼の決意は固く、どこかで錆びたナイフを手に入れ隠し持ち時期が来るのを待っていたのである。

 

 次の文は、安達司令官の遺書の要点である。

 

「部下将兵が万難にかちて異常なる健闘に徹し、上司また全力を極めて支援を与えられしに拘らず、小官の不敏、能く其使命を全うし得ず、皇国今日の事態に立ち到る端緒を作り候こと、罪まことに万死も足らず、恐れ入り奉候。又、この作戦、三歳の間、十万に及ぶ青春有為なる陛下の赤子を喪い、而して其大部は栄養失調に基因する戦病死なることに想到する時、御上に対し奉り何と御詫びの言葉も無之候。

 

 小官は、皇国興廃の関頭に立ちて皇国全般作戦寄与の為には、何物をも犠牲として惜しまざるべきを常の道と信じ、打続く作戦に疲憊の極に達せる将兵に対し、更に人として堪え得る限度を遥かに超越せる克難健闘を要求致し候。之に対し黙々之を遂行し、力つきて花吹雪の如く散り行く若き将兵を眺むる時、君国の為とは申しながら其の断腸の思いは、唯、神のみぞ知ると存候。当時、小生の心中堅く誓いし処は、必ず之等若き将兵と運命を共にし南海の土となるべく、縦令、凱陣の場合といえどもかわらじとのことに有之候。(中略)今や諸般の残務も漸く一段階となり、小官の職責の大部を終了せるやに存ぜらるるにつき、此時機に予ねての志を実行致すことに決意仕候。小官の自決の如き、御上に対し奉る御詫びの一端ともならずと思う次第にて、唯唯純一無雑に陣没、殉国、並びに光部隊残留部下将兵に対する信と愛とに殉ぜんとするに外ならず候」(光部隊とは戦犯容疑者のこと)

 

この遺書は、解説の必要はなく、そのまま切々と読む人の心を打つ。終戦の直後、宮城前で腹を切った人があった。そのような興奮の中の自決と違って、終戦後2年も経ち、死刑にもならず、生きる道が確実にあるにもかかわらず、自分の責任を全うした上で自決したことは、私達の価値観からすれば信じがたいことである。

 

 

 

※土日祝日は、中村のりお著「今、みる地獄の戦場 -ニューギニア慰霊巡拝の旅―」を連載しています

 

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