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2017年7月29日 (土)

今、みる地獄の戦場 -ニューギニア慰霊巡拝の旅― 第57回

 

 次の記述は、マッカーサー回想記を材料にしたものである。

 

 その日は霧が深く、海は荒れて黒い雲がしきりに動いていた。傍受した電報によれば出合いの時刻は午後3時、少佐は予定の現場に到着し目を凝らすが日本軍の機影は現れない。少佐は遂に機関命令を出そうとした。その時、厚い雲の中から上空をゼロ戦に守られた輸送機2機が突然現れたのである。ランフィア飛行隊は高度を上げて頭上のゼロ戦に襲い掛かった。ゼロ戦は輸送機を守り抜こうと必死であった。上下に、左右に、追う機と逃げる機、凄まじい渦を巻く空中戦が展開された。数において圧倒的に優勢なアメリカ空軍にさすがのゼロ戦も撃ち落とされていく。輸送機のうち一機は早くも撃墜され、ランフィア機と孤立した山本機が死闘を繰り広げる。山本機の操縦士は熟練の者で、攻撃を避けるため雲にかくれ、ジグザグを描き、横転し、また向きを変えと、あらゆる手段を尽くした。遂にブーゲンビルの海岸線に達し、急降下し密林すれすれの高度を死に物狂いで飛ぶ。山本機はこのまま逃げ切れるかと思われた。ランフィア機はこの機会を逃してはならじと執拗に猛追し機内の全ての機銃が発射された。突然、山本機の後部から黒煙が噴出し、続いて真っ赤な炎が吹きあがり次の瞬間輸送機の胴体は震えて横になり大轟音とともに墜落した。密林は切り裂かれ、機の破片が煙とともに飛散した。

 

 マッカーサーは、この事件を指して「それは真珠湾の底に光る数多くの白骨から、一斉に声が響いてくるかと思われる一瞬であった」と表現している。私達の目から見れば、ニューギニアのジャングルで眠る無数の日本兵の白骨が一斉に悲しみの声を上げた瞬間であった。

 

 

 

※土日祝日は、中村のりお著「今、みる地獄の戦場 -ニューギニア慰霊巡拝の旅―」を連載しています。   

 

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