« 人生意気に感ず「テロ準備罪と刑法の原則。ロンドンのビル火災は」 | トップページ | 今、みる地獄の戦場 -ニューギニア慰霊巡拝の旅― 第46回 »

2017年6月17日 (土)

今、みる地獄の戦場 -ニューギニア慰霊巡拝の旅― 第45回

 

 地味なローカル空港で、これがラバウル空港かと少々がっかりする。ホテルまでは約1時間、やはり凸凹が激しい道を2台のおんぼろバスに分乗して進む。まわりの景色は、ニューギニア本島とあまり変わらないが背の高い椰子の木はこちらの方が多いようだ。時々、木陰に現地の人の粗末な家が見える。その中、強い日差しを遮るように雲が出てきたと思ったら突然強い雨がたたきつけるように降ってきた。これが熱帯のスコールである。道を行く現地の人々は驚いた風もなく歩いている。間もなく雨は止んだ。雲間からさす陽光を受けて雨に打たれた緑の葉が光っている。

 

 車は、やがて人家のない山地にかかる。すると、そこには異様な光景が広がっていた。路面も両側の土手も今までの土とは違うもので覆われている。火山灰であった。そこまでの緑の森は一変して荒涼とした死の世界を思わせる風景が続く。路面には所々ナイフで抉ったような亀裂が出来ている。右手に巨大な山が現われた。一木一草もない正に死の山。そして頂上から麓に向かって、いく筋もの切り裂かれたような割れ目が走っている。

 

 火山の大爆発は1994年9月19日であった。朝6時タブルブル火山が、そして間もなくブルカン火山が爆発し、一帯は灰に埋もれ廃墟になったという。目の前の死の山はブルカンで、ラバウル港の対岸にあってラバウル市を埋めたのがタブルブルである。ガイドの話では二つの火山は海底でつながっているとのことだ。先程の空港の名がニューラバウル空港となっていたのは、灰の下になって使えなくなったラバウル空港のかわりに新しくつくったからである。

 

 

 

※土日祝日は、中村のりお著「今、みる地獄の戦場 -ニューギニア慰霊巡拝の旅―」を連載しています。

 

|

« 人生意気に感ず「テロ準備罪と刑法の原則。ロンドンのビル火災は」 | トップページ | 今、みる地獄の戦場 -ニューギニア慰霊巡拝の旅― 第46回 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/143329/65418193

この記事へのトラックバック一覧です: 今、みる地獄の戦場 -ニューギニア慰霊巡拝の旅― 第45回:

« 人生意気に感ず「テロ準備罪と刑法の原則。ロンドンのビル火災は」 | トップページ | 今、みる地獄の戦場 -ニューギニア慰霊巡拝の旅― 第46回 »