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2017年4月 1日 (土)

今、みる地獄の戦場 -ニューギニア慰霊巡拝の旅― 第 21 回

 

 

 

 

 ふと気づくと現地の子ども達数人が集まっている。子ども達は先程から裸足で山の中を走り回っていた。差し出されたいくつもの小さな手の平に、遺族会の人が飴を配っている。

 

 一人の少年が私に大きなシャコ貝の貝殻を差し出した。私がサンキュー・ベリーマッチと言って手を伸ばすと、少年はニコッと笑いながら恥ずかしそうに、そして貴重な宝を手渡すのを惜しむように、その貝殻を私の手の平にそっと置いた。私が何かプレゼントするものはないかと腰のバッグを探す間もなく、少年はカモシカのように走り去った。私はバッグから赤いマジックを取り出して、貝殻の白いなめらかな面に「素敵なプレゼント、ミッションヒルの少年からもらう、ニューギニア 10月24日」と書いた。

 

 かつての戦場を自分の庭のように走り回る少年立を英霊は木陰から目を細めて眺めているに違いない。そして戦争のむなしさと真の平和とは何かを私達に教えようとしているのではなかろうか。

 

 私は、少年が消えた木立の方角を見詰めながら少年の幸せとこの国の平和を願った。今、私は書斎でこの文を書きながら、目の前の貝殻を眺めあの少年を思い出している。

 

 

 

※土日祝日は、中村のりお著「今、みる地獄の戦場 -ニューギニア慰霊巡拝の旅―」を連載しています。

 

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