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2016年8月13日 (土)

小説「楫取素彦物語」第152回

「ウーム、君たちとは妙な巡り会わせのう。廃娼の火はわしらがつけたようなものだ。の火は群馬で本格的に燃え上がった。君たち若者もその炎のひとつらしい。行きますぞ、群馬に」

 大江はきっぱりと言った。

 三人の若者は予想外の展開に大いに驚きかつ狂喜して凱戦将軍のような気分で前橋に帰った。仲間たちの喜びよう大変なものだった。

「これで、俺たち連合会は大いに勢いずくぞ」

「僕たちの廃娼運動を天下に示すことが出来る」

若者は口々に叫んだ。

 劇場愛宕座が休演の日を会場として使わてくれることになり、その日に大江も都合がつくということで日も決まった。青年たちは一人でも多くの仲間を集めることがその後の運動の勝利につながると信じて頑張った。

その日がやってきた。場内は若者であふれ立錐の余地なき盛況であった。

 大江卓は万雷の拍手に迎えられて壇上に立った。

「諸君、今日、芸娼妓の風習が広く行われていること、この群馬においても復活の動きが見えること、これは、明治五年十月二日の御布告の精神に反することです。この幣風を断じて許してはならない。君たち青年会がこの目的に立ち上がったことには歴史的意味がある」

 大江は開口一番鋭い口調で叫んだ。明治五年の御布告とは何か。歴史的意味とは何か、大江の一声は若者たちの心を衝いた。

 

※土日祝日は、中村紀雄著【小説・楫取素彦】を連載しています。

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