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2016年8月28日 (日)

小説「楫取素彦物語」第157回

 「よし分かった。力を貸すぞ」

「明治維新は青年がやったのだ。頑張ろうじゃないか

 このようにして、会場は大いに盛り上がりその影響は直ちに四方に広がった。

 お金も各地から集まった。ある婦人は正月の帯を買う金だが娼妓を廃するために使ってくれと送金してきたし、十二、十三歳の少女が集まるある婦人会は、少ないけれど運動費の足しにとお金を届けてきた。

 運動がますます盛んになっていったある時、建議湯浅次郎が石島良三郎に言った。

「ここらで、県会に建議書を出したまえ。県民からの建議は意義がある、ましてや君たち青年の建議書には世間が大いに注目するはずだ」

「良い考えですね。気付きませんでした。早速取りかかります」

 良三郎の瞳は燃えていた。自分たち若者の存在が社会に認知されてきたことが何より嬉しかったのだ。

 若者たちは作戦会議を開いた。

「質の良い建議書を作ろう。僕等を低く見ている世間を見返す絶好の機会じゃないか

「それから、廃娼に反対している県議員に攻撃をかけよう」

「それは妙案。名前を調べ、宿舎を捜し、三人一組で押し掛けようではないか」

 次々に意見が出た。若者たちは新しいものを作り出す喜びをかみ締めていた。

 

※土日祝日は、中村紀雄著【小説・楫取素彦】を連載しています。

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