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2016年3月31日 (木)

人生意気に感ず「少女監禁の実態は。ハンセン病の歴史と今。同日選は」

 

 ◇中学生の少女を2年間も誘拐し監禁した今回の事件は驚くべき新しいタイプの犯罪である。少女は保護されたが、心と体が受けた傷は回復困難に違いない。新しいタイプというのは、犯人が長い監禁の間大学生として正常な社会生活を続けていた点である。少女と外出したこともあったらしい。2年間のうち、少なくとも一定期間、平穏な男女の生活があったことが想像される。男がスーパーで女性用品を買う姿も見かけられたという。身体は成長するが心は幼い少女をペットのように扱って自分の型にはめ込んでしまう。人間性を踏みにじるこの種の犯罪は現代社会で広がる可能性がある。少女の人権の問題があるから、2年間の生活の実態が公表されることはないだろう。男はどのように裁かれ責任を負うのか注目を続けたい。 

◇草津の栗生楽泉園の藤田三四郎さんの姿が新聞で報じられている。私は昨年この人に会った。元患者の自治会が組織されていて、その会長を務められている。90歳の風貌は長い間差別と偏見と闘ってきた歴史を静かに物語っているように見えた。恐るべき記憶力に圧倒された。

 

 この日、復元された重監房の一室に実際入って横になってみた。無実を訴え怨を刻んだ壁の文字まで復元されていた。裁判の手続きを経ることもなくここに閉じ込められ、寒さと飢えで多くの人が死んだ。正に日本のアウシュビッツ。このようなことを可能にしたものは、レプラ(癩)に対する偏見と差別であった。

 

 癩の歴史は紀元前まで遡る。近くは、日本が日中戦争から太平洋戦争に向かうころ、誤った国策の下で偏見と差別が助長された事実があった。侵略戦争を聖戦と美化しようとした。このような時、癩は国辱ととらえられがちであった。

 

 人権の観点から、癩に対する偏見と差別を一変させる出来事は日本国憲法の出現である。しかし、人間尊重の憲法が出来ただけでは事態は変わらない。権利は闘いとるもの。裁判による予防法廃止闘争があって、人々は勝利した。権利のための闘争はなおも続き、ハンセン病元患者の家族が偏見と差別の被害を受けたとして、29日、国を相手に賠償を求めて提訴した。家族の苦しみは大変だった。それは国が有効な対策を取らなかった結果である。裁判の行方を注視するつもり。

 

◇夏の参院選は同日選になりそうだ。自民が圧勝するか、いくつ減らすか。新たに選挙権を得る若者の投票行動は。憲法改正がかかる。(読者に感謝)

 

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2016年3月30日 (水)

人生意気に感ず「少女監禁の謎。過去にも異常事例が。安保法の施行」

 

 ◇また不可解な少女監禁事件が発生した。二年間も。容疑者はこの間、千葉大に通っていた。少女とどういう生活をしていたのか。昔見た「コレクター」という洋画を思い出す。昆虫の標本をコレクト(蒐集)するように若い女を地下室に閉じ込めるミステリー。今回の事件は少女は元気で生還したようだが、遠くからは不可解に思える。 

 寺内という容疑者は、少女の名前を読んで車に乗せた。見た目のいいお兄さんの巧みな誘いに少女は疑わずに乗じてしまったらしい。呪縛にかけられた様に長い間自主的な行動をとれなくなるという心理はなぞだ。

 

 寺内は少女連れ去りの前年アメリカに留学もしている。「捜さないで」という少女の手紙は書かされたとのこと。寺内の卒業は取り消されるようで、少女は中学卒業証書を渡される。

 

続発する少女監禁事件は現代社会の病理が産むと思える。健全な男女関係を作れない男が増えている。渦巻く欲望の社会で自分を失って流されていく若者。それに手を差し伸べられない社会。

 

◇過去にもとんでもない女性監禁事件があった。記憶に生々しいのは一つは新潟県の9年間の監禁、もう一つは4人の女性を首輪をつけたりして虐待した都内の事件。

 

 新潟の例は高齢の母親が階下に同居。9年2カ月間逃げ出せなかったのが不思議だった。洗脳されペットになってしまったのか。都内の事件は鎖でつなぎ「ご主人様」と呼ばせ、熱湯をかけ「ヤクザが見張っている」と言って脅した。被害女性の一人は「ペットでもいいから一生置いてもらうしかないと思った」と語った。現代社会は異常な人間を生み、異常な犯罪を可能にする。今回保護された少女が社会で健全に生きていく力を取り戻すことを祈りたい。

 

◇安全保障関連法が29日午前0時に施行された。憲法違反の声がある。夏の参院選の争点になる。表面の雰囲気に流されて賛否を決めると国の方針を誤ることになる。中国の最近の膨脹主義はかつての日本軍のようだ。北朝鮮の暴走と脅威は止まらない。日本人が海外でテロに巻き込まれる危険性が増える中で、自衛隊がその救出に向かう必要がある。これらに備えるために我が国の自衛力を高め国民を守ることが安保法の使命。ただ、政府の裁量に委ねる部分は国民が厳に監視しなければならない。(読者に感謝)

 

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2016年3月29日 (火)

人生意気に感ず「アメリカ史と暗殺。トランプは防弾チョッキ。北海道新幹線・テロの恐怖」

◇私の中でトランプへの期待と興味が急にしぼみつつある。一つのきっかけは安全保障に関する日本への言及等であるが、大統領への道が現実的になるにつれ、西部劇を見るような野次馬気分ではいられないと気付いたからだ。

 トランプ現象はアメリカの病理の現われに違いない。それは同時に民主主義の限界を示すものかも知れない。民主主義は素晴らしい理想である。それだけに現実との乖離は大きい。その大きさは、政治の現実適応性の欠如を示す。政治は人々の生活と密着するから理想にいつまでも近づけなければ期待は失望に変わる。失望が続けば病理を生む。トランプの躍進を支えるものはアメリカの民主主義の病理に違いない。

◇それでも私はアメリカの理想を信じる。建国の理念は脈々と流れ世界の潮流となって遂に黒人大統領を生んだ。トランプの本質がこの流れに反するものなら、アメリカの良識は彼が大統領になることを許さないだろう。

 最近のトランプは公の場に出るとき防弾チョッキを身に付けるという。暗殺を恐れているのだ。大統領の暗殺と言えばダラスに於けるケネディの例が余りに有名で私の記憶にも生々しい。しかし、アメリカ大統領の歴史で暗殺が伝説となっているのは16代のリンカーン。アメリカでは、これまでの44人の大統領中4人が暗殺された。候補者段階で暗殺された例は知らないが、トランプの動向には暗殺の影がちらつく。

◇悲願の北海道新幹線が開業した。新函館北斗―新青森間の149キロが26日開業。新幹線時代の幕開けは昭和39年(1964)。この年10月1日に東海道新幹線が開業し、同年10日、東京オリンピックが開かれた。高度経済成長の速度を象徴するような出来事だった。以来半世紀。新幹線は北の大地から鹿児島県まで2150キロに伸びた。美しい姿が滑らかに矢のように列島を走る。新しい日本の幕開けを象徴する。快適さと安全は日本の技術を物語る。沿線の自然の美しさと変化は日本列島ならではのもの。時は、新たな観光の時代。世界の人々が日本に押し寄せている。新たな新幹線はこの流れを加速させる。技術と機械はおもてなしの心に支えられて光る。観光とは光を見せること。光とは地方の特色である。

◇世界的なテロの時代。美しく安全な日本をテロから守らねばならない。貴重な文化遺産も壊すISだ。新幹線を狙わないとはいえない。(読者に感謝)

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2016年3月28日 (月)

人生意気に感ず「ふるさと塾で真珠湾攻撃を。太平洋戦争とは。次はミッドウェイとニューギニア」

 

 

◇26日の「ふるさと塾」はテーマを変更して「真珠湾攻撃」にした。太平洋戦争を始まりから辿る必要を感じたからだ。冒頭、私は「大きな歴史の流れに、出来事を位置づけて考えねばなりません」と述べた。絶望的な外交交渉が続けられる中で攻撃の秘策は練られ決行された。戦争回避のためアメリカが突きつけた条件は中国からの撤退だった。昭和天皇が、東條首相に受け入れをはっきり述べれば回避は可能だったかも。明治憲法の下でも、立憲君主制の原則から天皇は政治を動かす言動は慎んだ。「しかし」と私は思う。 

 数千キロも離れたハワイへ気づかれずに近づいて攻撃することは不可能と思われた。「ニイタカヤマノボレ1208」、「トラ、トラ、トラ」。これらはそれぞれ「決行せよ」、「奇襲に成功せり」の暗号伝文である。30分前に通告の予定が外交官のミス等で1時間20分も遅れた。「だまし討ち」ととられても当然。ルーズベルトは議会で「恥辱の日」と訴え、国民は憤激。「リメンバー・パールハーバー」が世論となりアメリカは直ちに日本に宣戦。同時にドイツにも。チャーチルは、これでヒトラー、ムッソリーニの運命は決まった。日本は完膚無きまでに打ちのめされるだろう」と狂喜したという。

 

◇真珠湾の勝利は中途半端であった。巨大な石油基地、修理工場を叩かなかったため、アメリカの立ち直りは早かったのだ。また、山本長官はミッドウェーの攻撃も支持したが南雲中将軍は決断しなかった。来月は、ミッドウェー海戦からニューギニアに入ることになる。

 

◇特殊潜航艇で湾内に侵入し帰らぬ人となった26歳の岩佐直治は前橋の人で、前中から海軍兵学校に進んだ人。この話に及んだ時、塾生の女性が驚くべき発言をした。「私が小学校6年の時、軍神岩佐直治の映画がつくられ、エキストラで出演しました」。これを聞いた他の塾生は、「その映画を捜しましょう」と言った。

 

 次回は「ミッドウェイとニューギニア」と告げたら、「岩田亀作さんを呼べませんか」という提案が出た。地獄の戦場・ニューギニアからの生還者は98歳。先日の祝賀会は、体調が悪いとかで出られなかった。もし、来月の第4土曜の「ふるさと塾」に出席可能とすれば、岩田さんにとって、恐らく人々にニューギニアを語る最後の機会になるだろう。万全なサポートの下で出席可能か話をしてみるつもりである。(読者に感謝)

 

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2016年3月27日 (日)

小説「楫取素彦物語」第108回

東国へ

 

 

 二条窪の人たちは別れ惜しんだ。

 寿は人々に語りかけた。

「私も皆様と別れるのが辛いです。しかし、これからは日本は一つ。関所はないのです。お会いする日はきっと来るでしょう。

お願いがございます。法話はこれまで通り続けてくださいね。世の中の変化はこれから一層激しくなるでしょう。その時の心の支えは御教えです。私と皆様、遠く離れた地にあってもこの教えによって結ばれているのです。私は、かの地で御仏に手を合せるとき、皆様のお顔を思い出すでしょう。皆様もそうしていただけますか」

 一同はみな頷いた。その中には清助、三太、五平、おゆり、おかよの姿もあった。

「それから、私は関東の地で、このような法話を実現したいと考えています。いつの日か両地の法話の集いの交流が出来れば、どんなに楽しいことでしょうね。」

 二条窪の人たちが手を振って見送る中、楫取夫妻は去っていった。立木の道を曲がるとき振り返ると、まだ、手を振っている人々の姿があった。

「あなた様、まだ手を振っています

 寿は流れる涙を拭いながら伸びあがって手を振り返した。楫取も手を振った。

さようならー」

「お達者でー」

 人々の声が楫取山に響いた。

「どのように世の中が変わろうと、こういう声を踏まえて政治は行われなければならない」

 楫取は自分に言い聞かせるようにつぶやいた。

 

※土日祝日は中村紀雄著「小説 楫取素彦」を連載しています。

 

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2016年3月26日 (土)

小説「楫取素彦物語」第107回

二人は、固い握手を交わして別れた。その夜、楫取は寿に幻馬のことを話した。

「良いお話でございますね。しばらく二条窪で生活し、新しい力が湧いてきましたね。私はあなた様を見ていて、このままこの田園で過ごすことには不安でございました」

「どういうことかな」

楫取はそう言って妻の顔を覗き込んだ。

「あなた様は、やはり、世のために大きく活躍される方と考えたのでございます。二条窪は本当に幸せでした。この経験を新しい世界で生かすことがあなた様のために大切ではないかと」

楫取は黙って妻の話しに耳を傾けている。

東国は兄が首を斬られた所、武州や上州は恐い所と考えていましたが新しい希望が湧いてまいりました。二条窪の経験が生かせるかも知れません。なんだか、兄の導きのような気がいたします

「よくぞ申した。実は私も、松陰殿のことを考えてた。私たちが東国へ向かうときの松陰殿の贈り物があの言葉、至誠にして動かざるは未だあらざるなりだ。新しい希望が湧いてきたな」

「あなた様、本当でございます

 二人の胸には青年のような清新な炎が立ち上がり始めていた。

楫取は明治五年足柄県参事となり、明治七年、熊谷県権令に転じ、明治九年四月、昇格して熊谷県令に就任、同年八月熊谷県が群馬県と改められたため初代の群馬県令となった。

 

※土日祝日は中村紀雄著「小説 楫取素彦」を連載しています。

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2016年3月25日 (金)

人生意気に感ず「都市のテロが近づいている。乙武の不倫は。虐待児童の増加は」

 

 ◇ISのテロが止まらない。パリに続いて今度はベルギーで起き、34人が死亡し230人以上が負傷した。このうち空港の死者20人は自爆テロと断定された。情報の洪水に流される中で、一つ一つの大事件は忘却の彼方に遠ざかろうとするが、まとめて見詰めれば途方もないことが進んでいることを知る。 

 ヨーロッパの最近のテロによる死を列挙すれば、2004年スペインで190人、05年ロンドンで52人、11年ノルウェーで77人、15年はパリで2回、計147人。そして16年今回のベルギーでの34人だ。こう見ると凄まじい数字だ。

 

 犯行は大都市の市民が日常生活をしている所で無差別に行われる。犯人は、一般市民に紛れて秘かに爆弾を持ち込み、あるいはマンションの一室で製造する。新しい型の戦争が世界に広がりつつある。日本は大丈夫ということは絶対にない。犯人がその気になれば日本は最も狙い易い国の一つだろう。

 

 伊勢志摩サミットが注目させているが、大都市は皆伊勢志摩サミットのようなものだ。ISに参加するためにシリアに向かおうとした日本人がトルコ当局に拘束された。日本人の中にもこういう人物がいることは何を物語るのか。

 

 こういう事態に対して、政治家の役割は極めて重大な筈なのに、危機感が窺えない。政治不信は極点に達した感がある。日本は正に内憂外患である。

 

◇乙武氏が5人の女性と不倫したニュースは、遂にここまで来たかの感を抱かせる。「五体不満足」の著者で、政治家になってもそのイメージは不倫とは無縁と思われた。今や「不倫」は珍しいことでなく、反道徳、反倫理の色が薄らぎつつあるようだ。社会が大きく崩れていくことを示すものか。夏の参院選に東京選挙区から出馬というが、どういう結果になるか目が離せない。スキャンダルが仮りに響かないとすれば、不倫という言葉が死語に近づくだろう。

 

◇父親から暴力を受け児童相談所も対応できず自殺に追い込まれた少年のことは決して珍しい例ではない。現代の社会が生み出している現象なのだ。警察が児相に通告した昨年の子どもは前年より28%増の3万7千20人。年々増加していることは異常である。警察庁長官が「憂慮すべき事態」と表明したのは、生命に危険がある状態の保護が3年連続増加の2,624人に上るなど深刻だからだ。表面に現れない例も多い筈だ。(読者に感謝)

 

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2016年3月24日 (木)

人生意気に感ず「県会で御礼を。一太さんのブログ。佐田代議士のこと。県立女子大で」

 

◇3月22日、叙勲祝賀会の翌日、午前9時25分、自民党控室で御礼の挨拶。23名の県議が参加してくれた。古巣の人々は、温かく私を迎えてくれた。この日、3月県議会の最終日であった。挨拶を終えて一階の政策広報課に寄ると栗原課長が、「早速一太さんがブログで先生のことを清廉潔白とはこの人のためにある言葉と書いていますよ」と、そっと言った。

 

 栗原課長は妻の一中の教え子で「優秀でクラスをよくまとめてくれた」と日頃話題にしている人。祝賀会では久しぶりに会えたことを妻は喜んでいた。

 

 山本一太さんには過分の言葉を頂き恐縮しているが、一太さんの御挨拶はいつもながら光っていた。私がブログで妻の笑顔を喜ぶ下りを紹介した話しぶりを多くの人々は興味深く受け止めていたようだ。一太さんのブログにもあることであるが、佐田代議士の姿はなかった。招待できなかったのは苦渋の決断であった。この人は地獄の苦しみを味わっているに違いない。窮地に立たされた政治家は行動と結果で世論に応える以外に道はない。

 

◇昨日(23日)は県立女子大の卒業式に出た。控室には既に、角田玉村町長がおられ、深代県総務部長、岩井議長も姿を現した。角田新町長は、かつて私と共に、抑制廃止研究会を立ち上げ、初代の会長を務められた。「抑制廃止」とは高齢者の自由を抑制することの廃止を意味する。私は、いつまでも止まない高齢者の虐待の根底には人権への理解の欠如があると訴え続けている。

 

◇壇上から綺麗に正装した女性たちを見て、この大学の品格を感じた。私はかつて、この大学の幹部と大連外国語学院を訪ね、両大学の友好関係を締結させた。旅順のキャンパスには「日中友好中村文庫」がある。楫取素彦顕彰会の役員を務められる濱口学長は謹厳実直にして高名な漢学者である。式辞の中に素養の一端が感じられた。学生たちの琴の音が流れていた。

 

◇午前2時に起床して、先ず、二日後に迫った「ふるさと塾」の準備をした。今回は「太平洋戦争」の第一回。真珠湾攻撃からニューギニア戦至るあたりを映像で語る。「ニイタカヤマノボレ1208」は攻撃決定の、「トラ、トラ、トラ」は、奇襲成功の、それぞれ暗号電文。日本民族の運命の歴史を辿る。真実を知らずして教訓を引き出すことは出来ない。26日、6時半。日吉1丁目の福祉会館。(読者に感謝)

 

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2016年3月23日 (水)

人生意気に感ず「叙勲の祝で。母を語る。中学の恩師。自殺対策法」

 

 ◇叙勲祝賀会は成功裏に終わった。受章を支えてくれた人々は小学校の時から現在に至るまで限りなく多い。絞って人選しても420人になった。ロイヤルホテルの鳳凰と繭玉の2会場は溢れる程だった。鳳凰の間は議員や団体の関係者、繭玉は絆で繋がる人々。一方の状況は大スクリーンで他方に伝わった。混乱もなく実現出来たのは多くのボランティアスタッフの協力と綿密に練った計画の賜。多くの方々が「面白くて充実していた」と言ってくれたのは、「式次第」をドラマの流れと意識して工夫した結果と思われる。来賓には楫取能彦氏が登場、私は自分の人生の歩みを映像で辿り、和装の朱坤霞さんは「故郷」、「浜辺の歌」、「リンゴの歌」などをみなぎる美しい声量で歌い、90歳の恩師は私の中学時代を語ってくれた。 

 政治家の挨拶は兎角形式に流れ面白みに欠けるがこの日は違った。中曽根さんは私の恩師林健太郎さんを語り、一太さんは私のブログを取り上げ、尾身朝子さんは「父と長い間の盟友だった」と振り返った。

 

◇中学の恩師大館光子さんが当時言ってくれた「君はずっと何かを書き続けた方がいいよ」の一言は私の生涯の支えとなったし、元東大総長林健太郎先生が県民会館に駆け付け「歴史を活かした政治家になれ」と言ってくれたことは私の政治家のバックボーンとなった。林先生の姿はこの日の映像の一コマであった。

 

◇私は会場の雰囲気に呑まれて筋書きにない母を語った。ランプの下で代わる代わる本を読んだこと、夜間高校から東大を受ける時、又、泡沫の状態から県議選に出馬する時も「そいうかい」と言って一切反対しなかったことが大きな支えになったことなどである。昨日、母と亡き妻の墓を訪ね、叙勲祝賀会のことを報告した。私の描く人生の軌跡はあと25年。その時、これらの人とあの世とやらで再会することになるだろう。大館先生は「人生これから」と言ってくれた。多くの人々に感謝感謝。

 

◇昨日、改正自殺対策基本法が成立した。日本は豊かで平和なのに自殺大国。長いこと年間3万人以上が続いた。人は地域の人々に支えられて生きる。地域には地域ごとの特色がある。それに基づいた地域の対策が必須。改正法は地域の計画を義務づけた。議長の時、アルゼンチンを訪ねた。人々は豊かな日本人がなぜ自殺するのか不思議がった。自殺は病める社会に淵源がある。健全な精神を育む学校教育の役割は大。(読者に感謝)

 

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2016年3月21日 (月)

人生意気に感ず「神戸女児殺害に死刑。死刑制度と裁判員制度。終身刑を」

 

 ◇女児殺害の裁判員裁判で、神戸地裁は死刑を言い渡した。栃木県でも女児に関する犯罪が多発し、その一つである今立小女児殺害の公判が進んでいる。こちらも裁判員裁判である。女児に対する残虐な犯罪は跡を絶たない。司法の民主化の一環としてスタートした裁判員裁判は定着したようだが死刑判決に向き合うことに、一般市民は耐えきれない程の重荷を感じることだろう。 

 死刑は究極の刑である。人類が社会生活を始めて以来、秩序を維持する手段として刑罰は不可避であった。最古の成文刑法としてハムラビ法典は有名。「目には目を」というこの法の応報刑の本質は現在の私たちの刑罰の根幹をなしている。しかし、刑の目的は応報に尽きることではない。人権を尊重する社会では、特に教育と更生をも重視せざるを得ない。

 

◇憲法36条は「残虐な刑罰は絶対に禁ずる」と定める。死刑は残虐な刑ではないというのが最高裁の判例である。私は基本的には死刑廃止論者であるが、死刑の犯罪抑止力は否定しえない。最近の凶悪事件の傾向の下で死刑肯定の世論は圧倒的に思える。しかし、文明国にあって、特に人権を重んずる憲法の下で死刑の運用は抑制的でなければならない。

 

◇従来の判例の傾向は、「複数を殺し、更生の可能性がない場合」に極刑を科すというのが相場であった。先行事例との「公平性」ということも重要である。ところが、最近は、一人を殺した場合の死刑が増え始めた。今回の神戸地裁もそうである。4件目である。裁判長は、「残虐性が高く、死体損壊も凄惨、人命軽視は甚だしく顕著で死刑を回避する事情は見当たらない」と述べた。

 

◇上級審がどう判断するか注目される。裁判員裁判は司法に民意を反映させることを一つの目的とする。職業裁判官は慣れで人を裁くから血の通った裁判がなされない恐れもあると言われる。逆に素人の裁判員は感情に動かされる恐れなしとしない。私の周辺の女性などは異口同音に、今回のような事件に関し「当然死刑よ」と言い切る。死刑に伴う問題は「冤罪」である。万一の時、取り返しがつかない。もう一つの制度上の問題は死刑と無期の差が大きすぎる。選択肢がないことで死刑になるという事態は避けなければならない。死刑囚の手記を読んだ。バッタバッタと執行する国もある。団藤重光さんの廃止論を聴いたことがある。(読者に感謝)

 

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小説「楫取素彦物語」第106回

「殖産興業で産業革命を実現させねば外国に追いつくことは出来ない。上州の生糸に目をつけるのは開港以来のことを考えれば自然の流れですな」

楫取の顔には強い興味が現れていた。

上州はこれからの日本の要なのだ。それ以上に重要なことは、上州は古来、徳川の地、その北には会津がある。薩長とすれば、上州は新国家の生死を決める所。そこで、楫取殿、あなたの登場となったの。私の思いを勝手に話したまでだが、土佐の力、黒潮の力が働いていると思ってくれ

「あなたの情報力は益々もってすごい」

「は、は、新時代の隠密です。冗談はともかく、今、一つ言いたいことがあります。新政府には利権を求めて魑魅魍魎が集まってる。そういう中をかきわけて生きるには、適さない男が楫取だと思う。松陰もそうだった。楫取殿、上州の地で、松陰の夢を果たしてくれぬか。釈迦に説法を承知で申しています。私には松陰と馬が乗り移っていると思ってもらえまいか」

 幻馬は一気に語った。楫取は胸のもやもやが晴れる思いで聞いていた。

「貿易のことで、岩崎弥太郎と共に楫取殿のお世話になることがあるかも知れぬ。いつかあなたの新天地で、お綱と共に会える日が楽しみだ」

 幻馬はここで思い出したように妙なことを言った。

「そうだ、幻馬の習いで今気になる事件がある。横浜の沖に奴隷船がおって、多くの清国人が閉じ込められていてな、血気はやる政府役人はこれを解放したために、船元のペルー国との間で、裁判沙汰が始まった。幻馬の勘だが、この事件が日本の将来に影響を与えると睨んでいる。新しい世界へ旅立つ楫取殿、この奴隷船マリア・ルーズ号事件注意を払ってくれ

楫取は不思議な事件だなと思いつつ、この時は深く考えることもなく頷いた。

 

※土日祝日は中村紀雄著「小説 楫取素彦」を連載しています

 

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2016年3月20日 (日)

小説「楫取素彦物語」第105回

幻馬は意外なことを言い出した。

「して、なぜ土佐は天下が分かるのですか」

「長州と薩摩は渦中の者、維新政府を動かす当事者として熱くなってる。誰も自分のことは良く分からぬもの。その点、土佐は第三者の存在、一歩外で政府を見ているのだ」

 なるほどと思いながら、また、この男、今でも謎だなと楫取は幻馬の目を見た。

「楫取殿が田舎に隠棲と知った時は、新政府への不満もあるのかと思いました、それはどうでもよいことだ。ところが、今度、足柄県参事とは驚きです。松陰と共に長州の熱時代を生き、薩長同盟に馬と共にかかわり、藩主敬親公の懐刀として朝幕間を奔走した男を遇するにはいかがなことかと思ったのです。あなたの心中にも不満があったのではなかろうか」

 楫取が身を乗り出して何か言おうとするのを制して、幻馬は言った。

「まあ、聞いてくれ。そんなことは小さなこと。これからが本筋の話なのだ。私は、伊藤や木戸や大久保は何を考えているのかと思った。秘かに要路の者に聞いてみた。私の組織で調べてもみた。その結果、得心いたしたことがありました。それは、政府はあなたを、東国経営の要としようとしていることです。足柄県は布石の一歩。もなく大熊谷県の県令に据える考えでいる

楫取は東国経営と聞きながら、ふと、その昔、兄剛蔵が、新時代になれば朝廷の命令でお前が東国で仕事をすることもあるのだと言ったことを思い出した。

今、殖産興業の動きの真っただ中。その中心は生糸で、上州の生糸には世界の目が集まっている。私は今、貿易にも関わっているが、前橋の生糸は大変なものだ。この点はお綱が一番よく知っている。こんなことを踏まえて、政府は熊谷県、上州の富岡に大規模な官営の製糸場を作ろうとしている

ここで幻馬は楫取が何か言おうとするのを見て話を止めた。

 

 

※土日祝日は中村紀雄著「小説 楫取素彦」を連載しています

 

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2016年3月19日 (土)

小説「楫取素彦物語」第104回

楫取が迷っている時、思いがけない人物の来訪を受けた。あの幻馬である。すっかり様子が変わり謎めいた影は感じさせない。驚く楫取を見据えて幻馬は言った。

「世の中すっかり変わりましたな。今は、昔の幻馬ではない。岩崎弥太郎の下で動いております。馬が生きておったら、馬を支えていたかも知れん」

「岩崎弥太郎の土佐商会は、日本の経済を動かす存在ではないか。正に新時代の仕事ですな」

「土佐商会は土佐の黒潮に乗ってる。土佐人だから出来る海運業。やりがいのある裏方で支える仕事だ。様々の調査をして事業に役立てる。岩崎にも時々会っている山口に所用があり、楫取殿に会いたくなって参りました」

「時代の変化は目を見張るばかり。暫く田舎にこもり、考える機会を得ました。」

「相変わらず情報を集めることに携わってるので、今日は、ちと、昔の続きで話したいことがあります。あなたの役に立てば嬉しいと存じます」

「長崎や宰府が懐かしい。今は、幻馬ではあるまい。お綱殿はいかがしておられるか」

「は、は、は。懐かしい。あなたとの間では、幻馬を生かそうではないか。今日の話も幻馬が語ると思ってくれ。お綱も頑張っております。異国語を学び、貿易のことで動いている。上海へ行ったり、アメリカにも行って来た。どこかで会うことがあれば、楫取殿はさぞ驚くことだろう」

 楫取は、長崎で初めて会った時の御高祖頭巾の女を懐かしく思い出していた。

「土佐の者には、天下の動きがよく分かるのだ」

 

※土日祝日は中村紀雄著「小説 楫取素彦」を連載しています

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2016年3月18日 (金)

人生意気に感ず「清原の保釈と薬の恐怖。球団と現金はどこまで。リベンジポルノの先」

 

 ◇清原が保釈された。繰り返される芸能人等有名人の薬物事件。欲望が渦巻く享楽の社会で心の芯を失った人々が流されていく。3人に1人が癌で死に、高齢社会は認知症の世界として行く手に広がっている。先に希望が見出せない人々は刹那主義になり暗い渕に落ちていく。精神の危機は日本の危機の最たるもの。日本の地盤が壊れていく。昨年あるところで、「享楽」の社会だと書いたら「何が享楽だ、直せ」と言われた嫌な思い出が甦る。 

◇人間の人間たる由縁は脳細胞にある。薬物はこの脳細胞に食い込むのだから始末が悪い。私は「群馬ダルク」に関わりを持つが、依存症の体験者は、脳には影響が残り完全に消し去ることは不可能だと語る。

 

 膨大な量の覚醒剤が輸入されている。入手のために清原が度々群馬に来ていたことは覚醒剤が私たちの身近であることを窺わせる。初公判は5月17日に開かれる。清原は「一から出直し必ず構成することを決意しています」とメッセージを出し、かつての友桑田は「まずはゆっくり休んでほしい」と新聞で語る。何となく社会が「ご苦労さん」と同情している雰囲気にも。簡単にテレビへ復帰させている事実が続いてきた。人間を壊し社会を滅ぼす罪人を甘やかしてはいけない。

 

◇かつて、イギリスは中国、清にアヘンを売り込み、清がアヘン船を攻撃したことからアヘン戦争になった。中国が現在、覚せい剤の犯罪に関して死刑まである厳罰で臨むことには、このような歴史的背景があるのではないか。他山の石とすべきだ。

 

◇現金のやり取りで巨人に激震が走っている。既に摘発されている野球賭博の背景となっており、同じ土壌から発生していると、国民の目には見える。「声出し」とかに関し現金をやりとりしていた球団は巨人の他、楽天、ロッテ、阪神、西武、ソフトバンクに及び計7球団と分かった。スポーツを山に例えるならエベレストに当たるのがオリンピック。これも今、ドーピングで大揺れだ。

 

◇交際相手の裸を流出させるリベンジポルノが流行っているというから驚きである。リベンジは復讐を意味する。昨年1年間の警察への相談は1143件。氷山の一角では。リベンジポルノを規制する法の施行は2014年。昔は女性が裸を写真に撮らせるなど論外だった。漂流する日本の行き着く先は。(読者に感謝)

 

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2016年3月17日 (木)

人生意気に感ず「叙勲祝賀会近づく。止まらないトランプ。民主主義の危機」

 

 ◇昨日、21日の叙勲祝賀会に向けて最後の打ち合わせを行った。ロイヤルホテルの二つの会場を使う。420人を超える参加者。私の生涯で最後の大きな集いになるだろう。振り返れば県民会館、グリーンドームなどで大きな集会を限りなく行ってきた。7期の県議生活を続けてきたのだから無理もない。多くの同志がボランティアで支えてくれたから可能であった。今回も多くの人たちが役割を担ってくれる。 

 旭日小綬章である。県議在職中は軽く他人事に考えていたが、いざ現実に受章となると

 

叙勲制制度の重みを感じる。皇室に関する日本の文化とそれを受け止める国民の感情は社会を支える基盤を成している。

 

 何よりも嬉しいのは妻の笑顔が甦ったこと。長く辛いトンネルからやっと抜け出した。妻は皇居へも行けなかった。最悪の場合、妻不在の祝賀も考えていた。

 

◇トランプ不動産王の躍進が止まらない。ミニスーパーチューズデーと呼ばれる天王山を制した。トランプはこのまま走り続けて共和党の大統領候補になるのであろうか。大統領候補決定に至る道のりが非常に長いことには大きな意味があると思っていた。その間厳しい選別の目に晒され、偽物はふるい落とされていくからだ。トランプが大方の予想を裏切って躍進を続けていることは何を意味するのか。

 

 トランプ現象は止まらない。アメリカは高い理想を掲げた国だが、理想と現実の差は非常に大きい。この差を埋めて理想に近づけることが民主主義の姿であるが、いつまでも差が埋まらず矛盾が拡大すれば、矛盾に苦しむ人々は失望し大勢を破壊しようとする。トランプ現象はアメリカの矛盾が噴出した結果であろう。

 

◇このような民主主義への失望は世界に広がっている。美しい理想は格差の前に膝を屈しようとしている。この失望の「影」のところにテロが広がっている。今や全世界で毎日のようにテロが発生し、戦争状態である。ある専門家は、世界観に基づいて、個人が自発的にテロを行う時代に入ったと指摘する。クローズアップ現代が極く普通の平和な家庭の夫婦がテロ犯になった事実を分析している。インターネットで様々な情報が伝わり、爆弾の作り方まで手に入る。平和で美しい国日本も危機に晒されている。私たちはどのようにして、国と社会を守るべきか。今一人一人に問われている。(読者に感謝)

 

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2016年3月16日 (水)

人生意気に感ず「ISの非道。レイプを恐れ焼身。東京で楫取の映画。巨人と金」

 

 ◇全身がケロイド状の少女が病床に横たわっている。のっぺらぼうの顔にある二つの穴は少女の目。レイプを恐れてガソリンをかぶって自ら火をつけたという。クローズアップ現代でISの恐怖の実態を知った。3千人以上の少女が拉致され奴隷市場で売られる。形は兵士の妻としてあてがわれる。妻を持てない男をエサとして誘っているというのだ。若くて男性経験のない女性ほど高価だという。一人の兵士がいく人も妻を持ち次々に転売される。信じられない話だが、国連の役人が語っているのだ。幼い男の子は洗脳され自爆テロ犯に仕立てられるという。 

「IS」は仮にも、イスラム教の正統を名乗っている。少女を組織的にレイプの対象にし、少年に自爆テロを実行させる。神の名でこのようなことが許される筈がない。歴史の過程で、欧米の理不尽があったとしても、ISの行為に一片の正義も認めることは出来ないと思った。このような情報が世界に広がれば、イスラム教徒はみなそっぽを向くに違いない。

 

 先日、留学生日本語弁論大会でイスラム教徒の学生がイスラム教について語っていた。彼は、イスラム教は平和を求める宗教であることを熱心に訴えていた。イスラム教といえば、ISを連想させる世の風潮に迷惑しているに違いない。

 

◇昨日、午後6時からJR新橋駅前ビルで行われた映画「楫取素彦物語」の上映会に出た。私が企画原作のこの映画の上映、東京では初めて。当初、私の「講演」を予定していたが、映画がアメリカの映画祭でプラチナ賞を得たことから、私の話は15分になった。私は、楫取の業績の第一は女性解放という人権尊重を実施した点であると話した。そして、「学者にしては血が熱きに過ぎ、志士にしては学があり過ぎると大川周明のことを評した人がいましたが楫取は、学者にして志士でした」と私は語った。映画は好評だった。東京の夜は身を切るような寒さ。軽装の私はマスクに救われる思いだった。マスクがかなり防寒の役を果たすことを実感した。

 

◇昨日、東京の駅頭で目に飛び込むスポーツ紙の記事は「巨人と金」。巨人の選手が公式選の勝敗を対象に現金をやりとりしていた。巨人は賭博ではないとしているがダーティなイメージは免れない。「連勝して金額が跳ね上がる。わざと打たれないこともあり得る」との証言も。球界の盟主、巨人の星の飛雄馬と相いれない出来事だ。大きな問題だと思う。(読者に感謝)

 

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2016年3月15日 (火)

人生意気に感ず「憲法改正は成るか。女子大生に憲法を。北はどこまでもつか」

 

 ◇船出後70年、日本丸の羅針盤が変えられようとしている。日本丸の浮沈が懸る大事。海は大荒れである。首相は自分の政権での憲法改正を明言。それは衆参各院で三分の二以上の多数の賛成を要する。海の大荒ればかりでなく船内も大問題を抱え激しく揺れている。アベノミクスの赤信号、政治家の相次ぐ不祥事等。7月の参院選は既定のことだが衆院選も確実視される。衆院の方は解散に係るから安倍首相の腹次第だ。 

 最近の世論調査では、夏の選挙後の改憲賛成議員数につき「三分の二以上を望まない」が47%となり、前回調査より増えた。この数は選挙が近づく時変化するに違いない。国民の学習する機会が増えるからだ。多くの国民は憲法の本質を知らないのが実情である。改憲の手続きを踏めば如何ようにも変えられると思っている人が意外に多い。改正権には限界があるのだ。

 

◇12日、育英短大の卒業式で挨拶した。広い体育館は百花繚乱のお花畑のようだ。私はこの花が大海に呑みこまれる様を想像しながら挨拶に立った。10日の留学生日本語弁論大会で外国の若者が日本の礼節に感動した様子に触れ、「その礼節が失われつつあります。子が親を殺し、親が子を殺すことが珍しくなくなりました。日本古来の礼節は国際化時代のパスポートです」

 

 お花畑の光景を眺めながら、私は日本国憲法の話をした。価値観が揺れ動く時代にあって心の座標軸となるものがないと生きられないと訴えたのである。

 

「今、憲法改正が国会で議論されていますが変えてはならないこと、変えることが出来ない点は、人間の尊重、つまり基本的人権、国民一人一人が政治の主人公である国民主権、そして平和主義です。これらの普遍的価値を自分のものとして、増々大きくなる女性の役割を果たして下さい」

 

 会場の雰囲気に高揚して話したが、卒業式に憲法の理念を話すのは異例かも知れない。のどかなお花畑に緊張の風を送り得たかと思う。

 

◇国際的に独立し、四面楚歌の北朝鮮はどうなるか。国連が制裁の強化を可決し、米韓は未曽有の合同軍事演習。独裁者金正恩は反対する側近を次々に処刑。密告を奨励し「裏山に針一本落ちる音もすべて報告しろ」と厳命。核だけを頼りに、このような国がどこまで生きながらえるのか現代の珍事にして奇蹟である。(読者に感謝)

 

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2016年3月14日 (月)

人生意気に感ず「琴奨菊の勝利。2横綱の敗北。甲状腺がん多発。群馬は?」

 ◇大相撲の初日は波乱があり面白かった。琴奨菊が勝って2横綱が負けた。琴奨菊を応援していた私は初日が心配だった。前場所優勝し美人妻と結婚。落ち着いて練習出来なかったのではないか。全身毛で覆われた猛牛のような高安と対峙した時、私は新妻の胸中を思った。妻に報告する琴奨菊の姿が目に浮かぶ。

 

 豊ノ島が鶴竜を破り、宝富士が白鵬を下した。久々に溜飲を下げた瞬間だった。国技であり、典型的な日本文化の象徴でありながら日本人横綱がなかなか現れない。土俵が国際化を現すのはいいが、この先どうなってしまうのか不安で淋しかった。2横綱を倒した日本人力士の姿は日本の相撲界の健在振りを窺わせる。観客席に女性の姿が増えていることは、相撲を支える国民の間の変化を物語るものか。

 

◇「3・11」から5年。東北の復活の動きが連日伝えられているが、原発事故は終息しない。放射能の恐怖、広がる死の街、廃炉には未だ40年もかかるという。こういう点をとらえるなら原発事故の悲惨さは広島・長崎以上ではないか。

 

 福島県の子どもたちに甲状腺がんが多発している。事故当時18歳未満だった子どもたち116人ががんと診断された。通常の発生率の数十倍という。福島県の検討委員会は「現時点で原発事故の影響とは考えにくい」と説明。

 

 甲状腺がんは放射性ヨウ素が原因で起きる。当時、私は福島の被災地に向かった時、予防薬ヨウドカリを飲んだ。放射性ヨウ素の半減期は8日間で短い。しかし、この8日間で被爆する可能性があった。子どもの喉がやられ、通常5年後に発症すると言われる。その事実はチェルノブイリで実証されている。原発事故から5年たった。甲状腺がんの今後が注目される。

 

◇私は県議現職の頃、議会でこの問題を取り上げた。大規模な調査をと主張したが実施はされなかった。5年後の現在、群馬の子どもたちは大丈夫なのか。群馬にも多くの放射線が飛来したのだ。私のあの時の心配が杞憂に終わることを願う。群馬の県会議員は、福島の例を引いてこの問題を取り上げるべきではないか。セシウムの高汚染地区には放射性ヨウ素も降ったと考えて調査すべきものと思う。県がイニシアチブを取るべき問題である。原発・放射能に対する県民の意識に影響を及ぼす事態だ。(読者に感謝)

 

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2016年3月13日 (日)

小説「楫取素彦物語」第103回

 次の法話の時、清助は本当に若者を誘って来た。一同が驚いたのは、三太と五平ばかりでなく二人の若い娘が同行したことであった。

 

清助が紹介した。

 

「おゆりとおかよです」

 

二人の娘は頬を赤く染めて身を小さくして堂の隅に座っていた。

 

このようにして、法話の輪は広がり、動揺していた人々の心はいつしか安定していった。

 

 

 

 

 

東へ

 

 

 

 

 

 隠棲していた楫取に転機が来た。時代の潮流は有為な人材を必要としていた。明治政府は内治を重視していた。ある日、政府から使者が東国出仕の命を伝えたてきた。

 

「国を開いてみて、政府は内を固めることがいかに重要かを痛感しています。楫取殿の経歴からすれば御不満ではあろうが、先ず足柄県参事に赴いてもらえないでしょうか・・・」

 

外に向けて大きく発展しようとするとき、内を固める必要は大きかったからだ。しかし、二六〇年余も続いた国内の体制根本から変えることは容易なことではなかった。新しい磐石の体制が直ちに出来ると期待する方がおかしい。

 

 地方官の使命はかくして大であった。そして東国の地方官は特に重要であった。なぜなら維新政府は西国の薩長が中心となって、東国を倒して出来た政府であるからだ。東国の地方官の重要性は分かる。しかし、楫取には、なぜ自分が足柄県参事に赴くのか直ぐには納得がいかなかった。

 

 

 

 

 

※土日祝日は中村紀雄著「小説 楫取素彦」を連載しています

 

 

 

 

 

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2016年3月12日 (土)

小説「楫取素彦物語」第102回

 清助は好奇心の顔を寿に向けて尋ねた。

「兄のことを尋ねてくださってありがとうございます

 寿は視線を僧に向け、僧目で確かめて話し始めた。

「私の家は真宗の家でございます。母が熱心でございましたので、兄妹、小さい時から自然とその空気の中で育ちました。兄松陰は、激しく学問に励みましたので、頭の中は学問でいっぱいでございました。しかし、その底には浄土真宗の教えが根を張っていたと思います。兄は、人間に差別はない、卑しき身分の人も同じ人間だ、罪を得て獄中にある者も正しい心を持っている、と信じていた人でございます

寿はここで言葉を切って、一同の人たちの表情を見た。自分の話が人々の心に伝わっているか気になったのだ。

兄の心の底では、兄の学問と真宗の教えが一つになっていたと思います。兄は私の主人に、誠を尽くせば誰にも心は通じるという言葉を遺して死にました。この至誠の言葉の底には人間を信じる、人間は尊い存在でみな平等だという真宗の教えがあったに違いありません。兄はこの至誠を信じて黒船に乗り込み幕府に立ち向かったのでございます」

 寿の話を清助だけでなく一同の者が真剣に聞いた。

「あなた様のお話に、この清助、心を打たれました。何だこの二条窪も世界につながっていると思えてきました。この法話の会、次の時、ともだちの三太と五平を誘いたいと思いますがよろしいでしょうか」

「それは願ってもないこと、若い人がこの法話を進んで聞いてくださるなんて、何と素晴らしいことでしょう」

 寿がそう言うと、僧が身を乗り出して言った。

僧は、こんな嬉しいことはございません若い人が寺を離れる時勢ですゆえ、新しい世のために法話が役に立つと思うと、この老体の血が久しぶりに燃える思いでございます」

 

※土日祝日は中村紀雄著「小説 楫取素彦」を連載しています

 

 

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2016年3月11日 (金)

人生意気に感ず「自民控室で。外国人弁論大会。栃木の少女殺害。予備校生殺人」

 

 ◇10日、午前9時過ぎ、自民党控室を訪ね、全議員32名に「体験記・二つの祖国を生きて」を贈呈。議員団総会直前の雰囲気は懐かしかった。私は次のように挨拶した。「戦後70年、国交回復45年を機に出した体験記は貴重な資料です。満州の出来事は現代史を理解するカギです。日中議員連盟の皆さんにも是非読んでもらいたいと思います」 

 かつて私が会長を務めた日中議連は自民党の全議員が加盟し、関根議員が会長である。

 

◇この日10時から留学生の日本語弁論大会。私は開会で挨拶し、講評を語り、賞状を授与した。300人を超す若者たち。代表者のスピーチは実に興味深いもので楽しかった。若者たちは未知の国で体験したカルチャーショックを見事な日本語で語った。

 

 いくつかのポイントを拾うと「知らない人にも挨拶する日本人は素晴らしい」、「ゴミを捨てるルールを知った」、「自動販売機は簡単で何でもある」、「世界で最も礼儀正しく、そしておもてなしの国日本」等々。

 

 講評で私は話した。「礼節の国は今、変わりつつあります。実は、子どもにうっかり声をかけると不審者として警察に通報されることがあります。皆さんのスピーチから日本の伝統と習慣を守る大切さを教えられました」

 

◇栃木県はなぜか幼女が巻き込まれた事件が多い。群馬の県境近くでいくつもの未解決事件が起きている。再審で無罪となった菅家さんが疑われた足利事件の真犯人はどうなっているのか。本県太田市のパチンコ店から失踪した横山ゆかりちゃんの真犯人は?私が現職の頃、県境にまたがるこれらの事件につき何度も県議会で質問した。事件を解決することが最大の犯罪対策なのだ。

 

 2005年に栃木県今市市の小1女児殺害事件には特に注目してきた。勝又被告の公判の状況からは検察の取り調べの凄さが伝わってくる。果たして、吉田有希ちゃん殺しの真犯人なのか。物証はないから、検察は自白を得ることに必死。取り調べて自白した被告は公判で否認。自白の任意性を明らかにするために長時間にわたる生々しい取り調べが公判の場に出された。書類をたたきつけ怒鳴る検察官の姿。

 

「脅迫による自白は証拠とすることが出来ない(憲法38条)」。裁判官はどう判断するか。

 

◇予備校生の殺人事件。優秀な女子学生が殺された。出頭した同じ予備校の少年は女性に好意を持っていたとされる。9日の女性の阪大合格が発表された。ああ。(読者に感謝)

 

 

 

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2016年3月10日 (木)

人生意気に感ず「花燃ゆ解散総会に思う。原発停止裁判。隠された最悪のシナリオ」

 

◇9日、市庁舎で「花燃ゆ」の解散総会が行われた。私は、花燃ゆプロジェクト推進協議会から表彰状をもらった。楫取素彦顕彰会会長としてである。私の隣りの席におられた楫取家5代目当主の能彦氏は挨拶の中で私のことに触れられた。

 

 全くといってよい程無名であった楫取素彦に光が当てられ知られるようになったことは画期的なことであるが、多くの人がドラマを見ただけでは、花燃ゆと共に去りぬで、やがて忘れられるだろう。近代群馬の基礎を築いた意味を理解することが必要なのだ。

 

 楫取の功績の中で教育と人権に関することは特に重要である。教育は、施策の効果が現われるのに100年はかかると言われる。「修身説約」をつくり、小学校を巡って力を注いだことは、私たちの精神の地下水脈の中で生き続けたに違いない。それを表に出すことが私たちの使命である。人権に関しては、県議会と力を合わせて楫取が廃娼への道を開いたことが重要だ。人間の尊重は現憲法の柱であり、社会の基盤であるのに関心が薄い。私が企画・原作で櫻井監督作品の映画「楫取素彦物語」は女性の人権、つまり廃娼に一つの焦点をあてた。アメリカの国際映画祭で最高賞であるプラチナ賞を得たのは、この点で評価されたものである。

 

◇裁判所が高浜原発の運転を差し止める決定をした。大津地裁の山本善彦裁判長。原発のメリットは発電効率だが、裁判長は、甚大な災禍を効率性と引き換えには出来ないとし、また、福島第一原発事故の原因究明が尽くされておらず、事故の教訓を十分踏まえていないのではないかと指摘した。国会の事故調査委員会の報告書を読めば裁判所の決定も頷けると思われる。この報告書には、国民の生活を守れなかった政府や原子力関係機関を厳しく批判し、「この国の信頼を立て直す機会は今しかない」と訴える。又「原発事故独立検証委員会」の報告は、政府が危険のさなかに、「最悪のシナリオ」を策定させたがそれは国民に知らせなかったことを指摘している。そこでは強制移転の地域は170kmにも及び首都圏の3千万人が避難の可能性があると書かれていた。裁判長が「環境破壊の及ぶ範囲は我が国を超えてしまう可能性さえある」と認めているのは、この資料も参考にしているものと思われる。今後の訴訟への影響は大きい。(読者に感謝)

 

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2016年3月 9日 (水)

人生意気に感ず「中国情報の後援会で。米中と日本。原発と原爆は同根」

 

 ◇8日、県庁のビジターセンターで上海事務所の講演会が。題は、「上海事務所の取組と最新中国情報。冒頭私は、共催団体・群馬県日中友好協会会長として次のように話した。「戦略的互恵関係は表面的であったり、駆け引きを目的としたものであってはなりません。特に中国との間には長い歴史的関係があり、これを踏まえて現在の関係を重視しなければなりません。そのために必要なことは正しい情報です」 

 土屋真志氏の映像を使った話し方は、私がいつも行っているのと同様である。簡潔で、世界の経済都市上海を中心とした中国の最新情報をよく伝えていた。

 

 私は土屋氏の話を聞きながら、米中両超大国の動きを比較して連想した。双方に人類と民族の壮大なドラマがある。そして、その間に位置する日本の役割は極めて重要であると改めて思った。

 

◇日本には、両大国に劣らぬ素晴らしい歴史と文化がある。日本が現在、世界から高く評価され信頼される所以は、祖先が積み重ねてきたこの歴史と文化である。時代の変化は息を呑む程だが、変化に流されてはならない。この国を繋ぎ止める基盤は憲法である。国会で憲法改正が議論されているが、内閣及び自民党の国会議員が現憲法に対して理解が薄いという感があるのは残念だ。

 

◇中国は広大な国土に多くの民族を抱える。人権を抑制する現在の一党独裁は極めて強国に見えるが永久不変では有り得ない。中国の友人は、明も清も倒れたと語っていた。

 

 一方のアメリカは大統領制の危うさを感じさせている。大衆の熱狂によってヒトラーのような人物が現われる可能性がある。日本の議院内閣制は、比較して、安全な制度ではないか。

 

◇「3・11」が近づいた。巨大な津波にのみ込まれる人々と街の光景をテレビは伝える。千年に一度の歴史的瞬間に遭遇したのだと痛感する。放射能汚染のために人々が去った広大なところは死の街と化し野生動物が主人となっている。福島第一原発は日本民族として初めての体験に違いないが、放射能被害としては「広島」、「長崎」と共通するものだ。しかし、人々は、両者を結びつけて考えることをしない。素晴らしい未来を築けるかどうかは、70年隔たった2つの出来事を乗り越えられるか否かにかかっている。(読者に感謝)

 

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2016年3月 8日 (火)

人生意気に感ず「叙勲の祝いに90歳の恩師が。林健太郎先生。抑制廃止研究会のこと」

 

 ◇今月21日、叙勲の祝いが開かれることになった。75年の人生を振り返ると様々な出来事があり、様々な人に出会った。祝いは、初め、しないつもりであったが、そういう訳にいかず実施することになった。よく考えれば叙勲は多くの人に支えられて来たお陰である。従って私一人のものではない。そういう思いで案内状を出したら参加者が400人を超えることになった。ホテルの同じフロアーの二つの会場を使う。感謝の思いと共に責任感で今準備に追われている。 

◇この祝いに、中学の時の女性の国語の先生が参加して下さるという。電話の声が若い。90歳と聞いて驚いた。すさんだ心を引きずっていた中学時代にこの先生の一言が私の人生を支えることになった。「君は何か書き続けるといいよ」。前橋市の作文コンクールで特等になった時だったと思う。その作文は市で発行した「よこ笛」という本に載ったもので、現在、私の事務所に貼られている。電話で当日お話をとお願いしたら快諾して下さった。誠に有り難いことであるが怖いようでもあるのだ。

 

◇私には、人生で大きな影響を受けた恩師が二人おられる。一人はこの大館光子先生。もう一人は林健太郎先生。この先生との御縁はドイツ史のゼミに始まる。在学中、杉並区善福寺のお宅に夜お訪ねしたことが懐かしい。卒業後もご指導を仰ぐことになり、県議選出馬の時は県民会館の集会に無報酬で激励に駆け付けて下さった。「東大で歴史を学んだことを活かして良い政治家になりなさい」。この言葉は私の長い政治生活を支えることになった。「元東大総長来る」のポスターを最大限利用させて頂いた。

 

◇5日、「抑制廃止研究会」の役員会に出た。抑制とは身体拘束のこと。この会の立ち上げは十数年前に遡る。私は会の設立趣意書を書き、初代の会長は角田病院院長の角田紘二氏。先日、玉村町の町長選に出馬し当選された。

 

 この日の役員会では、老人施設の高齢者ケアに当たる人が投げ落とした事件が話題となった。「人間をゴミのように扱う」、「施設の長の価値観が大きい」等が話し合われ、私はヒトラーに関する話をした。先日、ふるさと塾で話した「生きるに値しない命」について。高齢者に対する虐待が跡を絶たないのは人権感覚の欠如による。「生きる値にしない命」などないことを施設の長は先ず銘記しなければならない。(読者に感謝)

 

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2016年3月 7日 (月)

人生意気に感ず「3・11が近づく。あの日のこと。国会事故調。東電の責任」

 

 ◇3月11日が近づいた。東日本大震災と福島第一原発事故。あれは何だったのか。事故は未だ終わっていない。しかし、多くの人々の意識の中で過去のものになりつつある。享楽が渦巻き、人を騙すことが常態化した社会では自分が無事ならよいという感覚が普通になってしまうのも無理からぬことか。 

 あの日、最後の選挙であることを秘かに決意して、私は選挙事務所予定地の公民館にいた。小坂子公民館は赤城山を背にして立ち、上空は灰色の雲が覆っていた。私の心を何か不安にさせているものは、間もなく始まる激しい選挙戦のことが原因に違いなかった。

 

 広いホールに居て立ち上がろうとして時である。突然不気味な轟音と激しい揺れが襲った。それは東の方角から赤城の山を揺り動かすように長く続いた。唯の地震ではないぞと咄嗟に思った。今思えば、あの時東北の太平洋沿岸ではかつて経験したことのない地獄絵が始まろうとしていたのだ。

 

◇東電元幹部に対する刑事責任の追及が始まる。原発事故の風化を食い止めるためにも意義のある訴訟になるだろう。折しも各地の原発の再稼働が問題になっている。原発は憲法と共に日本の運命を左右する課題である。

 

 私は、ふるさと塾でも取り上げた、国会事故調査委員会の報告書を読み返してみた。

 

「日本の原発は無防備のまま3・11の日を迎えることとなった」、つまり「この事故は何回も対策を打つ機会があったにも関わらず、東電経営陣等は意図的に先送りし安全対策がとられないまま3・11を迎えた」、このように人災であると指摘。そして具体的に多くの問題点を挙げる。その中でも注目すべきことは、事故時に当時の会長と社長が不在であった点。「原子力災害への備えとして本来あってはならないことであり、実際に二人の不在は、ベントや海水注入など深刻な経営判断を迫られる局面で連絡や相談に余計な負荷をかける結果となっており初動における迅速な事故対応の妨げになった」。刑事裁判の過程でこの点がどう追求されるのかにも興味がわく。国会の事故調査委員会はその使命を「国民による国民のための事故調査、過ちから学ぶ未来に向けた提言、世界への責任」としている。国会はこれをどう受け止めているのだろうか。小泉元首相が原発廃止を訴えているのは、事故調の提言に真摯に向き合おうとする姿だと思う。(読者に感謝)

 

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2016年3月 6日 (日)

小説「楫取素彦物語」第101回

「このようなことは初めてのことだな」

「本当ですわ。夢のようでございます」

寿の目は輝いている。

「こんな平和な暮らしがあることを知らなかったぞ」

「多くの人が毎日殺しあった、あの時代は何だったのでしょうか。兄がここに居たら何と言うでしょうか」

「松陰殿のことを思うと胸が痛む。あの雲をごらん。松陰殿の姿に似ていると思わんか」

「まあ、本当でございますね。私たちを見下ろしているようですわ」

「私には、何かを語りかけているような気がする」

そう言って、楫取は白い雲をじっと見詰めた。

(こんなのんびりした生活をしていてよいのか)

楫取の胸にこういう思いがふと頭をもたげるのだった。

 

楫取夫妻はここに小さな堂宇を建てた。近くには浄土真宗の極楽寺があった。ここで僧を招き月二回法話を聞くことになった。村人にまじり、村人と同じように法話に耳を傾ける寿の姿に人々は感銘を受けた。

 ある日の法話に清助という初顔の若者が参加していた。この日の参加はおよそ十五名、いつもよりは若干多人数である。法話の後、僧を囲む座談となった。

清助が僧にたずねた。

「これからの世は、異国と付き合うと聞きました。異国人にも法話は通じるものでしょうか」

「難しい質問です。異国人に法話はちと無理と思う。異国人はヤソの教えをもってやってくる。だから、我ら、日本人の心をしっかりしておかぬと染まってしまう。真宗は、日本人の心の糧。この法話がそのために役に立てばありがたいものだと思う

 清助はさらに尋ねた。

「この法話は、吉田松陰の妹さんが始めたと聞いたが本当ですか」

「その通りです。妹御はそこにられます」

 僧は笑顔で、部屋の隅に座る寿を目で指した。

「へえー、これはすごい。ぜひおたずねしたいと思っていたことがります。松陰さんは異国船に乗り込んで、結局首を切られたそうですね。松陰さんは真宗の教えを持っていたのですか。松陰さんのことを知りたいと思っていました」

 

※土日祝日は中村紀雄著「小説 楫取素彦」を連載しています

 

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2016年3月 5日 (土)

小説「楫取素彦物語」第100回

楫取は妻が何を話そうとするのか、じっと口元を見詰めた。

 

「み教えの根本は苦しむ人を救うことです。兄や、あなた様のお仕事を見ていて、教えと根本は通じていると思っておりました。新しい世が始まったとはいえ、混乱は続き、世の先は定まらず人々は不安を抱いております。私のお願いと申すは、二条窪の地で、ささやかな布教の仕事をいたしたいということでございます」

 

 寿は静かに語るが、言葉の端に彼女の強い信念が窺えた。

 

「おお、それは良いことだ。静かな野山に経をとなえる声が流れ人々の心の糧となれば混乱の社会を静める力となろう。お前が行動することで村人も注目するであろう。人間を大切にすることを目指した松陰殿の御霊(みたま)にもかなうに違いない。大いに賛成、及ばずながら私も手伝いしよう

 

 楫取の表情もすがすがしかった。

 

「あなた様、ありがとうございます。寿は嬉しゅうございます。寿は幸せ者でございます」

 

 寿の目には涙が浮かんでいた。

 

 

 

 三隅の二条窪という所は山に囲まれたのどかな田園地帯で農家が点在しあちこちに草を食む牛の姿があった。周囲の山は楫取山と呼ばれた。

 

 楫取は自ら木を切り倒し開墾の仕事をし、時にはクワを持って農作業に当った。ある春の晴れた日に、畑で働く楫取夫妻の姿があった。

 

 

 

※土日祝日は中村紀雄著「小説 楫取素彦」を連載しています。

 

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2016年3月 4日 (金)

人生意気に感ず「戦後70年を振り返る。憲法改正は。北への制裁。トランプ現象と民主主義」

 

◇世界大戦後70年。日本は大戦に巻き込まれず平和を享受してきた。しかし、世界の情勢は激変した。この間、日本の発展は目覚ましい。廃墟から立ち上がり世界の経済大国となり、日本の科学技術への信頼は揺るぎないものになっている。押し寄せる外国人観光客は日本の自然と文化に目を見張っている。私たちは、この繁栄振りは、古来の日本の歴史と伝統の上に立つものであり、特に現在の姿は日本国憲法を基盤にして成り立っていることを忘れてはならない。

 

◇今日、日本は大きな転機に立ち、内憂外患の言葉がふさわしい国難の時を迎えている。日本を巻き込んで世界は壮大な劇場のようだ。世界の観客が固唾をのんで注目するのは、米大統領選、北朝鮮、ISなど。日本はこの劇場でどのような役割を演ずるのか。憲法改正はこの役割を決める第一の要因であり、日本の運命に関わる。

 

◇安倍首相は憲法改正について「在任中に成し遂げたい」と明言した。70年、一度も変化しない憲法はほとんど例がない。米に押し付けられたとはいえ、中味は基本的に素晴らしい。しかし、時代の変化に対応しなくてはならない。国民主権、平和、人間の尊重など変えてはならない普遍の原理を踏まえて、どこをどう変えるかが問題なのだ。改正には、両院、それぞれに三分の二以上の賛成が必要。目前の国政選挙が重要なのは、憲法改正の成否に関わるからだ。

 

◇北朝鮮に対するかつてない厳しい制裁決議案を国連安保理は全会一致で決めた。国際的に孤立し追い詰められていったかつての日本を連想する。北は反発して、日本海に向けてミサイルを発射した。窮鼠猫を噛むの諺を思い出す。民主主義が世界をおおう中で軍国主義一色の現代の奇観。崩壊は間近と言われながら、しぶとく生きている。核が支えとなり、アメリカと対決する中国とロシアの存在を計算に入れているのであろう。「拉致」が遠ざかっていく。最大の主権侵害、国家犯罪から国が国民を救えないことにやり切れない思いだ。

 

◇アメリカの偉大さを支える要素の一つは建国の歴史にある。そこで掲げられた人間の平等は黒人大統領オバマの実現によって一つの頂点に達した。トランプ現象はこれを壊すのか。別の新たな世界への扉を開く兆しなのか。アメリカは建国以来の危機を迎えている。民主主義が世界の舞台で試されている。見守りたい。(読者に感謝)

 

 

 

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2016年3月 3日 (木)

人生意気に感ず「スーパーチューズディ。県議会と多胡碑と楫取。育英の卒業式」

 

 ◇スーパーチューズディは予想したとはいえ驚くべき結果となった。大西洋から太平洋に至る広大な大地が一つの大劇場になって沸き立ち、それに全世界の目が集まった。トランプ、クリントンはともに7州を制し予想通りになった。共和、民主の両陣営はこの勢いで本選に雪崩込むのであろうか。11月の本選までは長い。民主主義実現の試練の過程に候補者は耐えねばならない。メディアの追及は厳しいからあらゆるものが白日の下にあぶり出される。選挙期間が非常に長いことには意味があることを知った。トランプの人気が単に衆愚の現われでないことも少しずつ分かってきた。アメリカ大統領選の姿は民主主義、政治、世界の歴史を学ぶ壮大な教室である。野次馬の気分を払って真剣に学ぼうではないか。 

◇今の県議会で私が注目する一つは、上野三碑記憶遺産登録に関する予算。864万円が計上されている。その中には、新規事業として、日中書道展の開催がある。群馬県日中友好協会は実績を踏まえて協力する。昨日、県文化振興課幹部と協議した。多胡碑は三碑の第一。楫取素彦が大きく関わった。自ら書の達人である楫取は中国の書家揚守敬を通して多胡碑の書を広めることに貢献した。来年の「記憶遺産登録」は、郷土の文化を世界に発信する大きなステップとなる。

 

◇育英高校の卒業式で挨拶した。私は育英グループの名誉理事であるが、県議在職中は、県議会と重なって出られないこともあった。この日は、冬に逆戻りしたような冷たい風が強く吹いていたが会場の大ホールは545名を超す生徒で熱気に満ちていた。私は目の前の生徒が時代の大波に呑まれていく光景を連想しながら演壇に立った。

 

「皆さんを待ち受ける大きな危機を生き延びるためには高い志が必要です。それは難しい理屈ではなく、国を愛する心、家族を愛する心、日本の文化を愛する心など、身近なことです。その心を育てるためには原点が必要です。それは心の根のことです。社会のために貢献することが皆さんの幸せを築くことにつながります」。こう言って、18歳選挙権、民主主義の危機、アメリカの大統領選などにも触れた。

 

◇今月21日の私の叙勲の祝いに、楫取家当主の楫取能彦氏、映画で楫取を演じた加藤剛の息子、夏原諒氏が参加してくれることになった。(読者に感謝)

 

 

 

 ※ ※ お知らせ ※ ※ ※

 

今月のふるさと塾は3月26日(土)6時半。太平洋戦争の中の沖縄選を予定

 

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2016年3月 2日 (水)

人生意気に感ず「東電元幹部の刑事責任。認知症家族の責任。トランプと衆愚政治」

 

◇東電元会長らが「強制起訴」となった。業務上過失致死傷罪の有無が問われる。強制起訴されたのは勝俣元会長の他2人の元副社長。東京地検は二度にわたり不起訴処分にしたが、これに対し検察審査会は起訴すべきだと議決したため強制起訴となった。

 

 私は、国会事故調査委員会の報告書を読んだ時驚愕した。そこでは、事故は人災で、避けることが出来た筈と、強く訴えていたからである。だから公開の法廷で東電トップの刑事責任が裁かれるべきだと考えていた。あれから間もなく5年。原発事故はまだ収束していない。最大の教訓を引き出すためには、刑事責任の追及が必要である。

 

 その責任は、予見の可能性の有無にかかる。起訴状は3人につき、「高さ10m超の大津波が襲来し原発の電源が失われて原子炉の炉心に損傷を与える事故が予見できたのに適切な措置を怠り、13人にけがを負わせたほか、計44人を死亡させた」というもの。

 

 この刑事訴訟の意義は計り知れない程大きい。「原発事故」はふるさと塾でも取り上げ、国会事故調の生々しい指摘を紹介した。この訴訟は、風化しつつある大惨事を甦らせ今後の原発につき国民的な議論を展開する材料を提供するに違いない。

 

◇認知症患者に関する家族への監督責任を否定する最高裁の判決が出た。超高齢社会の中で認知症患者に関する問題は焦眉の急であり、全国民の問題だ。事実は、愛知県で91歳の老人が電車を止め、JR東海は家族に720万の賠償を求めていた。老人は認知症で責任能力のない人であった。

 

 民法は責任能力のない人が第三者に損害を与えた場合、監督義務者が責任を負うが、この義務者が監督義務を怠らなければ例外的に免責されると定める。2審の名古屋高裁は同居の妻の監督義務を認め、これに賠償を命じていたが最高裁は「同居だけでは当たらぬ」としてこれを棄却した。高齢社会全体をほっとさせると同時に、認知症に対する事故の対策を痛感させる判決である。

 

◇スーパーチューズデーの行方が気になる。米メディアの調査では、全米の共和党員の49%がトランプ支持で、二位を30ポイントも引き離しているという。共和党は党としてトランプ現象を抑えようとしているがこれがかえって国民の反発を招いている。アメリカの騒ぎは、衆愚政治の実態をさらけ出しているのか。(読者に感謝)

 

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2016年3月 1日 (火)

人生意気に感ず「多胡碑書道展と楫取。漫画展の秋葉さん。スーパーチューズディ」

 

 ◇2月27日、多胡碑記念館に向かった。午前10時に始まる群馬書作家展のオープニングで挨拶するためである。8時少し過ぎに家を出て車を走らせる。鏑川に春の陽光が注ぎ記念館は緑に包まれ空は抜けるように青かった。私は先ず、碑亭に足を運んだ。碑亭の前に歌を刻んだ古い石があった。「深草のうちに埋もれし石文の世にめずらるる時は来にけり」。県令楫取素彦が明治11年に詠んだ歌である。 

◇私は次のような挨拶をした。

 

「この記念館で書道展を行うことには、大きな意義があります。自ら優れた書家であった初代県令楫取素彦は、多胡碑の書を中国の書家を通じて世に広めました。また、碑亭を作って碑を保護しました。来年は、この碑が世界記憶遺産に登録されるに違いありません。文化は人間の心がつくり出すもの。特に書道は心を現します。混乱の時代にこの文化が過去、現在、未来へと受け継がれていくことは素晴らしいことです」

 

◇この日、県庁舎で漫画コンクールが行われていた。専門学校の生徒や一般の子どもたちの多くの作品が展示され興味をそそられた。

 

 私は二階に展示されたプロの作品に注目した。その中に萩葉二三一さんの作品が10点近くあった。第二回群馬漫画協会会長とある。

 

 この方は、私の「楫取素彦読本」の挿絵を書かれた人。読本の絵は、右手が使えなくなったため左手で描かれた。脳梗塞で倒れたためである。それだけに精神の力で描いたものに違いない。萩葉さんの昔の絵と比べてその感を深めた。今は亡き金沢子卿先生が右手が駄目なら左手でと病を克服して書かれた味わい深い書を思い出す。いずれも芸術の精神性に心を打たれる事実である。

 

◇スーパーチューズディを前にトランプの派手な動きが伝わってくる。ニュージャージーのクリスティ知事に続いてメーン州のルパージュ知事も支持を表明した。途方もない金を使っているらしい。大統領の専用機をエア・フォース・ワンと呼ぶ。米メディアはトランプの自家用ボーイングを大統領機になぞらえて「トランプ・フォース・ワン」と呼んでいる。トランプはこれに乗って、1日に予備選がある南部諸州を飛び回るという。史上最大のドラマに米国は沸き立ち、世界は固唾をのむ。

 

◇お祭り騒ぎの大統領選でも「IS」は大きな問題になっているという。米国はイラクの誤りを反省して世界の正義を打ち建てることは出来るのか。(読者に感謝)

 

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