« 2016年1月 | トップページ | 2016年3月 »

2016年2月29日 (月)

人生意気に感ず「ふるさと塾でトランプはヒトラーかの声。大統領選のダイナミズム」

 

 ◇27日(土)、ふるさと塾は大変盛会で参加者は約50人。ヒトラーへの関心は高かった。「ヒトラーは悪の権化、600万人のユダヤ人虐殺などばかり教えられ、その実態を知らない。しかし、今、ヒトラーを知る時です。ヒトラーは民主主義と議会を嫌いました。日本はそのヒトラーと手を結び共に破局に向かいました」私の話はこんなところから始まった。 

 質疑に入った時、「トランプは、ヒトラーと似ていると思いますがどうなんですか」こんな発言が飛び出して会場はざわめいた。アメリカの大統領選への関心は極めて高い。それも、異様な登場人物に集中している。莫大な資産を有する不動産王、倒産2回、結婚3回、メキシコとの国境に長城を作るなどの暴言。漫画の主人公のような存在と思ったらあれよあれよという間に3連勝を重ねてスーパーチューズディを迎えるに至った。トランプとは何か。本物か。アメリカは民主主義の本家と言われるがその民主主義はどうなるのか。衆愚政治ではないか。アメリカ大統領選の場面は今世界の劇場となっている。その最大の一幕が目前に迫った。スーパーチューズディに何が起こるのか。

 

 全国知事会長も務め人気のあるニュージャージー州のクリスティ知事が指名争いから撤退しトランプ支持を表明し次のように述べたという。「この国が必要とする強い指導力を発揮できるのはトランプ氏以外にいない」クリスティ知事は共和党の有力者。この事実はアメリカに今、地滑り的変化が現われていることを示すものかも知れない。

 

◇私は学生の頃、中屋健一氏の「アメリカ史」のゼミに出た。少人数の仲間で原書の資料を読んで、そこに刻まれている世界に心を奪われた思い出がある。メーフラワー号で北米に上陸し建国の基礎を築いた清教徒、イギリスと戦って得た独立と独立宣言、西部開拓などアメリカの歴史は実にダイナミックで夢と冒険に満ちていた。現在行われている大統領選に向けた各候補の動きを取材したアメリカのある専門家が語っている。「アメリカの大統領選は叙事詩であり歴史的イベントであり、そして全ての人に開かれている」

 

 アメリカの躍動する歴史の全てが大統領選に現われているに違いない。どんなサプライズが展開し、どんな結果を結ぶのか。トランプの正体は何か。クリントンは女性初の大統領になるのか。大きな流れの行方が間もなく分かる。(読者に感謝)

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年2月28日 (日)

小説「楫取素彦物語」第99回

 

「思えば息つく暇もなく走り通してきた。人生、時には一息入れて英気を養うことが必要と思うが、お前の考えを聞きたい。恐れ多い事が、同年齢の敬親公が見罷られたことは私たちに大切なことを教えておられる気がするのだ

「寿には難しいことは分かりませぬが、大二郎兄、玄瑞殿、剛蔵義兄様初めあまりに多くの方々がお亡くなりになりました。そして、恐れ多くも同じ年の藩主様。寿は、あなた様のこれ以上の栄達よりもお身体が大事と存じます。あなた様が静かな生活をお望みなら寿は身に余る幸せと存じ、御一緒させていただきます」

「よくぞ申してくれた。決して弱気で逃れるのではない。昔、である、儒学に打ち込んだ。明倫館でも多くを学んだ。学問と現実の社会の関係はどうなっているのか、激しい世の変化の中で私は実は迷ってきた。しばらく田園にこもり、世の激流から離れて新しい世の動きと私の学問を突き合せて見たいと思うの。ついては、長門二条窪のが給領地あたりに小さな居を構え、山を整え、村人と交わって暮らしたいと思う。いかがなものであろうか」

「まあ、平和な野山、村人との交わり、あなた様が静かに書いたり読まれたりされる、夢のような光景でございます。大二郎兄もあの世で覧になって大層喜ぶことでございましょう」

「おお、そなたがそのように賛成してくれるならありがたい。早速、とりかかることにしよう

「今、楽しく思いを巡らすうちに、寿には一つあなた様にお願いいたしたい事が生まれました」

寿は明るい笑顔を見せて言った。楫取はこのような晴れやかな妻の笑顔を見たことはなかった。それは、これまでの生活が如何に厳しいものであるかを物語るものであった。楫取は血で血を洗う日々を今更のように振り返るのであった。それにしても妻の願いとは何であろうか。楫取は探るような視線を妻に投げた。

「恥かしながら、私は杉の家で幼少から真宗を教えられて育ちました。教えを人々の心に広めることこそ使命と承知しながら思うに任せず今日に至りました

※土日祝日は中村紀雄著「小説 楫取素彦」を連載しています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年2月27日 (土)

小説「楫取素彦物語」第98回

 

幻馬が不安の色を顔に出すことは滅多にないことであった。幻馬の不安は現実となった。三人が話している頃、馬は京都河原町の近江屋の二階で同志中岡慎太郎と話していたが、三人の刺客に襲われ殺された。慶応三年十一月十五日の夜であった。三二歳の若さだった。

 

慶応三年はかくして終わり明ければ慶応四年であった。楫取は奥番頭に就き殿中の諸事一切を統括していた。

慶応四年は、西暦では一八六八年。徳川の支配が終わり、日本が近代国家に向けて大きく踏み出した年である。

この年の出来事は、日本が近代国家を産むための陣痛を味わう年でもあった。

一月、幕府は、薩長を中核とする倒幕軍に破れ、将軍慶喜は、二月、恭順を決め上野寛永寺に蟄居した。

三月、江戸城無血開城交渉成功(開城は四月十一日)、新政府は五カ条の誓文を発布して、新政の基本政策を示し、九月八日、明治と改元した。

 

毛利敬親公の死。法話の活動

 

 

明治三年、楫取は奥番頭を兼ねて山口藩の権大参事に就任した。

明治四年三月二八日、長年全幅の信頼を得て、懐刀として仕えた毛利敬親公が世を去った。四三歳だった。敬親公の存在は楫取にとって心の柱であったから、その死によって楫取の心には大きな空洞が生じた。楫取も四三歳であった。

激しい時代を生きた楫取にとってこの年は人生の大きな転換点であった。

ある時、楫取は妻寿に切り出した。

「よく生き延びられた。まわりの多くの人が命を落とし、世を去ったことを思うと感無量だな。お前にも随分苦労をかけた」

「本当にご苦労様でした。私の苦労などあなた様に比べればとるに足りません。敬親公様のご逝去は誠に残念でございます。あなた様の心中を御察ししますと寿はたまらない思いでございます」

 

※土日祝日は中村紀雄著「小説 楫取素彦」を連載しています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年2月26日 (金)

人生意気に感ず「18歳選挙権の影響。部活の体罰と自殺。ヒトラー。ジカ熱」

 

 ◇夏の参院選が近づいている。野党には相変わらず政権担当能力が感じられないが、一強と言われる現状に不満を抱く人が多い。「18歳選挙権」の実施は1つの大きな社会実験である。若者の特権ともいうべき、理想主義、正義感、批判精神は投票行動にどう現われるか。私の大学時代は学生運動が盛んで駒場の構内は立て看板が林立し、アジ演説が飛び交い、いつも騒然としていた。今は昔。大学生にそんな気概は全くない。一方、若者を刺激する材料には事欠かない。環境、原発、憲法改正、政治家のスキャンダル等。 

◇最近のある実態調査では、大学生の7割超が投票にゆくと答えた。政治への関心は高まっているのだ。これまでは、20代はほとんど選挙にいかない。選挙活動と選挙事務所は高齢者の世界であった。18歳以上に選挙権が与えられても彼らはせっかくの機会と権利を生かせるか。教育の役割が問われる場面でもある。私は現職の頃、「公民」の生きた教育をと訴えた。中学生の公民の教科書はキラキラした立派なもので、政治や憲法のことがしっかり書かれているが、先生方が期待に応えているとは思えなかった。そのつけが来るのではないか。

 

◇部活の体罰に東京地裁は7500万円の賠償を命じた、キャプテンの高校生が皆の前で平手で殴られている映像が報じられた。またかと思う。部活に於ける体罰、いじめ、自殺、これは跡を絶たない。私が現職の時、いつも取り上げていた問題である。スポーツとは何か。勝利至上主義の問題。スポーツ嫌いな子どもを作っている教育界の現状。今回の事件は現場の指導者の先生に問題点が伝わっていないことを窺わせる。

 

 裁判長は、「教育上許される範囲を大きく超えた暴力的な虐待行為で、違法性は強い」と指摘した。全国の自治体は、この判決を他山の石として真摯に受け止めるべきである。

 

◇今月の「ふるさと塾」は明日、土曜日。テーマは「ヒトラー」だ。画家志望だったヒトラーは美術大学受験に二度失敗する。ナチスが第一党となった昭和7年は満州国建設の年。狂気の天才の弁説に狂喜した国民。移民排斥の声と共にヒトラー礼賛の動きが。ヒトラー現象は今日的課題だ。

 

◇ジカ熱が国内で初めて確認された。ブラジル帰りの高校生。非常事態を宣言する国も出て大変。小頭症のあかちゃん。リオ五輪。近づく蚊のシーズン。蚊が人類の祭典を脅かす。(読者に感謝)

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年2月25日 (木)

人生意気に感ず「爆破予告を止めろ。世界の石油下落。まさかのトランプ」

 

 ◇爆破予告が全国の自治体になされている。県内にも届いた。奇怪な行動の目的は何か。単なる人騒がせだとしてもこういう時世なので影響は無視できないものがあるだろう。世の中には屈折した心理をもつ様々な人がいる。眠っている心の底の魔物を醒まし実際の爆破が起きないとは限らない。テロに全くといえる程無防備な、そして平和ぼけの日本である。警鐘を鳴らす意味もあるから犯人を必ず逮捕すべきだ。 

◇「石油が安くなれば生活が楽になり、経済もよくなる筈なのになぜ株が下がったり、大騒ぎしているの」。あるおばあちゃんからこんな質問を受けた。

 

 南米のヴェネズエラ、中東のサウジ、ロシアなど原油の収入に頼る国の大変な窮状が伝えられる。下落の原因は供給過剰。産油国が協調して減産すれば価格が上がるが、それが出来ない事情がある。

 

 イランに対する経済制裁が解除されたために世界有数の石油大国イランが増産に転じたことも下落の大きな原因に。注目するのは、イランと対立するサウジアラビア。石油下落による財政難によって国民へのサービス低下が懸念されている。民主化の嵐が足下まで押し寄せており、国民の政治的不満を抑える。ためにサービス低下は避けねばならないからだ。プーチンのロシアも財政危機に直面。日本の経済協力を望んでいるだろう。このことは北方領土交渉とどう関わるのだろう。兎に角、原油の下落が世界の経済を混乱させ萎縮させている。この事態は来年四月の「消費税10%」に影響を与えるかも知れない。

 

◇不動産王トランプが20ポイント以上の大差でネバダ州を制した。ニューハンプシャー、サウスカロライナに続く3連勝で正に破竹の勢い。これで3月1日のスーパーチューズデーに突入か。この日、10州以上で選挙が行われる。この日、もしトランプが大勝すれば「まさか」が実現するかも知れない。アメリカ国民はオバマの現政権に大きな不満を抱いている。「アメリカを再び偉大な国にする。我々はこれを成し遂げる」、このトランプの叫びが人々の心に火をつけているようだ。史上初の黒人大統領は期待はずれと見られている。中国の海洋進出が止まらない。もしトランプが大統領になったら、これにどう立ち向かうのか。それは直ちに日本の安全保障に影響する。冷静な日本の役割が増大する。27日のふるさと塾では大統領選の仕組みにも触れるつもりだ。(読者に感謝)

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年2月24日 (水)

人生意気に感ず「留学生への講義の工夫。同日選と一票の差。楫取の像」

 

 ◇22日は、ロイヤルの広い部屋で月1の留学生対象の特別講義。今回は怒るまいと心に決めていた。前回、「帽子をとりなさい」、「話を静かに聴けない人は出ていけ」と大きな声を出した。引率の女性教師は「怒られたことがないのです」と言っていた。中味で勝負だと秘かに工夫を凝らしてこの日に備えた。題は「災害大国日本」 

◇女性教師を前の位置の生徒に向き合う席に座ってもらう。映像に文章を使い、ワンセンテンスを順に読ませる。難しい漢字は教師に向ける。私は映像を交えて説明し、ホワイトボードに絵を描くこともした。教師がちょっと困った表情をしてから答えると拍手が起きた。生徒たちの目が活きていた。生徒が退席する時、私はドアの所に立って一人一人と握手した。特別講義は5回目であったが初めて温かい気持ちの交流を感じることが出来た。インドネシア、ネパール、ベトナムの生徒が多い。日本の若者を交えたら面白い授業になるかなと思った。

 

◇新党結成に向けた野党の動きは分かりずらい。民主党が維新の党を吸収合併する形で動いている。今夏の参院選は決まっているが、合わせて衆院の解散総選挙の実施が盛んに言われるようになった。野党の動きはこの動きを敏感に感じ取った姿に違いない。いつものことだが首相が強く否定するにもかかわらず、小さな流れが次第に大きくなって、止まらない動きになる。そして、それを追認するかのように首相が、伝家の宝刀抜く。今回もそんなパターンが進行しているようだ。

 

◇同日選の実施のためには、衆院の現状を改正しなければならない。憲法14条違反が問われる一票の格差の是正である。選挙区によって一票の価値が異なることは平等原則に反する。1対1が理想であるが、選挙区の状況からそれは不可能。しかし、同じ人間なのに一方が他方の二倍を超えることは許されない筈。昨年の最高裁は、2・13倍を「違憲状態」と判断した。最高裁が収拾不可能な混乱を回避したぎりぎりの判断。このままでまた選挙すれば、「状態」では済まない。「違憲無効」は必至。だから、選挙をやるなら衆院の選挙制度を改めねばならない。首相は、6月1日の会期末までに成立させる強い決意を示している。野党の利害が一致する課題だから成立するだろう。

 

◇楫取等の銅像建立に市が一千万円出すことになりそうだ。楫取素彦顕彰会は既に100万円を寄付している。像のイメージが心配だ。(読者に感謝)

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年2月23日 (火)

人生意気に感ず「宮内さんの叙勲。トランプとクリントン。開拓団を出さなかった村長の話」

 

◇21日宮内禎一さんの叙勲の祝いがあった。憲法7条には天皇の国事行為として「栄典を授与すること」とある。天皇から勲章をいただくことは大変なことなのだなと思った。芳賀地区の人々が我が事のように喜ぶ姿があった。一カ月後の3月21日には、私の叙勲祝が行われる。

 

 私は次のように挨拶した。「勲章は昔は主に軍人に与えられました。平和な国となり、国民が主人の国となり、地方が主人公の時代になりました。宮内さんの叙勲はそれにふさわしいものです。剛毅木訥仁に近しという人柄で大地をしっかりと踏み締めて社会に貢献されたことに対する国家の感謝です」。テーブルにはこの人が工夫して創り出した宮内菜の料理が出ていた。この人の叙勲を飾るにふさわしい料理であった。

 

◇トランプが圧勝し、クリントンも激戦を制した。大統領候補を選ぶ熱戦はいよいよ佳境に。不動産王トランプが共和党の候補に決定するということがあるのだろうか。過激で漫画チックに見えた姿が次第に本物らしくなっていくような気がする。同じく共和党のブッシュは選挙戦からの撤退を表明した。アメリカの世界戦略はイラク攻撃以来、うまくいっていない。そこに中国が台頭し、威信は大きく傷つけられた。「アメリカをかつてない偉大な国にする」と訴えるトランプの叫びが国民の耳に快く響くのだろう。ヒトラーの演説に熱狂したかつてのドイツ国民の姿を連想する。

 

 民主党のクリントンの後ろには夫君、元大統領のクリントンの姿があった。大統領の不倫という夫婦の危機を乗り越えた2人の姿であった。クリントンは、初の女性大統領の実現は果たして成るかという点で注目を集める。初の黒人大統領オバマに次ぐ世界史上のサプライズの動向に私は大いに興味をそそられる。

 

 仮にトランプ対クリントンの対決となればクリントンが有利ではなかろうか。民主主義には衆愚政治に陥る危険が伴う。今回の大統領選はアメリカの民主主義の真価が問われる。

 

◇残留帰国者の体験記の編集後記に、非難を浴びながらも自分の村から開拓団をださなかった長野県伊那市の村長のことが紹介されている。編集担当者高橋勇夫さんの文である。大勢に流されるのは日本人の特色。勇気ある少数意見の貴重さを示す例である。(読者に感謝)

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年2月22日 (月)

人生意気に感ず「満州を語る。満州国は幻か。誤った国策。前田先生との出会い」

 

 ◇20日、「かみつけの文化に親しむ会」で講演をした。会場は大胡シャンテ。題は「満州とは何だったのか」。戦後70年、国交回復45年、最近の中国の動き等から、満州はタイムリーな話題である。主催者の中には、かつて満州開拓の父と言われた東宮鉄男の一族もおられたが、張作爆殺のスイッチを押したのは東宮、というところから話を始めた。 

 満州事変、満州国建国、日中戦争、そして太平洋戦争と、一連の流れを侵略戦争と位置づけ、その中で誤った国策に翻弄される満州移民と残留孤児の問題を取り上げた。

 

◇「私は満75歳、毎朝走っています。毎年県民マラソンで10キロを約1時間で走ります。なぜこのことを話すかというと、今日取り上げる残留孤児の多くが私と同年代だからです」私はこう語った。敗戦の年、私は4歳。我が家は食糧難を予想して赤城山の奥地へ開墾に入った。さつま芋、大根、野生のウリッパの食事に涙を流した。思えば、あの頃、満州では大変な悲劇が展開されていた。満州は「日本の生命線」というのは思い込みだった。陸軍の暴走が国を誤らせた。天皇が大変立腹されたことは陸軍が政府を無視して突っ走ったからだ。私は、ここでシビリアンコントロールに触れた。

 

 満州事変に続く満州国建国。それは日本が操る傀儡国家。昭和7年の「建国」は中国及びアメリカとの関係を決定的に悪化させ、昭和12年の日中戦争、昭和16年の太平洋戦争へと突入していく。なお、満州国建国の昭和7年は、政府が満州移民を決定した年でもある。満州国を支える日本人を根付かせるという狙い。武装移民、少年義勇軍が渡満していく。この昭和7年という年、ヨーロッパではヒトラーのナチス党が第一党になり、翌年にはナチスは政権を握る。昭和15年三国同盟、昭和16年の太平洋戦争、昭和20年の敗戦と目も眩む世界史の舞台が繰り広げられていった。私は、満州は本当に生命線だったのかに関して、石橋湛山と石原莞爾の思想を紹介した。石原は生命線論者、湛山は反対だった。湛山の予言は的中した。

 

◇この日嬉しいサプライズが。私への御礼の挨拶をされたのは元群大教授前田洋文氏。先生は昔の私を語られた。江田島の海軍兵学校を出られ従軍。敗戦後東大を出て前高の先生となり、夜間部にも教えに来られ、私と出会った。謙虚で毅然とされ、私が出すどんな難問も的確に答えておられた。懐かしい昔の一コマだった。(読者に感謝)

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年2月21日 (日)

小説「楫取素彦物語」第97回

この時、それまで黙って聞いていた幻馬が口を開いた。

「長崎の平戸は鎖国の日本に開かれた小さな窓であった。は、ここを拠点に情報を集めてきた。そこから見えてくるのは目もくらむ世界の情勢であった。侵略で迫る大魔王の姿。人間の差別を開放する巨大なうねり。そこへと飛び出そうとする若者がいた。松陰だった

「その通りです」

楫取が興奮したように口を挟んだ。

幻馬は続けた。

これからは第二、第三の松陰が現れるだろう。その先は誰もが望めば異国へいける時代。この国を作り変えねばならん。そのために情熱を傾けてるのが土佐のは、松陰なき今、馬に日本の未来を託そうと思っている

この時、楫取が発言を求めた。

馬殿がここにいれば実に愉快であろうな。私は、今、先年、宰府で馬が言った言葉を思い出していました。差別のない平等の社会を作れば押し込められている無尽蔵の人材が一斉に力を発揮する。頭を押さえられて心を閉ざした国民と誰もが夢をもって国を支える国民の違い。国力の違いはここにある。馬殿は自信をもって、そう私に訴えていました」

「その考えを馬の心に植えつけたのがここにおいでのジョン・万次郎だ。は、は、は」

幻馬が愉快そうに笑った。幻馬の笑い声を受け止めるように万次郎が言った。

馬殿は、今何をしているだろうか。京には刺客がうようよしている

「命を大切にせよと忠告しているがちと心配な。大政奉還により、幕府が倒れた。これからが彼の出番なのに、浮かれて大酒でも飲んでいる時襲われたら、ことだな」

幻馬が真顔で言った。

 

 

※土日祝日は中村紀雄著「小説 楫取素彦」を連載しています。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年2月20日 (土)

小説「楫取素彦物語」第96回

 

楫取は、万次郎の言葉を受けてさらに語った。

「実は松陰のことでぜひ知って欲しいことがあります。松陰には常に座右の銘にしていた言葉がありました。孟子の言葉で、至誠にして動かざるは未だ有らざるなり、です。性善説に立って人間を信じろという信念です。黒船に挑戦してアメリカ人と対面したときも、この信念を持って当ったに違いありません

「ほほう」

万次郎は、こう言って、このとき、いかにも興味深そうな顔をした。

そして、その後、松陰は安政の大獄に連座して江戸へ送られることになりますが、死を覚悟した松陰が私に遺した言葉がこれでした。今、万次郎殿が図らずも松陰を高く評価されました。私は自分のこと以上に嬉しく思いますが、この言葉と共に松陰を見ていただければさらに松陰が輝くに違いないと思ったのでございます」

楫取がこう話をしたとき、万次郎ははたと膝を打って身を乗り出して語り始めた。

「私は漂流し捕鯨船に救われアメリカに渡ってあの国の人々と接することになった。見るもの、聞くことみな初めてで、オトギの国に来たようだった。そんな時、支えになったことは、人間は心の中に仏と悪鬼を棲まわせている。鬼を見ちゃなんねえ、仏を見て付き合えという村の古くからの教えでした」

万次郎はそう言って、言葉を止めて楫取の表情をうかがった。楫取は大きく頷いた。

「私は、アメリカの学校でも、鯨りの仲間でも、アメリカの家庭の中でも、この諺がうまくあてはまることを知ったのだ。松陰の言葉と同じことだと思う。松陰が斬首されたことで、この言葉は、松陰が命を賭けて遺したものになった。松陰の遺産は日本人の宝であるばかりか、世界の宝だ。人類の宝だ。私は今、そう思いながら聞いておりました」

 

 

※土日祝日は中村紀雄著「小説 楫取素彦」を連載しています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年2月19日 (金)

人生意気に感ず「計画的な投げ捨てとは。文春はやり過ぎだ。ゲス男と自民。北の末路は」

 

 ◇高齢者投げ落とし事件の全貌が現れてきた。川崎の老人ホーム。元職員の今井容疑者は「寝ていた老人を起こしてベランダに連れ出した」と供述。その状況を想像すると驚くべきこと。社会の異状は異状な犯罪となって現れる。 

 文明が機械化し、人間性喪失の社会が進む。老人施設はかつてのうばすて山か。この事件は深いところで今日の社会の腐った水脈とつながっている。

 

◇週刊文春が「少年A」に突撃取材し、顔写真まで出した。大規模な作戦を展開して少年を追い詰めている。サカキバラの事件は異常であった。全国民に衝撃を与え、その存在は長いこと謎だった。手記を出版したことには大きな批判が寄せられた。少年Aはあれだけの異常犯罪を犯したのだから、その性格に大きな異常性があったに違いない。それを含め、少年Aは全存在をかけてこの難しい社会で立ち上がろうと必死だったと思う。手記の出版もその現われだ。「文春」の取材は、Aの更生を妨げる。そこまで追い詰めることは酷い。医療少年院で治療に携わった人たちはどう見ているか。Aに潜む悪魔を復活させてしまう恐れがある。

 

◇宮崎謙介については、政治の世界に今時の変なのが現れて消えたという感じ。イケメンで手当り次第に女に手を出す。そういうどこにでもいるアンチャンが、簡単に政治家になった。権力を手にして有頂天になった哀れな姿だ。

 

 今度は「二重婚約疑惑」が指摘されている。場違いな劇場に登場し慌てて逃げ出していった。政治家の志などない男が、育休政策などを掲げたから、一層漫画的となった。こういう男を担ぎ出した自民党には大きな責任がある。甘い蜜に虫が集まる。重大な問題が山積している国家の危機なのに国会が役割を果たせない状態だ。この状況をあざ笑うかのように株がジェットコースターのように乱高下している。

 

◇北朝鮮の金正恩の狂気の暴走はナチスのヒトラーを思わせる。ヒトラーと比べて知性が感じられない。この独裁はどこまで続くのか。最高幹部を次々に処刑している。追い詰められた高官で、志を持つ人々がクーデターを起こすのは有り得ないことではない。アメリカの政府は、金正恩を父の金正日以上に残虐だと分析している。内乱が起き、あるいは韓国と戦になったら、日本も巻き込まれる。国会はこの緊張を現実のものとして受け止めねばならない。(読者に感謝)

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年2月18日 (木)

人生意気に感ず「萎縮する議員。ヒトラーと満州。IS恐怖症と世界」

 

◇「米国は黒人が大統領になっている。黒人の血を引くね。これは奴隷ですよ。まさか米国の建国の時代に黒人奴隷が大統領になると考えもしなかった」これは自民党の丸山和也参院議員が憲法審査会で述べたもの。丸山氏は記者会見で「誤解を与えるような発言をしたことを大変申し訳なく思う」と陳謝した。

 

 すぐ陳謝する軽い国会議員。重い問題を陳謝で済ますとすればそれこそ問題だ。米国で建国の時代に黒人奴隷が大統領になるとは誰も思わなかったのは事実である。現代のオバマ大統領の姿は、アメリカの民主主義の輝かしい到達点である。言葉たらずを説明出来なかったのか、批判に怯えてしなかったのか、いずれにしても国会議員が萎縮していく姿である。

 

◇前橋市三俣町のスナック殺人事件は、私が現職議員だった頃の大事件で、市民を恐怖に陥れた。平成15年、暴力団の抗争で無関係の市民が組員だと間違われて殺された。3人の死刑が確定。その1人である矢野死刑囚は別の人も殺しているとの文書を警視庁に提出していた。矢野死刑囚は更にもう1人の殺害もほのめかしているという。死刑執行を前に全てを告白する気になったのか。人を殺すことを何とも思わない闇の世界の恐ろしさが窺える。同時に、そういう殺人鬼も死を前にして真人間に戻ったことを示すものか。死はそれほどに重い。死刑問題の本質をしっかり考えたい。

 

◇20日(土)は大胡シャンテで「満州」の講演を、27日(土)はふるさと塾で「ヒトラー」を語る。二つの話は時代的に重なり、全体主義国家の侵略の姿として共通の問題を含む。つい最近、満州で地獄を見た人々の「体験集」が出来、私は巻頭言を書き、特別寄稿を寄せた。1931年、満州事変。翌年満州国建国、この年ヒトラーのナチスは第一党となった。

 

 アメリカの独立革命、及びフランス革命に源を発する民主主義はナチスの軍靴に踏みにじられていった。1940年、日独伊三国同盟を結び翌年太平洋戦争突入となる。

 

◇世界は今、再び大変きな臭くなってきた。その源はISである。難民がヨーロッパに押し寄せている。ドイツもフランスも理性を失いつつあるように見える。ドイツに於ける極右の台頭はヒトラー時代を想起させる。日本も少子化が進む中で移民受け入れは避けられない。文化を守り国を守るための新たな課題が生まれつつある。(読者に感謝)

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年2月17日 (水)

人生意気に感ず「高齢者投げ捨ての深い闇。ドイツと日本の全体主義。亡霊は甦る」

 

 ◇3人の老人がマンションから投げ落とされた疑いがある。川崎の有料老人ホーム。容疑者は、元職員の今井隼人(23)。直接の容疑は、そのうち87歳の男性に対する殺人罪。今井は3人の投げ落としを認めているという。他の2人は86歳と96歳の女性。ゴミのように捨てられたのだろうか。 

 最近高齢者施設での虐待が非常に多い。認知力がなくなった人をゴミのように扱う。その気配を察した家族が録音器をしかけて明るみに出る事態が何度も報じられてきた。私は、今の社会の病んだ姿の一つの象徴だと思う。人間の尊重、人権感覚が介護に携わる人の心に根づいていないのだ。

 

 これは崩壊していく日本社会の一端を示す事態でもある。教育に長い年月を費やしながら肝心なことを教えていない、核家族化の中で高齢となって死に近づく肉親の実態が分からない、様々な要因があるだろう。

 

◇3人を殺せば死刑が相場である。判決文でよく見られるのは、「夢のある人生を奪った」という表現である。若い命を奪うことは持論大罪に違いないが、人生の終末を迎えた人をゴミのように殺すことは、それ以上の大罪であることを裁判所は断固として示すべきである。社会の役に立たなくなった人間は無用の存在だという観念を広げてはならない。私は、昔読んだ「生きるに値しない命」という論文を思い出す。ドイツの高名な刑法学者ヴィンディング等が書いたもので、ナチスのユダヤ人大虐殺の一つの論拠となったと言われる。歴史は繰り返されることを警戒しなくてはならない。

 

◇かつてのドイツや日本は全体主義の国家だった。そこでは全体の国家目的が個人の価値に優先する。今日の世界でも中国やロシアの共産主義は全体主義である。その極致が先軍主義を掲げて突き進む北朝鮮である。国民を飢えさせ、政権の幹部を次々に処刑する恐怖政治を行っている。国連は、金正恩主席を「人道に反する罪」で裁こうとする姿勢を示している。日本にとって大変な幻怪変化は、核兵器を進化させ、極めて現実的な恐怖となった。国境を接する韓国の世論は核武装を本格的に議論するようになった。

 

◇ドイツでは多くのイスラム系難民を受け入れたことにより、これに反対する極右の勢力が頭をもたげつつある。ユダヤ人排斥を叫ぶヒトラーの姿が甦る。世界は危険な状況にある。(読者に感謝)

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年2月16日 (火)

人生意気に感ず「重力波の衝撃。ブラックホール。アインシュタイン、オッペンハイマー」

 

 ◇不倫、金、選挙と地上のごみごみした出来事と対象的に壮大な、実にダイナミックな宇宙の物語が展開している。アメリカが宇宙から届く重力波をとらえた。アインシュタインが100年前に存在を予言した。400年前に天文学の扉を開いたガリレイの偉業に匹敵すると、知の世界では興奮に湧いている。 

 13億光年の彼方にある二つのブラックホールの合体で生じた重力波だという。科学の解説員がコンニャクを材料にして説明していた。コンニャクを重しで押すと凹む。それが空間のゆがみで、重しを揺すぶると、ぶるぶるとゆがみが回りに伝わる。それが重力波だと。空間の伸び縮みの変化は極めて小さい。その大きさを我々の数値で現すことは難しい。たとえで現す他ないが、地球と太陽間(1億5千キロ)の距離が水素原子1個分だけ伸び縮みする割合だという。

 

◇昔、学習塾をしていたころ、脱線して、宇宙人、ブラックホール、ビックバンなどの話をすると、塗炭に生徒の目が輝き出すのであった。今回の快挙で物理学の新しい扉が開かれるのだから、学校は理科教育を進める絶好のチャンスとして生かすべきだ。「今後は、重力波観測によって思いもよらない星が間違いなく見つかる」と科学者は興奮を隠さない。今日では、存在が確実視されている生命の星の発見も近づくのではないか。

 

◇重力波望遠鏡、重力波天文学という用語が躍る。宇宙の起源、宇宙膨張に終わりはあるか、私たちは、そういうことが一歩一歩確実に分かる時代の入口に立った。

 

 かつてコロンブスが新大陸を発見して、人類は新しい世界に進出した。同じように、今人類は宇宙に進出しようとしている。その宇宙の地平線を切り開きこの目で確かめられる時代を予告するのが今回の「観測」だろう。物理の分野でいくつものノーベル賞を得ている日本は、この宇宙の分野で競争に遅れをとってはならない。日本の技術力、日本人の文化と知のレベルを一層向上させる機会とすべきだ。

 

◇ニュートンが重力を思いついた。その考えを基礎に、ミッチェルは余りに重力が大きく光も脱出できない星、つまり見えない星を予言した。200年以上も前のことである。ブラックホールはアインシュタインが相対性理論で根拠づけたが、数学的に理論づけたのは、原発開発を指導したあのオッペンハイマ―であった。(読者に感謝)

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年2月15日 (月)

人生意気に感ず「市長選に見る日本の危機。一強に胡坐をかく自民の危機。白根開善の危機」

 

◇午後7時が過ぎると、投票所が閉められるのを待っていたように当確が報じられた。実は、事前の選対会議では、7時前の当確発表予想も飛び出していた。投票率は史上最低の31%。予想されていたこととはいえ淋しい。選挙の正当性、そして民主主義の正当性が問われる。

 

 今回の市長選の対立候補は共産党のみ。当落をぎりぎり競う候補者が現れなかったことが大きな問題なのである。最近の地方の選挙では、立候補者が足りず、選挙にならないところが増えだした。定数を減らして選挙を実現する自治体も現れる始末。面倒なことに関わりたくない、積極的に社会の問題に参加するのは御免。こういう人が増え、PTAの役員にもなりたがらない。深刻な社会の危機。前橋市長選にもこの危機が現れていた。今年中の解散、衆院選が確実視されているが、その動向が気になる。当選に多くの国会議員が駆け付けていたが佐田さんの姿は遂になかった。

 

◇国政には現在、大きな異変が生じつつある。「一強」と言われ、安倍政権は盤石に見えた。その岩盤に亀裂が生じ始めた。議員の不倫、甘利事務所の口利き行為。これらは「一強」に胡坐をかいていたことの現われだ。

 

 宮崎謙介氏の辞任は何ともやり切れない。妻の出産直前に自宅でタレントと一泊した。国会議員として育休取得を表明していた。男性公務員の育休取得が極端に少ないのが現実。宮崎議員の育休取得にはこの現状を打破する期待があった。それが不倫報道で逆の状況が生じた。今、男性公務員は、国会議員を含めて育休を取りずらくなったに違いない。その効果は、公務員だけでなく、社会の一般男性についてもいえることだ。

 

◇宮崎謙介氏を父とし、その妻金子恵美自民党議員を母として、生まれてきた子にどんな運命が待受けているのか気になることだ。宮崎、金子両氏の夫婦関係が今後どうなるかも、子どもの運命に影響することだろう。

 

◇まあ、いろいろな問題を抱えて、一強で順風に見えた安倍政権が激流にもまれだした。どこかのジャーナリストが次のように言っている。「実は怪しい運転技能しか持たない運転手が日本国民みんなを乗せたツアーバスを猛スピードで運転しているのと等しい」と。

 

◇13日、白根開善学校の理事会に出た。高い理想を掲げてスタートした山の学校も生徒数が減って危機にある。しかし、建学の精神は危機をチャンスに変えるエネルギーを秘めていると感じた。(読者に感謝)

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年2月14日 (日)

小説「楫取素彦物語」第95回

は、ポーハタン号で松陰と会ったという人と話したことがある。この人は、下田の浜で松陰と会話し、文書を手渡されたと申した。異国語が分からないのにもかかわらず話しかけて来た大胆さに驚いていた。しかし、チンプンカンプンの中で、ありがとう、サンキューが感謝を伝える同じ意味の言葉と分かり、お互い感激して握手をしたそう。それだけではない。ペリーに書いた文書は、日本の文字が分からぬ異人にも、人間の心が伝わる不思議な力を感じさせたという」

「そんなことがあったとは。松陰の大胆さと人間を信じることを示す姿で

楫取が感じ入った様子で言うと、万次郎はさらに続けた。

「ペリーが後に語ったそうだ。それは松陰が小舟で軍艦に近づき、刀を小舟に残し舟をけって、乗り込んだ姿に感動したというのです。日本人という国民は、命を捨てても新しい知識を得ようとする好奇心をもっている。この民族の将来は洋々たるものだろう、と話したというのです」

「うーむ」

楫取は思わず唸った。

それを見て万次郎は強い口調で言った。

「松陰の行動は、日本人の心意気を天下に示した。これからの日本民族は鎖国から抜け出して世界に出なければならない。松陰はたとえ言葉や文化が違おうと、人種の優劣があろうと、それを乗り越えて前に出るという勇気と気力と誇りを示した。それこそ松陰の最大の功績だ。はたまたま運にめぐまれてアメリカに渡ることが出来た。松陰は、アメリカ行きは果せなかったが、巨大な軍艦に挑戦し、堂々と意志を伝えた。この姿こそ、これから長く日本人が手本とすべきことだ」

万次郎は瞳を輝かせて語った。自分の海外の体験を踏まえて日本人の姿はかくあるべしという思いなのである。

 

※土日祝日は中村紀雄著「小説 楫取素彦」を連載しています。

 

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年2月13日 (土)

小説「楫取素彦物語」第94回

慶喜を動かしたのは我が藩の前藩主山内容堂様だ。容堂様の熱い思いも馬と同様、万次郎の影響と私は信じてる。これも、土佐の沖を唸りを上げて流れる黒潮の奇跡、はこう信じるのだ。実に愉快」

幻馬はここでまた話すのを止め、目を閉じて何か回想している風であったがやがて言った。

「ここに松陰殿おられたらさぞ面白い話になったであろうに」

これに応えるように楫取が言った。

ほんとうに。松陰は、海の向こうのアメリカに限りない想像を巡らせて黒船に乗り込んだ。あれは安政元年三月の出来事であったが、その前年に松陰は萩に立ち寄りました。長崎の帰りで江戸へ向かう途中であった。その時、長崎で幻馬殿に会ったとしきりに申されていた。松陰のあの時の輝く表情が目に浮かびます。そして、黒船乗り込む決意を私に語ったのです」

この時、楫取の話を制するように幻馬が言った。

「あの時のことが思い出されます。は攘夷などは絵空事だ、目を開け。お前から出る不思議な雰囲気に注目するが素直すぎる。自爆せぬように注意せよと申した。あの時の松陰殿の姿が昨日のように思い出される」

幻馬は空間の一点を睨むようにして言った。この時、楫取は万次郎に視線を戻し尋ねた。

「万次郎殿に聞きたい。松陰の行動は無駄だったのだろうか。松陰の失敗は無意味だったのでしょうか」

万次郎はしばらく考えていたが、意外なことを話し始めた。

 

※土日祝日は中村紀雄著「小説 楫取素彦」を連載しています。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年2月11日 (木)

小説「楫取素彦物語」第93回

「ジョン万次郎。土佐の漂流民の」

楫取の驚く顔を愉快そうに眺めながら幻馬は言った。

「これは奇遇でございますな。一度、ぜひお会いしたいと思っていました」

「吉田松陰殿の義弟でいらっしゃると聞きました。実に惜しい男でしたな。下田踏海を実行した松陰殿の胸には私の漂流があったと聞きます。松陰殿に会いたかった。あなたに会えたことはまるで松陰殿に会ったように思えます

「振り返ればまことに感無量です

幻馬がこう言って口を挟んだ。

「太平洋が新しい時代を開いたの。漁民の少年を黒潮がアメリカに運んだ。少年は進んだ社会を学び黒潮に乗って帰ってきた。それがこの万次郎なのだ。万次郎の話は黒潮が語る奇跡であった。それを熱い心で受け止めたのが馬だった。馬が動き薩長同盟が出来た

幻馬は話すのを止め、遠くを見る表情をした。そして、口を開いた。

伊之助殿、いや、今では楫取素彦殿であったな、あなたが下準備で苦労したお陰で話がとんとんと進んだ

幻馬は笑顔を作って楫取に向け、楫取は小さく頷いた。

この薩長同盟の力で幕府は敗れた。土佐ではこれも黒潮の奇跡と大騒ぎなのだ。それに大政奉還だが、慶喜があのように直ぐに決断するとは思わなかった。

 

※土日祝日は中村紀雄著「小説 楫取素彦」を連載しています。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年2月10日 (水)

人生意気に感ず「北の実験の背景は。中国帰国者の体験記成る。日中友好協会のパーティ。清原よ」

 

 ◇非道の国北朝鮮が水爆に近いものを完成させたらしい。世界中から非難を浴びせられても動じる風がない。「先軍政治」といって、軍事を最優先させる政治を行っているのだから、核実験、弾道ミサイルの成功は一大快挙に違いない。世界が制裁を叫ぶ効果はないようだ。その証拠として、最近の北朝鮮の経済は少し上向いているという。 

 米ソの冷戦構造が終結して、今、新たな対決構造ができつつあるが、アメリカを中心とした勢力に対抗するグループは、表向きはともかく、北朝鮮の存在を密かに利用しているのではなかろうか。アメリカの北朝鮮やISに対する対策がうまくいっていないことを中国は敵矢とみて秘かに喜んでいるふしがある。

 

◇北の軍事力の躍進は日本の安全保障に重大な影響を及ぼしつつある。韓国の世論に核武装が浮上しつつあるのはその一端だ。どさくさに紛れるように中国が力で膨脹政策を進めようとしている。中国との関係をどう進めるかは、日本の運命にかかわる重大事である。

 

◇中国残留帰国者の「体験記―二つの祖国を生きてー」が完成した。私が提案したものだが、群馬県中国残留帰国者協会終戦70周年記念事業である。私は、群馬県日中友好協会会長として巻頭言を書き、また「日中の絆、地獄の満州を振り返る」を寄稿した。20人の方々が体験記、回想録等を寄せている。絶望した母親が幼児を川に投げ込む、ソ連が来て女を出せと迫る、バタバタと殺される人々、綴られる逃避行は正にこの世の地獄。一方で養父母に実の子同様に大事にされ高等教育まで受けさせてもらった恩を語る人がいる。満州を生きた人々の姿は中国との絆であり歴史の生き証人である。

 

◇昨日(9日)、群馬県日中友好協会主催の新春交流パーティが行われた。冒頭の挨拶で私は日中間には長い歴史があり、これを踏まえて今日の関係を築かねばならないと話し、この「体験記」を紹介した。終戦70年の記念誌であり、今学ぶべき現代日中の原点があると語った。今日、午後1時県庁で、出版の記者会見を行う。

 

◇清原は薬切れの禁断症状で大変らしい。クスリに手を出そうとする人は自分の明日の姿と思うべきだ。クスリの受け渡しに群馬のラブホテルが使われたとは。有名人の責任は大きい。(読者に感謝)

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年2月 9日 (火)

人生意気に感ず「少年事件の闇。人年の心の崩壊。認知症は人類の危機」

 

 ◇またやり切れない少年事件が。兵庫県の少年が同居の祖父母殺しの容疑で逮捕された。少年は「遊ぶ金が欲しかった」と言っている。最近、このような事件が多すぎる。少年少女が不可解な動機で親や祖父母を殺す。 

 直系尊属の殺人は、かつて、死刑又は無期の重罰だった。この規定は、最高裁によって、憲法違反とされた。一般の殺人と比べて刑が重すぎることが、法の下の平等に反すると判断されたのだ。しかし、重罰規定がなくなったとはいえ、直系尊属を殺すことには大きな倫理的非難が寄せられて当然である。

 

 少年一般の心に何か変化が起きているに違いない。よく聞かれるのは「誰でもよかった」ということ。誰でもよいの中に、親も祖父母も含まれるのか。心の崩壊現象の兆候であると思う。人間の心を育てるという家庭そのものが崩壊しつつある。学校の役割は非常に大きいが道徳教育は無力に近い。道徳教育の工夫は勿論重要だが、国語と歴史に一層の比重を置くべきだ。歴史教育の役割は単に過去の事実を知識として伝えることに止まらない。祖先の歩みであり、その上に私たちの存在がある。私たちの心を育てる基礎を作る学問である。国語は、題材を選ぶことにより、自ずと、道徳や歴史の教育に繋がる。今、国語教育の意義を考える時である。教育は百年の計。すぐに効果は現われない。教育は人をつくり、人を駄目にする。教育の危機を考える時である。

 

◇私の携帯電話に毎日のように行方不明者情報が入る。ほとんどは1日~2日以内に見つかるようだが中には、長く不明となる人がいる。県警によれば、昨年1年間に認知症によるとみられる行方不明者は222人というから大変なことだ。これが全国で起きている。人間の危機であり、国家の危機である。超高齢社会の行き着く先を暗示するような出来事である。人間の尊重、人権の確保を掲げる憲法の下で、認知症対策は焦眉の急である。認知症対策の在り方は、一国の品格と文化の進歩を示す。2年程前に中国を訪ねた時、中国の認知症対策が全くといっていい程進んでいないことを知って衝撃を受けた。中国は一人っ子政策の結果として急速に高齢化が進み認知症が増えているが、この病に対する理解が進んでいない。全体主義の国家は個人に対する視点が弱い。認知症は個人を重視する社会でなければ解決できない。(読者に感謝)

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年2月 8日 (月)

人生意気に感ず「日本列島の異変の加速。祈願祭とS代議士。北の発射」

 

 ◇最近の日本列島はおかしい。数日前東京で震度4があり、5日の夕刻桜島が噴火、そして7日茨城北部で震度4である。以前から「近い近い」と言われて今日に至っているが、極く最近の状況は何か不気味さを感じる。一般の日本人は「オオカミが来る」に慣れてしまった。こういう状況で国、地方、行政の役割は実に大きい。このことを書いているとき、今度は台湾で大地震が起きた。M6・4.死者35人。そして100人超が行方不明。みな繋がっているように思えてならない。今年の最大の課題は自然の大災害である。 

 およそ5年前の「3・11」は、しばらく静かだった日本列島が大きく動き始める序曲だったと思う。それは天が与えた警告である。この警告を人々は真摯に受け止めているか。天災は、警告を忘れた時に必ずやってくる。特に群馬では、「安全神話」が警告の忘却に拍車をかけている。

 

◇昨日、市長選の火蓋が切られた。山本陣営は、朝8時半、八幡宮で必勝祈願祭、続いて10時に事務所で出陣式を行った。前回のような緊迫感はない。弁士も「敵は共産党ではない、投票率です」と叫んでいた。市長選が始まったことすら知らない人が多い。この状態が続けば40%という至上最低ということも。

 

「山本市政を推進させるエネルギーは市民の支え、それを示すものが投票率。投票率の低下は民主主義の危機」、私にマイクが与えられたならこのようなことを言ったであろう。

 

◇祈願祭、出陣式を通じてある異変があった。地元1区の衆院議員S士の姿が見えない。女性部等の強硬な反対で出席を断ったのだ。選挙事務所への出入りも今回はないとのこと。

 

週刊文春の記事の影響は、前回があるだけに大きい。今回の記事の影響は、前回があるだけに大きい。今回の記事に不満があるなら、S氏は記者会見で自らの考えを表明するとか、文春告訴とかの手段をとるべきだ。何もしないことは、文春の記事を認めることを意味する。

 

◇政府中枢から年内の衆院解散必至の雰囲気が流れている。前回もS氏の公認には無理があった。次回は一層厳しいだろう。1区の有権者の良識が問われるとの声が上がっている。18歳まで引き下げられた新有権者の投票行動も注目される。

 

◇出陣式の最中、壇上の私の耳に、周囲から「北がやった」という声が入った。ケータイにミサイル発射の情報が入ったのだ。国民の安全は地方政治にとっても重要な課題である。(読者に感謝)

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年2月 7日 (日)

小説「楫取素彦物語」第92回

この慶応三年という年は日本史が一大転換を遂げた年である。十月三日、土佐藩は幕府に対し大政奉還を建白、将軍慶喜はこれをいれて十月十四日、朝廷に大政奉還を上表し、翌日、朝廷はこれを受理した。ここに、二百六十余年続いた徳川の江戸幕府は倒壊した。

楫取は深い感慨に浸っていた。今、大きな山の頂に立っている。見下ろせばここに至る道で、松陰、久坂、晋作が倒れた。自分が生きていることが不思議に思えた。束の間の平穏を味わっていた時、意外な訪問客があった。

「お久しぶりでございます」

にっこり笑う美しい顔はあのお綱であった。

「ご出世なされ、ここまで近づくのが大変でございました」

「なんの、そんなことはない。して、今日は何のご用でまいったか。幻馬殿はお元気か」

「はい、つきましては積もる話もある、今後のことも語りたい。幻馬様はこう申されてお誘いするようもうしつかってまいりました

「左様か。長崎や太宰府が懐かしい。私もお会いしたいとお伝え願いたい」

「かしこまりました。幻馬様もさぞでございましょう」

お綱は太宰府の時のように白い歯を見せて笑うと、丁寧に手をついて頭を下げた。

日を改めて約束の場所に案内されると、幻馬と共に見知らぬ男が待っていた。

「万次郎でございます」

楫取は、まさかという思いで潮(しお)焼けをした逞しい体格の男を見つめた。

 

※土日祝日は中村紀雄著「小説 楫取素彦」を連載しています。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年2月 6日 (土)

小説「楫取素彦物語」第91回

伊之助は、にわかに忙しくなった。長州は新たな勝利者となり、時代の寵児になりつつあった。諸藩の藩主など訪れる者が多くなり、伊之助は応に追われた。広島にける対幕府の応接は特に重要で、長州の威信を示しつつ深慮が求められた。正に伊之助の正念場であった。そんなある日、広島の伊之助の宿舎を幻馬が訪ねた。

「やりましたな。幕府の惨めさは絵にかいたようだ。幕府もこれで終わりですよ」

幻馬は満面笑みにして言った。

「あなたには随分助けられた。情報の大切さを知りましたぞ」

伊之助はそう言って幻馬の手を固く握った。

慶応三年一月、幕府は征長休戦の勅許を諸藩に布告し、ここに正式に対長州戦、長州から見れば四境戦争は終わった。

 

 

 楫取素彦の登場 再会

 

 

慶応三年九月二五日、伊之助は藩の奥番頭に抜擢された。同日藩主毛利敬親は伊之助を呼び出して言った。

「そなたはよく頑張った。礼を言うぞ。大きな時代の転換だ。ついては、以後、楫取素彦と名乗るがよい」

「ははー。ありがたいお言葉。身に余る光栄です」

伊之助は感激して言った。

藩を背負って立つにふさわしい名を与えられたのだ。

 

※土日祝日は中村紀雄著「小説 楫取素彦」を連載しています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年2月 5日 (金)

人生意気に感ず「懲役10年以上の不定期刑。清原の逆転ホームラン。ハンセンの歴史。ミサイル発射」

 

 ◇懲役10年の不定期刑の求刑があった。上村遼太君殺害の主犯格の少年(19)に対し、検察は「少年事件の中でも特に残虐性が高い」として、この刑を求刑した。少年法は少年の人格の可塑性を重視する。刑の目的には懲らしめることと更生させることがあるが、少年の場合、人格が固定していない、つまり可塑性が高いので、後者を重視する。変化は時と共に現れるから不定期刑が望ましい。 

 少年の残虐性は社会の縮図とも。複雑な享楽の社会が人間に潜む悪魔を育ててしまう。仇討をしたい親の気持ちが分かる。10日に一審の判決が下る。

 

◇盟友桑田が会見で語った。「断られても苦言を続ければよかった」、「またきれいな放物線を描く逆転満塁ホームランを打って欲しい」。人生の逆転満塁ホームランを打つことが、少年たちの夢を壊したことへの責任である。清原の状態はまだ地獄の一丁目だろう。煉獄から生還し、手記を出せばそれがホームランになる可能性がある。私ならその道を選ぶ。今の日本は、そういう許容性が高い社会なのだ。敗者復活が許される社会であることが救いである。

 

◇群大と栗生楽泉園、及び入園者自治会が事業連携の協定を結んだ。ハンセン病に対する偏見と差別の解消に向けて正しい知識を普及させようとするもの。無知ほど恐いものはない。無知が差別と偏見を生む。ハンセン病の歴史はこのことを物語る。患者自治会の会長藤田三四郎さんが新聞に大きく写っている。過日、私は楽泉園で藤田さんにお会いし、高齢にも拘わらず驚異的な記憶力に圧倒された。その時、復元された重監房に入り息が詰まるような所に横になると、壁には怨みの言葉も再現されていた。

 

 ハンセンが癩菌を発見したのは1871年(明治4年)のこと。これにより遺伝病でないことは科学的に証明されたのに、断種が強制され人間否定の残虐行為が長く続いた。ハンセン病の歴史は人間の回復を求める人権闘争の歩みであった。背景には戦争を遂行する全体主義と重なる時期があった。聖戦を妨げる国辱の存在と見られたのである。差別と偏見は今日的問題であることを忘れてはならない。

 

◇北朝鮮のミサイル発射で緊迫した状態が続く。戦争は嫌だ。平和は切なる願いだ。しかし平和は丸腰では守れない。(読者に感謝)

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年2月 4日 (木)

人生意気に感ず「ジカ熱は唯事ではない。清原逮捕の衝撃度。少年犯罪の闇。北のミサイル」

 

 ◇ジカ熱の感染は大変なことになりそうだ。ブラジルでは先天的な脳の発育不十分とされる小頭症が先月30日までに404人。一週間前は270人だったというから急激な広がりである。小頭症の疑いで診断中が3,670件というから、今後の小頭症の確認数を想像すると恐ろしい。米本土では、帰国した発病者との性交渉による二次感染が報じられた。国際化で世界が一体となっている今日の状況から、日本への上陸もあり得ることだ。近づくリオの五輪に伴う恐怖はテロだけではないということだ。 

◇清原逮捕の衝撃は余りに大きい。精神を揺する度合は巨大地震並である。プロ野球というスポーツの大きさと清原の輝かしい球歴ゆえだ。覚せい剤、注射器、ガラスパイプ、ストロー、携帯電話4台が押収された。携帯の分析から逮捕者が広がるだろう。

 

 注目すべきは、哀れな変化である。天国と地獄ではないか。家族を失った寂しさは、想像以上のものだろう。クスリの故に人間の破壊が進んでいたのではないか。改めてクスリの恐ろしさを思う。私が支援するダルクの人が語った。「一度依存症に陥ると完全に体から消し去ることは不可能です」と。

 

 スポーツ選手や芸能人の薬物事件が跡を絶たない。あの人もやったのだからという影響力は大きい。実際の刑罰も軽いのではないか。いつの間にかテレビに復帰する例も多い。

 

 警視庁によれば昨年の覚醒剤の摘発数は1万792人。大量の覚醒剤が日本に流入しているという。危険ドラッグの事態も深刻である。一般の市民にも黒い陰が広がっている。教育界も深刻に受け止めるべきだ。

 

◇上村遼大君のあどけない笑顔。この少年を殺した少年犯罪の恐さ。とくに、集団心理の恐ろしさを思う。第二回の公判が行われた。第一回のとき、極寒の川を裸で泳がせた、カッターで首を何回も切った等の事実が明らかになった。少年は集団化すると単独では有り得ない心理になる。異常心理の相乗作用でモンスターが出来上がってしまう。教育の責任は大きいが社会が犯罪少年を作りだしている。少年法の改正はやむを得ない。

 

◇北が長距離弾道ミサイルの発射を国際機関に通告した。安倍首相は「重大な挑発行為」と、そして米政府は「言語道断」と非難。世界のアウトロー。国民の大部分は事の本質を知らない。「拉致」が遠ざかる。日本の守りが問われる。(読者に感謝)

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年2月 3日 (水)

人生意気に感ず「大統領選の面白さ。ジカ熱の恐怖。清原逮捕」

 

◇アメリカ大統領選の候補者指名争いは面白い。それぞれの州の民主主義の歴史が選挙に影響していると思えるからだ。初戦が行われたアイオワ州は小さな州である。小さな州だがリベラル(自由主義)色が強い。そして、初戦ということもあって全米の注目が集まる。クリントンとトランプの動きに全世界の目が。

 

 民主党のヒラリー・クリントンは、クリントン元大統領の妻で、アメリカでの初の女性大統領かということで関心が、また、共和党のトランプは暴言の主で、大方の専門家は消滅候補と見ていた。この男に「核のボタン」を委ねていいのかということでアメリカ市民の良識が問われる候補。

 

 結果は、ヒラリーが薄氷を踏む状況で辛勝、トランプは大きく敗北した。トランプを破ったクルーズ上院議員はキューバ移民の子。議会で21時間以上の演説をしたことで一躍有名になった。アメリカ議会で認められる制度である。名優ジェームス・スチュアート主演の映画「スミス氏東部へゆく」の場面を思い出す。昔見た白黒映画、長身のスチュアートは青年政治家を演じた。シェナンドー川、ウインチスター77、リバティバランスを撃った男など、この男の多くの映画を観てきた。

 

 第2戦は今月の9日のニューハンプシャー州、そして3月1日の「スーパーチューズデー」と続く。アメリカのダイナミズムが伝わってくる。

 

◇ジカ熱の恐怖が始まった。WHOは「緊急事態」を宣言したが、その主な理由は小頭症の子が生まれる危険性が強いからだとする。蚊が媒介する感染症で、中南米を中心に大流行。オリンピックがあるので、特にブラジルが心配されている。中南米で大流行というのは、そちらが夏で、蚊が活動するからだ。北半球が夏になった時が大変だ。地球規模で広がる危険性がある。今回のジカウイルスの拡大は、かつてない勢いだという。人類は絶えずウイルスに苦しめられてきた。目に見えない新たな敵が次々に襲いかかってくる。私は、県議時代新型インフルエンザを取り上げて警告した。この恐怖も依然存在するのだ。

 

◇清原が覚せい剤で逮捕された。清原と言えば、PL、桑田をすぐに連想する。同じく甲子園で活躍し、プロでも華々しかったのに。桑田は堅実だが、清原は、離婚、立小便等の報道がなされ荒れた私生活を思わせた。有名人の「薬物」を厳しく処罰して欲しい。(読者に感謝)

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年2月 2日 (火)

人生意気に感ず「日銀のマイナス金利。甘利の辞任。トイレの盗撮」

◇日銀がマイナス金利を決定した。日銀は「銀行の銀行」と教えられている。だから、一般の銀行が日銀に金を預けると金利がつく。マイナス金利というのは、利息がつかないどころか逆に預け料をとられるのだ。だから一般銀行は日銀に預けないで、企業へ貸し出して金利を稼ぐことを考える。日銀の狙いはここにある。企業の活動が活発となり、景気がよくなることを期待して、報道と共に株価が大きく上がった。

 

 甘利大臣の辞任はTPPの行方に暗い影響を与えると受け取られている。だから株価が大きく下がった。日銀の決定は、甘利ショックを吹き飛ばす効果を発揮しているようだ。これが一時的なものでなく、本物の景気立て直しにつながることを期待したい。

 

◇甘利大臣の10秒間の沈黙は何だったのかと関心が高まっている。言いたいことを言えない無念さもあるのだろう。秘書の横領は呆れたもの。録音や写真までとって罠をしかけた企業主は問題のある人物らしい。これらを大きく取り上げた週刊誌に品格を求めるのは無理。秘書への監督責任は大きい。それも踏まえて、政治資金規正法違反は否定できない。秘書は辞表を提出したというがコソ泥のような秘書の存在が政治不信の原因をつくり、国益を大きく傷つけている。基本的に言って、良い政治家には良い秘書がいる。これは戦国時代から、良い腹心があって良い将たるの力を発揮できることは当然であった。この点も含め、甘利さんの資質が問われるのであろう。

 

◇盗撮の時代と言える。警察庁の調べでは、増え続け、2014年は3,000件を超えた。盗撮は刑法に罰則がない。都道府県の迷惑防止条例違反となっている。16の県条例では、「公共性の高い場所」と規定され、トイレはこれに当たらないとされる。福岡県では条例を改正し、公衆トイレ、商業施設のトイレにも適用を広げた。「公共性の高い場所」とは不特定多数が出入り出来る場所と解釈されるから、路線バスは条例が適用されるが貸切バスはされない。条例が改正されている県と否とで犯罪の立件が異なるのは刑の公平という点からもおかしい。条例でなく法律で対応すべきだ。トイレに小型カメラを設置するなど努力する犯人の姿が想像できる。迷惑防止の条例違反ということで微罪感覚が生まれる。この感覚がエスカレートして、性犯罪につながる危険性がある。法は社会現象に対して常に後追いだ。その距離を縮めて欲しい。(読者に感謝)

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年2月 1日 (月)

人生意気に感ず「ヒトラーの優生学思想と全体主義。日本も断種。サッカー最後の根性」

 

 ◇30日の夕方。車を走らせながらラジオの解説に思わず聞き入った。ヒトラーの思想の本質的なところだ。600万人のユダヤ人虐殺は誰でも知っているが、それ以外の20万人の障害者を殺した事実は余り知られていない。それは障害者の「断種」から始まった。優秀な強い民族をつくり、国家の生き残りと繁栄を図る上で、精神的障害者、知的障害者は妨げになる。子孫をつくらないために「断種」を行い、更に徹底させるためにこの世から抹殺する。そのための医師が集められ、有効な殺し方が研究された。医師たちの組織は100人を超える者で、判断された人はガス室で殺された。やがてこれがユダヤ人大量虐殺の出発点となる。 

 これに公然と、断固して反対した牧師がいた。「障害者など非生産的な人間を不要とするなら病人や年老いた人を全て殺すことが許されることになる」。牧師の説教は、秘密警察の監視にも拘わらず全ドイツに広まった。ラジオは次のように結んでいた。「何ごとにも前触れがある。それは弱いところに現れる」と。それを見逃さず勇気をもって発言することが必要と言いたいのだ。

 

◇日本にも同じようなことがあった。ハンセン病(癩)の扱いである。「断種」が事実上強制された。ドイツと三国同盟を結び無謀な戦争に突入する日本にとって、ハンセン(癩)は聖戦の妨げ、国辱とされたのである。ここには、国家の在り方の問題として個人主義と全体主義の対立がある。個人主義は個人を尊重する、つまり人間を尊重することでこれは民主主義の大前提。全体主義は先ず国家。全体の存立を優先させる。ナチス、かつての日本、そして現在の北朝鮮、中国、ロシアなどだ。

 

◇サッカーの対韓国戦は、2点先行されていたが最後の瞬間に跳ね返し、3対2で勝利した。全勝でリオに出場する。監督は「不可能はない」、「これで日本を明るい国にしていきたい」と語った。スポーツの効果は測り知れない。かつては野球中心だったが、サッカー、ラグビーと、若者が観客と一体となって燃えるスポーツが盛り上がっている。スポーツに参加しない子どもたちの心と体をいかにつくるかが最大の課題。スポーツを教育の重要な一環と、しっかり把えることが教育の使命である。部活がスポーツ嫌いを作りだしているという声が絶えない。(読者に感謝)

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2016年1月 | トップページ | 2016年3月 »