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2016年1月24日 (日)

小説「楫取素彦物語」第89回

「吉田松陰が描いた夢が近づきつつあると伝えよと申されました」

 

ほほう、幻馬殿がそのように。松陰の魅力に引かれたといわれたことが思い出される。ありがたいことだ。この伊之助、松陰の死を決して無駄にはしません。また、幻馬殿の熱い心決して無駄にはしない、この伊之助がかよう申していたと幻馬殿にお伝えくださいませ

 

「はい、お綱、しかと伝えます。お綱、女の身で、身に余る大役を果すことが出来ました。こんな嬉しいことはございません。伊之助様、危険があふれている火の中でございます。十分用心されて、お仕事に励んでください

 

お綱は入ってきた時より丁寧に頭を下げ去って行った。小さな部屋に女人の香が微かに漂っていた。一陣の涼風が去り、我に返った伊之助は再び厳しい現実に立たされた。

 

 

 

老中小笠原長道は、怒りをあらわにし、声を震わせて言った。

 

宍戸備後助と小田村伊之助には不審のあり拘禁せよ」

 

二人の拘禁が伝わると藩内に怒りの炎が広がった。

 

使者を拘禁するとは何ごとだ。戦の作法に反するではないか」

 

幕府の卑劣な行為に対して長州藩内は打倒幕府に火がついた。

 

伊之助にとって二度目の入獄であった。

 

やけになっている幕府が何をするか分からない

 

異様な雰囲気の中で、伊之助は今度こそはと死を覚悟した

 

 

 

※土日祝日は中村紀雄著「小説 楫取素彦」を連載しています。

 

 

 

 

 

 

 

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