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2016年1月 2日 (土)

小説「楫取素彦物語」第81回

 幻馬は目を落として話すのを止めた。松陰の記憶を追っているのか。伊之助は幻馬の口が開くの待った。

「あの時、わしは松陰殿に言ったのだ。年が明ければ早々にペリーが再びやってくる。その機会をどう活かすかでお前の運命は変わるだろうと。そして漂流民万次郎と坂本馬のことを話した。この馬という男を覚えておけと申したら、馬と幻馬とは妙な結びつきだとあの男は首を傾けておった。は、は、は」

 幻馬は懐かしそうに笑った。

「松陰殿が生きておったら、是非会わせねばならぬ男がこの馬なの。松陰殿亡き今、松陰殿の代わりを務める人は貴公をおいてない。そのことでは、太宰府にやってきたの

おかしなことを言い出す男

伊之助はこう思いつつ幻馬の顔を覗き込んだ。

幕府とはこのままで済むはずがない。必ず決戦の時が来る。その時、長州にとって重要なことは孤立を免れることだ。そのために三条卿等の力を借りねばならぬ

目の前の謎の男の話すことは、今回の密命とどう関わるのか。

「坂本龍馬という男は何者でか」

 松陰殿に会わせたかった男と聞いて伊之助は興味をつのらせた。

 

※土日祝日は中村紀雄著「小説 楫取素彦」を連載しています。

 

 

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