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2016年1月23日 (土)

小説「楫取素彦物語」第88回

幕府は広島藩を拠点にして、山口藩を厳しく審問、尋問を行った。征長令を発したとはいえ、その口実を固める必要があったのである。伊之助は七時間に及ぶ大目付の厳しい尋問に耐えた。

伊之助たちは、問答案を作り十分に準備していたのである。

伊之助の下へは幻馬から情報が寄せられていた。

ある夜、伊之助の宿舎に突然お綱が現れた。御高祖頭巾は付けず、普通の町家の娘が商用で訪れたと見える様子であった。

「お久し振りでございます」

お綱は両手をついて言った。変身して見える姿が美しい。伊之助はお綱の笑顔に戸惑った様子で、

「幻馬殿は健在ですか」

「はい、馬様と連携され、今こそ、正念場と申され、日夜走っております」

「そうか。松陰がかつて、幻馬殿のことをしきりに謎の男と申したが、私は今はそう思わなくなった。謎には違いないが、単なる謎でなくその下にある確たる基盤を信じております」

、幻馬様に伝えます。お喜びになることでしょう」

「して、この度の用向きは何ごとですか」

「はい、しかと届けよと言われ預かってまいりました、これを」

お綱はそう言って帯の下から取り出したものを渡した。

「薩長同盟が成りました。同盟書にないことで重要なこともある、馬様より聞いたことをあなた様に伝えるのだと申しました」

「そうですか。今の私の御役目にとって、非常に重要なことに違いない。ありがたい

「それから、これは書面にないこととてお前の口から伝えよと言われたことがございます」

「ほほう、何でか」

 

※土日祝日は中村紀雄著「小説 楫取素彦」を連載しています。

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