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2016年1月31日 (日)

小説「楫取素彦物語」第90回

 幕府は、この状況の中で停戦を画策した。惨めな敗北を避けるためには停戦が良策と考えたのだ。そこで、拘禁中の伊之助らを解放し、停戦の周施に当たらせようとした。慶応二年七月三日、伊之助は無事山口に到着し、家老に幕府の停戦希望を伝えたが長州はもとより応じなかった。

伊之助が長州に帰着直後、幻馬から手紙が届いた。

大阪城内で何か異変があるようです。将軍家茂の病状が悪化しているらしい。情報に注意し対応を計ることが肝要です」

とあった。

老中が停戦を急ぐ理由と関係があるかも知れない

伊之助は思った。

敬親公に情報を伝えると、

いずれにせよ、幕府軍の指揮は全然上がっていない、勝利は確実であり目前だから最後の力を結集して頑張らねばならないぞ

と敬親公は強く言い放った。その旨は全軍の指揮官に伝えられた。

この月に将軍家茂は大阪で病没した。八月、将軍死去のため征長停止の勅命が幕府に下る。そして、この月、幕府は一方的に止戦を告示した。この年、暮れも押し迫った十二月二九日、孝明天皇が死去した。徹底した外国人嫌いの天皇であった。

 

※土日祝日は中村紀雄著「小説 楫取素彦」を連載しています。

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