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2015年11月28日 (土)

小説「楫取素彦物語」第67回

 

「時期尚早ではないか」

「いや、時代は大きく動いている。長州が立てば天下が動く。この役割は長州をおいてところはないのだ」

伊之助の気迫に人々は圧倒された。

かくして遂に本藩に従うことになった。

「やったぞ」

 伊之助は心で叫んだ。

自然に松陰の姿が胸に浮かんだ。

ここまで頑張れたのは、命をかけて信念を貫いたあなたの教えですよ、あなたが遺した至誠の書の力ですよ

心の松陰に呼びかけるのであった。

 報告を受けた敬親公は大変喜んで、伊之助に小袴を与えた。

 

 

 攘夷の嵐

 

 

 文久三年五月、長州は攘夷戦争に突入した。

五月十日における米艦砲撃をかわきりに、仏、蘭の艦船を次々に砲撃した。この時は、いずれも本格的な砲撃戦にはならなかった。長州は大いに気をはいたが、相手に大きな打撃を与えたわけではない。外国の艦は、期するところがあって、長州の砲撃状況をじっと観察していた。

「外国艦は大したことはない」

こういう声が上がる一方で、

「攻撃したこと自体が問題だな。このままで済む筈はない」

と心配する声もあった。

 攘夷実行は朝廷の強い意向であった。朝廷の再三の催促を受け、幕府はやむを得ず攘夷実行の期限を五月十日と定めた。しかし、実行したのは長州藩のみであった。

※土日祝日は中村紀雄著「小説 楫取素彦」を連載しています。

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