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2015年6月20日 (土)

小説「楫取素彦物語」第14回

 

松陰は伊之助が自分の言葉を真剣に受け止めていることを確かめると安心したように話を続ける。

 

「平戸ではさる人物からアヘン戦争のことも詳しく聞きした。それによれば、東洋の国々は夷狄どもの餌食になろうとしている。正に世は弱肉強食の時代。鎖国の国民は何も知らぬが存亡の時が迫っています。

 

眠れる獅子といわれた清国はひとたまりもなくイギリスに破れた。君はそれを知っているか」

 

「敗れたことは聞いておりますが、実情はどうなっておりますか」

 

イギリスは非道の国です。インドを支配し、そこで手に入れたアヘンを清に売りつけた。代金は銀だというではなりませんか。国民はアヘンを吸って廃人になり、銀はどんどん流出する。

 

林則徐なる将軍がアヘンを没収して焼却したことで戦争になった。イギリスの圧倒的な火器に清は全く対抗出来なかった。その後の清国はみじめな状態だ。大都市上海の一部はイギリスに支配され、中国人は犬同様に扱われているという。次はわが国だと思わなければならない」

 

 松陰の口調は更に激しくなり、瞳は火のように燃えていた。

 

 伊之助は、普段はおとなしい学研肌の若者のどこにこのような激しい炎が隠されていたかと不思議に思った。

 

 松陰は続けた。

 

「長崎で得た情報はまだまだある。実はく近い将来、アメリカの軍艦が日本にやってくるらしいのだ。鉄の船で、大砲を備え、蒸気の力で大海を渡ってくるという

 

「ほう、幕府はそれを知っているのですか。そして打つ手はあるのですか」

 

伊之助は不安を顔に現して言った。

 

 

 

※土日祝日は中村紀雄著「小説 楫取素彦」を連載しています。

 

 

 

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