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2015年5月 2日 (土)

随筆「甦る楫取素彦」第197回

 このような文書を手に入れた女郎が、ひそかに楼主の目を盗んでじっと読む姿が想像できる。文字が読めない女も多かったであろうが、中にはかなりの教育を受けながら苦界に身を沈めて女郎になった者もいることだろう。客に助けてもらって読む女、他の仲間に教えられる女郎もいたに違いない。執拗な救世軍の活動は効果を現わしていった。そして、新聞社も、この社会運動に参加するところが出て来た。  次に、紹介するのは、女郎綾衣(あやぎぬ)がニ六新報社に寄せた投書である。本名は中村八重といった。明治33年9月1日の日付である。 「あまりあまりぶしつけにはそうらえども、現在のきょうがいにたえかね、つたなき筆もて取急ぎ御願い申し上げ参らせそうろう。御社新聞の御うわさかねがね承り及びこの度は又われわれ不幸なる女のために御力を御そえ下さるそうろう由、涙にむせび厚く御礼申上そうろう。さいばんにかかり、中途にて楼主はもちろん、何人によりいか様に申されそうろうても決心をかえる事は神かけて御座なく又命を捨てるとも御社の御顔にかかわる様な事は致さずそうろうまま、何とぞ何とぞ、此の心御察し下され御社の御力をもって自由はいぎょう相かないそうろう様両手を合わせ御願い申し上げ参らせそうろう。もっともかく心を定めおしつけがましく願出そうろうまでには母の事やらいろいろ悲しき事これ有そうらえども御目通りの折申し上げたくとりあえずお願いまで。                       あらあらかしこ  九月1日            中村八重 ニ六新報社皆々様御許 ※土日祝日は中村紀雄著「甦る楫取素彦」を連載しています。  5月6日からは「小説 楫取素彦」を新連載します。

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