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2015年2月22日 (日)

随筆「甦る楫取素彦」第179回

◇その後の動き

群馬の廃娼は2人の知事の罷免を乗り越えて貫かれた。それはその後どのような経過を辿ったか。廃娼の動きは全国に広がり、いくつもの推進団体が生まれた。それは、楫取が播いた種が成長した姿であった。以下では廃娼推進団体で発せられた発言の中からいくつかを取り上げる。

◇売奴の弊風再燃するを防げ 全国廃娼同盟会大江卓

明治23年、5月27日、全国廃娼同盟会に於いて大江卓が行った演説は興味深い。大江は、かつて、明治5年、マリア・ルーズ号事件に関して、司法卿副島種臣の下で、辣腕を振った熱血漢である。

 大江は、この会で売奴の弊風が再然するような状況を指して、「今日の芸娼妓は明治5年10月2日の御布告の精神を失ったものであるといわなければなりません」と訴えた。

 大江は次のように振り返る。

「この廃娼の考えが私の心に浮かんだのは明治5年8月のことです。そして、私は、翌9月に政府に廃娼の建白をしました」

と明かして、大江は明治5年に発生したマリア・ルーズ号事件の顚末を語った。それは次のようなことであった。マリア・ルーズ号というペルー船籍の船からアタクという男が飛び出して命ごいしたことから、その船が奴隷船であることが判明。230余名の者が閉じ込められ売られていくところであった。政府内にはこの問題に関わると面倒なことになるから知らんふりして出帆を許す方がよいという意見があった。しかし当時の外務卿副島種臣は、「横浜という日本国内でこの事件が起きたのだから、これらの者は日本の法律の下で保護しなければならない」と主張した。そして司法省内にもこの件は日本政府が干渉すべきでないという議論があったので、政府は特命をもって大江卓に裁判をさせることになった。そして裁判の中で日本には残酷な売奴があると指摘された。それは娼妓のことだ。実に甚しい不道徳な約束をさせられ、最も厳酷な待遇を強いられているというのだ。

※土日祝日は「甦る楫取素彦」を連載しています。

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