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2015年2月 8日 (日)

随筆「甦る楫取素彦」第174回

川上はきっぱりと斉藤に告げた。「至急議員に会いたい。僕の家に来て欲しい。二三名が適当である。この件は内務省に直接行くのはよくないと同僚にその旨伝えて欲しい。君は早速帰県して同志と共に又来られるがよい」

 即日前橋に帰ると同志は皆待っていて今日は巡査の尾行もなく気味悪く思っていたという。川上邸のことを話すと皆大喜びで、早速急便をもって同僚を臨江閣に集めたが今度は巡査も来ないので実に愉快で十分に相談が出来た。上京希望者が多く、協議がまとまらず幹部に一任となり5名が総代として上京した。

 川上操六は諸員の前で改めて言った。「出来得る限り尽力しよう。ついては臨時会を無事に終了させるべきで、そうでなければ知事の交替は難しいだろう」と。深慮の人川上は、臨時会を無事終わらせることの重要性とその難しさを十分承知して斉藤一人でなく代表者たちの前で発言したのだった。このことは、その後の議会の動きが示すことになる。一同は、御注意の件は同志と協議して御意見の徹底を期すると約して川上邸を退出した。

 ここで更に、細野次郎と斉藤は品川弥二郎②と懇意だからということで一同を誘って代々木の私邸を訪問し知事交替を頼むことになった。品川は言った。「精々尽力する。ついては臨時県会を無事に終了しなければ駄目だ。そのことをよく相談すべきだ」と。品川は川上と同じことを注意したのである。2人は県議会が荒れていることを新聞等を通じて承知していた。このまま議会が知事を激しく攻撃し追い詰めた状態になれば政府は知事を交替させることは出来ない。

※土日祝日は中村紀雄著「甦る楫取素彦」を連載しています。

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