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2015年2月 1日 (日)

随筆「甦る楫取素彦」第172回

 内務大臣により議会が解散させられた翌日、斉藤は善後策協議のため磯部の鳳来館に来て湯に入っていたらある浴客が話しかけた。「群馬県会は解散させられたという。なかなか面白いことだ」というから、「自分たちはその議員である」と答えると、それならば後程詳しく聞きたいという。後で、参謀本部次長川上操六①と分かる。県政のこと解散迄の顚末を話すと「後の選挙なかなか大切ですね」と言ってこの日は別れた。斉藤はこの後川上操六を頼ることになる。わらをもつかむ状況だったのだ。

 解散後の選挙は落選2名でその他は全員再選となる。選挙後の警察の干渉を斉藤は語っている。選挙後の臨時会対策のため臨江閣に集まったら3名の巡査が来て解散しろというので抗議すると署長の命令だから署長に談判してくれと言ってきかない。そこで3名の議員が警察に出向き、斉藤は馬鹿馬鹿しいのでそこは任せて上京のため前橋停車場に向った。

 午後10時過ぎに上野に着き、番町の川上邸についたのは午後12時。門番は明日出直せ、いや是非取り次いでくれと激しいやりとり。再三再四のやりとりの末やっと門が開き応接間に通された。深夜、アポもなく、初めての高官の屋敷を訪ねてのこの強引さ。明治の政治家の気骨のなせるわざか。それもそうだがそれ以上に事態の重大さと差し迫った状況そして切羽詰った心情がそうさせたに違いない。

※土日祝日は中村紀雄著「甦る楫取素彦」を連載しています。

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