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2014年9月20日 (土)

随筆「甦る楫取素彦」第126回

◇貸座敷改良の建議 (県会)

明治12年6月3日には更にまた興味ある建議が出された。それは、貸座敷の改良を求めるもの。公娼制度が、娼妓解放令を契機に貸座敷と名称を変えたことに関しては、「奴隷船マリア・ルーズ号事件」と共に後に詳述するが、ここでは、第一回の県会の動きの中で、廃娼運動の序曲としての意義に注目したい。ここで問題にする建議は県民の代表議決機関たる県会が、県民の声として取り上げた廃娼への一歩なのである。また、私は、絶えず活性化と議会改革を求めて進む今日の群馬県議会に通じる原点として注目する。時に、形骸化が叫ばれる現代の県会は学ぶべきものがある。
これは、明治12年の第一回県会に於いて議長宮崎有敬から県令楫取に出されたもの。貸座敷改良説のポイントは、貸座敷は、客の情欲を満たすだけにし、それに伴う酒宴、芸妓の歌舞管絃等は弊害を大きくするから禁止すべきだというものである。興味ある文面なので大意を現代文にかえて記す。
「貸座敷業というのは娼妓が男子に接してその情欲を遂げさせる点にのみ目的がある。しかし今日の実際は芸妓、酒宴でこれを助長し過大な金を得て人を愚かにさせている。だから賢人君子でないかぎりそれに毒されない者はない。それがひどくなると、父子の親しみが悪くなり、夫婦間に葛藤を生み、朋友の交わりに信義を欠くことになり、財産を使い果たして、道楽でなまけになり、遂には法律を犯すことになる。これは一般にひろく見られることだ。
このようなことは、貸座敷の業外のことでありかつ欠点である。また、貸座敷という文字からいっても不当だ。だから貸座敷の本分を守り、娼妓には来客の情欲を達することだけをさせ、酒肴、歌舞管弦は禁じ、その上で、区域を限って営業させたい。このようにすれば、人々は一時的に夫人の部屋の便を得て欲望の火を薄くし余分の浪費を減らし一挙両全の策となるだろう。願わくば、断然命令を下して厳重な取締りをしていただきたいのでこの議会の決議をもって建白するものである。

     明治12年6月3日
               群馬県会議長  宮崎 有敬
群馬県令楫取素彦殿

☆土・日・祝日は、「甦る楫取素彦」を連載しています。

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