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2014年6月30日 (月)

人生意気に感ず「ジョン万次郎のこと。花燃ゆ。改正DVD法。焼身自殺図る。一太大臣我が家に」

◇28日の「ジョン万次郎」は大勢参加しうまくいった。私の「引退表明」後初のふるさと塾なので影響を心配した。貧しい漁民の子。生まれは楫取、松陰とほぼ同じ。波に運ばれて始まった数奇な運命。ホームスティの窓からメイフラワー号が着いた岬が見えた。アメリカの民主主義の原点の地で民主主義を肌で知った。坂本龍馬、島津斉彬、江川垣庵等に影響を与えた。嵐の咸臨丸でも動じなかった。真のサムライ日本を自然体で示した国際人第一号を誇りにし見習うべきだと訴えた。

 私の話が終ると、塾生を代表して富澤吉昭さんが7期ご苦労様と挨拶してくれた。感無量。

◇11月18日、萩市の椿東小、及び明倫小で講演をすることになった。楫取、松陰、その他幕末の志士を生んだ地での講演に心は躍る。明倫小は5,6年生約200人が対象とのこと。

◇「花燃ゆ」の推進協議会が出来た(29日)。私は楫取素彦顕彰会会長として顧問。多くの自治体の首長の代理が出席していた。私は次のように挨拶した。「ドラマを盛り上げるためのオール群馬の基盤が出来た。問題はこれに何を盛るかだ。単に経済の活性化に止まらず心の豊かさと活性化を実現する契機。顕彰会はそのために初志を貫く」と。

◇ケータイニュースに絶えず入ること、それは交際相手による暴力、殺人、元彼による殺人などだ。夫婦の関係が容易に崩れ、恋人同志が容易に同居するのが社会の実態。そこに幼児も加わるから問題は深刻だ。倫理が崩れ、人々は欲望に流されて生きる。その実態を踏まえて、弱い人間を守らねばならない。

 1月に改正DV防止法が施行された。6ヶ月間の接近禁止、住居からの2ヶ月間の退去などを裁判所が出す保護命令の対象が元配偶者、同居の恋人の暴力にも拡大された。性的関係に入ると男女はとかく暴力の関係になる。理性のタガが外れ動物的関係に入り込む人たちが多いに違いない。最高裁の集計では、同居の恋人間で出された保護命令は51件。この数字は実態の一部だと思う。時々相談があるが、なかなか裁判所への申し立てまでは決心できないのが実情だから。

◇昨日、新宿駅で男が焼身自殺を図った。集団的自衛権行使容認反対を高い所で訴えていたという。ガソリンらしいものをかぶり自ら火をつけたという。世論にどう影響を与えるのか。世論が燃えていることの影響か。

◇昨日午後、山本大臣が平服で私を訪ね時局を話した。細い身体にエネルギーが感じられる。国士の雰囲気をもつ数少ない政治家の一人だ。(読者に感謝)

☆楫取がNHK大河ドラマ登場に決定。土・日・祝日は「甦る楫取素彦」を好評連載中です。

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2014年6月29日 (日)

随筆「甦る楫取素彦」第101回

荒廃から立ち上がるための財政再建の柱は生糸であった。伝統の養蚕の上に立つ製糸業は、開国によって急速に発展していた。そこで藩は、そのために、有力な生糸商人を助けようとした。

 前橋の江原芳右衛門、勝山宗三郎、竹内勝蔵らが横浜に向け生糸荷主の活動を始めたのは安政6年(1859)の貿易開始の年であり、下村善太郎が生糸商店三好屋を開業したのは文久3年(1863)であった。これらの人々は、やがて県令楫取素彦の諸事業を助けることになる。

 このような新時代の潮流にしっかりと根を張る前橋に城を再建して藩政の拠点とすることを考えるのは自然であった。

 藩主松平直克(なおかつ)は、前橋城再築と帰城を幕府に願い出て文久3年(1863)許可される。直克が提出した願書の大要は次のようであった。「前橋は関東の要衝の地であり、昔から物産に富んでいる。そこに城を築き直克の本拠とすれば、幕府が最も望んでいる富国強兵を実現する絶好の場所となる」(群馬県史、松平藩日記)。物産が生糸を指していることは明らかである。ここに述べられたことは、明治政府が楫取を県令として群馬に派遣した理由の一つにも当てはまる。

 築城にかかる莫大な資金は、前橋町の生糸商人が拠出した。利に聡い彼らは、藩主の前橋帰城によって藩権力の中枢が前橋町に定着することで、町の繁栄及び生糸貿易の飛躍的発展が実現すると計算したのである。この点も、楫取県令が県庁を前橋に決めるに当たって、生糸商人が莫大な資金を拠出した事情と同様である。

群馬は、徳川の譜代、親藩、そして、天領の多い所で、これは、この地が古来、東国支配の要であったこととも関わる。松平直克が「前橋は関東の要衝」と言ったのもこれを指す。

※土日祝日は中村紀雄著「甦る楫取素彦」を連載しています。

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2014年6月28日 (土)

随筆「甦る楫取素彦」第100回

「前橋藩主松平直克の動き」

 群馬の発展にとっての阻害要因の一つは、長い間領主が不在だったことである。地域社会の発展にとって重要なことは、いつの時代でも、まず、良きリーダーの存在であることが分かる。

 前橋藩に領主が戻り、生糸を中心にして財政再建を図る中で前橋と群馬は維新を迎えた。混乱時、新しい社会の方向を正しく見据えて大きな舞台を動かすことは容易ではない。この役割を担って登場した人が楫取素彦であった。楫取登場に至る前橋藩の歩みを別の面から見たい。

 前橋藩主の松平氏は、前橋城を放棄して川越城(埼玉県川越市)に移った。明和4年(1767)のことである。当時、利根川の勢いは激しく、そして繰り返される洪水によって前橋城が危なくなったからである。前橋城は壊され上野国の藩領は前橋町におかれた陣屋が統治した。

 藩主が去った後の上野国の藩領は、人口が減って荒廃した。そこで、人口減の一原因である間引きを厳禁する令をたびたび出した。安政4年(1857年)には「妊婦が薬を使って流産させたり、生れた子を育てようとしないのは天罰を被るべき悪行で、もはや捨ておくことは出来ない。今後、もし生れた子を殺したり、流産させたりする者があれば天に代わって厳しく処罰する」と触れを出した。人は今日と同じく社会を支える基盤であるから、人口減は地域社会の衰えの原因となる。また、間引きの風は人倫の荒廃を助長するからであった。

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2014年6月27日 (金)

人生意気に感ず「ザック退任。ボスニアの悲劇。死刑執行。戦争体験記」

◇ザッケローニ監督が退任した。すべての責任は自分にある。すばらしいチームだった。ザッケローニはこう語った。「敗軍の将兵を語らず」。中国の諺だ。「勝たせてあげられなかったことが悔しい」と長友は泣いた。負ければ一斉に叩かれる。戦いの常だ。勝敗は兵家の常。日本はゼロから出発する。

 サッカーW杯を見るとサッカーに全てを賭けているような国や民族が多い。そういう国では、サポーターと一体となったチームのエネルギーは凄い。そういう国と戦うのだ。サッカー文化、サッカーの哲学、そういう根本が強さの基盤となっている。

◇ボスニアの勝利に注目した。血で血を洗う内戦を経た国、ボスニア・ヘルツゴビナ。3つの民族が対立し、元首は3つの間で輪番制。サッカー連盟会長も輪番制。累卵の危機に立つ国。国際サッカー連盟はこの国の国際大会参加を停止させた。これに対しオシムが立ち上がった。この国の唯一最大の楽しみがサッカー。日常生活の中にいかに深く根ざしているか。こう訴えて3民族の政治家を説き伏せ、サッカー界に秩序を取り戻し、そのために制裁が解かれたという。

 このボスニア・ヘルツエゴビナが一勝をあげた。先制点をたたき出したエースのジェコは内戦の中で育った。子どもの近くに爆弾が落ち遊んでいたサッカー友達は亡くなった。ジェコは兵士の心でサッカーを戦ったのだろう。かつて日本の監督を務めたオシムの国ということと共にボスニアの一勝は胸を打つ。サムライ日本の復活を待ちたい。

◇26日、大阪拘置所で死刑の執行があった。3人を殺した川崎死刑囚。このブログで死刑を書いてきた。憲法は残虐な刑罰を禁ずる。現在の絞首刑は残虐ではないというのが最高裁。究極の刑の存在意義は社会の防衛。しかし、裁判の誤りがあれば取り返しがつかない。袴田元死刑囚の再審無罪は冤罪による死刑があり得る事を物語る。死刑とその下の無期には差があり過ぎる。死刑を廃止して終身刑を設けるべきという意見は多い。執行には法相の承認が必要。過去の最多は在任11ヶ月で13人を執行させた鳩山邦夫法相。現在確定死刑囚は128人。死刑囚は扉の前に足音が止まるかといつも怯えているという。

◇友人の鈴木さんが戦時下の青少年の戦争体験を編集した。戦争が風化していく時、貴重な資料。私もランプの下で母と本を読んだ思い出を書いた。今、戦争を語る時が来た。(読者に感謝)

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2014年6月26日 (木)

人生意気に感ず「ヤジ都議の結末は。シルクロードも世界遺産。拉致。最年少市長逮捕」

◇都議会セクハラ問題はおかしなことになりそうだ。議会として幕引きを図る動きが強まる一方で、「産めないのか」発言に関してベテラン議員2人が浮上しているらしい。議場のヤジは多くの議員が聞いている。「聞こえなかった」という扱いは変だし、都議会不信を強める結果になっている。技術的に特定は可能だろうからその時は「発言」の責任と隠して逃げようとした責任が重なって辞職問題に発展する。塩村議員は名誉棄損で告訴すると発言した。女性蔑視として世界の問題となってしまった以上最早姑息な幕引きはあり得ない。安倍政権も自民党本部も辞職による決着を望んでいる筈だ。近いうちに新しい展開があると思う。

◇富岡製糸の世界遺産決定でにわかに「絹」が世界の舞台に登場した。絹の源流は古代の中国。古都長安から貴重なシルクはローマに運ばれ交易の首はシルクロードと呼ばれた。今回、シルクロードが富岡と同時に世界遺産に決まったことはシルクの歴史を地球的規模でクローズアップさせたのだ。大沢知事がふるえる思いと表現したことはここまで視野を広げると納得できる。

 シルクロードの世界遺産登録は中国、カザフスタン、キルギスが共同申請していた。本来のシルクロードはローマまでだが、長安、洛陽あたりから中央アジアまでの全長8700キロ。かつて海の道が開かれなかった時、シルクロードは東西文明の大動脈で、多くの民族の交流と攻防があった。シルクロードの東端は奈良だといわれた。カイコという小さな生物が育む生糸が文明の流れを紡いだ。

 シルクの歴史は群馬で守られてきてそれを近代産業として復活させたのが富岡製糸。小寺元知事が富岡製糸を重視したのはシルクロードとのつながりを考えたからに違いない。私は小寺さんと歴史を語る機会がよくあったので、今、そのことを改めて思うのだ。

◇拉致は本当に解決するのか。北京で日朝幹部が協議する。北は特別委を設けて再調査すると約束。見返りとして制裁の解除を求めている。過去の例があるから騙されてはならない。長い年月を経て関係者の年齢を考えるとタイムリミットだ。なぜこんなにかかったか。国を挙げて取り組めばもっと早く開けたのでは。

◇最年少市長が収賄でつまづいた。29歳、美濃加茂市長。数十万円の金。市長は否認。やった方は認めている。誇れる市にと訴えていた。(読者に感謝)

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2014年6月25日 (水)

人生意気に感ず「総理の会見。司法取引、盗聴制度。積もるひょう。遺産登録。W杯まさかの敗戦」

◇安倍総理の記者会見はかなりのものだった。冒頭の演説はノウ原稿で、多岐に亘ることを理路整然と話していた。昔、政治家になりたての頃の姿を思い出して比較した。環境が人をつくるのだ。

 安倍さんは運がいい。大きな上昇気運の中で総理になった。今では石破幹事長など小さく品のない存在に見える。私は日本のため、安倍氏に総理を続けさせたい考えだ。

◇記者会見の注目点は、地方創成本部、女性が輝く時代を、国際的大競争の時代に対応、拉致の全面解決、国民の命と平和を守る等々。

◇総理はみんな党の代表に自民党のセクハラヤジを陳謝した。石破幹事長は他にもヤジ発言が有るとの指摘を踏まえて全体像の解明を指示した。他にいるとすれば、えらいことになったと生きた心地がないだろう。あぶりだされるのを待つのか。

◇司法取引導入の動きに驚いている。司法改革は裁判員制度実施以来急である。司法取引はアメリカの事件ではよく伝えられていた。共犯のことをバラすと自分の求刑が軽くなる。暴力団犯罪、それ以外の共犯事件の解明に大きな効果がある。人間の心理として、自分が軽くなりたいために仲間を売る、裏切る、これはきっと多くなるだろう。今の人間は義理堅くないことを思う。一方で、ウソや不確かな証言はえん罪を生む恐れがある。確かな裏づけ捜査が求められる。今後の推移に興味が持たれる。

◇法制審議会で議論されているテーマは、他にも取調べの可視化をどこまで広げるか、通信傍受(盗聴)の拡大などがある。今、私は後者に期待する。それは先ず振り込め詐欺に効果があるからだ。ウソの電話をかけまくり高額を騙し取る犯罪が一向に減らない。どこかの一室でビジネス感覚でやっている。ゴキブリ退治にきれいごとを言っていられない。ゴキブリ側が近代兵器を使うなら社会も対抗しなければならない。国家の側は遥かに進んだ利器を持つのだからきちんとした制度を作って社会の土台を食い荒らすゴキブリやシロアリをやっつけて欲しい。大きな効果を見守りたいと思う。

◇東京に数十センチもひょうが積もった。数日前は30度を超す暑さだったのに。正に以上気象。この夏が思いやられる。

◇世界遺産が決まり、知事は「ふるえる思い」、「ゴールでなくスタート」と語った。県民がこの意識を持たねばならない。私は小寺元知事の墓に報告すべきと思う。

◇誠に残念の一語。こき下ろされる選手が可愛そう。コロンビアはコロンブスの名をつけた国、頑張ったんだ。(読者に感謝)

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2014年6月24日 (火)

人生意気に感ず「遂に名乗り。ナナの命日は辛い。失言現象の根」

◇遂に名乗り出た。セクハラヤジの都議員。遅きに失したが、本人は初め話がこんなに大きくなるとは思わなかったに違いない。ヤジの内容が深刻な問題に結びついていることに気づかなかったとすれば軽率というより低資質。少子化問題を話す若い女性議員に「産めないのか」、「早く結婚をしろ」などとヤジればマスコミに取り上げられるのは明らかだった。欧米のメディアは性差別的暴言と批判した。米紙ウォールストリート・ジャーナル、英紙ガーディアン・米CNNテレビなども。

声紋分析で特定されたら惨めだと思っていたら鈴木章浩議員が名乗り出て謝罪した。

他にもいるらしいがどうなるのか。幕引きは出来るのか。他にもヤジ議員がいるとすれば、鈴木氏の会見により一層不利になる。この事件を機に全国の議会が変わるだろう。いいヤジというのも実際にある。それも出しずらくなった。

◇「満月のアジサイの下ナナ逝きぬ遠吠えの音天に響きて」一年前、私はこう詠んだ。ナナの一周忌が来た。昨年6月23日、満月の夜、アジサイの下で悲しげな声を一際大きく上げて秋田犬のナナは死んだ。あの光景は今でも胸をしめつける。私の友だった。私はあの世に行った時のある場面を時々想像する。気付くとナナがどこからか走り寄って私に飛びつく様である。「お前、待っていたのか、しばらくだったなぁ」と声を掛けてやりたい。

 昨日、ナナの命日に促され、さん太を獣医につれていった。蚊の季節になり、フェラリアが心配なのだ。ナナの血液はこの線虫でウジャウジャになった。幸い、さん太は大丈夫だった。柴犬のさん太は「おらあさん太だ、ある日のことだ」と相変わらず元気である。私はあのラジオドラマが懐かしい。さん太はアジサイに囲まれた前主の小屋にその悲劇も知らずにおさまっている。

◇なぜか。現象的に類似の出来事が起きる。自民党の一連の失言問題もそれ。都議のセクハラヤジは火が納まっていないが、振り返れば、高市早苗氏の「原発事故で死者がでているわけじゃない」、麻生氏の「(憲法改正)ナチスの手口に学んだら」、石原氏の「最後は金目でしょ(原発汚染土)」などなど。同じような根っこを持っているからだろう。選挙に大勝し緊張感が緩んだ。自民党は古い体質を引きずり、社会の送れた基盤に根を下ろしている面がある。脱皮しないと次で又大敗する。(読者に感謝)

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2014年6月23日 (月)

人生意気に感ず「570人への講演。世界遺産に。内閣支持低下」

◇伊勢崎市第一中・570人、全校生への講演は私語もなく成功だった。未だ見ぬ全体像に私は不安をもっていた。小さなグループでもうまくいかない場合もあるからだ。私は予習の意味もこめて簡単なレジメを2回学校に送り先生方の協力を願った。先生方の大変な御苦労があったものと思う。生徒たちの瞳が生きていた。

 冒頭、私は次のように発言した。今日の話には皆さんにとって2つの大きな意味があります。1つは楫取素彦という人物との出会いです。もう1つは間もなく、富岡製糸場世界遺産決定が実現することです。そしてこの2つは密接に結びついているのです。この点に注意して耳を傾けて下さいと。

 話が終わり私は真剣に聴いてくれたことにありがとうと述べた。生徒代表のお礼の言葉も良く出来ていた。身内には疲れを忘れさせる爽快感があった。

◇21日午後5時頃、遂に連絡が来た。富岡製糸世界遺産決定である。世界の文化の宝と認められた。岩井市長は感想を述べた。「10年余り前、世界遺産にと聞いた時、そんなわけないだろうと思った」と。大方の偽らざる思いだった。小寺元知事の文化に対する慧眼は確かだった。

 文科省は日本と西洋の技術交流を基に達成された技術革新の顕著な例と評価し、大沢知事は確実に次の世代に引き継ぐ責任を負ったとコメントした。「日本で最初の富岡製糸」と表明した上毛カルタに新しい意義と重みが加わった。殖産興業、富国強兵を掲げた明治政府の意図を超えて、その事業に隠されていた普遍的価値が甦った。千載一隅の芽を真に活かさねばならない。

 イコモスの決議が女性の役割について勧告している点が注目される。女性が技術の伝達に於いて指導者として役割を果たしたことも研究し女性の社会的境遇の充実を図れというもの。今後、本県の女性政策に大きな影響を与えることになるだろう。かかあ天下の真の復権につながるかも。とにかく、今回の登録は、教育、文化、産業等本県のあらゆる面に新しい息吹を与えることになる。

◇新聞によれば内閣支持率が43%に。大きな低下で現政権発足以来最低である。集団的自衛権の扱いが最大の原因だろう。覚悟の方針であったが安倍政権には多少の誤算もあった。世論の推移に謙虚でなければならない。(読者に感謝)

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2014年6月22日 (日)

随筆「甦る楫取素彦」第99回

 群馬県史によれば、慶応4年2月22日、多胡郡神保村(吉井町)の辛科(からしな)神社の境内で数十人の農民が集会を開き下層農民を極度に苦しめてきた商人を攻撃する計画を立てた。これが西上州世直し運動の発端となる。

 目標は米屋と質屋。質物の無償返還、貧農に対する施し金や施し米の要求等を掲げた。村々に廻状を廻し大量動員を図り、およそ千人の農民がかねやタイコを叩き、ほらを吹いて吉井宿に向った。

 以後の世直し隊を勢いずかした第一の要因は吉井藩の弱腰であった。鉄砲を撃って対抗しようとした藩兵に対し、世直し勢の頭は、それならば全てを焼き払うと気勢を上げた。交渉のあげく、結局藩は譲歩して陳謝した。

 吉井藩屈伏の情報は直ちに広まり世直しに参加する農民は一気に飛躍的に増大した。そして、増々勢いを大にした世直し勢に対し、遂に七日市、小幡の各藩も屈伏し、この勢いは各地に波及した。

 幕府に最後の対決を迫る総督府にとって、上州をしっかり押えることが急務だった。そのために世直し参加者の逮捕処罰を命じると共に直轄領の鎮圧に一層の力を注いだ。そして、世直しの指導者を「巨魁の悪徒」とみなして厳しく臨んだ。それは、幕府の脱走兵と世直し農民が連帯することを恐れたからである。

 総督府は、3月、達書(たっしがき)を出し、上州諸藩に世直し一揆の徹底的鎮圧を命じ、農民に対しては騒動を起こして資産家を襲うようなことがあれば、朝敵同様に兵力で鎮圧すると警告を発した。

 以後、上州諸藩は、世直し一揆は朝敵であるとして、その指導者を「博徒」、「無宿」として自由に処刑するようになった。

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2014年6月21日 (土)

随筆「甦る楫取素彦」第98回

 ある打ち壊しに際して指導者は次のように指令した。「やあやあ者共、火の用心を第一にせよ。米穀は打ちちらかすな。質物には決して手をかけじ。質は諸人の物なるぞ。又、金銭、品物は身につけるな。此の働きは私欲にあらず。是は万人のためなるぞ。此家の道具は皆ことごとく打ちこわせ。猫のわんでも残すな」略奪を禁じる一方、徹底した破壊を命じている凄さ。狙われた家はたまったものではない。攻撃の対象は、横浜へ生糸、茶などを売る商人を筆頭に、穀屋、高利貸などであった。一揆や打ち壊しは、物を奪わず壊すだけのものから、奪って貧民に分け与えるものまで様々な形態があった。この波は上州にも押し寄せる。そして、その勢いには上州の特性も大きく関わっていた。

「上州の世直し一揆」

 上州の世直し一揆の発端は慶応4年(1868)2月のことだった。明治と改元されたのはこの年9月である。上州世直し運動の嵐はこの年2月の西上州から始まり、東上州、北上州へと吹き荒れた。4月江戸城は明け渡されるが脱走した幕兵の中には上州に逃れ、一揆にまぎれ、またはこれを利用して朝廷側への反抗を企てる者もあった。上州は幕府の直轄地や旗本領が多かったからである。朝廷側は上州が重要拠点ということもあって、鎮圧には特に神経を使った。時には一揆を朝敵と呼び、参加者を博徒とみなして罰するなどした。このような状況は、後に、楫取素彦顕彰碑に県民性のことを「軽佻」、「剽悍」、「躁急」、等と刻まれたことと無関係ではない。

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2014年6月20日 (金)

人生意気に感ず「熱狂の対ギリシャ。セクハラヤジ。拉致の大詰め」

◇全世界が沸いている。サッカーというスポーツの特性だ。観客と選手の一体化などという月並みの言葉で表現できない異常な空気が地球を覆っている感がする。国によっては、戦争状態の熱狂ぶり。まさかの緒戦敗退の日本は崖っ縁である。私のような男まで緊張しているのだから選手の心中は想像を超えるものだろう。選手にとって真の敵は心にかかる重圧だろう。私は試合に臨む武蔵の姿を思い浮かべる。心の芯を失って弱体化した現代の若者の中からはい上がった選手たちは今、サムライの復活を求められている。今、20日、午前の深夜、数時間後の対ギリシャを想像しながら私はこの文を書く。

◇多くのファンが各地のサッカー神社にお参りしているという。神だのみは時代を超えた人間共通の心理。日本サッカー協会と同じ3本足のカラスをシンボルとする横浜市の師岡熊野神社。近年サッカー神社と呼ばれている。また、御影石のサッカーボールで有名な弓弦羽(ゆずるは)神社。その他全国にはサッカー関連の神社がいくつもある。神社の営業マインドもあるのだろう。

 思い出すのは、平成22年60億キロの宇宙の旅を征して地球に帰還したはやぶさの時のこと。管制室の人々は成功を祈って、飛不動、飛行神社、電波神社、中和神社などに参拝したというのだ。中和神社ではイオンエンジンがうまく中和するように祈った。最先端の科学の世界でも人間は神に手を合わせる。対ギリシャで神風は吹くか。もろもろを乗り越えて、理想の境地は「捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」という葉隠の精神、無の心であろう。日本の勝利を祈る。

◇都議会のヤジがセクハラだと問題になっている。若い女性議員が、晩婚、晩産について質問。自民党議員席と思われる所から「自分が産めばいいじゃないか」、「産めないのか」とヤジ。質問者はなかなかの美人。からかってやろうという心理が働いたのか。質問と関係ないヤジは誹謗中傷に当たると質問者は抗議。議会に抗議が殺到している。県議会でもヤジは多い。いいヤジもあり、それは一定の効果を果たす。しかし、今回のようなヤジはしないだろう。都議会のレベルを示す。

◇「拉致」は急展開するのか。日本の主権を侵害する北朝鮮の国家犯罪。追い詰められた北は遂に返すのか。水面下の極秘の情報を知りたい。安倍首相の訪朝もあり得る。多くの被害者は人生を奪われた。救出こそ国の責務。(読者に感謝)

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2014年6月19日 (木)

人生意気に感ず「日中友好総会。校長の免職。ドーハ。世界遺産登録」

◇昨日、日中友好協会定時総会に出た。続く懇親会には程(てい)中国大使も出席し例によって慎重に準備した文を読みながら挨拶した。総会の注目事項の一つは20年間理事長を務めた村岡久平氏が勇退し新理事長に岡崎温氏が就いたこと。  大使の発言中次の点が私の関心をひいた。「中国は日中関係を重視している。戦略的、長期的に正しい方向に発展することを望んでいる。民間友好のバトンを若い世代に受け継いでいきたい」  懇談の中で重要な情報が交わされる。ある要人が私に語った。「意外に早く改善されるだろう、外務省の幹部が今北京に行っている、いろいろな動きがある」と。中国からの観光客が増えると話す大使の表情にもそれが現れていた。なお大使は先日の群馬日中友好協会総会のことにも触れていた。 ◇教育委員会から昨日懲戒処分の報告と教育長のコメントが届いた。盗撮校長の免職、手当を不適正受給した職員の戒告、生徒へ不適切行為をした教諭の停職に関するもの。  中でも校長の行為は学校のトイレ内で隣の個室から女性教諭をスマートフォンでと材料が揃ったもので全国的に注目された。教育長は校長の行為につき県民の期待を裏切る許し難いもの、学校の最高責任者たる校長としての自覚と使命感の高揚を図り全職員の服務規律の徹底に向けて全力を尽くすと決意を示した。  教委は今対社会の説明で頭がいっぱいだろうが重大事は対児童・生徒。彼らの先には盗撮に象徴される危険な社会が待ち受けている。校長の事件を活かさねばならない。 ◇知事及び数名の議員がドーハに向った。「世界遺産登録決定が今週末、担当課から議員にメール送信される」とのFAXが来た。ドーハはカタール国の首都。カタールはアラビア半島のペルシャ湾に突き出たカタール半島を占める国。イギリスから独立した人口45万の国。世界遺産がなければ注目する人はほとんどいないだろう。担当課によれば、21日が濃厚だが20日深夜の可能性もあるらしい。上州の伝統と近代技術を結びつけ器械製糸を世界に広げた。そして日本の産業と文化が結びついて世界に広がった。今日に生かすことは観光だけではない。深い意義を易しく説明しないと観光も長く続かない。 ◇明日、伊勢崎1中で570人に楫取を語るが、大勢を退屈させない材料として、世界遺産、田島弥平、銘仙、NHK大河を使うつもり。(読者に感謝)

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2014年6月18日 (水)

人生意気に感ず「大量殺人に発展か。中2女子あわや。ジョン・万次郎」

◇人を殺すことを何とも思わぬ人種がいるらしい。一人の殺人ははっきりし、あと6名程殺して埋めたと報じる。事実とすれば横綱級。福岡のリサイクルショップ経営の夫婦が容疑者。暴力で支配しその果てに殺した。数年前、女性が暴力と恐怖で人々を支配下に置いて殺したり行方不明にした事件があった。あの結果はどうなったか。人間には容易に支配されるという性(さが)がある。オーム事件にはそういう要素が多分にあった。

 今日の社会では、自立心が育っていない人が多い。こういう人は暴力と恐怖に立ち向かえないから簡単に支配されるのではないか。一方で倫理感のないあるいは異常な人が増えている。人の命を何とも思わない。両方が一致するときとんでもない事件が起きる。現代社会の構造的病理である。

◇千葉県の中2女子が危うく救われた。車に連れ込まれ、縛られて連れ去られようとした。通行人が気づいてクラクションを鳴らしたため男は逃走した。悲惨な事件に発展する可能性があった。欲望の衝動を抑えられぬ人は野獣と化し、弱い女性は獲物である。治安が良い日本がジャングルに化そうとしている。治安の砦は社会力である。

 今の社会は自己主義に走り過ぎている。他人のことはどうでもよいのだ。ここから社会が崩壊していく。大衆の中で人々は孤立していくのだ。

◇死刑制度について最近悩むことがある。冤罪が死刑と結びつくと取り返しがつかない。実際あるだろう。しかし、制度が犯罪の抑止力になっていることは間違いない。死刑は社会を守る砦。冤罪をなくすことと両立させねばならない。私は制度に反対だが、廃止したときのことを考えると恐ろしい。廃止は将来の課題である。成熟社会はどこに向かっているのか。

◇今月の「ふるさと塾」(28日・土)はジョン・万次郎だ。漁民の少年だが、大変賢かった。数奇な運命とはこのような人生をいうのだろう。暴風で孤島に漂着し捕鯨船に救われる。鎮国中の日本人がアメリカ社会で対等の付き合いを得た。学校に入りアメリカ留学の第一号という成果。10年間世界を見てペリーの黒船の2年前に帰国。唯一人の英語が自由に使える西洋通だった。

 万次郎が生活したアメリカ東部の町は自由思想の先進地。彼は日本人として民主主義の原点を学んだ最初の人。漁民のせがれが波に運ばれ国際人第一号になった。幕府、象山、松陰などは、万次郎から何を学んだのか。(読者に感謝)

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2014年6月17日 (火)

人生意気に感ず「憲法改正論、傍聴騒ぐ。議長就任祝い。伊香保の楫取」

◇昨日は議会最終日、いつもは何もなく終わるのに緊張が走り傍聴席からヤジが飛んだ。「憲法改正の早期実現を求める意見書」を巡る攻防。自民党の論者は「70年間一度も改正がない、この間内外の状況は大きく変化した、新たな時代にふさわしい憲法に改めるため」等と主張、これに対し、野党からは9条にも言及した激しい反対論が出た。地方議会で憲法論が正面から議論されたことに意義があった。

 反対論の論者は、改正手続きを定める96条も改正できないと主張。(「改正権の限界をこえるというのが学界の多数説です」と)。先日の本会議で私も憲法を取り上げた。改正論も、国民主権、基本的人権尊重、平和主義は改正できないことを大前提としている。その上で、祖国を守る、日本人の精神を正す等の姿勢を示さねばならない。最高法規は現実とかけ離れてはならない。永久不変などということは有り得ない。昨日の県議会の出来事は、本県で広く憲法が議論されるスタートとなるだろう。国会への意見書は賛成多数で可決された。

◇本会議終了後、正副議長就任祝賀の会があった。須藤昭男新議長は富岡製糸世界遺産登録に付き「千載一遇のチャンス」と述べ、私は群馬の精神文化を高揚させる新たなスタートと主張した。間もなくドーハで決まる。20日か21日に歴史的朗報が伝わるだろう。見届けるために知事が出向く。私は20日に、伊勢崎一中で全校570人の前で楫取の講演をするが、この歴史的出来事を生徒を引きつける教材として活かすつもりだ。

◇過日伊香保の古久屋を訪ね楫取素彦と伊香保温泉に関する貴重な資料を得た。その中の1つを紹介したい。ベルツと楫取が石段街を歩いたとき2階の遊女が2人に汚水をかける出来事があった。(「一杯の汚水」)。楫取は廃娼の方針を決定し、伊香保はほかに先駆けて実施しようとしていた。遊郭にとっては死活問題で楫取を怨む者もあったのだ。伝えられる事実を基にした森田素夫の小説「女中部屋」に面白い描写がある。(森田素夫は古久屋の人)。浄化運動達成祝賀会に楫取が出た。宴たけなわ、楫取は「一杯の汚水」について語る。その時、美しい女性が進み出て「あの水はあたくしが捨てたものといたしましたら・・・」と言うと、楫取は「あれが君だとしたら今晩の宴会は君のものじゃ」と発言。屋も倒れんばかりの拍手が起きた。9月24日私は伊香保の商工会で楫取を語る。(読者に感謝)

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2014年6月16日 (月)

人生意気に感ず「屋上から母子飛ぶ。不明児童の調査。570人に楫取を」

◇またショッキングな出来事。母と3人の子が千葉県の14階の屋上から飛び降りた。2、3歳の幼児は死亡、小学低学年の他の2人の男児と女児および母親は意識不明の重体。どんなドラマがあったのだろうか。無理心中らしい。屋上にバッグがあった。

 私は、想像する。髪を振り乱した目も虚ろな母親が幼児を身体にくくりつけ、「ママいやだ」と泣き叫ぶ2人の子を両手に握んで空間を落下していく光景を。母の胸にあるのは冷たい社会への復讐か、別れた男への恨みか。行政機関は事前に情報をキャッチすることによって4つの命を救うことは出来なかったのであろうか。

◇厚木市の理玖ちゃん遺棄致死事件に関して行政の不手際が批判され、以来、所在不明児を無くすための各地の自治体が対策に乗り出している。

 愛知県豊橋市は「ハイリスク」対策に専任の保健師をあてている。また横浜市は、未入学や長期欠席の児童を把握する戸籍課が虐待担当部所に報告する仕組みをつくった。

 これらの自治体は、「助けを求める母親が多すぎて所在確認が徹底出来なかった」、「保健師と母親との信頼関係がカギ」と言っている。ある保健師は「若い母親が電話に出なくなった。出向くと家に入れてくれた。うつの状態だった。ドアを開けてくれる関係が重要」と言っている。又、周辺住民の人間関係が薄くなり「親子が孤立しやすくなった」、母親同志の交流と助け合いが必要(ママ友ができてうれしいと発言する母)などが指摘されている。子どもからたぐって所在をつかみ、情報を共有し各機関が連携すれば助けられるケースが多いのだ。都会のジャングルから小さな命を救わねばならない。

◇13日の桂萱中の講演は3年生179人が対象。多数なので、レジュメを2回送り、先生の協力を得て予習させて臨んだ。大きなスクリーンに最近の高校入試問題も写す。感想文を書くと予告したので多くの生徒はメモを取った。質問もいくつか有り、心配した私語もなかった。松陰や楫取の熱い人生が生徒の心に届いたものと信じる。

◇20日は、伊勢崎一中で全校570人が対象。学校側も決断したものだ。準備して期待に応える。世界遺産決定直前。世界遺産と楫取との関係も語る。伊勢崎めいせん、田島弥平を取り上げる。弥平がイタリアに発つ時、楫取は横浜で見送った。今日は議会最終日。正副議長の就任祝賀会で私は乾杯の音頭を取る。(読者に感謝)

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2014年6月15日 (日)

随筆「甦る楫取素彦」第97回

条約の締結は、未曾有の政治的混乱を招いたが、同時により深刻な社会的経済的動揺と混乱の原因となった。貿易の開始は、翌安政6年(1859)であった。長く鎖国を続けた結果として、既に産業革命を達成させた西欧列強と比べ日本の産業は未発達だった。輸出品の8割近くは、生糸や蚕種であった。輸出品の品不足から物価は著しく高騰し一般庶民は食うのが困難な状況に陥った。

 物価の上昇を貿易開始前後の江戸の例で見ると、安政4年(1857)に1両で米が64升買えたのが慶応3年(1867)には15升しか買えなくなった。実に4倍以上の値上がりである。ただでさえ、貧困にあえいでいた人々に対する大変な追い打ちであった。他方一部の商人は貿易開始によって異常な収益をあげた。人々は「世の中が間違っている、だから世直しは天の声だ」と思ったのも無理はない。

 開港を機に一揆や打ち壊しが増えたが、参加した人々の心理を支えたものは「世の不正を直す」ことだった。一揆には次のような廻状がまわったという。「世直しのために相こわし候(そうろう)につき、最寄(もより)の村々、十五歳より六十歳までの男、斧、まさかり、のこぎりの類用意致し、早速にも罷出(まかりいで)可きこと。万一遅滞に及び候村々一軒も残さず打ちこわし、焼き払い申すべき旨」(急いで参加すべきで、万一遅れた村々は……)

 近郷のあらゆる部落や村から、オノ、マサカリ、ノコギリなどを持って叫びながら集る群衆の凄じさは想像を超える。群衆心理は狂気の集団をつくり異常なエネルギーを生み出す。このような集団をコントロールして所期の成果をあげることは容易なことではない。

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2014年6月14日 (土)

随筆「甦る楫取素彦」第96回

第二章 近代群馬の夜明け

 この章では、改めて、開国以来の上流の動きを見る。

古来、上州は糸の国だった。開国による貿易開始は上州を一変させた。貧富の差の拡大は一揆を多発させた。藩主松代直克は前橋城を再築し製糸業発展の基礎を築く。糸商人の活躍、小栗の処刑、大音龍太郎の恐怖政治を経て、楫取登場の舞台は準備されていった。

「開国前後」

 ここまで、群馬に辿り着く迄の楫取の足取りを各時代の時代背景とともに辿った。幕府は倒れ、新政府は世界史の新しい舞台に登場した。群馬もこの舞台の上にあった。楫取が現われたこの群馬という舞台はどのように出来たか、そして、どのような舞台であるか。それを知ることは楫取の業績を理解する上でも基礎になる。これ迄の記述は、時に断片的になることもあったので。改めて一つの流れとして、開国以来の日本と群馬の動きを見ることにする。

 初代群馬県令楫取素彦は生糸産業を基礎にして群馬の産業を興そうと決意した。それは明治政府がとった富国強兵を目指す殖産興業政策の下で当然といえたが、更に群馬の特別な歴史があった。古来、上州は養蚕と生糸が盛んであった。それは、上毛カルタがいう「県都前橋いとのまち」の歴史的背景であり、また、今日の世界文化遺産につながる富岡製糸場の源流でもある。

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2014年6月13日 (金)

人生意気に感ず「幼児教育の充実。電力自由化。新しい教育長」

◇幼児教育の充実、そのための義務教育化・無償化が進む。政府の教育再生会議が11日、素案を出した。少子化で社会状況が大きく変化している。教育は変化に対応しなければならない。幼児教育の充実はその柱。提言は、我が国の未来の創造のための布石となる。同時に子どもたちにとって、高度化し変化する社会での生きる力を養うことだ。具体的には5歳児の義務教育化を検討。

 また、幼・小・中の連携、小中の一貫教育の制度化など提案。戦後70年に及ぶ学制が激しい社会の変化に対応できていないのは明らか。硬直した制度で個人が能力を発揮できないのは、個人の損失・社会の損失である。教育の基礎は幼児教育にある。小さな芽をしっかり育てるのだ。世界の潮流である。

 現在、一部の恵まれた層が良質の幼児教育を実施。不平等が広がる原因だ。制度化する事は機会均等の実現である。「人は石垣人は城」なのだ。物づくり立国、技術立国の基盤は「人づくり立国」。教育再生会議の提案は遅きに失する位。現在の学校制度は硬直し、個人が活かされていない。学校嫌い、不登校、いじめなどは学校制度が行き詰まっていることが背景となっている。幼児教育の充実には膨大な財源が要る。人づくりが経済を発展させ、経済が教育を支える。良い循環を今こそ。

◇もう一つ、現在の社会を突き動かす法律・改正電気事業法が11日成立。電力の小売の全面自由化、28年をめどに家庭が電力会社を自由に選べるように。現在は電力大手10社が地域ごとに独占しているから業種が電力部門に参入できず、電力が高い。改正法の下では、メガソーラー事業などを手がけるソフトバンクなどが切り込める。競争になり、家庭は安い方から買える。原発事故の関連でエネルギー界が動き出している。

 再生可能エネルギー、安い電気、安定した供給、これらの要請の中で原発の運命はどうなるのか。エネルギーはあらゆる社会活動の基礎だ、人類は太古、初めて火を使い始めて以来、石油、原子力と新たな火を手にしてきた。今日、更に新たな火を求めている。

◇地方教育行政法の改正が13日成立する。教育長の権限を強化する改正。教育委員会の形骸化が叫ばれてきた。中味のない名誉職的な委員長を見てきた。有害無益。橋下市長の言い分も分かる。改正案は非常勤の教育委員長と常勤の教育長を統合する。新教育長は権限が大きいから質が担保されないと教育が道を誤る。(読者に感謝)

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2014年6月12日 (木)

人生意気に感ず「人口減社会の衝撃。虐待を救え。戦争だ。富岡製糸」

◇「消滅可能性都市が全体の約50%」、「未婚、晩婚、晩産」等、衝撃的な数値が委員会室を飛び交った。昨年の人口減少対策特別委員会である。ジワジワと沈む船の中にいる不気味さを味わった。群馬の特殊出生率は1・41で全国平均(1・43)を下回る。(最高は沖縄で最低は東京都)。

「危機感を持ち、優先する政策に力を入れ、出生率を大きく引きあげるという目標を掲げるべきだ。今がよければいいと考える人が多いが人生の終期、介護を受けるとき子どもがいないと大変だ。行政は家族の大切さを声を大にして訴えるべきだ」私はこのような発言をした。

「3・11」の後、結婚を希望する人が増えたといわれる。調査では結婚を希望する人は9割を超える。未婚の原因は何かが問われた。政策は総花的だ。時間の余裕はない。成功した他県の例に学ぶ必要がある。人口減社会の進む先に移民受け入れ問題もある。その時、日本の文化や伝統をどう守るか。目に見えない国難が迫り祖国の歴史を呑み込もうとしている。

◇子どもを育てづらい社会が進行している。人口減社会を加速させる一因で、児童虐待の背景ともなっている。父親に見捨てられ「パパ」と叫びながら餓死した厚木の理玖君の事件は今日の複雑な社会の象徴である。助けられた筈の小さな命の消滅は社会の責任と行政の責任を厳しく問うている。各機関の情報の共有こそ。

◇中国軍機がまた異常接近。時速何百キロで30mまで接近。接触しないのが不思議に思われる。中国では勝手に設定した防空識別圏を守ろうとしているのだろう。中国の異常行動に対抗するのは安保条約で結ばれた日本と米国。今、戦争の危機にあることを実感する。

 上空が燃えている時、地上では集団的自衛権を巡って国会の論戦が行われていた。安倍対海江田。海江田代表の言葉はきれいごとに流れ決め手に欠けていた。国民の命を守ると訴える首相を異常接近の中国機が助けている。多くの国民には、こんな皮肉な構図に見えるのではないか。

◇富岡製糸場が団体見学殺到で嬉しい悲鳴。観光推進と資産重視の意見が多いのが現実だが、無秩序に団体客を入れ遺産の価値と見学者の安全を損なうようでは、繁栄は続かない。製糸場は地味な存在。その真価を平易に面白く伝える工夫が重要。本番はこれからである。(読者に感謝)

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2014年6月11日 (水)

人生意気に感ず「マンション傾く。児童ポルノ禁止法。中国大使来る」

◇また、社会的に大変な出来事が。横浜市の大きなマンションが傾いている。作り手も売り手も超大手。建物を支える杭が基盤に達していない違法建築。物づくり立国、そして、技術立国の日本の基礎が揺らいでいる。物づくりも技術も人にかかっている。ゆきつくところは日本人の精神の劣化。最近韓国の建築中の建物が傾いたがそれを笑えなくなった。問題の本質が日本人の精神という共通点にあるとすれば、他にもどんどん違法建築が現われるのではないか。この状況で大地震が来たらどうするのか。日本中を揺がす出来事だ。

◇幼児を性的被害から守らねばならない。幼児性犯歴のある人は特別に警察でマークすることになっている。アメリカなどはGPSで常時追跡する。先日の委員会でこのことを質問した。幼児を守るためには法的な手だてが必要で、その1つが児童ポルノ禁止法改正の動き。改正法ではポルノ写真を所持するだけで犯罪となる。有効な防護策となるだろう。「所持」とは何か。身につけて持ち歩くだけを意味しない。自分の支配内に置くことだから家に置いて外を歩いても所持だ。麻薬など別件で家宅捜査を受けて出てきたら「所持」を問われることになる。身に覚えのある者は大変だ。パソコンの中に入れておくのも勿論所持に当たる筈だ。

◇昨日の群馬県日中友好協会総会は計画通りうまくいった。中国大使夫妻の出席は治安上の理由で伏せていた。過日、私は中国大使館に出向き出席を要請し確約を得ていた。大使は特別警護の対象なので警察も大変気を使っていた。

 程永華大使、汪婉夫人と協会役員は昼食を共にし話が弾んだ。夫妻は日本人と変わらぬ程日本語が流暢である。歓談の中で私はかかあ天下を語り、夫人は私の孔子文化賞を覚えていて口に出した。福田元総理は、前夜急に中国に行くため欠席となる事を伝えてきた。食事の後知事を表敬訪問。知事の応接室で私は東北三省との関わりを話した。

 2時からの総会で、私は「両国民は誇り高い民族」「覚書の交換は誠意と熱意と互恵の精神で播いた種、大きく育てることが使命」と話した。程大使の笑顔は親日のさわやかな人柄を物語る。総会には東北三省出身の中国帰国協会の数人も参加、会終了後ホテルのロビーで話した。コーヒーの苦さの中に中国への思いが。(読者に感謝)

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2014年6月10日 (火)

人生意気に感ず「飢えて死んだ5歳。盗撮校長。未解決事件。可視化」

◇ガリガリにやせ立つこともできず、パンの袋を開けることすら出来ず、「パパ、パパ」と細い声で呼んだ。閉じ込められた5歳の理玖ちゃん。厚木市の白骨遺体の父親はやせているのを知られることを恐れ病院へ連れて行かなかったと供述。

 保護責任者遺棄致死容疑とされるが殺人に当たる。週に1~2度帰るだけで食事を十分に与えなかった。餓死だ。幼い理玖ちゃんの心を思うと耐え難い。人間のすることか。ものがあふれる時代、物質万能、欲望の奔流。小さな命、弱い命があちらでも、こちらでも流されていく。それは人間の心が流され、国家や社会が漂流する姿である。

◇昨日、警察関係の委員会、私の冒頭の質問は校長の盗撮だった。56歳の高崎市の小学校長、勤務する学校のトイレで女子職員をスマホで。正に前代未聞。校長は教育者としての前歴を偽っていたことになる。警察も教育もこの問題を乗り越えねばならない。ちなみに、前年、県迷惑防止条例が改正され学校の盗撮行為も対象になったから逮捕可能となった。多くの県では学校内に司法が入ることを避けるため条例の対象外としている。この事件は全国の教育現場に衝撃を与えるものだ。

◇その他、栃木の幼女殺害事件に関連させ栃木、群馬にまたがるいくつもの未解決事件を質した。両県の協力が重要であること、犯人逮捕が最大の防犯対策なのだ。この未解決事件には、再審無罪の菅家さんの冤罪に関するものもある。菅家さんが無罪ということは真犯人がどこかで牙を磨いていることなのだ。

◇この日、もう一つ取り上げたのは近年の司法の重大課題である取調べの全面可視化。取調べ官の取調べ状況を録音、録画する問題。密室の激しい調べによる自白が冤罪を生む。菅家さんも自白し公判で否認した。全面可視化は調べる側としてはやりづらい。真実発見の妨げになる面も。人権重視との比較である。かつての県会には悪い奴に人権はないという暴論があったことを思い出す。

◇今日は群馬県日中友好協会一周年総会の日。私の挨拶の中心点は次のようになるだろう。「この協会は嵐の中で船出した。国同志が険悪の時こそ民間の役割は大きい。上海を訪れて結んだ交流の覚書は、両国民が、誠意と熱意と互恵の精神で播いた小さな芽。この芽を大きくそだてることが群馬県日中友好協会の大切な使命である」と。記念すべき日になる。(読者に感謝)

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2014年6月 9日 (月)

人生意気に感ず「校長の盗撮。着ている下着を奪う。不明女子高生。館林小の楫取」

◇群馬の小学校長が勤務先で盗撮とは。ケータイのニュースを見てまさかと驚く。県迷惑防止条例違反と建造物侵入違反。実態は前者。形は微罪の範ちゅうだが、教育の責任者が学校のトイレに忍んで20代の女教師を盗撮とは破廉恥極まりない。

 小学校校長の存在は社会倫理を守る防波堤である。この事件は小学校の道徳教育の擁壁を一挙に崩した。混乱は当該校に限らないだろう。

 高崎市立大類小学校は前橋市在住の56歳。家庭があれば妻や子にとって本人以上に打撃だろう。法律は微罪でも強い社会的非難を受ける。

◇同時に報道されているのは女性が身につけている下着を剥ぎ取る連続事件。江戸川区で3件起きている。どんな技を使うのかと首をひねった。押し倒して脱がせ一目散。女性に怪我はない。正に神技か。こちらは相手の反抗を抑圧させてものを奪うから強盗罪である。しかし、社会的責任は校長の方がはるかに大なのだ。

◇ワイセツ、性犯罪が急増している。成熟社会は倫理を個人の自律に任せるのが原則とはいえ、人間は進歩していないのが現実。単純な歯止めが必要なのだ。「ヘアー」を解禁して以来、何でもありの気がする。チャタレイ裁判が枯れ果てた感がする。

◇熊本県の不明女子高生らしき白骨遺体が発見された。別件の強制わいせつで逮捕された47歳の男が供述しているらしい。発見はその供述に基づくが、腐敗が激しく性別年齢も分からないという。紙面から腐臭が伝わるようだ。

 容疑者はインターネットで知り合った別の少女にしたみだらな行為で逮捕。不明女子高生ともケータイで通話していた。ケータイは魔法の杖だ。誰でも魔法が使える点に問題がある。甘いお菓子のような誘惑を無抵抗な子どもに与える。何とかしないと社会が崩れる。

◇7日、ダブルヘッダで楫取の講演をした。午前は渋川女子高同窓会、午後は教育プラザの歴史の会。歴史の会の時、一人の参加者から「楫取素彦と館林一小」という資料を頂いた。館林第一小校長・新井操氏の文章である。

 内容は楫取素彦が県令として赴任以来計5度も館林小を訪れ、優等生を励ましているというもの。校長は「楫取がいかに教育に力を注ごうとしていたか、楫取の教育への思いの強さと大きさを伺うことが出来る」と述べる。渋川の小学校にも「読宜勤、記宜熟、作宜多」の扁額がある。各地の小学校を巡ったのだ。(読者に感謝)

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2014年6月 8日 (日)

随筆「甦る楫取素彦」第95回

 明治9年

◇明治9年(1876)楫取素彦48歳。

・4月、   楫取、熊谷県令に昇格。

・8月、   群馬県(第2次)成立。山田、新田、邑楽の3郡は栃

木県から離れ群馬県に入る。

県庁は高崎に置き、県令は楫取素彦である。

・9月21日、楫取、「前橋旧城建物を以て仮庁としたき儀に付き

伺い」を内務卿大久保利通に提出。

・9月、   仮県庁を前橋に置くという内務大臣の布達が出る。

・9月29日、高崎の住民代表は県庁をそのまま高崎に置くよう嘆

願書を提出。翌日却下。

・12月25日、前橋の下村善太郎ほか24名、県庁誘置による官

員住宅、師範学校、衛生局設置資金として2万6千円を寄付するこ

とを県に願い出る。

 下村善太郎を中心とする県庁誘置運動には面白いエピソードが伝

えられている。24人の人々が寄付金の協議をしたとき、下村は私

が1本だけ出そう」と指1本を立てた。皆はそれが千円だと思って

いたら善太郎は「千円ではどうにもなるまい。一万両です」と答え

たので度胆をぬかれたという。翌日の集まりの時、下村は番頭に1

万円を背負わせて皆の前に出したので、ためらっていた人たちも覚

悟を決めたといわれる。

 下村の威勢と豪胆ぶりが知れる。拠出者の一覧を見ると、下村の

1万円に続く大口は勝山宗三郎の3千円が群を抜き以下は3百円迄

が続いている。当時の1万円は今日の何十億に当たるであろう。生

糸で儲けた金がいかに潤沢とはいえ常人の出来ることではない。

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2014年6月 7日 (土)

随筆「甦る楫取素彦」第94回

◇明治8年(1875)楫取素彦47歳。

 楫取家文書によれば、この年6月20日、地方官会議が開かれ、この会議に出席とある。地方官会議は、民選議院設立の動きに対応したもの。4月、天皇は、元老院、大審院、地方官会議を設置し、漸次立憲体制を立てるという詔勅を出していた。地方官会議は民選議員設立の方向へ向けて踏み出した極く小さな一歩であった。

 この年、11月熊谷県権令楫取は「娼妓並貸座敷渡世規則」を公布した。(施行は翌年1月)。この規則は、後に群馬県議会で展開される廃娼の議論につながるものとして重要である。

 明治5年の奴隷船マルア・ルーズ号事件に関して発せられた太政官布告による娼妓解放令は不徹底なもので、営業者は「貸座敷業」に転身して、実質的には以前と変わらなかった。

 太政官布告は自由の拘束を禁じたが、売春自体を悪として禁じたのではなかった。そこで業者は座敷を貸し、女郎は自ら主体的に売春行為をするという形をとって従前と変わらぬ実態が続いたのだ。

 楫取が出した「渡世規則」は熊谷県下の貸座敷営業の場所を次の11ヵ所に限定するものだった。

 武蔵野 深谷、本庄

 上野国 玉村、新町、倉賀野、板鼻、安中、坂本、妙義、伊香保、一ノ宮

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2014年6月 6日 (金)

人生意気に感ず「大林県議の死。女児殺害の闇。取調べの録音録画」

◇大林県議の急逝に驚く。昨日午後議会事務局より連絡、57歳だった。前から体調が悪く病院から登庁し落ち込んでいるように見えた。2日程前には議場に姿が見えたのに急変したのか。人間の命はかくもはかないのかと思う。規定上は補欠選挙となる。任期は1年を切っており立候補する人も迷うだろう。

◇今市市の女児殺害に改めて思う。32歳の容疑者は一見好青年に見える。現代社会にはこの種の若者が多いのだろうか。いたずら目的とか写真を撮ったとか供述している。閉じ込められた黒い欲望が無抵抗な弱いところに向う。

 今回の議会で「廃娼」を取り上げた。誇るべき県政の業績という視点であったが議会の論争には理想と現実を巡る対立があった。公娼賛成論者は、そういうものを置かないとふつうの女性が犯され犯罪が増えるというのだ。中江兆民や板垣退助等まで公娼論者だったことはこの問題の根がいかに深かったかを物語る。

 今日の犯罪状況を見ると昔と変わらないという感を抱く。欲望をそそる刺激の炎は昔の比ではない。今日は人間の欲望が極度に解放される社会である。成熟社会は個人を尊重し個人の自律を求める。では、ついていけない個人はどうなるのか。思想と現実の狭間であえぐ社会を守らねばならない。

◇かつて有吉佐和子が「恍惚の人」を書いた。超高齢社会が進む中で認知症は全ての人が大なり小なり直面する恐怖である。加齢と共に脳細胞が劣化するのは避けられないのだから。自分の家に戻れない人が急増し始めた。施設へ行くと口を開け虚ろな目をした人が多くいる。少子と高齢が同時にやってきて高齢者に認知症が広がる。そして中間層の活力は落ちる。正に社会の危機・国家の存亡がかかわることだ。認知症で行方不明と届けられた人は昨年1万人を超えた。その中には長い間身元が分からない人がいる。今後、こういう人は増えるだろう。社会全体が連携して取り組むべき最大の課題である。

◇今大きな社会問題となっていることは、捜査官による取調べの可視化。全過程の録音・録画の法制化を求める意見書を出してくれという請願が我が委員会に出た。密室での違法・不当な取調べをなくし冤罪を防ごうというもの。請願は一般市民たる裁判員が違法不当な捜査か否かを判断するために録音・録画が必要だと主張。私は9日の委員会で発言しようと思う。(読者に感謝)

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2014年6月 5日 (木)

人生意気に感ず「幼児殺害の恐怖。日本のポンペイを世界遺産に。廃娼を議会で」

◇今議会から私が所属する常任委員会は「文教警察」である。治安の一環として幼女の殺害は取り上げなければならない。屈折した黒い欲望は無抵抗な幼児を玩具として扱う。背景には現代社会の病める淵が広がる。大人の女性と付き合う術を持たない若者の性欲はどこに向うのか。哀れだが同情の余地はない。社会は防衛のため厳しく立ち向かわねばならない。

◇なぜか栃木県(時に群馬とまたがって)で不幸な事件が多発した。再審無罪となった菅家さんが疑われた事件もそうだ。菅家さんが無罪であることは真犯人が放任されていることを意味する。

 群馬県警は犯罪認知件数が下がっていると指摘するが、幼女・少女に関する未解決事件は今後のこの種の事件に対応する上でも重要な課題である。栃木との県境にまたがる事件には次のようなものがあった。①1977年(昭和53年)福島万弥ちゃん失踪(当時5歳)、渡良瀬河川敷から遺体発見。②1984年(昭和59年)長谷部有美ちゃん失踪(5歳)、近くの畑から白骨遺体発見。③1987年(昭和62年)大沢朋子ちゃん群馬県尾島で失踪(8歳)、翌年利根川河川敷で白骨遺体発見。④1990年(平成2年)松田真実ちゃん失踪(4歳))、渡良瀬河川敷で遺体発見。⑤1996年(平成8年)横山ゆかりちゃん太田市で失踪(4歳)、現在も行方不明。このうち②④⑤はパチンコ店に於ける失踪である。これらの未解決事件に改めて注目し、新たな行方不明児がいないか問い直す時ではないか。それには隣県との協力が不可欠である。

◇今回の質問で予定した浅間対策は角倉議員が同趣旨の質問をしたので、時間の都合もあり割愛した。不気味な静けさが続く。天明の浅間焼けは地球のはらわたが飛び出すような出来事だった。鎌原観音堂の奇跡は日本のポンペイ。天明の生死を分けた十五段。生き残った男女が夫婦となって村を再建したなどは世界史に例がない。私は世界遺産に値すると思う。国交省は嬬恋に大規模な砂防ダムを築く予定だ。

◇今回の質問で議会史に記す意義ありと自負することは「廃娼」を取り上げ知事に答えさせたことだ。人権史上の「金字塔」が県議会で取り上げられることがなかった。これこそ群馬が誇りとすべき精神文化だと信じる。上州のかかあ天下の背景。傍聴した一女性の「あなたはやはり一流でした」のメールが嬉しかった。(読者に感謝)

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2014年6月 4日 (水)

人生意気に感ず「吉田有希ちゃんと議会。栃木県会のこと。天安門事件」

◇議会一般質問の最後の日の最後の登壇。「ここに立って26年を振り返ると感慨深いものがあります。初めての県議選で恩師で元東大総長の林健太郎先生が応援に駆けつけ歴史を生かした政治家になれと励ましてくれました」と、冒頭の弁で語り、歴史の視点から楫取素彦を取り上げた。

◇質問者と答弁者が議員席と議長席の間で対面し一問一答のやりとりをし、テレビで生中継する。これは平成17年、私が議長の時実現させた。吉田有希ちゃん殺害と関わる特別な思い出が結びつく。容疑者逮捕に心が躍る。

 実はこの対面演壇の一問一答形式は栃木県議会が一足先に始めていたので、平成17年12月私たちは栃木県議会を訪れ、傍聴席から先行の一問一答を見詰たのだ。

 午後一番に登壇した今市市出身の議員は「大変痛ましい事件が発生し許し難い気持でいっぱいである」と訴えていた。多くの傍聴者は今市市の人々だった。前日、当時7歳の有希ちゃんが連れ去られ惨殺された。あれから8年半、犯人はどんな男で動機は何かと強い関心を持っていた。容疑者は32歳の一見やさ男風である。幼い女児の胸を数十回も刺す狂気がどこに潜んでいるのか。栃木と群馬の県境にまたがるいくつもの凶悪未解決事件の解決の刺激になればいいと思う。

◇昨日、議会の質問風景が昔と大きく変わったことを改めて思った。昔の議員は質問を職員に書かせるようなことがあった。栃木県議会が平成17年に議会改革に踏み切ったのは下野新聞で「県議の質問は職員が書くのが常識」と強く批判されたからだと言われる。

 質の悪い議員が選挙で選ばれて先生と持ち上げられる。「先生と呼ばれる程馬鹿でない」という川柳を思い出す。虚実おり混ぜた不思議な世界で26年も生きてきた。そこで学んだことは実に多い。今後のことで先ず胸に浮かぶのは「県議会の歴史」の執筆。明治の初めの廃娼を巡る白熱した議会が想起される。

◇私は「炎の山河」で天安門事件を書いた。今日25周年。民主化を求める学生たちを鄧小平は戦車で踏みにじった。戦車に駆け登る若者、炎上する装甲車、北京のデモは百万人、死者は5千人とも報じられた。思想の自由を求める若者のエネルギーは今も変わらない。過去の中国の王朝は民衆の蜂起で倒れた。現政権には強大な武力がある。心を抑え込む事はいつ迄続くのか。(読者に感謝)

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2014年6月 3日 (火)

人生意気に感ず「人口減社会。認知症社会の恐怖。元東大総長林健太郎」

◇人口減問題は日本全体にとって、また、本県にとって最大な課題の1つである。社会が活力を失って急激にしぼんでいくのだ。今議会でもこの問題を取り上げる人がいた。

 国はこれに対応するために安倍首相を本部長とする総合戦略本部を設置する方針を固めた。

 従来の府省ごとに取り組む縦割りの少子化対策を改めて政府が一体で取り組むのが狙い。このまま人口減に歯止めがかからなければ将来全国1800の市区町村の半分が消滅するという衝撃的な調査結果がある。子どもを産めと義務付けることは出来ない。子どもを育てやすい社会環境をつくることが第一だ。同時に子どもがいて温かさと活気のある家庭の大切さを社会のコンセンサスとして育てていくことが非常に重要だ。

◇少子化と同時に高齢化が進み、こちらには認知症という深刻な問題が結びつく。館林で7年前に保護された女性は最近になって東京都台東区の67歳と判明した。埼玉県では18年前に保護された認知症の男性2人が今も身元不明という。

 先ず調査して実態をつかまなければ対策が立てられない。調査を終えているのは7県で、多くは実施中。群馬も実施中だ。認知症問題は今後増々深刻化するだろう。亡き母の恐い記憶がある。いく日か入院すると態度がおかしくなり退院して家族の所に戻ると回復する。専門家はこのような結果が何故起こるか分かっていないに違いない。多くの医師や病院はわかっていながら時の流れに任せている。国の責任に行きつく恐るべき問題。

◇認知症を考えて気付くことは、個人にとってその世界は頭の中にあるということだ。頭が萎んで認知できる世界が次第に小さくなる。それがその人の世界なのだ。何と恐いことか。人生が長くなって、このような目に見えぬ恐怖が蔓延する社会、それが超高齢化社会の姿である。健康長寿ということの素晴らしさを痛感する。

◇今日、2時15分、私は議会で登壇する。新しい人生の門出を宣言するような少し気負った気分もある。歴史問題の一環として楫取素彦を第一に取り上げる。県議会に一歩を印して以来歴史問題に取り組んできた。思い出すのは最初の県議選の時元東大総長林健太郎先生が県民会館に応援で駆けつけてくれたこと。昭和61年の暮れだった。歴史を生かした政治家になれと励ましてくれた。先生は平成16年91歳で逝去。天国で今日の私をみておられるだろうか。

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2014年6月 2日 (月)

人生意気に感ず「子ども餓死。覚醒剤と主婦。中国と精神的自由。炎暑」

◇またまた悲惨な事件。白骨化した子ども。戸は異臭を出さぬため目張り。逮捕の父は住民票を移さず家賃を払い続け、別の女と住んでいた。どうしてこんな事件が起こるのか。妻が家を出た後、父親は週に一、ニ度アパートを訪れた。閉じ込められた5歳の理玖君は餓死したのだろう。

 以前、若い母親が幼児を閉じこめ、餓死せた事件があった。児童相談所所長は「所在不明児への危機感が甘かった」、教委は「関係機関との連携が密でなかったことが最大の反省点」とそれぞれ語る。今回の事件はアパートの所在は住民票で分かっていたのだから、訪れていれば早く発見できた可能性がある。「甘かった」のだ。

 児童虐待や遺棄などが激増している。子どもの命より自分の都合を優先させる親。無責任時代が広がっている。欲望と混乱のジャングル、濁流が渦巻く社会、その中で人間の倫理も小さな命も流されていく。各行政機関、地域の良心が連携しなければ社会そのものが押し流されてしまう。

◇覚醒剤が一般の主婦の間に広がっている。家庭が壊れる社会的背景だ。群馬では全国的にも上位の覚醒剤消費県だという。あとを絶たない有名芸能人の事件は自覚のない主婦を煽る材料になっている。手を出す動機は性感を高めることだといわれる。ズルズルと深みにはまる、金が要る、その先には犯罪のワナが待っている。

 法律は厳しい。麻薬取締法、覚醒剤取締法は、所持、譲受け、使用等に10年以下の懲役を定める。犯罪の重大性と恐ろしさを周知させねばならない。

◇中国は対岸から見ても実に大変だ。生き延びるために言論の自由・学問の自由を規制している。習政権になって大学の締め付けが強化されている。精神を縛って自由な発想を妨げると独創的なアイディアは出ない。昔、ルネサンス期天才がどっと現れたのは心の束縛が解かれたからだ。中国で理系のノーベル賞がほとんど出ないのは発想の自由がないからだろう。日本の凄さを支える基盤は自由にあることを改めて感じる。

◇酷暑が予想される。早くも館林が全国最高となった。昨日は、全国で400人位が病院に搬送され、死者や重体が出ている。地球が狂い出した現れだろう。今夏も天が抜けるような雨、灼熱地獄、洪水があるのだろうか。南極の氷が溶け出した。地球の危機が迫る。(読者に感謝)

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2014年6月 1日 (日)

随筆「甦る楫取素彦」第93回

◇明治7年(1874)楫取素彦46歳。

7月19日、楫取は熊谷県権令(副知事)として着任した。前年に成立した熊谷県は、上野11郡、つまり現在の群馬から新田、山田、邑楽の3郡を除いた部分も含んでいたから、この年、実質的に楫取が群馬に登場したことになる。

 この年の群馬の出来事を挙げると、

本県初の洋風新校舎前橋桃井学校竣工、

俠客大前田英五郎没す、

星野長太郎、水沼製糸所の一部操業を開始、

新島襄、アメリカから帰国し郷里安中の両親を訪ね地域の人々にキリスト教を伝える。これは日本で最初のプロテスタントの伝道であった。

「新島襄」

太平洋を26日かけて航行し、およそ11年ぶりに日本の土地を踏んだのは明治7年11月26日だった。翌27日の午後東京に至り、その日の夕方には3台の人力車を雇って安中に向った。彼の心は矢も盾もたまらず懐かしい両親を目指した。安中には真夜中に着く。両親の安眠を妨げるのを避け、近くの旅宿山田屋を起こして一泊。明ければ29日、病床の父は身を起こし言葉もなくただ涙を落とした。海外の珍しい話を聴こうと、伝え聞いた多くの人が集まった。12月には、最速、説教を始めている。

 楫取は新島の動きにどう対応すべきか政府に質すと、「新島のことなら捨てておけ」と言う答えだった。前年、キリスト教は解禁になったとはいえ、それが地方に迄徹底した状況ではなかったと思われる。新政府のこの態度には、明治の政治家の大胆さと共に、新島がアメリカで岩倉等を助けられたことが背景になっていたことが窺える。この時の新島の教えによってキリスト教徒になった者の中に湯浅治郎がいた。

この年、中央では大きな動きがあった。それは、前年、征韓論に破れた板垣退助、副島種臣、後藤象二郎等が民選議員設立建白書を提出したことである。以後、国会開設等を求める自由民権運動が激しくなっていく。

※土日祝日は中村紀雄著「甦る楫取素彦」を連載しています。

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