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2014年5月25日 (日)

随筆「甦る楫取素彦」第91回

 新しい社会を築くために改めるべき陋習は多いが人身売買はその典型である。貧しい親が前借金を得て幼い娘を奉行に出す。娘は前借金に縛られ自由を奪われ売春させられ梅毒の病となり若くして死ぬ。正に地獄である。

 五箇条の御誓文は明治政府の新しい国策の基本である。徳川幕府を倒し、暗いトンネルを脱して目も眩む新しい世界に登場した新政府は世界に負けまいとする強い決意を持ち高い理想に燃えていた。「旧来の陋習を破り」でそれを示した。理想を目指したのは政府だけではない。長い間、差別や偏見に苦しんできた国民こそ、直接の当事者として理想の風を受け止めた。

 このような状況の下で出された太政官布告の女郎解放宣言は全国に流れ、その意味を知り、それを活かそうとする人々に限りない勇気を与えまた、戦いの武器となった。上州群馬にはそのような人々がいた。後述の、新島襄の教えをうけたキリスト教徒、新しい社会を築こうと理想に燃える青年たちである。その中に楫取素彦の姿もあった。

新時代の流れは、楫取を山口の田舎に隠棲することを許さなかった。

 明治5年8月9日、足柄県参事に任命される。その後、熊谷県時代を経て群馬に至る。

※土日祝日は中村紀雄著「甦る楫取素彦」を連載しています。

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