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2014年3月30日 (日)

随筆「甦る楫取素彦」第72回

 アーネスト・サトウが見た下関戦争の要点のいくつか取り上げてみたい。まず、サトウは長州からイギリスに渡っていた5名の若者のうち2名(伊藤俊輔と井上聞多)が長州が攻撃されることを知って急遽帰国したことを挙げる。「この2人は、煉瓦塀に自分の頭をぶつけるのは無益だということを藩の同志に警告しようと、知識を身につけて日本へ帰って来た」と指摘。攻撃の中心人物、英のオールコックはこの2人を長州藩の仲介役として使う。2人は戦闘を避けようとしていたのだ。連合軍側も同様で、2人に藩主への最後通牒を持たせたりするが火蓋は切って落とされる。長州の砲台からの砲撃、海兵隊の上陸、激戦の様が描かれ、「日本人が頑強に戦ったことは認めてやらねばならない」とサトウは語る。双方にかなりの死傷者が出たが長州の敗北は明らかであった。サトウは「賠償金を支払わせるための物的保証として下関付近の土地を占領する計画があった」と明らかにしている。伊藤俊輔が来て、長州は講和を希望している。全権を委任された家老が談判に来ると知らせた。家老は黄色の地に青の紋章の就いた礼服を着、絹の帽子をかぶり、目がさめるような純白な白絹の下着をつけていた。家老は宍戸刑馬(シシドギョーマ)といった。そういう家老はいない筈というと、家老宍戸備前の養子になったものと答えた。実はこの家老は高杉晋作であった。サトウはこの家老を観察し、その変化がなかなかおもしろいと述べている。艦上に足を踏み入れた時は悪魔のように傲然としていたがだんだん態度がやわらいだというのだ。休戦協定が出来ると長州人のだれもが忠実に守った。「彼ら長州人は信用に値すべき人間だと言ってもよかろう」とサトウは感想を述べる。そして、大砲の撤去に際し長州人はきわめて親切で自分達の手で運びおろして引き渡してくれたと記している。

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