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2013年6月22日 (土)

『炎の山河』第五章 地獄の満州 第66回

⑫ 松井かずが見た日本

 喪に服す人々の自粛ぶりは、まちの隅々に至るまで徹底していた。競馬、競輪、競艇などの公営ギャンブルは全国でレースを中止、全国大学ラグビー選手権決勝戦や全日本バスケットボール女子決勝戦は延期された。東京浅草のポルノ映画館では、表の成人映画案内の派手な写真を並べたケースの上に、前張りならぬ黒い幕が張られた。また、パチンコ屋からは、音楽とネオンが消えた。テレビ各局は、天皇の特別番組一色となり、民放からはCMが消えた。

 このような国を挙げての反応は、日本国民と天皇制との関係、国民の昭和天皇への思いを示すものであるが、また、一面、日本の国民性の特色を示すものである。何か大事が起きたとき、皆一斉に同じ方向に走り出す。そして、その方向が誤れば、まっしぐらに破局につっこむし、うまくいけば、世界が驚くような成果を生み出す。前者の例が50年前の敗戦であり、後者の例が現在の経済大国の実現といえるのではなか。その経済大国の故か2月24日の大喪の礼には、世界の163ヶ国、28国際が弔問のため、代表や使節を日本に送り、史上最大規模の葬儀となった。昭和64年は新しい時代の始まりとなり、時の官房長官小渕恵三は、新元号”平成”を発表。ここに、平成の時代がスタートした。(読者に感謝)

☆土・日・祝日は、中村紀雄著「炎の山河」を連載しています。

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