« 人生意気に感ず「美浦村教委視察。社会力と学力。教育委員会」 | トップページ | 『炎の山河』第5章 地獄の満州 第48回 »

2013年4月27日 (土)

『炎の山河』第5章 地獄の満州 第47回

「まるで、手のひらを返すように、周りの人たちの、私たちに対する態度が変わりました。でも、それが本当に嬉しかったです」

松井かずが言うように、地域社会における日本人に対する見方が大きく違ってきた。隣近所や職場で交す中国人の言葉や目つきも、前とは違った温かさが感じられるようになった。彼女は、日陰から日のあたる所に出されたようで嬉しかった。しばらくすると、日本に里帰りする人々の話が、松井かずの村へもニュースとなり噂となって伝わってきた。夫も親戚も、彼女の固い意志を知っていたので、いつかは、彼女がそのことを言い出すであろうと思っていた。

 昭和50年、日中国交正常化より約2年後、待ちに待った日本への里帰りの機会が松井かずに訪れた。彼女の行く手には、中国と日本の双方の政府の協力で、帰国への道が開かれつつあった。もはや、無理をして、夫やその親戚と大喧嘩までして飛び出す必要はなかった。他の中国残留者と共に、一時日本に里帰りして日本の様子を見てきて、夫や子どもたちにそれを説明した上で日本への帰国を果たそう、松井かずは、そう考えて日本へ旅立つ準備にとりかかった。

☆土・日・祝日は、中村紀雄著「炎の山河」を連載しています。

|

« 人生意気に感ず「美浦村教委視察。社会力と学力。教育委員会」 | トップページ | 『炎の山河』第5章 地獄の満州 第48回 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『炎の山河』第5章 地獄の満州 第47回:

« 人生意気に感ず「美浦村教委視察。社会力と学力。教育委員会」 | トップページ | 『炎の山河』第5章 地獄の満州 第48回 »