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2012年9月10日 (月)

人生意気に感ず「緊迫の瀋陽総領事館。まぼろしの満州国」

◇中国残留帰国者協会訪中団一行は、初日7日、瀋陽総領事館へ向かった。瀋陽は、遼寧省の省都で、かつては、奉天だった。瀋陽総領事館のガードは極めて厳重だった。高い塀には、先の尖った鉄柵がならびさらに数十メートルの距離に塀を囲むように柵がもうけられていた。指定の午後二時半、狭い門扉が開き副領事の山崎亜季子氏があらわれた。手にする紙片には私たち13名の氏名がある。「パスポートを提示して下さい」と彼女は言った。ピリピリとした緊張感の中、廷内に入る。この厳しさが尖閣問題に起因する事は明らかだった。私は、かつて、南米ペルーの日本大使公邸を訪ねた時の光景を思い浮かべた。  会議室では、総領事に対面するかたちで席に着いた。私の正面が総領事の田尻和宏氏でその左右は主席領事である。  田尻氏は、予め私が提出しておいた質問項目について説明した。尖閣、中小企業の進出、エネルギーなどに関する事である。  総領事は、尖閣デモにつき約300人が詰めかけ、ペットボトルが投げられたりした事、また、九月十八日は、柳条湖と重なるので心配している事などを語った。  総領事が言う柳条湖とは、昭和六年(1931)九月十八日に起きた柳条湖事件の事である。関東軍の謀略による南満州鉄道爆破事件である。それは、奉天(現在の瀋陽)郊外で起きた。これが発端となって満州事変が始まり、翌昭和七年日本の(傀儡かいらい)満州国が建てられた。中国人は、九月十八日を、日本の侵略と結びつけて特別の思いで迎える。尖閣と重なるようにこの日がせまる。総領事の懸念はこの点にあった。 ◇総領事の話は、大澤知事の訪問も含めさらに続くが、ここでは、まず、満州国に触れる。中国人は偽満(ウエイマン、にせ満)と呼ぶがこの言葉に満州国建国に関する歴史的事実と中国人の強い感情が凝縮されている。  その昔、中国東北部は、満州族が住んでいた。彼らは中国を征服して清王朝を建てる。その最後の皇帝が溥儀である。日本は廃帝溥儀を利用して満州国を建てた。溥儀が祖先の地に自らの意思で建国したという筋書きである。中国は国際連盟に提訴。リットン調査団は、民族の自決による建国だという日本の主張を認めなかった。日本は国連を脱退。孤立化し太平洋戦争への泥沼に入っていく。今回の訪中は、躍動する現代中国とその背景にある日中の近代史を学ぶ旅である。(つづく)(読者に感謝) ☆土・日・祝日は、「楫取素彦読本」を連載しています。

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