« 楫取素彦 第九回 | トップページ | 楫取素彦読本  第11回 »

2012年7月15日 (日)

楫取素彦読本  第10回

ここで、吉田松陰が、差別に反対し、人間の平等に理解を示していたことを述べておきます。後に、楫取素彦が、群馬の県令として、虐げられた女性の解放に尽くしたことと深い関わりがあるからです。

当時は、士農工商という厳しい身分の差別があり、その下には更に人間扱いされない差別された人々がいました。人間の平等を憲法で保障し、それを空気や水のように当たり前と受け止めている今日の私たちには信じられないことです。

吉田松陰は、形の上だけで人の上下を決めたり差別することには反対でした。当時、長州藩でも、士農工商に属する人とその下の差別された人々が交わることは禁止されていました。

吉田松陰が、長州藩の牢屋に入れられた時、向かいの牢に、差別された部落の人と、平等につき合ったという理由で牢屋に入れられていた高須久子という女性がいました。吉田松陰は、この女性に理解を示し励ましました。また、夫を殺された差別部落の女性が長年苦労の末犯人をつきとめた出来事がありましたが、吉田松陰は、この女性をたたえ、尊敬し温かく接しました。吉田松陰はこのような信念で塾生を教えたのです。高杉晋作が、武士という身分にこだわらずに奇兵隊を作ったのも、このような師の影響があったものと思われます。

■解説■

○日本国憲法の人間平等の規定。

「すべて国民は、法のもとに平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的経済的又は社会的関係において、差別されない。(第十四条)」

○日本国憲法の、世界に誇る優れた点は、この十四条に現れた人間尊重にあります。

松陰や楫取は、遥か昔に、この精神を理解し実践しようとしました。

○当時は、士・農・工・商の四民の下に、更に差別された人々がいました。

これらの人々は、四民との結婚を禁じられ、住む場所も条件の悪い所に指定されました。幕府が支配を進めるために、庶民の間の分裂をはかったことがその起源といわれます。

○人間の「生まれながらの差別」は不平等の典型で日本国憲法の下では絶対に許されません。

※土日祝日は中村紀雄著「楫取素彦読本」を連載しています。

|

« 楫取素彦 第九回 | トップページ | 楫取素彦読本  第11回 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 楫取素彦読本  第10回:

« 楫取素彦 第九回 | トップページ | 楫取素彦読本  第11回 »