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2012年4月15日 (日)

「上州の山河と共に」第121回 政治家への道

 笠原久子さんは、なかなかの美貌の人である。そして、知性と情熱を持ち前の明るい性格でうまく調和させているような彼女の雰囲気は、接する者に、常に新鮮な印象を与え、また、魅力を感じさせていた。

しかし、行動派の彼女も、大勢の前で選挙の応援演説をするのは初めてのことで、マイクを握った彼女の顔は、緊張と興奮で青ざめていた。

「私達庶民の喜びや悲しみが本当に分かる人、それが、中村のりおです。私達と同じような生活の体験を持ち、私達と同じような生活感覚を持つ人でなければ、私達の代表とはいえません。中村のりおこそ、私達の代表として最もふさわしい人です」

 笠原久子さんの澄んだ綺麗な声が、凛として響く。ほぼ満員となっている公民館のホールは、俄に登場した女性弁士の迫力に押されて、水を打ったように静である。

「中村のりおは、金も、組織も、知名度もありません。皆さんのお役に立ちたい、良い故郷を創りたい、ただ、その一心で、苦しい戦いを続けて来ました」

 笠原久子さんは、ここで声をつまらせ、高ぶる感情を必死で押えようとしている。彼女の胸には、ハガキの宛名書きをしたことや、足に豆を作ってあちこちと歩き回った日々のことが去来しているに違いない。彼女の、このたくまざる振る舞いは、プロの政治家の弁士よりも聴衆を動かす力を持っているように思われた。その証拠には、彼女の前に座っていたおじさんやおばさん達が、目を押さえたり、鼻をすすったりし始めたからである。(読者に感謝)

☆土・日・祝日は、中村紀雄著「上州の山河と共に」連載しています。

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