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2012年3月 3日 (土)

上州の山河と共に 第108回 政治家への道

 開会の時刻は午後六時。林先生の送迎は、水洋会の伊藤正美さんと妻の役目であった。五時少し前、伊藤さんと妻は、入念に磨いた伊藤さんの愛車に乗って、林先生を迎える為に高崎駅へ出かけて行った。

 県民会館の中は、いくつものグループが慌しく動いていた。受け付けの為に机を並べる人達、駐車場での車の誘導を打ち合わせる人達、あるいは、壇上に花を置き、来賓や役員の椅子を並べる人達等。

 誰もが、長い間かかわってきた自らの運動の成果がどう表われるか、試験の結果を待つ受験生のように、不安と期待の入り混った気持で動いている。

 私は三十分程前から、舞台の裏手にある控室に入っていた。私の人生における初めての経験、その幕開けが刻々と迫る。もう、会場には人が入り始めている筈だ。入り具合はどうだろう。私は、幕の隙間から会場を見たいという衝動に駆られ、また、見るのが恐いとも思う。

 定刻十分前になった時、福島浩が顔を紅潮させて入って来て、私に近づくと耳元で言った。

「もう会場はいっぱいで入れない。ロビーもいっぱいで、まだ、どんどん来ている。受付が混乱しているから、少し開会を遅らせる。小会場は、まずかったな」

 彼は、ニヤッと笑うと、私の肩を叩いて出て行った。

〈やったあ〉、私は心の中で叫んだ。

その時、「やあ、大変な盛会ですね」こう言って、林先生が控室に入ってこられた。盛況の知らせと林先生の到着が重なって、私は、心地良い興奮に浸っていた。

☆土・日・祝日は、中村紀雄著「上州の山河と共に」を連載しています。

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