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2011年3月26日 (土)

中村紀雄著「上州の山河と共に」第6回

私は時々、下の部落に味噌や醤油を買いに、行かされた。

「お金を落とさないように。蛇に追われたら真直に走って急に横へ曲がって逃げるんだよ。」などと母親に注意されて出かける。長い道のり、山道を歩いてゆくと、本当に、私の背丈よりずっと長い青大将によく出会った。急傾斜の道は、雨のたびに赤土が流されて、道の両側は私の背よりも高い崖になっている。ここで、夕立にでも会うと、道は、濁流が音を立て滝となって流れる川に一変する。私には、蛇よりも、こちらの方がこわかった。

この坂道については懐かしい思い出がある。ある日、母は、虫歯の治療で前橋まで行くことになった。治療を受けている間、妹の恭子をみておくれと言われ、私はいっしょに出かけた。朝早く家を出て、大胡迄歩き、そこから前橋迄電車に乗る。

私を連れて行くと母は大変便利であった。改札口が開くと、大人たちの間をリスのようにかいくぐって、電車に飛び込み座席を確保するのが私の役目であった。

その日も、私は小さな胸に、秘かに期するところがあって、一生懸命働いた。治療中も妹をよくあやして面倒を見た。帰りに今井の玩具屋に立寄った迄はよかったのである。

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