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2010年5月15日 (土)

③大陸の花嫁

―新日本の少女よ大陸に嫁げ。彼女たちの行手に待つ地獄―

このような状況の中で、新婚の生活はスタートした。厳しい環境ではあるが、若い夫婦には夢があった。二人で力を合わせ、立派な農場をつくり子どもを育てよう。この満州の新天地で皇国の農民として生き抜くのだ。こう誓い合う二人にとって、もはや厳しい自然環境も大した敵ではなかった。環境が厳しければ厳しい程、二人は心を一つにして助け合わねばならない。そのことがまた、二人の愛情を深めた。若い妻にとって、夫はこの世でただ一人の頼もしい男性であった。また、男は、自分をやさしく支えてくれる愛する妻のためなら、どんな難関でも平気で立ち向かうことができた。二人で助け合わなければ生きられないこの最果ての曠谷で、現代の若者には見られぬ程の強い愛情に結ばれた夫婦像が実現していった。

 義勇軍開拓団も、若者が妻を迎えるにつれ、集団生活から家族単位の生活へと移ってゆく。そして、男だけの殺伐とした訓練所は、次第に、笑い声があちこちで聞こえる和やかな村へと変わってゆくのであった。

衣食足りて礼節を知るという。妻を迎えたからと言って、物質的な豊かさが増すわけではないが、それよりも大切な心の豊かさが増して、若者たちは礼節を守るようになる。愛する妻を側において、今までのような馬鹿なことはできないし、またその必要はなかった。やがて、あちこちの家庭でかわいい二世が誕生する。赤ん坊の泣き声と若い夫婦の笑い声があちらからもこちらからも聞こえてくる。村は活気に溢れ、一見、平和な楽園のように思われた。

☆土・日・祝日は、中村紀雄著「炎の山河」を連載しています。

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